- 全編において常体を用い、また敬称を略す。
最初に
- 多少調べれば分かる程度の略称、用語を用いる。また、性格補正あり252振りを「特化」、性格補正なし252振りを「ぶっぱ」と呼称する。
- ダメ計についてはトレーナー天国のツールを使用した。
軽業×レッドカード
今回はねばねばネット(以下ネット)シリーズ第3弾、ペロリームペロリームの考察である。
ネットを撒く・撒かないに関わらず、ペロリーム最大の強みはその特性・軽業にある。持ち物を消費すると素早さが2倍になるというこの特性を利用し、腹太鼓+オボンで火力と素早さを爆発的に上昇させる戦法が取られることもある。
そしてもう1つ、起点作り型ペロリームにおける戦法として、襷軽業がむしゃらがある。HBD個体値を0にした上で攻撃を食らって襷発動、次のターンに上からがむしゃらを打つというものだ。ペロリームは欠伸も覚えるため、初ターンに打てば次のターンに相手は居座れば場にいるポケモンが大打撃を食らった上で眠る、かといって交代すれば後から出す予定だったポケモンが大打撃を食らう。がむしゃらを無効化できる霊がいなければ、相手は地獄の選択をする羽目になる。
しかしこの戦法、弱点がある。襷が発動しない可能性があるのだ。軽業+欠伸+がむしゃらを全て両立できるのはペロリームのみ。それを知っている人ならば、襷を発動させない弱い攻撃でジャブを入れた後、次のターンに押し潰しにくる可能性がある。そうなると、S種族値72というなんとも言えない素早さが災いして仕事を果たしきれずに倒されることがあるのだ。
ならばどうするか。答えは簡単、より発動条件の緩い持ち物……即ち、レッドカードを持たせればいいのである。レッドカードの発動条件は「攻撃を食らう」のみ。威力の強弱は関係ない。これならば確実に発動して軽業を発動、2回目の行動を高速で行うことができる。初手で相手を強制交代させて交代先に欠伸を入れた後、次に上からがむしゃらを打つもよし、ネットを張るもよし、である。実はペロリーム、Hぶっぱのみでテテフの特化フィールドサイキネを最高乱数切りで耐えるぐらいの絶妙な耐久があるので、これでがむしゃらの威力が下がる心配はあまりしなくても良い。更に、レッドカードを持たせることにより初手の偵察要員としての仕事も獲得できる。
ほぼ100%の行動保証を失う代わりに、偵察性能と相手の場をより大きく掻き乱す力を手に入れたポケモン、それがレッドカードペロリームである。
性格・努力値
今回は、臆病H252B20C4D4S228を確定欄としている。勿論A以外全個体値は最大である。
Sは最大まで振らずとも軽業発動後は驚異的な速さとなるため最大まで振る必要は無いと判断し、軽業発動後最速スカーフカミツルギ抜きに留めてある。HDはテテフの特化フィールドサイキネ確定耐えとし、残りをBに回した。これにより、カミツルギのぶっぱスマートホーンが31.3%の乱1にまで抑えられ、ギリギリ追い返せる範疇に収まる。落とされたらハサミギロチンを当てられたんだと思えばいい
特性・持ち物
特性は軽業、持ち物はレッドカードで確定。どちらも本論のコンセプトである。
技構成
ペロリーム最大の強みの1つであるがむしゃらは確定。レベル技である。
以下2技は準確定技である。入れることを強く推奨するが、切る選択肢も全くなしではない。
- ねばねばネット
本論のもう1つのコンセプト技。下からがむしゃらを入れた後上からネットもよし、その逆もよし。欠伸やがむしゃらによる圧やレッカにより、相手に交代を余儀なくさせる能力が高いこの型なら相手に踏ませることはそう難しくないだろう。だが欠伸がむしゃらだけでも起点作りとしては充分なスペックのため、パーティーによっては切っても支障はない。USM限定でアブリー系統から遺伝可能。
- 欠伸
起点作りの代名詞の1つ。これによる強制交代とがむしゃら・ネットの相性が抜群である。しかし、パーティー的にネットとがむしゃらだけで起点として充分と判断した場合は切っても良い。トゲチック系統から遺伝可能。
以下では余りの枠の候補技を列挙する。
- 火炎放射
フェアリーに対する環境のマークが厳しく、鋼の多い現環境において、それらに抜群で入れられる炎技は採用価値が高い。先に調整先としたカミツルギを焼き付くすのにもうってつけ。技マシン。
- マジカルシャイン
とはいっても欲しい時もあるタイプ一致技。残念ながらムンフォは覚えない。技マシン。
- じゃれつく
物理にしたい場合はこちら。ペロリームの種族値はA<Cだが、技威力の関係で最大火力はこれになる。外すのはご愛敬。この場合は性格を陽気にし、C4をA4に変更する。レベル技。
- 守る
ひとまずの様子見としての採用。守ったターンの相手の動きを見てから展開パターンを決めることができる。技マシン。
- マジックコート
相手の補助技を跳ね返す。特に軽業腹太鼓が知られるペロリームは挑発を受けやすいため、それを反射して殴らざるを得なくさせることができる。教え技。
確定欄はがむしゃら/ネット/欠伸/放射とする。
運用
このポケモンの役割は、先発での相手の偵察と欠伸ネットでの展開阻害、そしてがむしゃらも組み合わせての起点作りである。そのため基本的に先発で出していく。
