挨拶
はじめまして、モミジと申します。
本育成論が初投稿になりますので、至らない点も多々あるかとは思いますが、よろしくお願い致します。
はじめに
- この育成論ではHABCDSなどの略称を用います。
- 個体値は全て理想個体を前提としています。
- ダメージ計算はポケマネを使用しています。
- 本育成論の個体は、シリーズ13ルールの環境で使用する事を前提としております。
- 不備質問等ございましたらコメント欄にてお願いします。
マーシャドーについて
幻のポケモンをランクマッチで使える環境が初めてという事もあり、このポケモンを使った事が無い人も多いと思いますので、まずは本論で取りあげるマーシャドーというポケモンの性能、強みに関して書いておこうと思います。
基本知識を書くだけになりますので、育成論だけ読みたい方はこの項は読み飛ばしていただいて構いません。
- 攻撃面における圧倒的に優秀な複合タイプ
現在唯一の格闘、ゴースト複合。何より特筆すべきはこの2タイプの圧倒的な等倍範囲の広さで、現在この2タイプの技を両方半減で受けられるポケモンは1匹も存在しません
そのため、このポケモンを受ける際に相手に対して数値受けか、2匹以上のサイクルによる受けを強要出来ることになります。
また、ダイマックス技としても一致技のダイホロウ、ダイナックルはともに物理アタッカーとして直接恩恵のある追加効果を持ち、ダイマックス適正も十分に高いといえます。
- シャドースチール
このポケモンの一番の強みと言っても過言ではないでしょう。
相手の積み技を無に帰して、それを奪い取ってから攻撃するという、全攻撃技の中でも1,2を争うくらい書いてある事がおかしい技です。
剣の舞、竜の舞、ジオコントロールといった強力な積み技を持つアタッカーに対する全抜きのストッパーという使い方は勿論ですが、鉄壁、ビルドアップ等による要塞化も許さないため、鉄壁ネクロズマ(日食)、コスモパワー
ムゲンダイナ等の積み耐久ポケモンに対する最低限のメタにも成り得ます。
- 種族値
合計種族値は600で、配分は90/125/80/90/90/125と、典型的な高速アタッカーといったステータス
高速紙耐久…かと思いきや耐久もサンダーと同程度にはあり、並の等倍一致技なら一発耐える耐久力はあります。
またS125というラインも絶妙で、剣盾環境でこのSラインのポケモンが環境トップになり得る環境は殆どありませんでした。
今まではこの少し下の最速エースバーン(実数値188)が一つのSライン調整の基準になっていましたが、最速
マーシャドー(実数値194)抜きの調整のザシアンが現れたり、1ジェットで
マーシャドー抜きの調整をするポケモンが増えたり、といった影響も少なからずあると思います。
襷
マーシャドーとの差別化点、スカーフ型の採用理由
今回のスカーフマーシャドーというポケモンを考察するにあたって、まずは襷マーシャドーとの差別化点、及びマーシャドーを取り巻く来期の環境予想について軽く書いていこうと思います。
まずこのポケモンの一般的な型の認識、及び運用の仕方に関してですが、恐らく
「後発から積みアタッカー、ダイマックスアタッカーに対して死に出しして、襷を盾に耐えてシャドースチールで反撃」というのが一般的な運用法だと思っています。
実際、来期のルールと近いルールの大会であるレジェンドオブラウンドの構築記事を見ても、マーシャドーは襷で運用されている個体が殆どです。
行動保障という面ではこの襷型が一番優秀で、シャドースチールの性能を一番活かしやすい型でもあると思いますが、この動きは襷が残っていることを前提とした動きであり、ステルスロックやゴツゴツメット等で襷を潰されてしまうと途端に機能しなくなってしまう脆い戦法でもあります。
事実、レジェンドオブラウンドの構築記事やシリーズ13ルールの仲間大会での使用率などを見ても、グラードン、
ネクロズマ(日食)、
ランドロス(霊獣)辺りのステロ撒きのポケモンはPTに標準搭載と言えるレベルで入っており、先にマーシャドーのタスキを潰しておけばこっちの積みアタッカーが通せる!というのが上位勢の人達の間では既に共通認識になっているように思えます。このような環境では、机上論で言われているほど襷
マーシャドーのシャドースチールは上手く決まらないのでは?と考えました。
そこでその認識をズラすために、スカーフを持たせて上からシャドースチールを撃てれば襷や相手のステロに依存せず、安定して役割を遂行できるのではないかと考えました。
