わにと申します。よろしくお願いします。
以下の内容に必ず目を通してください。
- 指定のない限りすべてのポケモンは理想個体を想定します
- HP、攻撃、防御、特攻、特防、素早さをH、A、B、C、D、Sの略称で表記します
- その他、容易に理解できる範囲の略称を用います(ステルスロック→ステロ等)
- ダメージ計算式に基づいて計算しています
- ご質問、ご指摘はコメントにて受け付けます
- 育成論に関係のないコメント、無益だと判断したコメントは予告なく削除します
それでは考察に移ります。
型概要
一言で表すなら奇型(形)パルシェン。
型の原案は私ではなく、今回は補完投稿であることを予めご了承ください。
(一部他考察記事の内容を参照しています)
混乱実による回復、耐久ベースの配分、バリアー(鉄壁)により、先制技に対する耐性を得るとともに、物理ポケモンを起点に2回以上殻を破ることを目指した型。また、受け出し性能向上により、サイクル参加やストッパーとしての採用も可能な型となっています。
コンセプト
型概要を読んで2回以上殻を破ることが可能なのか疑問に思われた方も多いと思いますが、結論から言えば可能です。
通常のパルシェン(襷型、Z型、印型)に対する明確な処理方法の一つとして、対面したポケモンでとにかく削り、殻を破って耐久が下がったパルシェンを先制技等で倒すというルートがあります。
相手が上記の処理ルートを目指すと仮定した場合、パルシェンと対面した物理ポケモンは起点にされることを覚悟で襷を潰すために十中八九居座ってくるので、まず殻を破る(ACS+2、BD−1)は成功するでしょう。(挑発や吠える等は非考慮)
耐久が下がったパルシェンをさらに削る、あわよくばそのまま突破するために次ターンも基本的に居座る選択をされる(すでに1回破られた状態では安易に引けない)ので、このタイミングでバリアーを使い、B耐久を向上(ACS+2、B+1、D−1)させることで相手の攻撃をもう一度耐えます(HPの減り次第では混乱実も発動)。この時点で相手の目論見は大!大!大崩壊!
そして次ターン、パルシェンの残りHPと相手の最大打点を考慮しつつ、さらに殻を破る(ACS+4、B±0、D−2)を積んでいく…という流れで多段積みが可能になります。
この流れを実現するための耐久振り、混乱実、バリアーというわけです。
では、そもそも2回以上殻を破る必要があるのか、という話になるのですが、2回破ることにより生半可な受けポケモンへのゴリ押しが可能になることはもちろん、もう一つのパルシェン処理ルートである高速スカーフ持ち(ゲッコウガ、アーゴヨン、カプ・コケコなど)との縛り関係を逆転できるというメリットもあります。
まとめると、『耐久振り、混乱実、バリアーという相手視点からは考慮できない要素によって、相手の処理ルートを逆手に取り、全抜きを目指す』ことが今回の最大のコンセプトです。これが本当の「意表を突ける」というやつですね。
『受け以外の処理ルートを潰せるパルシェン』と言えば分かりやすいでしょうか。
採用理由・差別化
- 採用理由
- ミミッキュ、ランドロス等KPトップ層に強い積みエース
- メガガルーラ軸対面構築、砂パ、雨パへのメタ枠
- 対物理クッション
- ボーマンダ、ギャラドス、パルシェンストッパー
- オニゴーリへの誤魔化し
主な仮想敵は、ミミッキュパルシェンオニゴーリガブリアスランドロス(霊獣)ドリュウズメガボーマンダメガギャラドスメガガルーラメガラグラージあたり。
起点にできる対象は、高火力一致弱点を突いてくるポケモン(メガルカリオ、メガバシャ―モ、メガバンギラスあたり)以外のほぼ全ての物理ポケモンです(雑)。
※あくまで仮想敵なので上記全てに打ち勝てるわけではありません。また、型や技構成次第で厳しい相手もいるのであくまで目安程度にお考え下さい。特殊ボーマンダ&ガルーラ、挑発鬼火ミミッキュは滅べばいい
- 差別化
圧倒的な物理耐久、破格の積み技(ACS+2)、連続技による身代わり、気合の襷、頑丈の貫通など、五世代以降のパルシェンに比肩する性能を持つポケモンはいないので他のポケモンとの差別化は不要と判断しました。
パルシェンの一般的な型である、襷、水Z、印型とはもはや動きが別物なので純粋な比較はできませんが、耐久、起点範囲、先制技耐性で一応差別化を完了とします。
持ち物
- 混乱実(フィラの実推奨)
今回の型のコンセプトの一つです。採用理由を満たすために確定です。
先制技圏内から逃れたり、鉄壁と合わせて物理攻撃を複数回耐えることが可能になります。
拘りアイテム+トリック(すり替え)持ちのポケモンはA下降補正の性格が多いため、持ち物を入れ替えられた際に混乱のデメリットを押し付けることができるフィラの実推奨です。
特性
- スキルリンク(orシェルアーマー)
