初めまして。ぴろしきと申します。剣盾に引き続き、SVでも育成論の投稿をさせて頂きます。
初めに注意事項が3点ございます。
- この育成論を書いている2022年11月現在、ランクマッチは始まっておらず、環境がまだ定まっていない状態です。そのため、この育成論でご紹介するダメージ計算等は恐らく環境に食い込んでくるであろうポケモンを想定の下、算出しています。
- 本論では、ステータスの略称にHABCDSを用います。
- ダメージ計算は「ダメージ計算SV」を使用しています。
※2022/12/2
コメントでご指摘頂きました。
どうやらテラスタルしない状態のテラバーストは「特殊技」として処理されるようです。現在は与ダメージ計算の欄から、テラスタル無のテラバーストは削除してあります。
マスカーニャについて
皆さんもご存じの通り、マスカーニャマスカーニャはSVの御三家の一体で、くさ・あくの複合タイプを持っています。くさ・あくというタイプは、耐性面に不安があり、4倍弱点にむし、2倍弱点にほのお・どく・ひこう・フェアリー・こおり・かくとうと、弱点を7つも持っています。
反対に、半減で受けられるタイプはみず・くさ・でんき・あく・じめん・ゴースト、更に無効にできるエスパーと、こちらも同様に7つのタイプに対して有利に立ち回れます。そのため、非常にトリッキーで使いにくいのが、この複合タイプの特徴です。
環境にも入ってくるであろうチオンジェンチオンジェンも同じ複合タイプを持っていますが、チオンジェンが受け寄りのポケモンであるのに対し、マスカーニャは完全な攻めポケモンです。本論でも、マスカーニャはアタッカーとして採用します。
そしてマスカーニャの強みといえば、何といっても123というS種族値でしょう。素早さを生かして相手に先制して攻撃することで、大抵のポケモンに何かしらの仕事を果たせます。また、専用技であるトリックフラワーも非常に強力で、確定で相手の急所にあたる必中攻撃となっており、実質的な威力は105。加えて防御アップや威嚇による能力ダウンの影響を受けることなく相手にダメージを与えることができます。
しかし逆に、マスカーニャはBDの種族値が低く弱点も多いため、耐久面に難があります。等倍であっても大ダメージを受けてしまうことも少なくありません。そこは上手くテラスタルや特性へんげんじざいでカバーする必要があります。
現時点で想定される環境でのマスカーニャの立ち位置
まだランクマッチが始まっていないため予想の範疇から出ませんが、高耐久ポケモンが環境に居座ることはほぼ間違いないでしょう。特に今作はお化け耐久を持った新規ポケモンが雁首を揃えています。特にキョジオーンキョジオーン、ヘイラッシャヘイラッシャあたりは対策が必須となってくると思っています。
そんな中マスカーニャは、これらの高耐久ポケモンに対してタイプ上有利に立ち回ることができます。また、おそらく環境上位に入ってくるであろう、イルカマンイルカマン(ナイーブ)やサーフゴーサーフゴーあたりにも強く出られるのは非常に魅力的です。
コンセプト
さて、ここからが本論におけるマスカーニャの紹介となります。マスカーニャは前述のとおり、高いS種族値と強力な専用技を用いた戦術が主となりますが、マスカーニャのA種族値は110と、べらぼうに高いというわけではありません。先ほど『高耐久ポケモンに対して有利に立ち回れる』と記述しましたが、実は火力アップ系のアイテムを持たない場合、確定2発で落とすことができません。こいつら耐久バケモンすぎんだろ……
また、今作から特性のへんげんじざいが大幅な弱体化を受けてしまい、タイプ変更が場に出た時に1回限りと、技の打ち分けができずかなり使いにくい特性となってしまいました。加えて、テラスタル時にはへんげんじざいも発動しない上、技を打つと単タイプに変化してしまうため、くさ・あくという複合タイプを活かしきるならしんりょくの方が使い勝手が良いという始末です。
これらを踏まえたとき、へんげんじざいマスカーニャと最も相性がいいと考えたアイテムが、こだわりハチマキです。
本論の趣旨は、こだわりハチマキを持たせた高火力マスカーニャで、相手を上から攻撃しつつ壊滅させていこうというものとなっています。
テラスタイプについて
本論でテラスタイプをどくにしているのは、単純に『技範囲を広げる』、ということ以外にも、
- 耐性の相互補完
- 相手の意表をつける
という点で優れているからです。それぞれ解説します。
- 耐性の相互補完
どくタイプの弱点は、じめん・エスパーの二つですが、くさ・あくタイプのマスカーニャにはそれぞれ半減と無効でどちらの技も選択しにくく、逆にマスカーニャの弱点である、かくとう・どく・むし・フェアリーを半減にすることができます。
特に、環境に蔓延るであろうテクニシャン型キノガッサキノガッサのマッハパンチを半減で受け、返しのどくテラバーストで弱点を突けるのも偉いです。
※ただし、タスキを持ったキノガッサが交代読みのキノコのほうしを打ってくる可能性も考えられます。ここは択になりますね。
- 相手の意表をつける
マスカーニャは豊富な攻撃技を持っていますが、どく技に関しては補助技のどくびししか覚えません。そのため、マスカーニャがどく技を選択してくることは相手の想定外の行動になります。加えて、どくタイプはマスカーニャの苦手とするフェアリータイプに弱点を突けます。意外性、という意味でも、どくテラスタルを採用する価値はあると思います。
特性
タイプ一致の高火力技を押し付けられるへんげんじざいで確定。
持ち物
コンセプト上、こだわりハチマキで確定です。