また、もう一つスカーフマーシャドーの大きな利点として「対
ザシアン(王)の安定感が増す」というものがあります。
襷マーシャドーであった場合、上を取れていれば一応H252ザシアン(王)に対してA177
マーシャドーの+1シャドースチールが100〜118ダメージ入り、確2を取ることは出来ますが、上を取れていない場合は特化+1シャドースチール+特化+1影撃ちでも乱数次第では落とし切ることが出来ません。
(特化+1シャドースチール+特化+1かげうちがH252ザシアン(王)に対して91.4%~109%)
また、上述のようにステロが巻かれている状況であれば、そもそも何もできずに落とされてしまう可能性も高いです。
一応襷カウンターであれば、氷の牙などの低威力技で反射ダメージを調整されない限り落とすことは出来ますが、こちらも襷カウンター読みで裏のポケモンなどに引かれ、襷を潰されてしまうと機能しなくなってしまう可能性が高いです。
これに対し、スカーフマーシャドーであれば確実に
ザシアン(王)に先んじてシャドースチールを撃つことで上から二発で
ザシアン(王)を処理することが出来るため、相手の型に依存せずザシアンを仕留める事が可能です。
またカウンター読みの引きに対しても一発攻撃を入れることが出来るため、襷カウンターポケモンにありがちな不毛な読み合いが発生しないのも強みです。
一応、ザシアン側にじゃれつくがあった場合は、A↑を先に奪ったとしても耐えないため負けてしまうのですが、上から殴られる可能性を考慮しない場合ザシアン側はじゃれつくを撃たずとも命中安定の+1巨獣斬で十分足りる上、襷カウンターを警戒される可能性や、じゃれつく非所持の個体も少なからずいる事を考えると、実戦上ではじゃれつくを撃たれるケースは意外と少ないのではないか、と考えます。
少々長くなってしまいましたが、これらの事をまとめると、
- 襷をステロやゴツメで潰してくる相手や、そういった環境に対してのメタ
- 頻発するであろう対
ザシアン(王)の安定感の向上
この2点が、スカーフマーシャドーの主な採用理由となります
持ち物
こだわりスカーフ
今回の型のコンセプトなのでこれで確定です。
特性
テクニシャン
現状これしか選択肢が無いのでこれで確定。
めぼしいテクニシャン適用技は影撃ちと岩石封じくらいですが、両技とも採用価値は高く、活きる場面は多いです
性格・努力値と調整
性格:いじっぱり
努力値:A212 B44 S252
個体値:31:31:31:×:31:31
- HBライン:ステロダメ一回+特化巨獣斬を確定で耐える
- Sライン:準速
- A:残り
HBラインに関しては、コンセプト上ザシアンの巨獣斬は耐えたいので、このラインまでは最低限振っておくことを推奨します。
火力に関しては基本的に削る理由は無いと思いますが、素早さに関してはミラーを意識しない場合は調整する余地はありそうです。
- 例 +1の100族抜き(168)など
ここら辺の調整に関しては自分の方も模索中なので、コメントなどで他に良い調整例があれば教えていただけると嬉しいです。
本論の以降のダメージ計算などでは、上記のA212 B44 S252 の配分を前提として話を進めていきます。
技構成
- 確定枠
シャドースチール
このポケモンの採用理由に直結する、マーシャドーの専用技です。外す理由はないでしょう
- 選択枠(格闘技)
インファイト
馬鹿力と並び、格闘タイプの一致技の中で最高火力を出せる技。
耐久ダウンが痛い場面は少なくないと思いますが、基本的には格闘技はこれで良いと思います。
かわらわり
壁構築に投げる事が多い場合はこちら。同じ俊足のインファイト使いのフェローチェなどと違い、耐久方面も平均以上はあるため、インファイトを撃ちたくない場面も無くはない…かもしれません
- 選択枠(サブウェポン)
がんせきふうじ
追加効果と命中率が優秀な岩技のサブウェポン。テクニシャンの補正が乗るため、一致岩石封じと同等の火力が出ます。
いわなだれ
30%のワンチャンが強力な岩技のサブウェポン。こちらはテクニシャンの補正が乗らないため岩石封じより火力は下になりますが、スカーフで上から殴る場面が多い都合上、追加効果が活きる場面は多いでしょう。
ストーンエッジ
更に火力を求めるならこちら。メジャーな所だと、一般的なHBに厚めのホウオウに対して岩石封じでは耐えられてしまうのに対して、ストーンエッジなら乱数で落とせる可能性が出てきます。(なんであのポケモンA125からの岩技普通に耐えるんだ…?)
