はじめに
初めましての方は初めまして、そうでない方はお久しぶりです。
解禁されましたね。ということで念願の隠れ特性を手に入れたフォクスライの育成論となります。以下、努力値や種族値といった非公式の呼称やHABDSの略称などを使用しますのでご了承ください。
そもそも、フォクスライフォクスライとは?
第8世代で初登場した悪単タイプのポケモンです。いわゆる序盤悪タイプに該当し、種族値合計が低く、個々を見ても100を超す数値が無い、まあぱっとしないポケモンというのがおおむねの評価です。
実は珍しい特性を持っていることが発売当初から判明していたのですが、それが隠れ特性な上に、マックスレイドバトルで登場しないという謎の待遇を受けてしまい、半年以上にわたり未解禁状態が続いていました。
DLC第1弾『鎧の孤島』にて満を持して隠れ特性が解禁されましたが、レア柱からしか出ないというやはり謎の待遇により、少々入手が手間です。幸い、☆4・☆5双方でそれなりの確率で出てきますので、1・2時間も粘ればまあ大体出てくれるでしょう。
特性、そして個性
ということで特性は隠れ特性であるはりこみです。相手が交代した際に攻撃するとダメージが倍になるという面白い効果を持っており、他に同特性を持つポケモンはデカグース系列のみ、そしてそちらは現在剣盾において解禁されていないので、事実上の固有特性となっています。
そしてこの特性が採用理由に直結しています。フォクスライは先述の通り種族値がいまいちで、Aは絶望的、多少まともなCも87と、正直微妙です。悪タイプということもあり一致技の威力も控えめ、サブウェポンも同様に威力に難があり、くさむすびとりんしょうを除けば素の威力は90(あくのはどうは一致込みで120)が最大火力という有様。普通の攻撃技では火力不足です。
ということで普通じゃない攻撃技を使いましょう。実ははりこみ発動時のフォクスライは、全ポケモン最強のイカサマの使い手です。
イカサマについて
相手のAを参照して攻撃するという、悪タイプらしいトリッキーな技です。仕様がちょっと複雑で、持ち物・状態異常・特性は使用者のものを、能力ランクは対象のものを参照するということになっています。まあ複雑とはいえ直感的に理解しやすいだけマシでしょう。もっと面倒な仕様はいくらでもありますからね。
そんなわけで、物理アタッカーに対して優位を取りやすい技です。いばサマとかのコンボも結構有名ですね。このフォクスライは物理アタッカーへの交代を促し、一致イカサマで消し炭にするというのがコンセプトになっています。
確定技
イカサマ
コンセプトなので確定です。はりこみ発動時の威力は一致込みで285という超火力になります。
選択技
発動さえすれば超火力を発揮できるはりこみイカサマですが、あいにくフォクスライは交代を促せる技をあまり多く持っていません。
ということで数少ないそれらの技や、はりこみを発動させるのにちょうどいいサイクルを回す技を中心に選択していきましょう。
ちょうはつ
ほぼ確定技。耐久型全般にぶっ刺さります。逆にこの技を読ませて耐久から交代した瞬間を狙ってイカサマ、という動きもあります。読みあいを制する者がイカサマを制するのです。
すてゼリフ
やはりほぼ確定技。相手のAとCを1段階低下させつつ自分は交代します。低負荷で苦手な相手や、着地してしまった物理アタッカーから逃げることが出来ます。
バークアウト
攻撃しつつCを1段階低下させます。苦手な特殊アタッカーに刺さりますが、フォクスライをまだ捨てたくない場合はさっさとすてゼリフで逃げた方がいいです。役割遂行後に爪痕を残すのに便利。
はたきおとす
相手の持ち物を叩き落とします。イカサマは持ち物については使用者側のものを利用するので、特性や持ち物に依存するアタッカーは苦手です。ガラガラとかが分かりやすいですね。そんな相手と対面したときに使いましょう。ダメージは雀の涙です。
ふいうち
自分より早い物理アタッカーへの交代読みイカサマが刺さった! やったぜ!! と思ったらタスキで耐えられた、なんて盤面で役立ちます。でんこうせっかとは選択。どちらにせよダメージは雀の涙です。
みがわり
耐久型かアタッカーか見分けがつかない相手に様子見で撃てます。タスキを持たせる場合は候補外ですが、それ以外なら便利。
性格・努力値
