はじめに
本育成論内で以下の略称を使用する。
HP = H, 攻撃 = A, 防御 = B, 特攻 = C, 特防 = D, すばやさ = S
また、特定のステータスに努力値を252振り、更に特性による補正をかけることを特化と表す。
ダメージ計算についてはポケマス様(https://pokemass.site)のダメージ計算ツールを使用した。
採用理由と役割
- 採用理由
剣盾内で最も強いダイマックス技とされるダイジェットを最高火力で放つ事ができるランドロスの受け崩し性能に注目し、その火力を更に強化できるいのちのたまを持たせ、つるぎのまいを積むことで数値性能では受けられない火力を押し付けるという動きが同様の戦術を取るエースバーンやサンダーと比較しても強いと感じたため。
- 役割
つるぎのまいを積んだ状態でダイマックスを切り、相手のポケモンをなるべく1発で倒しランドロスのHPが尽きる前に殴り切る。
持ち物
- いのちのたま
ダイマックス時のダメージを底上げし確定1発の範囲を広げられる上、非ダイマックス時の技の威力も火力アップアイテム無しランドロスのダイマックス技と同等に引き上げる事ができ、ダイマックス終了後やつるぎのまいを積めなかったりサイクル戦にもつれ込んだ状況でも十分な火力で相手を攻める事ができる。
特性
- いかく
いかく以外の特性がないため固定。相手の攻撃力を下げることができるため、物理アタッカーに対面したときつるぎのまいを積みやすくなる。
性格・努力値と調整
調整案 1
性格 いじっぱり
努力値 H36 A220 S252
実数値 169-212-110-x-100-143
- 調整意図
H:10n-1
A:つるぎのまい1積みダイジェットでHB特化カバルドン確定1発
S:最速(S 1段階上昇で最速ドラパルト抜き)
つるぎのまいを積むタイミングで相手からの攻撃を受けやすく、いのちのたまの効果で攻撃するたび最大HPの1/10ずつHPが減ってしまうため、少しでも生存ターンが伸びる確率が上がるように珠ダメージが増えない程度にHPに努力値を振った。
S を削って他に回すとしても、1段階上昇で最速ウオノラゴンを抜ける140 は下回らないようにしたい。
性格に関しては攻撃に補正をかけないと確定1発が取れないポケモンが一定数いた事、準速ランドロス以上最速ランドロス以下の素早さである最速ガラルファイヤー、カプ・レヒレ、カイリューや準速サンダー、ウーラオスなどについて、Pokemon Home のバトルデータ及び実際の対戦による感覚から、これらのポケモンは殆どいないか、いたとしても上を取るメリットがそこまで高くないと判断した事からいじっぱりとした。
<<追記>>
調整案 2
性格 いじっぱり
努力値 H4 A252 S252
実数値 165-216-110-x-100-143
計算し直したところAに努力値を252振ることで下記のダメージ計算で乱数1発の相手を1撃で倒せる確率が12.5 %上昇した。特にH244 B12 振りきせき持ちポリゴン2を最低乱数以外で確定1発、HB特化カプ・レヒレを 87.5% でダイマックスを切らずに倒すことができるのは大きな利点である。
しかし、実際に使った感想として上に挙げた2匹はダイアース(ダイジェット)なら確定1発で落とせること、つるぎのまいを積んだランドロスに対しダイマックスを切ってくることが多く、その場合確実に1発耐えられてしまうことから今回は攻撃を削ってHPに少し振る調整をした。
ダイマックスが切れた、もしくは使わない前提での火力を考えるなら本育成論の調整よりAS極振りの方がおすすめである。
技構成
- 確定技
じしん 火力指数 41,340
メインウェポン。等倍想定で無振りドラパルト程度の耐久のポケモンなら確定1発で落とす事ができる。
↓
ダイアース 火力指数 53,472
A252振りがんじょうあごウオノラゴンの先制エラがみと同等の威力を持つ。D1段階上昇の追加効果も優秀でダイジェットが効かない相手はもちろんポリゴン2などの低火力の氷技持ちに対して打てば返しの氷技を耐えるようになる。
そらをとぶ 火力指数 37,206
ダイジェットの基となる技。非ダイマックス時にはあまり使用しないが、相手のダイマックスターンを枯らす事ができるのも強い。
↓
ダイジェット 火力指数 53,472
ダイマックス時に優先して打つ技。1発打てば最速ドラパルトまで抜けるようになるため、超火力を一方的に押し付けるプレイングができる。つるぎのまいを1回積むことで物理耐久に特化したカバルドンでさえも確定1発で倒せるほど強力な技となる。
つるぎのまい
この育成論の要である積み技。積むことができれば相手に数値受けを許さず高火力を押し付けることができる。
- 選択技
いわなだれ 火力指数 20,670
命中を重視する場合のサブウェポン。つるぎのまいを積む前提ならば殆どのポケモンに対して十分な火力を出せるが、素の状態では無振りサンダーが低乱数1発と少し威力が控えめ。
