はじめに
ついにシーズン4が開幕し、合わせてキョダイラプラスラプラスが解禁されました。このサイトにもキョダイラプラス対策の育成論が多く投稿され、皆さまもその議論に白熱していることと思います。
キョダイラプラスラプラスの強みについては再三になりますが、その固有ダイマックス技である「キョダイセンリツ」にあるといえます。キョダイラプラスは他のポケモンと違い、こおり攻撃技をダイアイスではなく「キョダイセンリツ」として撃つことができます。ダメージは元技に依存し、ダイアイスのあられ状態にする追加効果とは異なり、「オーロラベール」をはるという追加効果を持ちます。この効果が非常に強力で、相手にダメージを与えながら「オーロラベール」をはれる点、また元の「オーロラベール」と違って、あられ状態でなくともはれる点で、このキョダイラプラスは無二の存在といえます。ダイマックス権こそ切りますが、ひかりのねんどを持った後続サポート型、またはじゃくてんほけんを持ったセルフアタッカー型などが考案されてきました。
このような強みを持つキョダイラプラスは、蓋を開けてみると解禁前に騒がれていたほど多くは見かけませんでしたが、要注意ポケモンであることは変わりなく、今後多く対戦環境に発生するものだと警戒しています。
ここで、対策ポケモンとして考案されたポケモンの育成論を総評したいと思います。(本サイトおよび他より抜粋)
- ぼうじんゴーグルヌケニンヌケニン(riden様 : 育成論ソードシールド/657)
ラプラスの主な技範囲が、こおり/みず/でんきであることを逆手にとり、ヌケニンの特性「ふしぎなまもり」で完封を目指す型です。「ふしぎなまもり」の仕様上、無効化された技の追加効果も無視されるため、「キョダイセンリツ」の「オーロラベール」をはる効果を無為にすることができます。ラプラスに対する性能の高さはピカイチで、特に後出しから流すことができるため、注目されました。しかし、今ゴースト環境におけるヌケニン単体の性能の低さ、およびキョダイラプラスの「ダイロック(げんしのちから)」の有無および「ダイロック」に対する後出しのタイミングに左右されることに課題が残ります。
- きりばらいモスノウモスノウ(w様 : 育成論ソードシールド/624)
モスノウの特性「こおりのりんぷん」による特殊超耐久を活用した、キョダイラプラス対策の例です。「オーロラベール」効果を「きりばらい」で対策し、また高い耐久を盾に「ちょうのまい」の起点にすることを目指す型です。火力が高いといえないラプラスには非常に強く出れるポケモンであり、ガラルビギニングでは実際に対策として採用された実績もあります。しかし、こちらもヌケニンと同様に「ダイロック」の有無に大きく依存します。
- じゃくてんほけんココロモリココロモリ(本投稿者ねおたん : 育成論ソードシールド/631)
ココロモリの特性「たんじゅん」と技「ドわすれ」「はねやすめ」「アシストパワー」、持ち物「じゃくてんほけん」を駆使して、キョダイラプラスンのダイマックスターン消化を待ち、超火力「アシストパワー」で全抜きを目指す型です。想定どおりに嵌った場合、威力220のタイプ一致「アシストパワー」によって、「オーロラベール」状態のカビゴンに対しても大ダメージをとれる火力を叩き出します。しかし、ココロモリの単体性能は高いとはいえず、ラプラスが選出されなかった場合の役割のなさ、およびラプラスに対して後出しができない点が大きな課題になります。
- サイコファングウオチルドンウオチルドン
ウオチルドンはこおり1/4のタイプ相性や特性「ちょすい」や技「サイコファング」「いかりのまえば」を持つように、対ラプラスとして非常に優秀です。耐久数値も平均以上あり、持ち物「とつげきチョッキ」を持たせることで安定感を上げます。しかし、「オーロラベール」を割れるとはいえ、キョダイラプラスの「ダイサンダー」を連続で受け切ることは困難であり、数的不利を取ってしまいます。
- じゃくてんほけんじゅうでんパッチラゴンパッチラゴン
パッチラゴンで上から「じゅうでん」を積むことによってDを上昇させ、対面したキョダイラプラスの「キョダイセンリツ」を耐え、「じゃくてんほけん」を発動させることができます。「じゃくてんほけん」によるA上昇と「じゅうでん」によるでんきタイプの技の威力2倍の補正により、「オーロラベール」込みのキョダイラプラスを確定1発で倒すことが可能です。この場合「はりきり」による補正がなくとも倒せるために、ダイマックスを切らずに「ちくでん」で安定した立ち回りができます。ちなみに、必要な耐久値は有名なじゃくてんほけんパッチラゴンの努力値振り(H252 A84 B36 d4 S132)を流用することができ、またラプラス以外にも役割を持つことができ、より汎用性が高いです。しかし、ラプラスに対して後出しすることができず、またこの場合は「オーロラベール」が残ってしまいます。