性格・努力値
ようきASぶっぱがオーソドックスで最も使いやすいので、本論でもこれを採用します。一応、Dに努力値を4振っているのはダウンロード調整です。しかしSVにポリゴン2は今のところ内定していないので、HPに振っても問題はありません。
技構成
強力な専用技であるトリックフラワーと、どく技を打てるテラバーストまでは確定です。残り2枠は選択になります。以下に候補を列挙します。
- かわらわり
くさ・どく技だと突破が厳しいはがねタイプへの打点。輝石ラッキーラッキーへの打点にもなる。
- とんぼがえり
サイクル戦向き。マスカーニャの素早さと相性がいい。
- はたきおとす
あく技の打点。後続にも負荷をかけられるため、かなり幅広く使える。ハチマキとの相性は△
- じゃれつく
比較的通りのいいフェアリータイプの技。しかしこの技を採用する場合、はがねタイプには何もできなくなってしまうのでかわらわりも同時に採用することを推奨。
- かみなりパンチ
くさタイプに強いひこうタイプへの切り替えしとして優秀。へんげんじざいででんきにタイプを変えれば、弱点がじめんだけになるのも相性がいい。
- トリック
起点作成をしてくる相手を止める役割。かなり限定的にはなってくるので、優先度は低め
与ダメージ計算(どくテラバースト以外はタイプ一致時のダメージ)
- トリックフラワー
ヘイラッシャヘイラッシャ(HB)…61.4%〜73.1%(確定2発)
キョジオーンキョジオーン(HB)…70.5%〜84.0%(確定2発)
カバルドンカバルドン(HB)…73.4%〜87.4%(オボン込み確定2発)
- どくテラバースト
チオンジェンチオンジェン(HB:わざわいのおふだ込)…53.1%〜62.5%(確定2発)
ニンフィアニンフィア(HB)…84.1%〜100.9%(乱数1発:6.2%)
キノガッサキノガッサ(耐久無振り)…148.1%〜174.8%(確定1発)
- かわらわり
ミミズズミミズズ(HB)…55.3%〜65.5%(オボン込:低乱数2発)
ラッキーラッキー(HB輝石)…62.1%〜73.9%(確定2発)
セグレイブセグレイブ(H252)…83.7%〜98.1%(確定2発)
ハルクジラハルクジラ(B252性格補正無)…71.8%〜85.7%(確定2発)
- はたきおとす
サーフゴーサーフゴー(無振り)…144.4%〜170.3%(確定1発)
ラウドボーンラウドボーン(HBずぶとい)…76.7%〜90.9%(確定2発)
被ダメージ計算
- キノガッサキノガッサ(ようきASテクニシャン)
マッハパンチ
通常時:91.3%〜108.6%(乱数1発:50.0%)
テラスタル時:22.5%〜27.1%(乱数4発:42.5%)
- ミミッキュミミッキュ(珠持ちいじっぱりA252)
じゃれつく
通常時:151.6%〜180.7%(確定1発)
テラスタル時:37.7%〜45.0%(確定3発)
- ウェーニバルウェーニバル(ようきA252)
インファイト
通常時:170.8%〜202.6%(確定1発)
テラスタル時:42.3%〜50.3%(低乱数2発:1.1%)
- セグレイブセグレイブ(いじっぱりA252)
こおりのつぶて
通常時:72.8%〜87.4%(確定2発)
テラスタル時:36.4%〜43.7%(確定3発)
- ハバタクカミハバタクカミ(おくびょうC252)
ムーンフォース
通常時:144.3%〜172.1%(確定1発)
テラスタル時:35.7%〜43.0%(確定3発)
- ラウドボーンラウドボーン(C252)
フレアソング
通常時:116.5%〜139.0%(確定1発)
テラスタル時:58.2%〜69.5%(確定2発)
- ドラパルトドラパルト(珠持ち)
ドラゴンアロー(A252)
95.3%〜113.9%(乱数1発:62.5%)
だいもんじ(C252)
通常時:118.5%〜141.0%(確定1発)
テラスタル時:59.6%〜70.8%(確定2発)
苦手なポケモン
この型の弱味は、高火力の技を先制で打たれた場合、テラスタルで弱点を消して等倍にしても耐えきれないという点です。特にブーストエナジーで素早さが上がったテツノドクガテツノドクガあたりは、オーバーヒートを140という破格のC種族値で放ってきます。流石にこれはマスカーニャの耐久では耐えられません。
同様にドラパルトのドラゴンアローやスカーフセグレイブのきょけんとつげきなど、弱点ではない攻撃であっても注意が必要です。
また、威嚇ボーマンダボーマンダも確定急所技のトリックフラワーを1/4で受けられてしまうため相性が悪いです。一応、じゃれつくを搭載していればAが1段階下がった状態でも無振りボーマンダを高乱数1発で仕留めることができます。
相性の良い味方・構築例
くさ・あくに弱点かつ、どくタイプで半減にできないほのお・ひこう・こおりタイプに強く出していけるキョジオーンキョジオーンは相性がとてもいいです。反対にほのお・ゴーストタイプのラウドボーンの弱点であるみず・じめん・いわ・あく・ゴーストに対して、マスカーニャは有利に立つこともできるため、この二体の相性も良いといえるでしょう。
最後に
ここまでどくテラスタルマスカーニャについてご紹介いたしましたが、マスカーニャは高いS種族値と強力な専用技を持ちながら、特性の弱体化という大きな逆風を受けて総合的に使いにくいポケモンになってしまいました。ですが同時に、唯一無二の戦い方ができる面白いポケモンだとも思います。これからの対戦環境がどうなっていくのか、非常に楽しみです。
ここまでご覧いただき、ありがとうございました!