おくびょうが丸いでしょう。対面から物理アタッカーにかち合ってしまった場合にも先手でイカサマが使える範囲が増えますし、先手すてゼリフで退場することも可能です。努力値も必然的にH252・S252のぶっぱが基本。Hの実数値は177となり、丁度4n+1になるのでみがわりを採用する場合も特に問題ありません。
残りはD4でもしときましょう。振る場所が無いのでまあどこでもいいといえばいいのですが、着地した後の物理アタッカーは役割対象外なので、特殊耐久をほんのりあげておきます。
持ち物
いのちのたま
確定枠はこちら。攻撃時にHPを削って威力を1.3倍にします。これがはりこみイカサマと重なった場合の火力は370.5です。安定を求めるならば後述する道具の方が良いでしょうが、ロマンは大事なので確定枠はこっちです。実のところ、確定数に滅茶苦茶大きな影響が出ます。
きあいのタスキ
安定枠。流行のエースバーンなんかにも1発は耐えることが出来ます。物理アタッカーへのカウンターとしての採用枠にも関わらず物理に弱いという自己矛盾を抱えた存在なので、行動保障がされるこのアイテムはシンプルに有用です。
レッドカード
変態枠。実ははりこみの効果は、相手が自分の意思で交代を選択したかは関係ありません。よってこのアイテムを持たせて攻撃を受けた場合、相手が交代→はりこみイカサマが発動、という本当にイカサマ臭い動きになります。これを持たせる場合はSは下げておきましょう。その上でHDぶっぱをお勧めします。
立ち回り例
理想的な対面は耐久型。ちょうはつを打つか、ちょうはつ読み交代読みのイカサマを叩き込むかを選択します。うっかりアタッカー相手に対面してしまった、或いは読み外してしまったらすてゼリフを吐いて引きましょう。後続が積む機会を作れるので、読み外しのリスクは多少マシになります。相手の裏にフォクスライより速いアタッカーがいる場合はイカサマの優先度が上がります。
そのようにサイクルを回し、相手の物理アタッカーを処理しきったらこのフォクスライは仕事終了です。バークアウトするなり、ちみっとイカサマするなりして散りましょう。
与ダメージ計算
イカサマが等倍以上で通る物理アタッカー相手なら大体確1です。これだけだと身も蓋も無いので、基準を示しておきましょう。全ていのちのたまを持った場合のダメージ量です。
- 無補正A252ウオノラゴン
はりこみイカサマ:100~118.1%(確定1発)
A種族値90、H-Bが90-100のウオノラゴンでぴったり確1、大体のAS振り物理アタッカーは確1ラインということですね。つまりはりこみ無しだと、等倍ではおおむね確定2発に抑え込まれてしまいます。
- いじっぱりHA252バンギラス
はりこみイカサマ:52.6~62.3%(確定2発)
半減、かつHA振りでもご覧の有様です。まあ2発目はダメージが半減するので、この場合はすてゼリフ吐いてさっさと逃げるしかないですが。
ともあれ、物理アタッカー相手ならばほぼ確定1発、半減相手でも2発の破壊力と覚えておけば十分でしょう。ABカビゴンでようやく乱数2発に抑え込めます。ちなみにこの場合でも、2発目のイカサマで相手は死にます。
HやBに振ってる時点で先手を取れる筈なので、このフォクスライに対する物理アタッカーの後出しは、基本的に許されないと考えて構いません。
被ダメージ計算
- 無補正A252エースバーン
かえんボール:81.9~97.1%(確定2発)
実際にはエースバーンはいのちのたまを持ったりするので概ね確1ですが目安として。一致等倍威力120ぐらいならギリギリ受けきれる程度、というのが分かればまあ十分でしょう。
元々役割的に、後出しは耐久型相手になりますしね。
最後に
『鎧の孤島』で解禁されたはりこみフォクスライ、計算してその火力に正直ちょっと引きました。しかし何よりの優位点はすてゼリフを同時に習得するという点でしょう。これにより読み外しのリスクが低下し、得意のサイクル戦に持ち込むことが可能になります。
フォクスライは正直まだ研究が進んでないポケモンです。今後もっと良い育成論が生まれるかもしれませんが、現時点私が考えうるはりこみを最大限活かせる型はこんな感じになっております。
皆さんがこの育成論を機に、フォクスライに少しでも興味を抱いていただけたら著者としては感無量です。それでは。