はじめに
━━━特性「てんねん」。
相手の能力変化を無視するその力は剣盾の禁止伝説環境ではタイプ相性も功を奏して、あのザシアンザシアンの対策としてヌオーヌオーが抜擢されるほどでした。
そしてポケモンSVランクバトルの初期環境においても、3種のてんねん新ポケモン、ヘイラッシャヘイラッシャドオードオーラウドボーンラウドボーンが多くの積みアタッカーを受け止めています。
本育成論では対策を怠ると詰まされる「てんねん」トリオ全般を、特防を2段階下げる追加効果を持つ威力80の専用技「ルミナコリジョン」によってまとめて面倒をみるアタッカー寄りのクエスパトラクエスパトラさんについて語らせていただきます。
しばらく対戦環境から離れておりSVにて復帰したにわか勢ですので、考察不足や間違い等ございましたら、ご指摘いただけると幸いです。
※以下、HABCDS等の非公式の略称を使用し、考察対象のポケモンは理想個体前提とさせていただきます。
採用理由と役割
- 「てんねん」の特徴である、自身の能力変化には左右される点を専用技によって受け崩しを狙います。
同様の効果を持つ「アシッドボム」と比較して威力が2倍であり、「てんねん」ポケモンたちヘイラッシャドオーラウドボーンに通りが良いのが魅力です。悪テラスタルされたら無効です
- 「てんねん」ポケモンの撃破後は「かそく」で上がったSで後続のポケモンにも先手を取り、タイプ一致のダメージ+D2段階ダウンを入れられます。
その後は思う存分積みアタッカーの方々に暴れてもらいましょう。
- D2段階ダウンが追加効果である以上「おんみつマント」には弱いのですが、ヘイラッシャドオーラウドボーンは受けの都合上HPを回復するアイテムを持っていることが大半のため、「てんねん」対策としては有効かと思います。
- B特化+飛行テラスタルでヘイラッシャを、D特化+炎テラスタルでラウドボーンを強く見る調整が可能です。火力自体は落ちて交代先への圧力は下がってしまいますが、パーティの構築に合わせて利用出来るのも魅力です。
持ち物
ヘイラッシャドオーラウドボーンは揃って「あくび」を覚えるので、そこに強気に出られる「ラムのみ」にしています。
汎用性の高さから「ラムのみ」としていますが、眠り以外の状態異常を無視しても構わなければ「カゴのみ」でも良いと思います。
状態異常に厚くすることで、ヘイラッシャドオーラウドボーン以外にもルミナコリジョンで弱点を突けるキノガッサモロバレルにも対応出来ます。
ただしリククラゲには相性の良い技が無いため、単独での突破は困難です。
パーティ内に壁貼り役を採用していない場合には、持ち物を「ひかりのねんど」にすることで、後続に長いターン、有利な状態を残すことも可能です。
その場合は確実な催眠対策を他のポケモンで行う必要があり、ヘイラッシャドオーラウドボーンの「あくび」に対しても引かなければならない点には注意が必要です。
特性
新特性の「びんじょう」は面白い特性ですが、「てんねん」相手に自分の能力(S以外)を上げても意味が無いため、本育成論でのクエスパトラクエスパトラさんは「かそく」一択です。
性格・努力値と調整
元々の火力がやや慎ましいので、ひかえめC特化です。
残りは仮想敵のヘイラッシャドオーラウドボーンが鈍足なためS振りを捨て、なるべく安定して彼らに勝てるよう耐久振りしています。
Hの実数値を奇数にした余りは、BDに振っても確定数の変化に乏しいためSに回しています。
他の振り分け方としてはB12orD12orBDS4という形式でも良いと思いますが、物理/特殊特化型の考察に関しても以下に記載致します。
追記:物理/特殊特化型の構築について
本育成論でメインに取り扱っている型は、3種のてんねんポケモンに対応するためのバランス型となっておりますが、ヘイラッシャヘイラッシャの一撃技/ラウドボーンラウドボーンへの悪テラスタル必須など安定しない部分があります。
そこでヘイラッシャヘイラッシャ寄りとラウドボーンラウドボーン寄りの型も載せておきます。
(ドオードオー相手にはどちらの型でも一致抜群のD2段階ダウンが撃てる都合上、ラムのみで状態異常を回避すれば問題なく勝てると思います)
- 対ヘイラッシャヘイラッシャ(及び対「じわれ」/物理)型
ラウドボーンラウドボーンへの相性逆転のための悪テラスタルではなく、飛行テラスタルを採用します。