ストーンエッジ 火力指数 27,560
威力を重視する場合のサブウェポン。いわなだれでは1撃で倒すことのできない一部のポケモンを倒すことができたり、エアームドなどのてっぺきを積んでくる相手に対してワンチャンを狙えるが命中率に難あり。
↓
ダイロック 火力指数 35,828
サブウェポンと称しておきながらA特化悪ウーラオスのあんこくきょうだ並の火力を持つ。サンダー等メインウェポンがどちらも半減の相手や、相手の襷を潰したいときに打つ。
どちらを選んでもダイロックの威力は変わらないため好みで選んでよい。今回は動かし方としてつるぎのまいを積むことを前提としているため、いわなだれを選択した。
また、とんぼがえりやばかぢからなどのいわタイプ以外の技をサブウェポンとした場合サンダーに対する打点がなくなってしまうため非推奨。
立ち回り例
つるぎのまいを積む→ダイマックス→全抜きを狙う立ち回りをすればよい。ここで積み方について少し解説する。当然の事が書いてあるだけなので読み飛ばしてもらって構わない。
つるぎのまいを積む状況は2つある。
- 相手の交換やまもるに合わせて積む。
- 1発くらいなら受けても大丈夫そうな攻撃を受けつつ無理矢理積む。
1.のタイミングで積むことができればHPを減らさずにダイマックスを切れるのでかなり有利となるが、毎回そう上手くいくことはないため大抵の場合2.の状況で積むことになる。
ここで重要なことがいかにして相手からのダメージを少なくするかである。いのちのたまの効果で攻撃するたびに16ダメージを受けるため、ギリ耐えではなくある程度HPを残す必要がある。しかし、今の高火力が跋扈する環境ではほぼ耐久無振りのランドロスが余裕を持って受けれる技を出してくれる相手はそう多くない。
そこで先発のポケモンで壁を貼るなどサポートをし、耐久を上げた状態でランドロスを死に出しすることで相手に左右されずに安定して積む事ができる。
(参考)
壁なしでつるぎのまいを積める相手について考える。
本育成論のランドロスが3回攻撃をしたいとすると、受ける珠ダメージは48 であるから、 169 - 48 = 121 ダメージまでなら相手からのダメージとして受けることができる。
具体例を挙げると大体物理方面はA特化バンギラスのストーンエッジ、特殊方面はC特化オンバーンのりゅうせいぐん程度である(急所は考慮しない)。
上記よりランドロスは特殊攻撃に対して特に弱いことがわかるため、特殊方面のサポートができなかった場合、つるぎのまいを積まずにダイマックスを切るか素直に引くのが得策である。
与ダメージ計算
いのちのたまを持たせることによる火力アップの恩恵をわかりやすくするため、主に中乱数1発〜確定1発のラインのダメージ計算を載せる。
じしん
HB特化ドヒドイデ ドヒドイデ 140 ~ 166(89.1 ~ 105.7%)乱数1発(31.3%)
H252振りバンギラス バンギラス 242 ~ 283(116.9 ~ 136.7%)確定1発
じしん(剣舞1積み)
H244, B12 振りポリゴン2 きせき持ちポリゴン2 185 ~ 218(96.8 ~ 114.1%)乱数1発(81.3%)
HB特化カプ・レヒレ カプ・レヒレ 169 ~ 200(95.4 ~ 112.9%)乱数1発(75%)
HB特化ナットレイ ナットレイ 153 ~ 183(84.5 ~ 101.1%)乱数1発(12.5%)
いわなだれ
無振りサンダー サンダー 148 ~ 177(89.6 ~ 107.2%)乱数1発(37.5%)
いわなだれ(剣舞1積み)
HB特化サンダー サンダー 208 ~ 247(105.5 ~ 125.3%)確定1発
ストーンエッジ
H252 振りサンダー サンダー 198 ~ 234(100.5 ~ 118.7%)確定1発
無振りファイヤー(ガラル) ガラルファイヤー 190 ~ 224(115.1 ~ 135.7%)確定1発
ストーンエッジ(剣舞1積み)
H4 振りカイリュー マルスケカイリュー 181 ~ 213(108.3 ~ 127.5%)確定1発
ダイジェット
H4 振りカミツルギ カミツルギ 134 ~ 160(99.2 ~ 118.5%)乱数1発(93.8%)
H252振りゴリランダー ダイマックスゴリランダー 369 ~ 437(89.1 ~ 105.5%)乱数1発(31.3%)
ダイジェット(剣舞1積み)
HB特化ランドロス(霊獣) 霊獣ランドロス(威嚇込み) 195 ~ 230(99.4 ~ 117.3%)乱数1発(93.8%)
HB特化カバルドン カバルドン 216 ~ 255(100.4 ~ 118.6%)確定1発
ダイロック
H252 振りラプラス ラプラス 270 ~ 320(113.9 ~ 135%)確定1発
