はじめに
- この育成論においては「努力値」「種族値」等の非公式な呼称を用います。また、能力の説明にH-A-B-C-D-Sの略称を使用します。
ゴルーグゴルーグとは?
第5世代で初登場した、唯一のゴースト/地面複合だったポケモンです。現在はシロデスナ、そして第8世代で初登場したデスバーンも同じ複合タイプとなっています。ゴーストタイプは搦め手を得意とする特殊寄りの種族値を持つポケモンが多いのですが、ゴルーグは
H:89 A:124 B:80 C:55 D:80 S:55
という鈍足重火力物理アタッカー傾向の配分になっています。耐久面は中程度。弱点が5タイプと多めですが、無効タイプも3タイプと多く、耐久値、弱点の多さに反して割合繰り出しやすい複合になっています。なお、デスバーンも同様に物理方面へ偏った配分ですが、今回の育成論においては差別化を意識する必要はありません。
ぶきようとは?
道具を使用できないという特性です。きのみなど、使用するタイプの道具は勿論、こだわり系などの持続的に効果を発揮する道具も無効になってしまい、事実上持ち物無しの状態になります。
知っての通り、道具はポケモンバトルにおいて非常に大きなウェイトを占めており、それが活用できないというのは1手パスみたいなものでなかなか厄介なデメリット特性です。当然、特性もぶきようになるのでゴルーグの場合はてつのこぶし、ノーガードといった優秀な特性を使用できません。2手パスしたような状態ですね。
ちなみに効果には書かれてませんが、なげつけるが使えなくなるという余計な隠し効果までついています。他に同特性はミミロップココロモリキテルグマが存在しますが、ミミロップはなかまづくり、ココロモリはスキルスワップを使用できる為、この特性を相手に押し付けて特性と持ち物を同時に無力化してしまうという恐ろしい真似が出来ます。
ゴルーグはそれらの技を覚えません。搦め手の乏しいポケモンとはいえあんまりな仕打ちで、前世代まで、ぶきようは厳選中の邪魔者以外ではありませんでした。しかし第8世代に入り、ゴルーグもようやくこの特性を活用できる技を習得しました。
そんな訳で今回はぶきようトリックゴルーグの育成論となります。
ぶきようトリックって?
文字通り特性・ぶきようを持つポケモンで、道具を交換するトリックを使用する戦術です。トリックを使えるポケモンなら誰でも使えそうに見えますが、道具の中には所持者にデメリットを与えるものも存在します。
それらを一切無視して、任意のタイミングで押し付けることが出来るのがぶきようトリックです。なお、ココロモリもトリックを習得、ミミロップは同効果のすりかえを習得するので同様の戦術を可能としますが、種族値の傾向、およびタイプが全然異なるので基本的に差別化は必要ありません。トリック後にアタッカーとして第2の役割を果たせ、タスキが持てない都合上、他2種では安定しない後出しを無効耐性、そこそこの耐久によりある程度可能とするゴルーグ、高い素早さから相手の持ち物を先手で無力化、こだわり系を押し付けられるココロモリミミロップというところでしょうか。
なお、キテルグマはぶきようを活かせる技を何一つ習得できません。何故わざわざ全く活用できない地雷特性を実装したんでしょうか。一応、こだわりトリックやトレース対策になるので本当に何もメリットが無い訳ではないですが。
- ぶきようトリックのここがいい!
- デメリットアイテムを任意のタイミングで相手に押し付けられる
- 交換したアイテムのデメリットを完全に無視できる
- ぶきようトリックのここが駄目!
- 交換したアイテムのメリットを一切受けられない
- 実質的に道具無しの状態で戦闘する羽目になる
ということでぶきようトリックをご理解いただいたところで次へ行きましょう。
性格・努力値
確定枠はいじっぱりとします。ゴルーグは搦め手が不得手な為、前述の通りトリック後はアタッカーとして運用することになります(対面によっては最初から物理アタッカーとして運用する場合も多々)。よって少しでも火力を補強させることを優先します。
努力値については(特にSは)調整の余地が多いのですが、火力を補強する都合上、Aはぶっぱで確定です。今回の確定枠はH196 A252 S60としました。Sは4振りバンギラス抜き、Hを残りに。バンギラスは多少Sに振ったものもいるので、S76振り(20振りバンギラス抜き)も選択肢として優先度が高いです。
その他の調整先としては、ほのおのパンチを採用する場合にハッサムモスノウなど65族に先手を取れば潰せる相手が多い事を意識して、4振り想定ならS92振り、多少調整していることを考慮する場合はS148振りで4振り70族抜き抜きに調整を。
確定欄の振り方でもダイジェットを採用すれば準速70族ぐらいまで抜けるようになるので、65族よりも早い相手を想定する場合はそちらで調整した方が安定します。ちなみに丁度S100振りで、ダイジェット1回で準速ヒードランを抜けます。
持ち物
とつげきチョッキ
確定枠ですが、有力な候補は他にも多数。他のメンバーの持ち物や、役割対象に合わせて調整しましょう。