また努力値の振り方を、ずぶとい(A下降/B上昇)H244/B252/C12にすることで、万が一ヘイラッシャヘイラッシャが「ゆきなだれ」を採用しており2倍のダメージになった際でも「リフレクター」込みで乱数3発(30.8〜36.3%)に抑えることが可能になります。
「ひかりのかべ」を捨てて「はねやすめ」を採用することにより、ヘイラッシャヘイラッシャに対する硬さを手に入れることも出来ます。
ただし、火力が下がる=ヘイラッシャヘイラッシャ撃破にかかるターンが伸びることになりますので、「ゆきなだれ」を考慮せずに努力値配分は本来のバランス型のままにするという選択肢もあります。
参考までにC12無補正クエスパトラクエスパトラさんの「ルミナコリジョン」のダメージ計算は「HD特化ヘイラッシャヘイラッシャ@たべのこし」に対して、
「ルミナコリジョン」1手目(11.2〜13.6%)
「ルミナコリジョン」2連打+「エナジーボール」では低乱数でHPが残りますが、
「ルミナコリジョン」ではD-6状態でも乱数2発程度の火力となるため、「エナジーボール」は可能であれば採用したいです。
(「ねむる」カゴのみ型の場合、若干面倒なため……)
- 対ラウドボーンラウドボーン(及び特殊)型
ラウドボーンラウドボーンの「フレアソング」連打に耐えるために炎テラスタルを採用、並びに遂行力を高めるためにテラスタルを切らなくても多少戦えるD振りを行います。
努力値の振り方を、おだやか(攻撃下降/特防上昇)H244/C12/D252にすることで、C特化ラウドボーンラウドボーンを壁込みで
「シャドーボール」乱数3発(32.8〜38.8%)
炎テラスタル時「シャドーボール」乱数6発(16.4〜19.4%)
「フレアソング」1手目(16.4〜19.4%)
C4段階UPでの「フレアソング」が乱数2発
炎テラスタル時「フレアソング」乱数11発(7.9〜9.4%)
C6段階UPでの「フレアソング」が乱数3発(32.3〜37.8%)
となります。
いずれも確定2発未満に抑えられるため、こちらの型でも「はねやすめ」の採用をオススメします。
なお、C6段階UPでの「シャドーボール」は確定2発となってしまいますが、そのために「フレアソング」が6回必要であるのに対して、「ルミナコリジョン」は3回で最高火力(HD特化に確定2発)となりますので、ダメージレースでは勝てると思います。
また参考までにC12無補正クエスパトラクエスパトラさんの「ルミナコリジョン」のダメージ計算は「HD特化ラウドボーンラウドボーン@たべのこし」に対して、
「ルミナコリジョン」1手目(13.2〜15.6%)
D-6状態の「ルミナコリジョン」が確定2発(50.2〜59.2%)となり、「なまける」による受けが間に合わなくなります。
ただし、ラウドボーンラウドボーンが悪テラスタルした場合には
「マジカルシャイン」が確定4発(26.5〜31.2%)
D-2状態の「マジカルシャイン」が確定2発(51.1〜60.6%)となり、
「ルミナコリジョン」を入れられていない状態では、相手の「なまける」を枯らす必要が出てきます。
また、どちらの型でも耐久振りをする場合には、「あくび」による眠りを1度しか回避出来ないことが欠点となり交代を強いられる点には注意が必要です。
技構成
- 確定枠
ルミナコリジョン
威力80のタイプ一致技でありつつ、D2段階ダウンを行う専用技です。コンセプト上、必須。未テラスタルのドオーに抜群を取れる技でもあります。
リフレクター&ひかりのかべ
ヘイラッシャドオーにはリフレクター、ラウドボーンにはひかりのかべを先制して発動させます。安定性は増しますが、ヘイラッシャの「じわれ」の試行回数が増えたり、ラウドボーンが「フレアソング」でCを上げる回数が増えたりもします。
- 選択枠
テラバースト
悪テラスタルをすることでタイプ一致技になり、未テラスタルのラウドボーンに抜群を取れます。もっともラウドボーンは炎テラスタルしがちなのですが、「かそく」後にサーフゴーサーフゴーへの打点にもなりますのであって損はありません。
マジカルシャイン
ルミナコリジョンが悪タイプに無効なため、私はまだ遭遇したことがありませんがヘイラッシャドオーラウドボーンが悪テラスタルした場合には必要になります。(特にラウドボーンは元のタイプの都合上、受けに特化するなら悪テラスタルは出てきそうです)「かそく」後にサザンドラサザンドラへ上から4倍で撃てる役割があるにはあります。
エナジーボール
はねやすめ