ダイロック(剣舞1積み)
H252 振り ブリザポス ダイマックスブリザポス 359 ~ 424(86.7 ~ 102.4%)乱数1発(12.5%)
HB特化クレベース クレベース 208 ~ 247(102.9 ~ 122.2%)確定1発
HB特化エアームド エアームド 127 ~ 151(73.8 ~ 87.7%)確定2発
被ダメージ計算
本育成論におけるランドロスの耐久指数は物理が18,590、特殊が16,900である。
ここから逆算して物理火力指数42,250、特殊火力指数38,400 以下での攻撃であれば急所以外は基本的に1発は耐える。
C252 振りサンダー 珠サンダー ぼうふう 142 ~ 169(84 ~ 100%)乱数1発(6.3%)
無振りポリゴン2 ポリゴン2 れいとうビーム 172 ~ 204(101.7 ~ 120.7%)確定1発
苦手なポケモン
- ウーラオス(れんげき) 水ウーラオス、ゴリランダーゴリランダー、ブリザポスブリザポス
ゴリランダーは鉢巻持ちの場合グラススライダーで非ダイマックスランドロスに80 ~ 95 %のダメージを先制で打つことができ、更にグラスメイカーによってメインウェポンであるじしんの威力を下げてくる。水ウーラオスに至っては鉢巻を持っていた場合ダイマックスを切ったランドロスですら1発で落ちる。壁を貼ったりやけどにすることである程度は対処できる。
ブリザポスはダイマックスを切られるとこちらの剣舞1積みダイロックですら低乱数1発となり、返しのダイアイスで壁込みでオーバーキルされる。トリックルームを発動されていないならランドロスは切り気味に動いて裏のポケモンで倒すしかない。
- ミミッキュ ミミッキュ、がんじょう、きあいのタスキ持ち
ダイマックス時の超火力によって相手を確定1発で倒すコンセプトのため、1ターン粘られるだけでも不利になる上に反撃を喰らってしまうため、耐久を犠牲にしているこの型とは相性が悪い。がんじょう等はステルスロックを展開するなどして事前に潰しておく。
ミミッキュはばけのかわ + ダイウォールでこちらのダイマックスターンを2ターン潰してくる。非ダイマックス状態のランドロスでも剣舞1積みじしんでH252 振りダイマックスミミッキュを倒すことができるが、アッキのみによってBが1段階上昇してしまうと耐えられてしまう。
積みアタッカーの天敵。本育成論のランドロスのじしんはHB特化ヌオーに対して51.9 ~ 61.8%、HB特化ナマコブシに対して48.1 ~ 58% のダメージしか与えられない。相手に積まれていない状態なら押し切れそうに見えるが、ねっとうでやけどしたり、みずびたしでランドロスのタイプを変更されると絶対に勝てない。選出時にこれらのポケモンがいた場合、切り返せるポケモンを選出しないと詰んでしまうので注意。
相性の良い味方・構築例
- 相性のいい味方
先にも述べたとおり壁を貼ったり状態異常を撒くことでランドロスの積むには不安の残る耐久をある程度補助できる。かわらわりを無効化でき、確定急所によって壁の効果を無視してくるウーラオスに対しておにびを入れたり、のろいで自主退場しつつ相手に交代を強要できるドラパルトは特に相性が良い。
ヒードランはエアームドなどの突破しきれない物理受けに、ナットレイは水ウーラオス、ゴリランダーに対して強く出ることができる。テッカグヤはどちらにもある程度対応できるが、両者ほど強く出ることはできない。また、ステルスロック、やどりぎのタネなど頑丈潰しやランドロスのHPを回復できる技を使えるのも良い点である。
ただ、ヒードランとの同時選出は水タイプに、ナットレイ,テッカグヤとの選出は炎タイプと氷タイプに対して一貫ができてしまうため残り1枠で対策する選出を心がける。
- 構築例
シーズン18は主に
ランドロス(霊獣) ドラパルト ミミッキュ ヒードラン ナットレイ スイクン
で潜っていた。終盤まで3桁順位を維持できるくらいには勝てていたが、最終的に3桁に入ることはできなかった。積み構築の宿命上ランドロスが倒された後がどうしても弱くなってしまうため、詰め切れずに負けてしまうことも多かった。しかし、サイクル構築に比べ良くも悪くも1戦が短いので、シーズン序盤のスタートダッシュには使えると思う。
スイクンは相棒枠として入れているため、勝率を求めるならあくびループを防げ、ウーラオスに対して強いカプ・レヒレあたりに代えたほうが無難。
終わりに
本育成論のランドロスは比較的メジャーなオボンのみやラムのみ持ちに比べ繊細なプレイングが要求される型ではあるが、その分上手くハマったときの爆発力は爽快である。
珠持ちダイマックスアタッカーとして育成されることの多いエースバーンやサンダーを超える火力を一度体験してみてはいかがだろうか。
冗長な部分が多く読みづらい文章となってしまったが、この育成論が少しでも誰かの役に立つことがあれば幸いである。