- がんじょうダゲキダゲキ
ダゲキは、技「かわらわり」を撃てる格闘タイプで、かつ特性「がんじょう」により行動回数が確保しやすいポケモンです。「たつじんのおび」を持つことで、キョダイラプラスの上から「インファイト」、また次の「かわらわり」で倒すことが可能です。「がんじょう」を生かした「カウンター」をすることもでき、汎用性も高い部類であると考えられます。また、「がんじょう」によりラプラスの「ぜったいれいど」をケアする必要がない点は、このダゲキにしかない強みになります。しかし、いずれもラプラスに対して後出しして対処することは不可能です。
- バリアフリーバリコオルバリコオル(パイン様提案)
バリコオルは、場に登場した際にお互いの「リフレクター」「ひかりのかべ」「オーロラベール」を割るという特性「バリアフリー」を持ちます。技「スキルスワップ」で特性を入れ替えた場合にも発動するため、後から何度でも「オーロラベール」を割ることができます。バリコオルの耐久数値は比較的高く、すばやさもラプラスより速いので、後出しで上から「なまける」連打や「とおせんぼう」によるTOD展開も可能です。こおりタイプなので「ぜったいれいど」を受ける心配がないのも強みです。しかし、こちらも単体性能は高いと言えず、相手の選出に大きく左右されると考えています。
長々と紹介が続きましたが、まとめると以下のようになります。
- ラプラスに後出しができない
ココロモリココロモリ、パッチラゴンパッチラゴン、ダゲキダゲキ
- ラプラスに弱点を突かれる(ダイロック、ダイサンダー)
ヌケニンヌケニン、モスノウモスノウ、ウオチルドンウオチルドン
- 「オーロラベール」を割れない
- 単体性能が比較的低い
以上から分かるとおり、考案されてきた対策ポケモンについていずれも長所と短所が存在することがいえます。
特に、対策ポケモンとして求められる素質は
- 「ラプラスに対して後出しが効くこと」
- 「オーロラベールを割れること」
- 「撃ち合い(ラプラスのじゃくてんほけんをケアしながら)になっても勝てること」
- 「単体性能が比較的高いこと」
- 「(可能であれば)ダイマックス権を切らずに対処できること」
が挙げられると思います。
本育成論では、エルレイドエルレイドに着目し、その対キョダイラプラス性能について考察をしました。
エルレイドについて
エルレイドは高水準の特殊耐久力と中程度のすばやさを持つエスパー・かくとうのポケモンです。
種族値 : H68 A125 B65 C65 D115 S80
高いAとDと積み技「ビルドアップ」「つるぎのまい」を生かしたアタッカー型や多彩な補助技を生かしたサポート型が考えられますが、今ゴースト環境ではどうしても場持ちが悪くなっているのが現状です。
それでもなお、「かわらわり」をタイプ一致で撃てるポケモンの中で最も特殊耐久指数が高く、またラプラスよりも速く行動でき、さらにタイプ相性によりラプラスが覚える攻撃技を全て等倍以下で受けることが可能です。優秀なサポート技「ひかりのかべ」を覚え、キョダイラプラスの雨「ダイストリーム」も「オボンのみ」込みで後出しから高い確率で受け切ることが可能であることがダメージ計算より明らかになりました。
また最近の対戦環境において、以前からいるサザンドラやバンギラスの他、増加してきたカビゴンの採用に伴い、かくとう枠の必要性が見直されるようになったと考えています。
このような独自の強みを持つかくとう枠としてエルレイドを使うことができるのではないか、キョダイラプラス対策の駒として採用できないか、と考えました。
この型を採用する目的
キョダイラプラスに対して後出しから受けることができ(ダイストリーム3連を高い確率で耐える)、相手の「オーロラベール」を解除しながら、自身が抜きエースとして機能するようなアタッカーとして採用できます。想定されるラプラス(B252C↑252S↑252)に対してすら、安定します。
特性
せいぎのこころ
『あく』タイプの技を受けると、『こうげき』ランクが1段階上がる。
サザンドラやバンギラスなどのあくタイプに対して後出しした際に、大きなアドバンテージが取れるので、特に理由がない場合は「せいぎのこころ」推奨です。しかし、本論で述べる対キョダイラプラス性能については通常特性の「ふくつのこころ」でも差支えはありません。あくタイプの技は等倍で受けるので過信はできない点には注意が必要です。
持ち物
オボンのみ
持たせると、戦闘中にHPが半分以下になった時に自分のHPが最大HPの1/4回復する。
