初めまして、アルファです。嫌いなものは一撃必殺技です。
本論では、旧世代では耐性の貧弱なこおりタイプであるが故に注目されることのなかったフリージオフリージオを現環境で活用させるための型を記していきます。
注意点
- 非公式の用語・略称(HABCDS,三値など)を使用します。
- 特別な注意が無い限り、全てのポケモンを6Vとして扱います。
- ダメージ計算には"ダメージ計算ツールSV byポケソル"を使用しています。
採用理由と役割
現環境に台頭する受けポケモンアーマーガアドオーヘイラッシャキョジオーンを確実に処理するにあたり、無振りでも大抵の受けポケモンの上を取れるS種族値105、特性:ふゆう、そして無効化されにくい一撃必殺技であるぜったいれいどに着目し採用しました。
主な役割対象はドオードオーで、基本的な型ならふゆうとみがわりによって相手から攻撃を受けずに処理できます。ドオーと補完が良く、セットで採用されやすいアーマーガアアーマーガアに対しても不利を取ることはありません。
持ち物
- たべのこし
安定した回復ソース。
みがわりを採用する受けポケモンとの相性が良いため、確定欄ではこちら。
- オボンのみ
たべのこしでは回復が間に合わない場合はこちら。
今作では自己再生のPPが減少したので、総回復量に不安が残ります。
- メンタルハーブ
挑発持ちに対して身代わり→絶対零度連打のムーブが出来るようになります。
特性
ふゆうで確定です。
地面技を透かしつつ、ついでにキラフロルキラフロルのどくびしも受けないので出来るだけ長く場に居座りたいこの型との相性が良好です。というかこれしかありません。
性格・努力値と調整
みがわりを採用する型であり、たべのこしの回復効率を重視したいためHPを16n+1に調整しました。これにより耐久を著しく損なうことはありません。
物理方面は対面する前にとけるを一度積めていれば大抵の攻撃を受けることが可能なので、特殊方面にも厚めに振りました。眼鏡サザンのラスターカノンを耐えます。テラスタルすれば自己再生で受かります。
技構成
- ぜったいれいど
言わずと知れた一撃必殺技です。戦術の構成と読み合いが醍醐味のゲームにおいて、プレイヤーの努力を嘲笑でもするように運次第で全てを破壊する最悪の技です。
万一にも主力のアタッカーに命中してしまうとその時点で負けが確定する盤面も多いため、交換への圧力が高く、役割対象の突破を確実なものにする効果も期待できます。
- とける
物理ポケモンが多い環境で受けを成立させるには必須です。また、役割対象であるアーマーガアアーマーガアの鉄壁ボディプレスを受けきるためにも必要です。
- みがわり
あくびやどくどく等の変化技で流されないために採用。みがわりを残せれば自己再生や絶対零度のターンを稼げるため、居座り性能を大きく引き上げてくれます。
また、S種族値105は無振りでも大抵の受けポケモンを抜ける数値なので、ドオーのどくどくやモロバレルのキノコの胞子などを一方的に無効化できます。他の受けポケモンとの大きな差別化点の一つになるでしょう。
- じこさいせい
一回でHPを半分回復する、メインの回復ソース。特筆すべきことはありません。
テラスタル
- どく
みがわりがなくても毒を受けなくなります。格闘タイプを半減できるため、役割対象であるアーマーガアアーマーガアのボディプレスをみがわりが耐えます。
また、特性: ふゆうにより弱点が一つ減り、エスパーのみになります。フェアリーに耐性があるのも優秀。確定欄はこちら。
- でんき
弱点無し、ついでに役割対象であるアーマーガアアーマーガアのブレイブバードを半減します。鋼タイプにも耐性があるので、眼鏡サザンドラの鋼テラスラスターカノンを身代わりが耐えてくれます。元が氷タイプなので、テラスタルを誘いつつラスターカノンを誘えれば大きなアドバンテージが取れます。
- はがね
優秀な耐性がふゆうによって更に強力に、具体的には無効2半減10抜群2になります。が、その抜群2が元の氷タイプと一貫する炎と格闘であり、特に格闘弱点はボディプレス持ちアーマーガアアーマーガアへの役割遂行ができなくなるため致命的です。ついでにラウドボーンラウドボーンのフレアソングも氷と一貫します。役割対象を変えるなら一考の余地はあります。
