この育成論はシリーズ10を想定しています。一般的なウルガモスの強みはフォーク元に記載しているため省略します。
- 指定のない限りすべてのポケモンは理想個体とする
- HP、攻撃、防御、特攻、特防、素早さをそれぞれHABCDSと表記
- ポケモン名やタイプ、持ち物に一部略称を使用
- ダメ計にはトレーナー天国様のものを使用
はじめに
ダイマ禁止かつ伝説のポケモンが使用可能という特異な環境において、ウルガモスは過去に例を見ないほどの高い使用率を記録している。データを見る限り型にはバリエーションがあり、耐久に厚く振った受け特化型や蝶の舞を持ったアタッカー型がメジャーだ。しかしこの論では、素早さを伸ばしたデバフ重視の型を紹介する。
現環境におけるウルガモスの強み
- 対ザシアン(王)性能
虫/炎という複合タイプは、ザシアン(王)の主要技である鋼、妖、闘の3つのタイプを全て半減で受けることができる。また範囲技の熱風で効率よく弱点を突ける。さらにウルガモスは怒りの粉で相手の攻撃を吸い寄せられるため、ザシアン(王)に対して非常に強い。
また当然ながらザシアンと同じく鋼技がメインウェポンのツンデツンデやテッカグヤなどにも有利である。
- 強力なデバフ
シリーズ10に入ってから、強力な特殊アタッカーが台頭してきている。またダイマックス技によるバフ、デバフがなくなり、いたずら心+嘘泣きも減少した。そのため範囲デバフ技の虫の抵抗の刺さりが非常にいい。もちろんカイオーガなど対処できない相手もいるが、総合的には虫の抵抗の重要度が増したといえる。
また物理に対しても一定の対抗手段を持つ点も強力だ。特性により接触した相手に3割で火傷を負わせるため、先述の怒りの粉と合わせて物理アタッカーを無理やり機能停止させられる。
- 苦手な相手の激減
これまでの環境での動きづらさの最たる原因だったダイジェットが消滅し、岩雪崩も減少した。
コンセプト
現環境ではダイジェットが無くなったためS操作の手段とその変化の幅が限られている。追い風こそ増えたものの、多重に使用することができないため倍速が限界であり、それをカバーするために凍える風を持つトルネロス(化身)も増加しているほどだ。
そのような状況で、ウルガモスの糸を吐くという技に注目した。使用者が少なく、どうしても序盤虫ポケモンが覚える変な技というイメージがつきまわるが、この技は相手2体の素早さを2段階下げるという非常に強力な効果を持つ。この技には、
- 相手の追い風を実質無効化する
- ゼルネアスミラーで行動回数を増やす
- 重ねがけ、追い風との併用可能で中速も動かしやすくする
など2段階デバフであるからこその大きな強みがある。特にゼルネアスミラーでは、相手のジオコンによるS上昇を解除することでウルガモス自身もゼルネの上から動けるようになる。
以上より、糸を吐くを採用することで味方の保護、炎枠という従来の役割に加え、強力なS操作要員も兼ねることができる。
採用理由
調整
- 持ち物 グラスシード
- 特性 炎の体
- 性格 臆病
- 努力値 H20/ B124/ C100/ D12/ S252
- 実数値 H163/ A-/ B101/ C168/ D127/ S167
H-B
シード込みでザシアン(王)の巨獣斬確定2耐え
C
余り、H252ザシアン(王)を熱風で確2
D
+2特化ゼルネアスのマジシャ超高乱数2耐え、C-1臆病イベルタルのデスウィング+不意打ち確定耐え
S
最速
- 調整考察(長いよ)
糸を吐くを使うにあたっては、できるだけSを盛る必要があると考える。
糸を吐くの最たる仮想敵の一体であるゼルネアスは最速に近い個体が一定数存在している。ジオコンのS上昇を相殺したあとであっても上から殴られれば大ダメージを受けることには変わりない。しかし逆にこちらが上を取れれば、自力で倒せずとも虫の抵抗で火力を削いだりもう一度糸を吐くを打ったりして横で倒しやすくなる。
他にもすぐ下にいるイベルタルウーラオス(れんげき)などに縛られず、逆にS操作を絡めて奇襲することができる。よってこの論では最速ゼルネアスイベルタル抜き、つまり最速で採用する。
またウルガモスを現環境で動かすための条件として、ザシアン(王)の攻撃を数回耐えられることが重要である。そのためサポート型にはHBにほぼ振り切った個体が多い。例として図太いH244B252振りであれば、特化+1 ザシアン(王)の巨獣斬を確定で2発耐える。
しかし最速調整とHBぶっぱの両立は不可能である。そのため、グラスシードを採用する。ゴリランダーとの同時採用が前提となるが、これにより数値を大幅に節約できる。
特化ザシアン(王)の巨獣斬をシード込みで確定耐え、かつH252ザシアンをダブル熱風で確定2発を満たすラインがH4B132C76である。
この論では、数値が余ったためここからおまけ程度にイベルやゼルネを耐えられるラインまで耐久に振った。
技構成
- 確定技
怒りの粉
採用理由。草タイプや防塵ゴーグル持ちには無効だが、草タイプには元来有利。
熱風
仮想敵 ザシアン(王)ゴリランダーアマージョバドレックス(はくば)etc.
