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「チャンピオンがまたいなくなった！？」

「今度はジョウトリーグだ！！」

「ワタルさんはなんと仰ってる！？」

「全くどうしてチャンピオンになる人間って
こうもみんな自由奔放な奴が多いのかね」

「鳥籠の中の鳥ではいられないんだろうな」

「にしても就任早々の離脱は無責任だろう」

ざわざわと日夜大騒動のポケモンリーグ協会。
職員達が口々に文句を言っている。

「ワタルさん…！どうしたら………」

唯ならぬ様子で狼狽える職員の呼び掛けに、元カントー・ジョウトリーグのチャンピオン、ワタルは振り返る。
何やら考え事をしていたようだが、彼らの様子を一瞥したあと静かに口を開いた。

「…頂点に立つと人は孤独になる」

誰もが、神妙な面持ちの彼に視線を向け耳を傾けた。

「だが、その孤独を味わうことで人は自分に厳しく、他人に優しくなれる
いずれにせよ人格が磨かれるのだ
彼らはまだ、その域に達していない」

リーグの壁には、殿堂入りした歴代チャンピオン達の写真が仰々しく飾られている。
ワタルはそれを真剣な眼差しで見上げ言葉を投げかけた。

「責任とはすなわち孤独を受け入れること
…若い彼らがその試練を乗り越えて、ここに再び戻ってくることを願おうじゃないか」

その言葉に、職員達は力強く頷いた。
それを見たワタルは優しく微笑む。

「大丈夫だみんな、俺に任せてくれ」

燃えるような赤い髪を靡かせて、漆黒のマントを翻し颯爽と進んでいくワタル。
ジョウトリーグを飛び出した
チャンピオン・ゴールドの行先は………