初動は相手のポケモンによって変えていく。自分より速いアタッカー相手なら後続を見て裏に一番刺さる技を選択、自分より遅いアタッカーはネット、補助主体か積みアタッカーなら欠伸が良いと筆者は考えている。が、このあたりは実戦経験を積んだ上での感覚が重要になってくる。使う際はできるだけ場数を踏み、状況に応じてベストな選択ができるようになれば一番だろう。
軽業発動後は、HPが少なければ超高速がむしゃら、多めに残っている場合は欠伸やネットでの起点作りを上から行う。相手にゴーストタイプがいる場合はがむしゃらを透かされないように上手く欠伸を絡めて打てる相手に打っていこう。
注意すべきはフィールドで欠伸を封じてくる上に挑発を打ってくる可能性のあるコケコカプ・コケコとレヒレカプ・レヒレ。コケコ対面はぶっぱボルチェンで大体5割ほど、10万なら6〜7割に収まってレッカ発動になる。このダメージ量ならネットを優先して撒き、後続をがむしゃらや攻撃技でちょいと削るぐらいがいいだろう。問題はレヒレで、ほぼ最悪の対面と言ってもいい。欠伸は効かない、瞑想の起点にされる可能性大、挑発採用率も高い、まともに殴っても全然効かない。レヒレが見えたら選出を控えるのが無難だろう。
相性の良いポケモン
- カミツルギカミツルギ
がむしゃらで削れた相手を起点にブーストし、一気に全抜きを図れる。ペロリームの天敵であるレヒレに強いのもよし。ピン選出でもそれなりに抜き性能があるのも評価点。この場合はネット+がむしゃらの援護はして、万全の体勢で送り出したい所。
- グロパン搭載メガガルーラメガガルーラ
削れた相手をグロパンで倒して無双体勢に入る。肝っ玉と習得技の広い等倍範囲を武器に霊とも殴り会えるのもよし。こちらは最悪ネットがあればなんとかなるが、出来ればがむしゃらか欠伸かどちらかも入れておきたい。
- カバルドンカバルドン
コケコランドグロスや低速サイクル、浮いているポケモンが多い等、ペロリームが起点を作りにくいパーティーと当たった場合の起点作り要員として。ペロリームを腹太鼓型と誤認させる効果もあるかもしれない。優秀すぎるからといってこっちばかり選出しないように注意。
今回のペロリームは行動保証がある訳ではないため、1発で落とされる危険性もある。そのため、裏のエースポケモンにはネットが無くても充分強いが、ネットがあるともっと強いといったポケモンがいいだろう。
ダメ計
- 与ダメ
・火炎放射
→H4カミツルギカミツルギ
210.3%〜248.8% 確定1発
→Hぶっぱメガハッサムメガハッサム
67.7%〜81.3% 確定2発
→Hぶっぱナットレイナットレイ
59.6%〜70.7% 確定2発
→H244テッカグヤテッカグヤ
29.5%〜35.4% 乱数3発(16%)
→H4ミミッキュミミッキュ
22.1%〜26.7% 乱数4発
・マジカルシャイン
→無振りゲッコウガ(抜群)ゲッコウガ
73.4%〜87% 確定2発
→無振りガブリアスガブリアス
50.2%〜60.1% 確定2発
・じゃれつく(陽気A4で計算)
→無振りゲッコウガ(抜群)ゲッコウガ
78.9%〜95.2% 確定2発
- 被ダメ
メガメタグロスのぶっぱアイアンヘッドメガメタグロス
112.1%〜133.3% 確定1発
カミツルギのぶっぱスマートホーンカミツルギ
88.8%〜105.8% 乱数1発(31.3%)
メガボーマンダの特化スキン捨て身タックルメガボーマンダ
84.6%〜100.5% 乱数1発(6.3%)
ミミッキュの特化ぽかぼかフレンドタイムミミッキュ
80.9%〜95.7% 確定2発
テッカグヤの無振りヘビーボンバー(威力120)テッカグヤ
80.4%〜95.2% 確定2発
メガガルーラの特化捨て身タックルメガガルーラ
63.4%〜75.1%+15.8%〜19% 確定2発
霊獣ランドロスのぶっぱ地震ランドロス(霊獣)
53.9%〜64% 確定2発
メガゲンガーのぶっぱヘドロ爆弾メガゲンガー
124.8%〜147% 確定1発
メガリザードンYのぶっぱ火炎放射メガリザードンY
89.4%〜105.2% 乱数1発(37.5%)
カプ・テテフの特化フィールドサイコキネシスカプ・テテフ
84.1%〜98.9% 確定2発
カプ・コケコのぶっぱフィールド10万ボルトカプ・コケコ
61.9%〜73% 確定2発
ギルガルドの特化シャドーボールギルガルド(ブレード)
55.5%〜65.6% 確定2発
編集後記
前回のアブリボン論のこの項でぼやいたところ予想外に要望があったペロリーム論をここまで書いてきた。果たして期待に添えるクオリティに仕上がっているだろうか。
今回はレッドカードを持たせた型を考察してきたが、襷での確実な行動保証とどちらの方が良いのかというのがこの項を書いている今でも筆者は悩んでいるところである。テテフのサイキネを素で耐えられるのだから襷要らないのでは?と最初に考えたのだが、カミツルギやメガメタグロス、メガルカリオといった高速鋼に対して確実な行動保証を得られるという点、やはり襷も優秀である。一先ずは、双方に良さがある、ということで片付けておくのが最善なのだろう。誰か襷ペロリームの論を書いてくれないだろうか()
因みにPGLのS9最終ではペロリームの持ち物は襷の方が多い。地味に読まれないというメリットもレッドカードにはあるのかもしれない。
ついでに
- ネット撒きオニシズクモ論
- ネット撒きアブリボン論