外す理由がない。
虫の抵抗
仮想敵 特殊アタッカー全般
特殊アタッカーの増加とダイマックス禁止によるダイアーク、ダイアシッドの消滅、サイクル戦の増加により範囲デバフの価値が大幅に上がった。
糸を吐く
今回のコンセプト。たまに外す。範囲技のためワイドガードで防がれる点に注意。
- 選択技
基本的には確定の4つで完結しているが、以下の技も欲しい場面は少なからずある。変えるとしたら虫の抵抗か、、、?
守る
安心と信頼。ザシアン守る+ガモス処理というルートを狙ってくる相手が多いためあると便利(なくても対応できないことはない)。
懸念点としては、最も使用率が高い水タイプである連撃ウーラオス(いちげき)に対して無力であることと、こちらの守るに身代わりを合わせられると試合が終わることがある。正直使う余裕がなく、大人しく過労死してもらう方が良い。
鬼火
速い型だとより強力。ただしこちらもザシアンの身代わりが重い。
吹き飛ばし
これを入れるのであれば糸を吐くと交換か。
弱くはないがSが高く耐久が薄い型では使いづらい。また刺さる相手がジオコン後のゼルネとトリラーくらいしかいない。パーティ単位でトリルに弱いときに候補に上がる。
- 採用しなかった技
オーバーヒート
耐久振りザシアンも乱数圏内に入る火力だが、使いづらさが目立つ。連発で火力が落ちるため身代わりに弱く、取り巻きのゴリランダーなどにも打ちづらくなる。
炎の舞
身代わりや守る読みで雑に打つだけでCが上がり、ザシアンのワンパンも狙える。しかし火力が出るのは早くて2ターン目からであり、ダメージ効率で熱風に大きく劣る。
暴風
ウーラオス(いちげき)に刺さり、雨下でも草タイプを殴れる。ただし天候依存の技であり、晴れだと命中不安、雨はカイオーガなので無理なため使いこなせない。
蝶の舞
放置読みで積めれば強いが、他の技と比べて生きる場面が少なすぎる。
ギガドレイン
積まないと火力が出ず、ゾンビできるほど通りも良くない。トリトドンに親を殺されたのか?
相性のいいポケモン
ゴリランダー
グラスシードを採用しているため同時起用が前提となる。並びとして普通に相性がいい。
ゼルネアス
横の相性が非常に良く、ジオコンのサポートとして最有力。
ザシアン(王)
ガモスが鋼を対策できるため、じゃれつく、守る、身代わりのうち一つを切ってインファイトを入れる必要がなくなる。
なお技構成は珍しいがさほど尖った性能ではないため、大抵のサポーターとシナジーを発揮する。
苦手な相手
カイオーガ
無理。
連撃ウーラオス(いちげき)
グラスシードを無視して殴ってくるためつらい。一応上から動けるのに加え、特性により5割ほどで火傷にできるため選出を控えるほどではない。
立ち回りのポイント
糸を吐くの効果は交代すれば解除される。雑に打っても強いのだが、相手の残数を減らした後の詰め筋として使うのが最も効果的。
序盤に追い風に合わせて打つとアタッカーは交代してくる場合が多い。効果こそ切れるが、相手を流しつつ追い風を1ターン消費できるため無駄ではない。ただし悪戯追い風に対しては、糸を吐くを使う前にアタッカーに1発殴られるため、積極的に狙いに行くのはオススメしない。
対ザシアンにおいてウルガモスゼルネアスで並んだ場合、かなりの確率でジオコンのターンに身代わりを置きにくる。そのため、(ヤンキープレイだが)怒りの粉ではなく熱風+ジオコンが最適解であると考える。その次のターンはザシアンの隣次第でまもるか殴ってくるか変わってくる。
なお身代わりの25%+熱風+ジオコン後のマジシャで確実に倒せる。つまりこちらは身代わりを剥がしつつ熱風を1発当てられれば勝ち。
ダメ計
それぞれダメージの目安として分かりやすいもののみを記載する。これ以外は適宜推測、計算して頂きたい。
性格補正込み252振りを"特化"と表記
- 与ダメ
熱風
H252ゴリランダー 49.3〜58.0%、高乱2
H252ザシアン(王) 51.3〜60.3%、確2
H252ツンデツンデ 33.9〜39.9%、確3
連撃ウーラオス(いちげき) 24.0〜28.6%、高乱4
- 被ダメ
特化+1ザシアン(王)巨獣斬 41.7〜49.7%、確3
特化連撃ウーラオス(いちげき)水流連打(急所込み)
51.5〜62.6%、確2
特化一撃ウーラオス(いちげき)暗黒強打(急所込み)
82.8〜97.5%、確2
臆病珠ランドロス(化身)岩雪崩 76.7〜92.6%、確2
特化+2ゼルネアスマジシャ 43.6〜51.5%、超低乱2
珠バドレックス(こくば)アステラルビット
69.3〜82.2%、確2
イベルタルデスウィング 81.0〜95.7%、確2
磁石レジエレキ雷 82.8〜97.5%、確2