キョダイラプラスからの最大被弾ダメージを想定した場合、耐えるために必要なため確定です。低乱数を連続で引かない限り3連ダイストリームを耐えることが可能です。Dに努力値を124振ることで確定で耐えることができます。その場合はSを落としてください。
フィラのみ(候補)
持たせると、戦闘中にHPが1/4以下になった時に自分のHPが最大HPの1/3回復する(第7世代までは1/2回復)。ただし、『からい』味が嫌いな性格の場合は『こんらん』状態になってしまう。
発動すればキョダイラプラスからの最大被弾ダメージも耐えることが可能です。「オボンのみ」による回復量や「タラプのみ」によるD上昇では実現できない耐久力が得られます。しかし、乱数のいたずらでは上手く発動することなく落とされることもあるので、「フィラのみ」専用の調整が必要だと考えられます。
性格と努力値振り
性格はいじっぱりを採用します。
努力値配分は、
努力値 : H252 A4 B4 D44 S204
実数値 : H175 A160 B86 Cx D141 S126
です。
調整先は、
H : 16n-1(すなダメージなど最小)
A : つるぎのまいかわらわりでB252ラプラス確定1発(後述)
B : 余り
D : キョダイラプラスのダイストリーム3連(なし雨雨)をきのみ回復込み高乱数耐え(後述)
S : 最速ラプラス抜き抜き抜き(最速バンギラス抜き抜き)
です。
- 技構成と与・被ダメージ計算
ひかりのかべ
エスパー変化 威力-
5ターンの間、相手の特殊攻撃のダメージを半分にする。味方が複数の場合は半分ではなく2/3になる。急所に当たった場合は軽減されない。交代しても効果は続く。
キョダイラプラスのダイストリーム3連(なし雨雨)を耐えるために必要です。最速ラプラスをこのエルレイドが抜いているため、上から撃つことでダメージを低減できます。
被ダメージ計算
「ひかりのかべ」なし時
ラプラスC150(C↑252)ラプラスのキョダイセンリツ(130)、ダイストリーム(130)
44.5%~53.1%
「ひかりのかべ」あり時、雨下
ラプラスC150(C↑252)ラプラスのダイストリーム(130)
33.7%~39.4%
「ひかりのかべ」あり時、通常天候
ラプラスC150(C↑252)ラプラスのキョダイセンリツ(130)、ダイストリーム(130)
22.2%~26.2%
エルレイドをラプラスに後出しし、次のターンに「ひかりのかべ」を上から撃つことを想定すると、
考えうる最大ダメージが、
- ダイストリーム→ダイストリーム(雨、ひかりのかべ)~92.5%
最小ダメージが、
- キョダイセンリツ→ダイストリーム(通常、ひかりのかべ)66.7%~
となります。
2ターンで受けるダメージの振れ幅は66.7%~92.5%となり、確定で耐える上に、「オボンのみ」の発動条件(1/2以下)を確定で満たし、回復することが可能になります。
また3ターンで受ける最大ダメージが、
- ダイストリーム→ダイストリーム(雨、ひかりのかべ)→ダイストリーム(雨、ひかりのかべ)~131.9%
となり、「オボンのみ」込み換算体力(125.0%)で高い確率で耐えることができます。
他にも対戦環境に多いポケモンからの被ダメージを計算しました。また、ここでは「ひかりのかべ」によるダメージ軽減は無視して計算しています。
<特殊>
サザンドラC177(C252)サザンドラのあくのはどう
33.1%~39.4%(超高乱数3発99.8%)
ドラパルトC167(C↑252)ドラパルトのいのちのたまシャドーボール
80.0%~94.8%(確定2発)
ギルガルド(ブレード)C211(C↑252)ギルガルド(ブレード)のシャドーボール
76.5%~92.5%(確定2発)
ウォッシュロトムヒートロトムカットロトムC172(C↑252)FCロトムの10まんボルト
36.0%~42.8%(確定3発)
トゲキッスC189(C↑252)トゲキッスのいのちのたまエアスラッシュ
86.2%~102.2%(超低乱数1発6.2%)
<物理>
ミミッキュA156(A↑252)ミミッキュのいのちのたまじゃれつく
138.2%~161.7%(確定1発)
ミミッキュA156(A↑252)ミミッキュのいのちのたまかげうち
62.2%~72.5%(確定2発)
ミミッキュA156(A↑252)ミミッキュのシャドークロー
82.2%~97.1%(確定2発)
ドリュウズA205(A↑252)ドリュウズのじしん
77.1%~90.8%(確定2発)
ギルガルド(ブレード)A160(A0)ギルガルド(ブレード)のかげうち
48.0%~58.2%(乱数2発91.4%)
アーマーガアA107(A0)アーマーガアのブレイブバード
96.0%~114.2%(乱数1発75.0%)
バンギラスA204(A↑252)バンギラスのかみくだく