れいとうパンチ
地面タイプ、主にランドロスやジガルデ辺りの氷四倍相手に撃ちたいサブウェポン。
来期環境でも、ステロ撒き、貴重な強力な地面枠、ダイジェットアタッカーとしてランドロスの採用率はさほど落ちないことが予想されるため、打ちたい場面は多いと思われます
げきりん
ドラゴン禁伝全般への打点、等倍で一貫しやすいサブウェポン、及び物理ダイマアタッカーとの撃ち合いとして。
げきりんとして撃つシチュエーションは少ないかもしれませんが、ダイドラグーンとして撃ってゼクロムやブラックキュレムといった物理アタッカーの禁伝と殴り合った場合、配分や乱数次第では殴り勝てる可能性があり、ダイマアタッカーとしての運用も視野に入れるなら意外と採用は検討できる技なのではないかと思います。
とびはねる、ギガインパクト
ダイジェット、ダイアタック媒体として使うのが主な技。こちらもダイマックスアタッカーとして運用することが多い構築なら視野に入る、といった感じでしょうか
おにび
ダイウォール媒体、及び簡易的な裏の起点作りや、交代読みで撃ったりなど。
このポケモンのスカーフ鬼火の有用性がどのくらいなのか正直未知数ですが、このポケモン自体対面構築に入れる事が多いポケモンだと思うので、スカーフホウオウの鬼火などと比べると扱いは難しいかもしれません。
与ダメージ計算
シャドースチール
H252ザシアン(王)(A+1前提)
54.2%〜63.8%(確定2発)
B4カイオーガ
49.7%〜58.8%(99.6%の超高乱数2発)
HB特化ネクロズマ(日食)
37.2%〜44.1%(確定3発)
H4ランドロス(霊獣)
53.3%〜63.6%
威嚇込みで
37.2%〜44.1%(確定3発)
インファイト
H252ザシアン(王)
47.2%〜56.8%(高乱数2発)
H252グラードン
39.1%〜46.3%(確定3発)
H252ディアルガ
89.8%〜105.3%(中乱数1発)
上記のように、シャドースチールでAアップを奪えれば真価を発揮するものの、禁伝ばかりになる環境では、素の火力でゴリ押して行けるほどのパワーがあるポケモンではない、ということが伺えます。
あとは、各サブウェポンに関して、主に打つ仮想敵に対するダメージに関してのみ記載していきます。
がんせきふうじ
HB特化ホウオウ(HB振り切ったホウオウはあまり居ないと思いますが参考までに…)
76.9%〜91.2%
B4サンダー
73.9%〜87.2%
ストーンエッジ
HB特化ホウオウ
86.3%〜103.2%
一般的なブーツのHBホウオウはSラインを少し上げるために多少HBを削るケースが多いので、実際にはもう少し良い乱数で落とせると思われます。
れいとうパンチ
H4ランドロス(霊獣)
118.7%〜140.6%
威嚇込み
80.0%〜94.5%
HB特化ランドロス(霊獣)
69.3%〜83.6%
威嚇込み
46.9%〜57.1%
H236,B4ジガルデ(50%)(一般的なHDベースの残飯ジガルデを想定)
71.3%〜84.5%
げきりん
H4ゼクロム
69.7%〜82.2%
ダイドラグーンとして撃った場合
81.1%〜96%
被ダメージ計算
シリーズ13想定なので、メジャーな伝説、幻からの目安となる被ダメだけ列挙していきます。「このダメ計を追記して欲しい」などありましたらコメントの方にお願い致します。
A244(特化)ザシアン(王)のきょじゅうざん(Aは先に±0にしている前提)
78.7%〜93.3%
A244(特化)ザシアン(王)の+1ワイルドボルト
70.9%〜83.6%
A190(無振り)ザシアン(王)の+1きょじゅうざん
92.7〜109%(ステロ込みでほぼ確定一発)
とりあえず
「対面からなら上からA上昇を奪って、じゃれつく以外何でも耐える」
「不一致技程度になら一応受け出せる耐久はある」
「Aに振ってない+1巨獣斬程度なら一発受かる事もある」
くらいの認識をしていただければOKです。