ラッキーハピナスドヒドイデなどの低火力高耐久組の対策として使用したい場合には、一考の余地があると思います。HPの実数値が201のため、「ちきゅうなげ」を4回受けられる利点もあります。
また、物理/特殊に対して特化する際には採用することで受けを強くすることが可能ですので、オススメです。
さいみんじゅつ
当てるのにも持続ターンにも運が絡むので私は取り入れたくはありませんが、「てんねん」ポケモンには勿論、「かそく」後に無限の勝ち筋を生み出すことが出来ます。
テラスタル
悪テラスタル
飛行テラスタル
「じわれ」が許せない人向けです。ラウドボーンへの遂行力は落ちる上、ヘイラッシャの「ゆきなだれ」を抜群で受ける可能性もあるのであまりオススメはしません。
パーティ構築上でクエスパトラクエスパトラさんをヘイラッシャドオーの対応をメインにしたい場合には採用もありです。
ただし「はねやすめ」を使用しても、飛行テラスタル中はひこうタイプのままであることには注意が必要かもしれません。
(回復技を用いている間も地面無効であり続けられますが、ひこうタイプとしての弱点は避けられません)
炎テラスタル
ラウドボーンラウドボーンの「フレアソング」を半減してダメージレースで勝てるようにする選択肢です。
「テラバースト炎」は「ルミナコリジョン」を半減するはがねタイプにも強く出られる利点もあります。
立ち回り例
壁を張っていない状態での耐久はフワフワ(特にBD)なので、基本的に対面からの展開が必要となります。
他のポケモンで壁を張ってからの交代や、「すてゼリフ」による交代でも戦えなくはありません。
〜対ヘイラッシャヘイラッシャ〜
※代表的な「HB252D4@たべのこし」の場合
(他の型は下記参照)
「ルミナコリジョン」→「エナジーボール」の2手でも確定
(1手目のダメージは31.5〜37.3%)
ヘイラッシャが「あくび」や「じわれ」外しなどの無駄行動をしてくれると、HPに余力を残せます。
また「リフレクター」を他のポケモンで用意しておくことで「エナジーボール」を使用出来れば手数が1手少なくても確定圏内に持っていけます。
〜対ドオードオー〜
※特殊受けの「HD252A4@くろいヘドロ」の場合
(1手目のダメージは38.8%〜46.4%)
ドオーが「どくどく」や「じこさいせい」などの無駄行動をしてくれると、HPに余力を残せます。
〜対ラウドボーンラウドボーン〜
※特殊受け「HD252D4@オボンのみ」の場合
- 初手クエスパトラクエスパトラさんの悪テラスタル「ひかりのかべ」
- 後手ラウドボーンの「シャドーボール」(8.9~10.9%)
- クエスパトラクエスパトラさんの「ルミナコリジョン」→「テラバースト」の2手目に確定
- ラウドボーンの「フレアソング」は3連打目で確定
(1手目のルミナコリジョンのダメージは26.0〜31.2%)
ラウドボーンが「なまける」や「あくび」「おにび」などの無駄行動をしてくれると、HPに余力を残せます。
逆に「フレアソング」連打や「オーバーヒート」、悪テラスタルなどをされると勝ちきれませんので、出来れば他のポケモンで「ひかりのかべ」を用意したいところです。
ただ敗北する場合も「ひかりのかべ」+ラウドボーンD2段階ダウンまでは残せるので、後続に特殊アタッカーを用意しておけば突破は容易になると思います。
与ダメージ計算
※いずれもDに+補正ありで計算
- 「HD252@とつげきチョッキ」ヘイラッシャヘイラッシャ
「ルミナコリジョン」1手目(15.5〜18.6%)
「ルミナコリジョン」4連打で確定
「ルミナコリジョン」2連打+「エナジーボール」で確定
- 「HD252@たべのこし」ヘイラッシャヘイラッシャ
「ルミナコリジョン」1手目(23.3%〜28.0%)
「ルミナコリジョン」3連打で確定(たべのこし2回込み)
「エナジーボール」込みでも確定数に変化なし
- 「H252D4@たべのこし」ヘイラッシャヘイラッシャ
「ルミナコリジョン」1手目(31.5〜37.3%)
「ルミナコリジョン」3連打で確定(たべのこし2回込み)
「ルミナコリジョン」→「エナジーボール」で確定
- 「HD252@とつげきチョッキ」ドオードオー
「ルミナコリジョン」1手目(26.1〜31.2%)
「ルミナコリジョン」3連打で確定
- 「HD252@くろいヘドロ」ドオードオー
「ルミナコリジョン」1手目(38.8%〜46.4%)
