- 指定のない限りすべてのポケモンは理想個体とする
- HP、攻撃、防御、特攻、特防、素早さをそれぞれHABCDSと表記
- ポケモン名やタイプ、持ち物に一部略称を使用
- ダメ計にはトレーナー天国様のものを使用
- メタグロスをソルガレオと読み替えることも可能(シリーズ8向け)
新環境の注目ポケモンメタグロス
待ちに待った過去作ポケモンの解禁、その中でもとくに世間の期待が高かったポケモンの1匹がメタグロスである。無駄のない種族値にそこそこのS、広い技範囲を持つこのポケモンだが、特筆すべきは特性クリアボディである。
威嚇無効はさることながら、抜群を突いてくるダイアークとダイホロウの追加効果を無視でき、何より地均しのSダウンも無効である。つまり、味方の地均しで弱保起動とS操作を同時に行えるのである。
<イメージ>
メタグロス ダイマックス
↓
味方 地均し
↓
メタグロス 弱保発動
↓
相手2体はSダウン、メタグロスはクリアボディで無効化
↓
メタグロス 相手の上からダイマックス技で粉砕!
言うまでもなくめっちゃ強い。
しかしここで浮上してくるのが、
地均し要員誰にするか問題である。
え?肝心のグロスの論がない?誰か書いて下さい。
相方に求められる要素
まずは大前提として地均しを覚えること。
そして今回の地均しは弱保起動だけでなくS操作も兼ねている。そのためある程度高いSも必要である。
またこのようなギミック戦術にとっての天敵が、行動を阻害されることである。特に初手展開を狙う並びであるため、猫騙しと相手の初手ダイマ技によるワンパンが非常に辛い。特性や持ち物も考慮して、これらに耐性を持つポケモンが望ましい。
メタグロスはダイスチルとダイアースを連打して耐久を大幅に底上げできる一方、火力アップの手段に乏しい。そのため、削り残しを倒せる程度の火力、それも地均しのダメージを抑えるために特殊中〜高火力ポケモンが欲しい。
また相手の火力を削ぐ技を持っていればさらにグロスの延命が可能となり、立ち回りの柔軟さも増す。
これらの条件から注目したのがライコウである。
差別化
上記の条件を満たすポケモンとしては、ライコウ以外にもレイスポスが挙げられる。
レイスポスはライコウを上回るS130から鬼火を撃てる上、特性も相まって自身の火力も高いのが特徴である。
しかし、横に並べる前提のメタグロスの最も強い行動はダイマからのダイスチルである。素の物理耐久の高さも相まって、対物理においては弱点を突かれても余裕を持って殴り勝てる場合が多い。また鬼火は命中85と不安定であり、メタグロスを使っていると自分も相手も場に出すことが多いカプ・レヒレとの相性も悪い。
さらに、ライコウのS115からレイスポスのS130までの間のS種族値で、環境に存在するポケモンはエースバーンくらいである。これはそもそも対面したくない相手であり、上からの鬼火も通らないためSの高さによるアドバンテージはほぼないと言える。
一方のライコウは、怪電波という数少ないC2段デバフ持ちである。メタグロスの弱点をついてくる相手には特殊ATが多く、怪電波を連打するだけで相手を機能停止させ、強引な突破を狙える。
さらにこのポケモンは手助け(遠吠え)という火力補強手段を持つ。弱保手助けダイスチルは、等倍の並耐久ダイマであればワンパンできてしまうほどの破壊力を持ち、相手の鬼火やB上昇を誤魔化せるため非常に強力である。
また地均しという技は飛行タイプに無効であるため、本来この戦術は相手の飛行ATに不利を取りやすいが、ライコウは電気技をタイプ一致で打つことができる。それらに対してサポート枠で弱点を突くことで効率的な立ち回りができる。
以上の比較によりライコウの方が求められる役割により適していると判断し、考察を進めていく。
なお近しい性能を持つポケモンにエンテイがいるが、こちらはSが100しかない。これによりトルネロス(化身)の凍える風やライチュウのほっぺすりすり(ライコウなら無効)などによりサポートを阻害されやすく、リザードンレジギガスサンダー(ガラル)あたりと同族になるため処理が面倒になる。グロスとの攻めの相性が良く聖なる炎という強力な技を持つが、採用理由が若干変わってくるため除外。
またそのほかに結果を出した弱保起動要員としてはラティアスやトルネロス(化身)がいるが、猫耐性だけでも差別化は十分に可能。トルネに関してはこの論の最後に詳しく記載。
採用理由
持ち物
- 気合のタスキ
並程度の耐久しかないため、確実な行動保証が欲しい場合に採用。
※シリーズ8ではほぼタスキ一択
- シュカの実
いわゆる半減実。地面タイプの技を半減する。とくにグロスと並んだ時は放置されがちであり、まともな攻撃は地震くらいしか飛んでこないことが多い。そのためタスキを他に譲りたい場合候補に上がる。
特性
精神力で確定。
猫騙し無効がサポート役として非常に優秀。
技構成
- 確定技
地均し
仮想敵不特定
採用理由。弱保起動とS操作を兼ね備えた優秀な技。
怪電波
仮想敵 特殊アタッカー全般
Cを2段階下げる技。S115からの半減デバフは非常に強力であり、1発入れるだけで特殊アタッカーを機能停止させることができる。
10万ボルトorワイルドボルト
仮想敵テッカグヤリザードンサンダー(ガラル)カプ・レヒレetc.