抜き性能重視→スキルリンク、急所による負け筋消去→シェルアーマーといった感じで選択してください。基本はスキルリンクで問題ないと思います。
性格
腕白
物理ポケモンからの被弾回数が必然的に増えること、火力は2回破ることで十分補えること、必要耐久を確保する上で最も効率が良いことから、今回はBに補正をかけます。
抜きエースとしてSに下降補正をかけるわけにはいかず、無闇にD耐久を落とす必要性もないので腕白で確定です。
調整案
- 性格
腕白
- 努力値
H244/A140/B20/C−/D4/S100
- 実数値
H156/A133/B223/C−/D66/S103
- 調整意図
H:4n(呪いダメージ3回で木の実発動)
HB:B−1でA114ナットレイのジャイロボール2耐え程度
HD:C161カプ・レヒレのムーンフォース耐え程度
A:H151B125ミミッキュ(皮無し)をA+2氷柱針5発で突破
S:準速50族抜き(S+2で最速135族、S+4で最速砂ドリュウズ抜き)
総合耐久意識でHにほぼ全振りし、ナットレイを対面から起点に出来る程度のB耐久と最低限のD耐久を確保。なるべく下から殻を破る機会を増やすためSは最低限に抑え、余りをAに注ぎ込んで完成。
ここから各自調整してみてください。
腕白H振りの利点
先に述べた通り、物理技を複数回耐えることができ、先制技圏内に押し込まれるケースが少なくなります。
例えばメガガルーラ対面でこちらが殻を破る→攻撃という行動を想定した場合、
※()内は親、子の合計最大ダメージ
このように殻を破る後のBダウンやグロウパンチのA上昇等を加味しても六世代の覇者メガガルーラの攻撃を軒並耐えきることができます。
これに加え、
- A188メガミミロップの飛び膝蹴り:81.4〜96.1% 確2
※飛び膝蹴り→交代→猫騙しという処理ルートを潰すことができる
- A207メガギャラドスのA+1噛み砕く:40.3〜48% 確3
- A197ランドロス(霊獣)の岩石封じ:26.9〜32% 確4
- A216メガボーマンダのA+1捨て身タックル:76.2〜90.3% 確2
- A189メガボーマンダの恩返し:37.8〜44.8% 確3
- A156ミミッキュのぽかぼかフレンドタイム:48.7〜57.6% 乱2
※急所でも耐えて混乱実が確定で発動する
- A200キノガッサ(テクニシャン)のマッハパンチ:39.7〜47.4% 確3
※混乱実発動後のHPが残っていれば縛られない
- C161カプ・レヒレのムーンフォース:83.3〜98.7% 確2
- C155ゲッコウガのハイドロカノンZ:84.6〜100.0%
- C100オニゴーリのC+2フリーズドライ:76.9〜91%
※回避、B上昇を引かなければ、A+2ロックブラストで処理できる
などなど恐ろしい物理耐久と最低限のD耐久を確保できています。
この耐久が幅広い物理AT対面での強引な積みを可能にするのです。
バリアーの利点
最大の利点は上で示した耐久をさらに引き上げることで物理ポケモンのゴリ押しに負けず、殻を破るの多段積み(複数回の積み)が安全に施行できることです。
A222メガラグラージとの対面を例に挙げると、
- 1ターン目
地震(64)→バリアー(B+2)
- 2ターン目
地震(34)→殻を破る(B+1)
- 3ターン目
地震(46)→混乱実発動(78回復)→殻を破る(B±0)
- 4ターン目
A+4氷柱針で上からメガラグラージ突破
という動きが可能になります。
これは単なる一例ですが、バリアーから入ることで殻を破るを2回積める上に最終的にBランクは元通り、さらにHPを半分以上残して後続と対峙することができます。
B±0状態でHPを半分以上残せるということはA特化キノガッサのテクニシャンマッハパンチレベルの攻撃を耐えるということなので、後続の先制技ではそうそう縛られません。
また、先に例に挙げたメガガルーラのように不意打ちで縛ってくる動きに対して、バリアーで不意打ちを空かしつつ耐久を上げる動きも出来るため、かなり有利に立ち回ることができます。
他にもイカサマによる処理に耐性が付くことも大きなメリットですね。
本来苦手なポリゴン2もイカサマ冷凍ビーム毒毒自己再生のような構成であればゴリ押しできたりします。
- A132(A+2、B−1)一致イカサマ:61.5〜73% 確2
- A132(A+2、B−1)不一致イカサマ:41〜48.7% 確3
技構成
- 確定技
氷柱針
メインウエポンとなる命中威力安定の連続技。特性スキルリンク持ちの中で唯一覚えることができます。突破力、役割遂行を考えて外す理由がありません。
ダメージ計算は1発あたりのものになります。
H151B125ミミッキュ:10.5〜12.5% 確10
H215B187カバルドン:10.2〜12% 確10
H181B120 メガガルーラ:9.3〜11.6% 乱10