「ルミナコリジョン」2連打で確定(くろいヘドロ1回込み)
- 「HD252@オボンのみ」/「H252D4@とつげきチョッキ」ラウドボーンラウドボーン
「ルミナコリジョン」1手目(26.0〜31.2%)/(23.2〜27.4%)
「ルミナコリジョン」→「テラバースト悪」で確定
被ダメージ計算
※いずれも壁補正込みで計算
- A252振り補正ありヘイラッシャヘイラッシャ
「アクアブレイク」確定4発
「ウェーブタックル」確定3発(ただし自傷ダメージあり)
- A252振り補正ありドオードオー
「じしん」乱数4発(99.5%)
- C28振り無補正ラウドボーンラウドボーン
「フレアソング」3連打とも最大乱数で確定
- C252振り補正ありラウドボーンラウドボーン
「シャドーボール」(12.4〜14.9%)+「フレアソング」(25.3〜29.8%)/(37.3%〜44.2%)2連打全て最大乱数で残りHP22耐え
苦手なポケモン
有利対面(耐久ベースのポケモン)で行動する前と後で変わります。
- 「かそく」でSが上がる前
高速アタッカー全般に弱いです。
あくまで「てんねん」対策や眠り対策のサブアタッカー兼サポーターとして、メインの積みアタッカー(特殊だとさらに良し)のお供に選出することを推奨します。
- 「かそく」でSが上がった後
高火力の先制技を持つカイリューカイリューやドドゲザンドドゲザンなどの前では出来ることがありません。
それ以外に対しては上から「ルミナコリジョン」で耐久を下げたり、壁を残したり出来ます。Dを下げられる都合上、相手の起点になり辛くもあります。
相性の良い味方
- オーロンゲオーロンゲ
壁を張ったり「すてゼリフ」をしたり出来ます。
そもそも通常の積みアタッカーと相性が良いので、クエスパトラさんはそれに便乗しつつそのエースのために「てんねん」を片付ける役割を担います。
また当人も先制「ビルドアップ」で積みアタッカーになれます。
- ウォッシュロトムウォッシュロトム
耐久しつつ「わるだくみ」を詰める他、クエスパトラさんが削り残したラウドボーンラウドボーンにも有利に立ち回れます。
初手の壁張り役や「おにび」による物理受けなど型も様々です。
- ウルガモスウルガモス
言わずと知れた「ちょうのまい」使い。
「てんねん」トリオの中では通常ラウドボーンラウドボーンに打点が無いのが難点ではありますが、逆にラウドボーンが悪テラスタルをした際には「むしのさざめき」で屠ってくれます。
- サザンドラサザンドラ
「りゅうせいぐん」のCダウンを気にしなくて良くなるので「てんねん」相手にも比較的強気に出られるアタッカー。
特殊耐久の高いドオードオー相手にはやや火力不足であったり、「りゅうせいぐん」1発では落とせずに技の応酬となる(相手からの攻撃で削られてしまう)のが必須であったりするため、「てんねん」が複数見えている時やサザンドラに他に相手をして欲しいポケモンが居る時などに一緒に選出したいところです。
(ドオーに対して圧倒的に有利に立ち回れるのはクエスパトラさんの強みです)
- サーフゴーサーフゴー
強力な専用特性とバランスの良い種族値を誇る、型の読みにくいポケモンです。
ラウドボーンラウドボーンやウルガモスウルガモス等に強く出られる「パワージェム」を仕込むことが出来るのも強みの一つであり、「てんねん」ポケモンの居ない状況下では壁の下で「わるだくみ」を積んで無双を狙えます。
- ポットデスポットデス
「てんねん」のポケモンが居なければ「からをやぶる」→「きあいのタスキ」→「くだけるよろい」でAC+2/B−2/D−1/S+4の状態になれる積みアタッカーです。
クエスパトラさん同様、先制技に弱いのはご愛敬。
おわりに
本育成論を最後までお読みいただき、誠にありがとうございます。
クエスパトラさんは様々な補助技を覚えることも可能なのも魅力の一つではありますが、今回は圧力を高めるためにアタッカー型のポケモンとして紹介させていただきました。
強力な追加効果によって、相手が交代をしてもその交代先に負荷をかけていくことが出来る上、そもそもマイナーよりであったりバトン型が想定されているのか、意外と「てんねん」ポケモンに引かれないことも多く、「てんねん」狩りに成功出来ております。
是非とも皆様もクエスパトラさんを使用して、受けに出てきた彼らヘイラッシャドオーラウドボーンに一泡噴かせて貰えると嬉しいです。
ここまで駄文長文失礼致しました。