一致安定打点であり、物理か特殊かの選択。選び方は後述。
- 選択技(優先度順)
手助け
隣のグロスの火力を瞬間的に引き上げることができる。高い優先度付きの行動であるため相手のS操作や先制技に左右されず、HP1からでも仕事ができるため強力。裏の特殊ATにもサポートができるなど汎用性では遠吠えを大きく上回る。
遠吠え
手助けとの選択。自分と味方のAを1段階ずつ上げられる。弱保発動後だと火力上昇幅は手助けには劣るが、こちらは永続的に火力を上げられること、隣が守るをしていても効果があること、自身の火力も上げられることなどから採用価値がある。
ボルトチェンジ
仮想敵不特定
不利対面で逃げたり、相手にとどめを刺しつつ速やかに裏のポケモンにつなぐための技。とくに地面技を誘うため、裏の飛行を合わせれば無傷降臨を狙える。
リフレクター
味方の被物理ダメージを軽減する。ダイスチルとは別枠の軽減なため、怪電波と合わせてグロスの延命に大きく寄与できる。
神速
仮想敵不特定
今作から覚えた優先度+2の先制技。火力は出ないが大抵の先制技より先に動けるため、タスキウーラオス(いちげき)等に有効。
バークアウト
仮想敵 特殊アタッカー全般
範囲デバフ技。タスキケアをしつつ火力を落とすことができ、ダイアークが打てるようにもなる。しかし冠で特性勝気負けん気を持つポケモンが急増し打ちづらくなっているためこの位置。
調整
- 基本型(カッコ内は物理型採用の場合)
臆病(陽気)
努力値 B4/C252/S252(B4/A252/S252)
実数値
H165/A-/B96/C167/D120/S183
(H165/A137/B96/C-/D120/S183)
B 余り、ダイスチル意識の偶数
CS(AS) ぶっぱ
シンプルにぶっぱ。
Bに余りを振ると味方がダイスチルを撃ったときの数値上昇が2増える。
特殊型の場合、出来るだけ地均しのメタグロスへの負担を落としたいためA個体値を下げる必要があるが、0〜11の間であればダメージは全く変わらない。相手のイカサマを気にしなければ一応妥協も可。
- シュカの実採用型(物理型は省略)
努力値 H12/B140/C100/D4/S252
実数値 H167/B113/C133/D121/S183
H 奇数
B 特化ランドロス(霊獣)ダイアース確定耐え
C 余り
D 端数
S 最速
シュカの実採用時、環境に多いランドのダイアースまで確実に耐えられるようにした調整。ダブル補正込みの地震を余裕をもって耐えられるため、スリップダメージ等にもある程度強くなる。
※意地グラードンの珠断崖までは確定耐え、手助け、鉢巻は中乱数(37.5%)
物理か特殊かの選び方と補助技について
技構成と調整の項で物理型も合わせて紹介したが、地均しのダメージや仮想敵への火力から基本的には特殊型を推奨したい。ではどういう時に物理で採用するのか、という話なのだが、その判断基準は暇な時に何をするかである。
ここまでを読んで薄々気付いた方もいるかもしれないが、このポケモンの最大の役割は地均しと怪電波を打つことであり、逆にいうとこれらを打った後は相手に電気弱点がいない限りやることがない。
技構成としては地均し/怪電波/一致技/@1で確定なのだが、このときの@1でなにをしたいかをパーティや立ち回りの好みによって選択して欲しい。
手助け、遠吠えは味方の火力補助、
リフレクター、バークアウトは耐久の補助、
ボルトチェンジ、神速は相手の処理と縛り
をそれぞれ重視した技である。ボルチェンは裏から威嚇を繰り出すことを考えると耐久補助の側面もあるかもしれない。
そしてこのとき、遠吠え(または神速)を採用した場合に物理型が候補に上がる。遠吠えをしたあとならワイルドボルトの方が火力が出るからである。またこのとき、飛んできやすいダイアースのD上昇でダメージが落ちなくなるのもポイント。
相性の良い味方、構築
地面技くらいしか飛んでこないため、基本的には飛行タイプとの縦の相性がいい。
またグロス自身もそうだが、威嚇を無効化できる物理アタッカーを複数採用すれば、対物理を威嚇のみに頼っているようなパーティに対して非常に強く出られる上に遠吠えが光る。
メタグロス
前提。攻めの相性も良好。
ランドロス(霊獣)
交代先としてタイプ、耐久ともに優秀。ただし単体地面技を覚えないため、グロスとの横の相性はさほど良くない。
飛行タイプを捨てれば、威嚇地面タイプで単体技を持つワルビアルなんかも一考。
ウーラオス(いちげき)(一撃)