バリアーor鉄壁
この型のコンセプトそのもの。強引な居座りと殻を破るを2回以上積む隙を生み出します。
鉄壁はシェルダー時のレベル技or教え技にて習得、バリアーは遺伝技でのみ習得です。
ちなみにバリアーの方がPP5多いので基本はバリアー推奨。私は響きがカッコいいので鉄壁派です
殻を破る
パルシェンの代名詞とも言うべき強力な積み技。
積みエースとしての採用理由を満たすため、当然確定です。
- 選択技
ロックブラスト
氷を半減で受けてくる水や炎に刺さる技。主に耐久水への打点となり、ギャラドスや相手のパルシェン、オニゴーリ等に対するストッパーとしての仕事を優先する場合はこちらを推奨します。ダメージ計算は1発あたりのものになります。
H177B101オニゴーリ:15.2〜18% 乱6
H171B129メガギャラドス:6.4〜7.6% 乱14
H175B160メガハッサム:5.1〜6.2% 確20
アクアブレイク
ギルガルドやメタグロス、クチートなど鋼への打点を意識する場合はこちらを推奨します。命中安定でBダウンの追加効果も優秀です。
H167B170ギルガルド(シールド):23.3〜27.5% 乱4
H197B126ヒードラン:52.7〜62.4% 確2
H157B145メガクチート:28.6〜34.3% 乱3(威嚇非考慮)
サブウエポン次第で攻撃範囲がガラッと変わるのでパーティに合わせて選択してください。バリアーを採用する以上、どうしても技範囲が狭まるので、そこは味方で補う必要があります。
選出&立ち回り
まず選出段階で相手のパルシェン処理ルートを探しましょう。物理のゴリ押しと先制技による処理を目指す並び(メガガルーラ軸の対面構築など)は格好の起点です。その他、受けポケをサイクル下で崩せそうな場合や明確な役割対象(ボーマンダ、ミミッキュ等)がいる場合に選出します。
選出したら起点となる物理ATに後投げ、もしくは死に出しし、HP管理しながら積みまくって全抜きを目指します。火力は控え目なので、複数回殻を破ることを目指しましょう。
多少のサイクル参加や物理ストッパーとしての動きもできるので状況に応じて戦います。HPを保ちやすいので無理せず一回引くという動きも可能です。
物理ATを起点にする際、対面した相手やその状況次第でバリアーから入るべきか、殻を破るから入るべきかが変わってきます。先に例に挙げたメガラグラージが良い例で、1回殻を破っても相手を抜けず、B±0状態、B−1状態の被弾でこちらが倒れてしまう場合はバリアーから入る必要があります。相手のスカーフ持ちが疑われる場合やSが上昇している場合は特に注意しましょう。
Bランク変動が激しく、ダメージ感覚に慣れるまで少し時間がかかる型ですが、慣れてくるとランク変動を利用して意図的に混乱実を発動させることもできるので面白いですよ。
特殊ベースの受けポケモン(ポリゴン2、クレセリア、ドヒドイデ、カプ・レヒレ等)に対してはパルシェン単体では抗うことができないので、サイクル下で事前に削りを入れておく、もしくは後続に任せましょう。
相性の良い味方
- カプ・コケコカプ・コケコ
パルシェンが起点にしやすい地面タイプやミミッキュを呼び込み、ボルトチェンジや蜻蛉返りで対面操作ができるためとても相性が良いです。物理受けを崩せる眼鏡やZ型、瞑想型がオススメです。
- ウルガモスウルガモス
所謂パルウルガの並び。パルシェンでは歯が立たない特殊ベースの物理受けや耐久水、鋼を起点に全抜きを目指します。逆にウルガモスが辛い物理龍や水をパルシェンの起点にできるためとても相性が良い並びです。こちらもある程度サイクル参加できるよう混乱実持ちがオススメです。
- キリキザンキリキザン
パルシェンが大の苦手とするギルガルドに明確に強いポケモン。ポリゴン2やクレセリアにも強く、ハサミギロチンで耐久ポケモンをバッサバッサ切り刻む。負けん気も強い特性ですが、個人的オススメはプレッシャー残飯型。
(こいつめちゃくちゃカッコ良くないですか??)
構築単位では、積みサイクルや天候パ(晴or雨)と軒並相性が良いです。
私は雨パ(ぺリラグ)を使っていてボーマンダやギャラドス、ミミッキュに苦しめられていたので補完枠として運用してみたところ、とてもいい働きをしてくれました。
あとがたり
ここまでご覧いただき誠にありがとうございました。
今回は奇型パルシェンの育成論となりましたが、いかがだったでしょうか。
冒頭でも触れた通り、原案は私ではないのですが、自分なりに研究して今回育成論として投稿させていただきました。それ故、既存のものとは若干調整が異なるのでご注意を。
使っていてとても楽しい型なのでテンプレパルシェンに飽きてしまった方、興味を持っていただけた方はぜひ一度育成してみてください。
この論がどなたかのお役に立つことを願っております。