ドヒドイデサニーゴ(ガラル)モロバレルヤミラミ等を1行動で機能停止させ、後続のサポートに優秀。
ただしトリックしたターンは変化技が使用可能なので、1行動で仕事が完了するトリパの始動役などは止めきれません。
ちなみにとつげきチョッキをトリックできるのはぶきようのみです。
こだわりスカーフ
こだわりハチマキ
こだわりメガネ
コメント欄より採用させていただきました。
同じく耐久型に広く(ry)変なタイミングで抜かれたり、特殊アタッカーとの併用でもリスクが低くなります。
それぞれ物理技、特殊技を強化してしまうので選出と環境を読んで使いましょう。
くろいてっきゅう
S半減、かつ飛行タイプや特性:ふゆうに地面技が当たるように。
ほぼヒートロトムピンポイント。
こうこうのしっぽ
強制後攻。ただし優先度は無視しません。
環境に多いダイジェットエースを意識するなら。
だっしゅつボタン
確定技
トリック
優先技
じしん
タイプ一致。安定かつ高威力。ただしグラスフィールド時には威力が半減。
ゴリランダーも活躍しているので10まんばりきも候補に挙がります。
ポルターガイスト
相手が持ち物を持っていないと失敗しますが、ゴースト物理技としては異例の火力を誇ります。ダイホロウも物理アタッカーであるゴルーグとの相性が良好。
はたきおとすやなげつけるを使う相手でないかぎり、トリックで持ち物は持たせてる筈なので相性が良いです。ちなみにぶきようはポルターガイストを受ける場合、使用する場合双方において影響しません。
旧ゴースト技最大火力のゴーストダイブも候補。威力は下がり、溜め技になりますが相手のダイマックスターンを枯らすことが可能です。
選択技
インファイト
攻撃と同時にBD↓。範囲が広く、ダイマックスせずにバンギラスを見る場合に重要な技。
ストーンエッジ
じしんの当たらない飛行タイプに。命中不安。
ヘビーボンバー
ダイスチルでBを上昇させることで物理アタッカーとの打ち合いに有利に。330.0kgとなかなか重いので、軽いフェアリーにも有効。ダイマックス相手には無効なので不安定。
ほのおのパンチ
れいとうパンチ
そらをとぶ
ダイマックスへの時間稼ぎに。ダイジェットで加速も可能。
確定枠の振り方だと最速60族、準速71族まで抜けます。
のろい
トリック後、アタッカーとしての役割を想定しない場合、或いは確実に相手へ負荷を与えたい場合に。
HPを半分削って呪いをかけ、毎ターン最大HPの1/4を削ります。
採用する場合はステルスロック、かわらわり等を採用して起点役に特化させてもよいでしょう。その場合の努力値振りはAではなくBorDに。性格もわんぱく、或いはしんちょうを推奨です。
立ち回り
理想形としては耐久型を相手にトリックを仕掛け、機能停止させます。ドヒドイデはほぼ確実にくろいヘドロを持っており、他のポケモンのトリックだと耐久を減らされてしまいますが、こいつの場合はそんなの関係ありません。また、予想外の眼鏡やハチマキを渡されてしまっても関係ありません。
トリック後は相手の交代を読んで再度トリックしたり、そのまま殴り合いに持ち込んだりします。下記ダメージ計算の通り対面からならメジャー級にも勝てたりしますが、基本的には1体機能停止+αを狙う形にしてください。殴り合う場合は耐久・火力共に微妙に数値が足りないことから、ダイマックスするのが基本です。
無効耐性が3タイプと多いので、でんき、かくとう技読みで後出し可能なのも強みですが、それらを使う相手にはトリックが刺さりづらいという点には注意しましょう。
与ダメージ
※以下のダメージ計算は左:通常時、右:ダイマックス時で計算されています。
- 無補正H252バンギラス
インファイト
131.4~154.5%(確定1発)/65.7~77.2%(確定2発)
じしん
81.1~96.6%(確定2発)/40.5~48.3%(確定3発)
バンギラスはダイマックス+じゃくてんほけん型が多いので
ダイホロウ(ポルターガイスト)
28.5~33.3%(確定4発)/14.2~16.6%(乱数7発)
ダイアース(じしん)
156.5~185.5%(確定1発)/78.2~92.7%(確定2発)
と繋ぐと比較的安定します。ダイマックスの場合は高乱数2発。ダイアースの計算はダイホロウによるB低下込み。
- 無補正無振りドラパルト
ダイホロウ(ポルターガイスト)
196.3~233.1%(確定1発)/98.1~116.5%(乱数1発)
ダイホロウなら相手がダイマックスしようが高乱数1発。
- 無補正H252トゲキッス
ヘビーボンバー
79.1~93.7%(確定2発)
ダイスチル(ヘビーボンバー)
85.4~101%(乱数1発)/42.7~50.5%(乱数2発)
ストーンエッジ
65.6~78.1%(確定2発)/32.8~39%(乱数3発)
ダイロック(ストーンエッジ)
85.4~101%(乱数1発)/42.7~50.5%(乱数2発)
ダイホロウ(ポルターガイスト)
69.2~81.7%(確定2発)/34.6~40.8%(確定3発)