C201(特化)イベルタルの珠あくのはどう(ダークオーラ込み)
86%〜102.4%
特殊方面のギリギリ耐えられない程度の火力の目安です
ダイマックスを切らない状態では勿論確定一発ですが、ダイマックスを切れば意外と余裕をもって耐えられる火力です。
上からスカーフ潮吹きを食らったとしても返しのシャドースチール媒体ダイホロウがB4カイオーガに対して72%〜84.5%入り、高確率で次の潮吹きも耐えるため、状況次第ではダイマックスで無理矢理突破しに行くことも可能です。
A177マーシャドーのテクニシャン影撃ち
70.3%〜83.6%
A229(特化)ネクロズマ(日食)の130ダイスチル
96.3%〜113.3%
日ネクも竜舞の全抜きのストッパーとして役割対象にしたい相手ですが、A特化やエスパー技持ちの可能性を考えると真っ向から殴り合うのは厳しめ。他のポケモンでダイマを枯らすなどして、ダイスチルのB上昇ごと奪いに行く立ち回りをしたいです。最速日ネクでもない限り、2舞されても上からシャドースチールが通ります
こちらも、ダイマしなければ耐えるのは不可能ですが、ダイマすれば一発耐える火力。げきりんベースのダイドラグーンがあれば相手のAを下げつつ撃ち合う事も可能です。
A214(特化)メルメタルのダブルパンツァ―
99.3%〜117.5%
A200(特化)珠ホウオウのせいなるほのお
84.8%〜100.0%(低乱数一発)
上記二つが物理方面の耐えられる火力、耐えられない火力のおおよそのボーダーラインとなります。
苦手なポケモン
ムゲンダイナ、
イベルタル、
グラードン等、一致技で弱点が付けず、積み技に依存せずとも戦える禁伝全般
上の方でも書いたように、このポケモンは決して数値の暴力で殴り勝てるタイプのポケモンではないため、シャドースチールを活かせず、等倍の殴り合いを余儀なくされる禁伝全般との殴り合いでは数値の差で打ち負ける事も多くなると思います。
とはいえ、ダイナックル、ダイホロウをタイプ一致で撃つことが出来る点は非常に強力であり、生半可な数値受けを崩していけるだけの性能は持ち合わせています。
相性の良い味方・構築例
バドレックス(こくば)
ザシアン(王)+
マーシャドーを軸とするような対面構築
マーシャドー自身がザシアン(王)、
バドレックス(こくば)両方に対して高い切り返し性能を持っており、Sラインを
ザシアン(王)<
バドレックス(こくば)<
マーシャドーとしておけば、メタモンに怯えずにバドザシの両方を無理なく選出することが出来るようになります。
この並びは襷マーシャドーにせよスカーフマーシャドーにせよ、メジャーな対面構築として一定数環境で見られるようになるのではないかと考えています。
汎用性の高い積み耐久ポケモンを置いて積み技を強要させ、それを裏のマーシャドーのシャドースチールでコピーして切り返す、という並び。早い話、"ダイナメタモン"のメタモンの枠をマーシャドーに差し替えた並びです。ゼルネアスのジオコン、
バドレックス(こくば)の悪巧みといったC上昇をコピーする意味は薄いためメタモンの方が汎用性が高い場面も多そうですが、シャドースチールを活かしやすい並びとしてはアリなのではないかと思います。
まとめ
ここまで読んでいただきありがとうございました。
初めての育成論の執筆で拙い部分もあったかと思いますが、コメントで気になった部分などは指摘していただけると嬉しいです。
このポケモンは、入手難易度の高さも相まって殆どの人がまだ使った事が無いポケモンであり、まだまだ型も取り巻きの構築も未開拓のポケモンです。
最初の方はシャドースチールによる積みの切り返しの性能に目が行きがちかと思いますが、素のスペックやダイマックス性能も十分に高く、襷型や今回紹介したスカーフ型以外にもダイマックスを前提とした型などもこれからどんどん考案されていくのではないかと考えています。この育成論が、そんな型の考案の一助となれば幸いです。