立ち回り例
役割対象の受けポケモンに受け出し、または対面させ、相手を詰ませてぜったいれいどで処理します。相手がフリージオで受け切れないポケモンに交換する場合は、交換際に零度やみがわりを合わせながらサイクルを回して対処しましょう。
与ダメージ計算
全員一撃です。
被ダメージ計算
物理はとけるを1積みしておけば大抵は受けきれます。対面から受けるのは厳しいので、相手の受けに上手く合わせましょう。
特殊耐久は高いですが、過信は禁物です。みがわりを置いておくと安定します。
↓テラスタル前(氷タイプ)
A特化ドオー / どくづき
63 ~ 75 (35.5 ~ 42.4%) 確定3発
無振りアーマーガア / ブレイブバード
73 ~ 87 (41.3 ~ 49.2%) 確定3発
C4振り無補正ラウドボーン / フレアソング
C+0: 66 ~ 80 (37.3 ~ 45.2%) 確定3発
C+1: 98 ~ 116 (55.4 ~ 65.6%) 確定2発
C+2: 132 ~ 156 (74.6 ~ 88.2%) 確定2発
C+0→C+1の順に二発連続で被弾した場合、164 ~ 196 (92.7 ~ 110.8%) 乱数二発: 59.37%となります。
A特化マスカーニャ / はたきおとす(持ち物あり)
145 ~ 172 (82.0 ~ 97.2%) 確定2発
A特化珠ドラパルト / ドラゴンアロー
140 ~ 166 (79.1 ~ 93.8%) 確定2発
A特化鉢巻カイリュー / しんそく
92 ~ 109 (52.0 ~ 61.6%) 確定2発
ノーマルテラスタル時: 138 ~ 163 (78.0 ~ 92.1%) 確定2発
C特化眼鏡サザンドラ / りゅうせいぐん
117 ~ 138 (66.2 ~ 78.0%) 確定2発
C特化眼鏡鋼テラスタルサザンドラ / ラスターカノン
144 ~ 170 (81.4 ~ 96.1%) 確定2発
C特化サーフゴー / ゴールドラッシュ
152 ~ 180 (85.9 ~ 101.7%) 乱数1発 : 6.25%
- 毒テラスタル後
B特化アーマーガア / ボディプレス
26 ~ 31 (14.7 ~ 17.5%) 乱数6発 : 2.59%
格闘テラスタル時: 39 ~ 46 (22.0 ~ 26.0%) 乱数4発 : 4.84%
C4振り無補正ラウドボーン / フレアソング
C+0: 33 ~ 40 (18.7 ~ 22.5%) 乱数5発 : 90.93%
C+1: 49 ~ 58 (27.7 ~ 32.8%) 確定4発
C+2: 66 ~ 78 (37.3 ~ 44.1%) 確定3発
C+0→C+1→C+2の順に3発被弾した場合、148 ~ 176 (83.7 ~ 99.5%) 確定4発となるためHP最大からであればギリギリで耐えられます。(が、Cに20以上振られると乱数で落ちる可能性があり、無補正C236振り=性格補正込みC124振り=C実数値160以上だと確定3発となってしまいます。過信せず、飽くまでも型を判別する際の参考程度に留めましょう。)
C特化眼鏡サザンドラ / ラスターカノン
48 ~ 57 (27.2 ~ 32.3%) 確定4発
鋼テラスタル時: 72 ~ 85 (40.7 ~ 48.1%) 確定3発
- 電気テラスタル後
無振りアーマーガア / ブレイブバード
36 ~ 43 (20.4 ~ 24.2%) 確定5発
C特化サザンドラ / ラスターカノン
24 ~ 28 (13.5 ~ 15.9%) 乱数7発 : 90.69%
鋼テラスタル時: 36 ~ 42 (20.4 ~ 23.7%) 確定5発
苦手なポケモン
- 氷タイプ
絶対零度が通りません。パルシェンパルシェンやセグレイブセグレイブ、最近増えている耐久型ユキノオーユキノオーあたりには注意すべきですが、それ以外の氷タイプは環境に殆どいません。氷テラスタルも警戒するほどの数はいないでしょう。
- ジバコイルなどの頑丈持ち
攻撃技が絶対零度しかないので、どう足掻いても無理です。
- きあいのタスキ持ち、化けの皮の残ったミミッキュ