B低下込みでダイホロウ→ダイスチルorダイロックならダイマックス時でも高乱数2発。ダイホロウのみなら超低乱数2発。
- 無補正無振りトゲキッス
ダイホロウ(ポルターガイスト)
83.1~98.1%(確定2発)/41.5~49%(確定3発)
B低下込みでダイマックス時でも確定2発。
- 無補正H252ヒートロトム
じしん
282.8~336.3%(確定1発)/141.4~168.1%(確定1発)
確定1発。ただしくろいてっきゅうをトリックしてないと当たりません。
ダイホロウ(ポルターガイスト)
76.4~90.4%(確定2発)/38.2~45.2%(確定3発)
B低下込みでダイマックス時は乱数2発。
ストーンエッジ
72.6~86.6%(確定2発)/36.3~43.3%(確定3発)
ダイロック(ストーンエッジ)
94.2~112.1%(乱数1発)/47.1~56%(乱数2発)
- 無補正無振りヒートロトム
ダイホロウ(ポルターガイスト)
96~113.6%(乱数1発)/48~56.8%(乱数2発)
B低下込みでダイマックスでも確定2発。
ストーンエッジ
91.2~108.8%(乱数1発)/45.6~54.4%(乱数2発)
ダイロック(ストーンエッジ)
118.4~140.7%(確定1発)/59.2~70.3%(確定2発)
- 無補正無振りサザンドラ
インファイト
94.6~112.5%(乱数1発)/47.3~56.2%(乱数2発)
ダイナックル(インファイト)
75.4~89.8%(確定2発)/37.7~44.9%(確定3発)
ダイナックルによるA上昇込みで高乱数2発。
- B↑HB252ナットレイ
ほのおのパンチ
61.8~72.9%(確定2発)/30.9~36.4%(乱数3発)
ダイバーン(ほのおのパンチ)
103.8~123.7%(確定1発)/51.9~61.8%(確定2発)
被ダメージ
- A↑A252バンギラス
かみくだく
98.4~115.3%(乱数1発)/49.2~57.6%(乱数2発)
ダイアーク(かみくだく)
158.7~187.3%(確定1発)/79.3~93.6%(確定2発)
ダイマックスされようがダイマックスすれば確定2発。上を取っていれば勝てます。
- 無補正A(C)252ドラパルト
ふいうち
47.6~57.1%(乱数2発)/23.8~28.5%(乱数4発)
ダイアーク(ふいうち)
82.5~97.3%(確定2発)/41.2~48.6%(確定3発)
ダイホロウ(ゴーストダイブ)
134.3~158.7%(確定1発)/67.1~79.3%(確定2発)
シャドーボール
73~86.7%(確定2発)/36.5~43.3%(確定3発)
ダイホロウ(シャドーボール)
117.4~139.6%(確定1発)/58.7~69.8%(確定2発)
基本的に確定2発。こちらのダイホロウが下振れしなければ勝利、したら負けます。
- 無補正C252トゲキッス
マジカルシャイン
41.2~49.2%(確定3発)/20.6~24.6%(確定5発)
ダイフェアリー(マジカルシャイン)
67.1~79.3%(確定2発)/33.5~39.6%(確定3発)
- C↑C252トゲキッス
マジカルシャイン
44.9~53.9%(乱数2発)/22.4~26.9%(乱数4発)
ダイフェアリー(マジカルシャイン)
73.5~87.3%(確定2発)/36.7~43.6%(確定3発)
- 無補正無振りC2↑トゲキッス
マジカルシャイン
67.1~79.3%(確定2発)/33.5~39.6%(確定3発)
ダイフェアリー(マジカルシャイン)
108.4~128.5%(確定1発)/54.2~64.2%(確定2発)
わるだくみされると流石に辛いですね。
- 無補正C252ヒートロトム
オーバーヒート
79.3~93.6%(確定2発)/39.6~46.8%(確定3発)
ダイバーン(オーバーヒート)
84.6~100.5%(乱数1発)/42.3~50.2%(乱数2発)
シャドーボール
65.6~77.2%(確定2発)/32.8~38.6%(乱数3発)
ダイホロウ(シャドーボール)
105.8~124.8%(確定1発)/52.9~62.4%(確定2発)
- 無補正C252サザンドラ
あくのはどう
108.9~130.1%(確定1発)/54.4~65%(確定2発)
ダイアーク(あくのはどう)
178.8~210.5%(確定1発)/89.4~105.2%(乱数1発)
こちらからの与ダメージも考えると、対面からは基本勝てません。
おわりに
ぶきようトリックゴルーグ、いかがでしたでしょうか。前作までは完全なデメリット特性でしかなかったぶきようですが、トリックの習得で飛躍的に可能性は増えています。
ノーガード、てつのこぶしといった他の特性もそれぞれ優秀であり、実は今作のゴルーグは何をしてくるか割とわかりづらい、読みづらいポケモンになってたりします。皆さんもこんなゴルーグはどうだ! というのがありましたら、育成論を書いてみてください。パク……オマージュさせていただきます。
ご意見・ご感想をお待ちしております。