61.7%~72.5%(確定2発)
ブラッキーブラッキーなどのタイプ一致イカサマ
57.1%~67.4%(確定2発)
以上から、「ひかりのかべ」および「オボンのみ」によってラプラスに対して高い確率で後出しが安定することが分かりました。
つるぎのまい
ノーマル変化 威力-
自分の『こうげき』ランクを2段階上げる。
キョダイラプラスに対し後出しし、「ひかりのかべ」をはった次のターンに積むことで、「かわらわり」でB252素ラプラスが確定で倒せます。
かわらわり
かくとう物理 威力75
相手の技『リフレクター』『オーロラベール』の効果を受けず、相手の技『リフレクター』『ひかりのかべ』『オーロラベール』を壊す。
A2上昇で撃つことで、キョダイラプラスがはった「オーロラベール」を割りながら確定で倒すことが可能です。
与ダメージ計算
H205-B132(B252)素ラプラスラプラス
100.4%~120.0%(確定1発、A2上昇時)
H185-B81(B4)ドリュウズドリュウズ
90.8%~108.1%(乱数1発50%、A上昇なし時)
H207-B130(H252)バンギラスバンギラス
100.4%~121.7%(確定1発、A上昇なし時)
H235-B117(B252)カビゴンカビゴン
99.5%~117.4%(高乱数1発、A2上昇時)
H125-B201(B4)パルシェンパルシェン
107.2%~129.6%(確定1発、A2上昇時)
以上のとおり、B252ラプラスを確定1発で倒せることが分かりました。
かげうち(選択技)
ゴースト物理 威力40
必ず先制できる(優先度:+1)。
主に対ゴースト用に採用します。「かわらわり」と合わせてドリュウズなどを倒しきることができます。
与ダメージ計算
H185-B81(B4)ドリュウズドリュウズ
16.2%~19.4%(かわらわりと合わせて確定1発、A上昇なし時)
H131-B100(H4)ミミッキュミミッキュ
38.1%~45.8%(確定3発、A上昇なし時)
H163-B96(B4)ドラパルトドラパルト
31.9%~38.0%(乱数3発86.8%、A上昇なし時)
みちづれ(選択技 ; パイン様提案)
ゴースト変化 威力-
次の自分のターンまでに相手の攻撃で『ひんし』状態になると、相手も『ひんし』状態になる。ダイマックスしている相手には効果がない。第7世代以降は、連続で使うと必ず失敗する。
キョダイラプラスの後のポケモンも強引に持っていけます。
はたきおとす(選択技 ; パイン様提案)
あく物理 威力65(持ち物あり時97.5)
相手が道具を持っている場合、ダメージが1.5倍になり、さらに道具を持っていない状態にする。戦闘終了後、道具は元に戻る。
範囲も広いうえに追加効果も優秀です。
じならし(選択技 ; パイン様提案)
じめん物理 威力60
自分以外全員が対象。100%の確率で相手の『すばやさ』ランクを1段階下げる。
後続へのサポートに。
想定する立ち回り
立ち回りのシナリオを示します。
- nターン目
あいてラプラス、こちら他のポケモン
こちらエルレイドに交換
あいてラプラスキョダイマックス、「キョダイセンリツ」
こちらエルレイド(残り46.9%~55.5%)
HP割合次第で「オボンのみ」発動
- n+1ターン目
こちらエルレイド「ひかりのかべ」
あいてラプラス「ダイストリーム」
こちらエルレイド(残り20.7%~33.3%→オボンのみにより45.7%~58.3%)
- n+2ターン目
こちらエルレイド「つるぎのまい」
あいてラプラス「ダイストリーム」
こちらエルレイド(残り6.3%~24.6%)
あいてラプラスダイマックス解除
- n+3ターン目
こちらエルレイドA2段階上昇「かわらわり」
あいてラプラス(100.4%~120.0%)
- n+4ターン目
あいて後続に「かわらわり」を撃つなり「かげうち」を撃つなりして退場
この段階で「ひかりのかべ」1ターン後続に残せる
さいごに
キョダイラプラス対策用エルレイドはいかがだったでしょうか。スペックが高いだけに、これまではあまり採用されるケースがなく残念でしたが、こういった形でエルレイドの強みが活かせたのではないかと考えています。特に、キョダイラプラスを後出しから処理でき、しかもダイマックス権を切らずに済むという、非常に厳しい条件をクリアできる点では本投稿者としても意外でした。今後も、キョダイラプラス対策のポケモン育成論は引き続き投稿されていくものだと思いますが、それらのポケモンに対してもこのエルレイドが優位性を主張できることを期待しています。
以上、長文になりましたが読んで下さりありがとうございます。
コメント欄での指摘や活発な議論を歓迎します。どうぞよろしくお願いします。