メタグロスが苦手な悪タイプ、ゴーストタイプの両方に弱点をつくことができる。
サンダー(ガラル)
呼ぶ地面タイプ、というよりランドロス(霊獣)に強い裏エース。ダイマしてもしなくても強く、専用技の確定Bダウンにより積極的に役割集中を起こせる。
カプ・レヒレ
ウーラオス(いちげき)ランドロス(霊獣)や鬼火、催眠に強く、範囲水打点を確保できる。また瞑想で火力を確保したり癒しの波動でグロスの延命も図れる。
苦手な相手
サブアタッカーとしての運用なためとくに大きな問題はないが、ランドロス(霊獣)は割と面倒くさい他、避雷針持ちのドサイドンも動きが制限されるため相手にしたくない。
またトリル展開になると、メタグロスの方は中速なためあまり影響はないがライコウは置物になりがちなため、他で対策したい。
立ち回り
- 先発運用時
基本的には素直に地均しから展開していく。ただし相手に特殊ATがいる場合は怪電波を打った方が強い。
先発からグロスライコウを並べる判断基準は、予想される相手の初手にワンパンされないこと、そして初手ダイマで相手を最低2体落とせることである。
例えばファイヤー(ガラル)は一見タイプ不利に見えるが、実はライコウの怪電波により火力を大幅に落とした上で勝手に弱保を起動してくれるためカモである。相手が特殊ATの場合これが当てはまりやすい。
ランドロス(霊獣)入りに関しては、ダイマを切られても対面で勝つことは可能だが、こちらもかなりのダメージを負ってしまうためグレーゾーン。相手の裏にグロスの上から弱点を突いてくるポケモンが複数いる場合は控えるべき。
- 後発運用時
S操作が可能ではあるものの、飛行タイプには透かされる上に、倍率的に追い風には対抗しづらい。そのため、グロスライコウのフィニッシャー的な運用も選択肢に挙がる。
初手にサンダー(ガラル)などを置き相手の数を減らした上で、倒れた方にライコウを繰り出し、地均しや怪電波でメタグロスが暴れられる下準備をする。
このときできるだけ浮いているポケモンを先に倒せるように、またいざというときに先発のどちらかにダイマを切れるように意識して立ち回ると良い。
メタグロスと並んだ後は、タイミングを見計らって地均しから一気に攻める。なおライコウよりも速いポケモンがいれば、グロスは守りつつ地均しを1回多く撃つことでS関係の逆転を図る。
- 特殊な立ち回り
vsトリル
ライコウが置物になるため、ダイマを温存しつつ早めに弱保を起動しておく。1ターン目は相手2体をを生存させておき、裏のエースが出てきたらウォールとスチルorアースで時間を稼ぐ。エースが弱点を突いてきそうな場合は2ターン目にダイマで耐久をあげるのも一考。
なおエースを倒しさえすればグロスは遅めで動きやすいため、スイッチトリルが相手であれば気にせず殴っても良い。
vsウーラオス(いちげき)
出てくるのは基本的にダイマが切れた後。ライコウの裏にマジシャを持ったカプ・レヒレをチラつかせておく。守るを貫通してくるため、グロスにサイチェンを持たせると安定する。
(サイチェングロスはダイマで耐久が上がった後の壁役としても使えるためオススメ)
vsレジギガスマタドガス
クリアボディを消されてSダウンがグロスに入るが、そんなことは気にせず地均し+ダイスチル(ギガス方向)→手助け+ダイスチルが基本。
一度でもギガスにSダウンを入れておけば、裏のウーラオス(いちげき)やサンダー(ガラル)で上から殴れるため、この動きをすればライコウメタグロスのどちらが殴られてもアドが取れる。ドガスの1ターン目が鬼火であれば、2ターン目は身代わり+ウォール警戒でドガス方向にアース打つのもアリ。この時ライコウは手助け連打。
vsセキタンザン
ライコウが上から処理できないため、ダイウォール+怪電波から入る。2ターン目以降、ライコウが生き残っていれば手助けスチル等でもセキタンザンを落とせるため相手の裏に合わせて技を選択。
vsリザードン
出し負け。おそらくダントツの出し負け。
横がコータス以外で、かつCSタスキ持ちであればダイウォール+10万→グロス切り+10万。ブラストバーンではなく熱風持ちだったり、舐めてダイアースなんかを打ってきたらアド。10万が確2なので次のターンにリザを落とせる。裏にレヒレ等がいるならばダイマせずさっさとグロスを切っても良い。
物理タスキ持ちであれば、反動ダメを踏み倒すためにライコウにダイマを切るか怪電波で裏につなぐ。
コタリザは無理なので素直にエレキを出そう。