絶対零度を当てても即死してくれません。遂行速度が遅くなるばかりか、絶対零度が2回当たらないと突破手段がなくなります。積みの起点にされると全抜きされかねないので、特に化けの皮の残ったミミッキュやタスキパルシェンを見たらすぐに引きましょう。
特にドラパルトはすり抜けでみがわりを何食わぬ顔で貫通してくるので分が悪いです。
一応、火力に努力値をあまり割いていないラウドボーンにはテラスタルで炎等倍かつ体力に余裕のある対面なら3,4発程度絶対零度が撃てますが、アタッカー型だと成す術無く焼かれるので別のポケモンで対処する方が安全です。
- グレンアルマグレンアルマ
テラスタルしなければアーマーキャノン、テラスタルすればサイコキネシスで一致弱点を突かれます。構築単位でグレンアルマが重いならテラスタイプはどく・はがね以外にすると良いでしょう。
- みがわり型サザンドラ
こちらが氷タイプのアタッカーに見えることもあり、フリージオの型がバレていなければ交換かテラスタルをしてくれることが大半です。
が、型がバレた後は対面させると負けます。挑発持ちで突破できないだけならマシで、悪巧み持ちに積みの起点にされると即全抜きされかねません。サザンドラの型判別には注意しましょう。
相性の良い味方・構築例
- キラフロルキラフロル
構築に入れておくだけでどくびし回収役としてドオードオーが選出されやすくなります。また、タスキを潰して一撃必殺技を通すためのステロ撒きをしつつ地面技を誘うので、ふゆうで透かしてそのまま無償降臨も可能です。非常に相性が良いですが、二体ともジバコイルジバコイルに弱いのでもう一匹で補完してあげましょう。
- アタッカー全般
役割対象のアーマーガアアーマーガアもドオードオーも受けポケモンなので、そもそも止めるべきアタッカーがいなければ選出されません。メジャーなアタッカーで彼らを誘う必要があります。ちょすいドオードオーに限っては水ロトムにも誘われてくれますね。
あとがきと実戦での所感
一撃必殺技は耐久の高いポケモンに持たせると非常に凶悪な性能になります。というのも、30%(不一致零度では20%)という低確率でも試行回数を重ねるごとに期待値は高まるため、結果として2回以上撃てばそれだけで有利な賭けを押し付けることができるからですね。
以下は一撃必殺技の試行回数と期待値。(小数点以下切り捨て)
試行回数: 一回命中 / 二回命中 / 三回命中
1回: 30% /
2回: 51% / 09%
3回: 65% / 21% / 02%
4回: 75% / 34% / 08%
5回: 83% / 47% / 16%
6回: 88% / 57% / 25%
7回: 91% / 67% / 35%
8回: 94% / 74% / 44%
テラスタル後(命中20%)
1回: 20% /
2回: 36% / 04%
3回: 48% / 10% / 00.8%
4回: 59% / 18% / 02%
5回: 67% / 26% / 05%
6回: 73% / 34% / 09%
7回: 79% / 42% / 14%
8回: 83% / 49% / 20%
極端な話、相手のポケモンが2回絶対零度を撃った時点で、その対面での勝率は50%を下回ってしまいます。PPを使い切られた場合、かなり有利な確率で1体のポケモンに2体を持っていかれてしまいます。
……ということで、”一撃必殺技のPPを使い切ろう”というコンセプトでポケモンを探した結果、最適だったのがこのフリージオです。ランクマではアマガドオーサイクルに対しては10戦中7回もPPを使い切るまで零度を撃ち切れたので、概ね成功として投稿に至りました。僕自身は選出した12戦で70回絶対零度を撃ち13回命中でしたが、ほぼ確実に1:1交換を成功させてくれるため、遂行速度にバラつきがあることを除けば非常に信頼できるポケモンです。詰ませる速度は割と速いので、想像以上に交換を誘いやすく釣り交換を決めやすいのも評価できます。
テラスタルを切ると絶対零度の命中率は20%まで下がってしまいますが、それでも想像以上に安定した活躍を見せてくれました。運用が簡単、とまでは言えませんが、安定した受けサイクルへの対処法を求めている方は採用してみてはいかがでしょうか。