ダメ計
それぞれダメージの目安として分かりやすいもののみを記載する。これ以外は適宜推測、計算して頂きたい。なお確定欄の調整での値であり、物理型は割愛。
- 性格補正込み252振りを"特化"と表記
- 無振りは無表記で示す
- 範囲技は全てダブル補正込み
- 与ダメ
10万ボルト
リザードン 105.9〜125.5%、確1
H4テッカグヤ 80.9〜97.1%、確2
H252カプ・レヒレ 65.5〜78.0%、確2
ダイサンダー
リザードン 152.9〜180.4%
地均し
メタグロス 12.9〜15.5%
(ゴツメダメージより低いくらい)
レジエレキ 25.8〜31.0%、確4
- 被ダメ
特化ランドロス(霊獣)地震 116.4〜138.2%、確1
特化ウーラオス(いちげき)インファイト 86.1〜101.8%、低乱1
特化カイリュー130ダイジェット 47.3〜55.8%、高乱2
C252珠リザードン晴れサンパワー熱風 95.2〜113.3%、高乱1
C252テッカグヤ130ダイジェット 29.1〜34.5%、超低乱3
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【おまけ】メタグロスとソルガレオの比較
シリーズ8において、これまでのメタグロスとほぼ同じ動きをするソルガレオというポケモンが使われている。禁伝枠の都合上グロスの方が使用率は高いが、ガレオの方が"グロスらしい"動きをしていることが多い。
ただ実はこの2体、火力はほぼ同じである。A種族値は2しか変わらない。最も大きな違いはSの高さである。
ソルガレオはメタグロスよりも種族値にして27もSが高い。さらにH種族値が非常に高く、Hに68振るだけでグロスと同等の物理耐久を実現できるため、余りを全てSに回すことができる。実際は禁伝環境であるためもう少し耐久は欲しいが、このSの高さにより地均しとの相性はグロスよりも優れているといえる。そしてここに禁伝枠としてのソルガレオの採用理由がある。
現状そのサポート役としてはエンテイがメジャーである。ソルガレオが自分より遥かに速い相手にも上から殴りに行こうとするため、サポートにはSよりも耐久が求められることや、ウーラオス(いちげき)にタスキを譲れること、聖なる炎がウーラオス(いちげき)やボルトロス(化身)に刺さることなどが理由として挙げられる。
しかしライコウが使えないわけではなく、ここまでで述べてきた強みは伝説戦でも通用する。やはり怪電波が強力であり、バカ火力を出してくるカイオーガバドレックス(こくば)イベルタル等に対しても、守るを絡めて2回ほど入れられれば相性をひっくり返せる。これはエンテイのバクアではできない芸当である。またほぼチョッキ確定のエンテイは手助け(遠吠え)を使いづらいため、瞬間火力の高さはライコウに軍配が上がる。
【おまけ】弱保起動役としてのトルネロス(化身)のクソさについて
過去作ポケモンの解禁以来、グロスの相方として最もメジャーなのはトルネロス(化身)である。しかし私はこれに疑問を呈したい。
そもそもトルネの弱保起動技はぶん回すであるが、この技を採用することで(追い風は確定として)挑発凍風エアスラのどれかひとつを抜かなければならない。もうこの時点でトルネとして弱い。
そしてこのぶん回すという技がまた弱い。無効タイプこそないが追加効果もなく、謎に接触するため変なポケモンの特性に引っかかりもする。じゃあ追加効果が強い投げつけるならどうか、と思って試してみたが、タスキを持てない上にこの指にも弱くなるため論外だった。
また火力バフデバフを一切持たないのもつらい。ぶん回すと追い風はどちらか一方しかできないため、上から高火力で殴り倒せるまでに時間がかかる。これをデバフで誤魔化すということもできないため、結果的に撃ち合いに弱い。
そしてなによりも猫耐性、これがデカすぎる。そもそも悪戯追い風に対しては、猫+範囲技のような対策がメジャーである。これの対策に守る採用のトルネも増えているが、グロスの横にいれば当然そんな技スペもなく、環境上位のガオガエンゴリランダーイエッサン♀にあっさりやられてしまう。すると残るのは大した火力もでないグロスのみであり、適当に放置されてダイマが切れた後に殴られて負けである。弱い。
というわけでみんなライコウかエンテイかせめてレイスポスを使おう。
※トルネ自体が弱いと言っているわけではなく、グロスの相方としてのトルネが弱いという話です。