はじめに
第六世代で猛威を振るったファイアロー。しかし遂に鉄槌が下り弱体化されると第七世代ではめっきり見ない中堅になってしまいました。特性の満タン時への変更はその利便性、主に先制はねやすめによる耐久型の根本を崩すものでした。
しかし現在のレート環境は、バシャーモやメガフシギバナといった本来ファイアローが得意とするポケモンが暴れています。弱体化されたといえど、もともと高いSと工夫次第でどうにでもなる!ということを主軸にした育成論です。
- この育成論は対戦における立ち回りを理解している方向けです。
- 個体値はすべて31であることを想定しています。
- ある程度の用語、略称を用います。初心者解説は一番下で。
持ち物について
ヒコウZは反動なしの飛行技にすることで、高火力かつはやてのつばさを維持したまま次のターンにつなげるものです。
また、一度つるぎのまいを積んでしまえば少し耐久のある相手でも等倍受けできないほどの火力になり、サイクル崩壊を狙う抜きエースの役割も持てます。
性格について
いじっぱりで確定とします。高いSとはやてを最大限生かすためでもありますが、主に受けルを崩壊させられる火力を考えてのいじっぱりです。
努力値について
非常に大雑把ですが、はやて弱体化がされた以上、Sはぶっぱでないとスカーフや加速もちの役割対象に抜かれる相手が出てきます。火力も妥協できないのでAぶっぱ。
技構成について
ブレイブバード
タイプ一致120のメインウェポン。ヒコウZの元の技としても使います。
はやてのつばさで先制技で打てるのが強み。ただ、それを逆手に取られ、カプ・テテフのフィールド等で縛りにくるので、自分の選出に天候ダメージを与えられるポケモンを入れるか、役割対象にあと投げしてはやてのつばさをはがしておく立ち回りも重要です。
フレアドライブ
こちらも一致高火力技として。炎タイプとしての仕事もできるようにしています。一舞すればテッカグヤやメタグロスにも有利になれます。ブレバと合わせて確定枠です。
反動ありではやての対象外なので、前述のように意図的にはがしておきたいときにも使えます。
ニトロチャージ
威力控えめですが自身のSを上げられます。これにより、Sで勝っている相手に対してニトチャでとどめ→反動ないのではやてを維持したままSを上げてスカーフ対策に、という流れも作れるでしょう。
もともと反動なしの一致技がほしいという理由で採用しましたが、実際使ってみるとSを上げる効果の方がリザードン等に対しても有利になれるので便利です。
一応、交換対象枠。
つるぎのまい
A二段階上昇の定番積み技。これを使うことでZブレバで落とせる範囲が大幅に広がり、受けルにおいての物理受けすら突破する火力を出すことができるようになります。
交代読みで積んでしまえば、もともと高いSやはやてのつばさを盾に暴れることができます。
とんぼがえり
交代技。とんボルチェン戦術に組み込みたい時などに。
サイクルを回す役割も作れますが、タイプ不一致なことやむし技の通りが悪い、ステロを撒かれるとほぼ使用不可になるなどの理由で優先度は低め。
おにび
やけど補助技。後続の負担を減らすことができます。が、今回の育成論では全抜きも狙えるまさにその後続として使うので優先度は低め。
ただ、対面不利なスイクンやドヒドイデ等に固定ダメを与えたいときもあるため一考の余地あり。
ちょうはつ
起点回避用。ただ、こちらも積んでしまえば通りのよい飛行技で倒せる可能性もあるため、メリットを総合して考えると今回は外す判断に。
ステルスロックについて
ファイアロー対策だけでなく襷つぶしとして一般化されているステロは、ファイアローにとって非常に厄介です。
幸い撒いてくる面子は大体予測可能なので、受け出しをしない、ステロに強い補完ポケモンと一緒に選出するなど工夫しましょう。撒かれた場合でも後半の掃除役として使うことができたり、ヒコウZで特攻隊要員として使うこともできます。悠長に積んでられないのはデメリットですが、積まなくても結構火力が出ます。
与ダメージ()内剣舞時
ブレイブバード
無振りバシャーモ 140.6%〜167.7%(283.8%〜334.1%)
特化メガフシギバナ 55.6%〜67.3%(110.1%〜131.5%)
特化ジャローダ 67%〜80.2%(135.1%〜159.3%)
無振りガブリアス 47.5%〜56.2%(93.9%〜111.4%)
無振り霊獣ランドロス 55.4%〜65.8%(109.7%〜129.8%)
B252カプ・ブルル 82.7%99.3%(162.7%〜194.4%)
フレアドライブ
無振りメガルカリオ 128.2%〜150.3%(252.4%〜297.9%)
特化ナットレイ 112.7%〜132.5%(218.7%〜258.5%)
無振りドリュウズ 134%〜158.9%(265.9%〜314.5%)
特化メガハッサム 108.4%〜128.8%(212.4%〜253.1%)
H4メガメタグロス 74.3%〜89.7%(150%〜176.9%)
特化ギルガルド 53.8%〜64.6%(107.7%〜126.9%)
特化テッカグヤ 56.8%〜68.6%(114.7%〜135.2%)
特化エアームド 55.8%〜66.2%(109.3%〜130.2%)
ファイナルダイブクラッシュ(ヒコウZ)
守っている無振りバシャ 56.1%〜65.8%(112.2%〜131.6%)
威嚇込無振りギャラドス 61.7%〜72.9%(139.4%〜164.1%)
特化スイクン 41%〜49.2%(82.6%〜97.5%)
特化輝石ポリゴン2 34.8%〜42.1%(70.3%〜82.8%)
無振りメガリザY 104.5%〜123.5%(208.4%〜245.7%)
無振りメガリザX 78.4%〜92.8%(155.5%〜184.3%)
特化グライオン 44.5%〜52.7%(87.9%〜104.3%)
特化カプ・レヒレ 48%〜57.6%(96.6%〜114.1%)
特化ドヒドイデ 44.5%〜53.5%(88.5%〜105%)
終わりに
上記のダメージ計算を見ていただければわかるように、一度積んでしまえば受けルに対してすら大ダメージを与えられるアタッカーになりえます。等倍受け不可の抜きエースにすることで早めのサイクル崩壊を狙った育成論でしたが、どうでしょうか。
重要なのは岩技を受けないように立ち回ること、はやてのつばさがメリットなのかデメリットなのかを見極めどのタイミングではがすか考えることです。
弱体化をくらい使用者が激減したファイアローですが、環境に非常に刺さっており立ち回り次第では過去の栄光並みに活躍できるでしょう!
ここまで読んでいただきありがとうございました。
初心者向け用語解説
- 種族値、個体値、努力値
いわゆる三値と呼ばれるポケモン対戦において重要な数字。
種族値はそのポケモンの種類ごとの能力、個体値は同じポケモンの中でも差がある個々の能力(0を含め32段階あります)、努力値はそのポケモンがどういう敵を倒したかによって変わる能力値のこと。
- SやA
ポケモンのステータスの略称。攻撃がA、防御がB、特攻がC、特防がD、素早さがSと一般的に表記される。
- 性格補正
ポケモン個々にある性格によって能力値が左右される。本記事のいじっぱりは攻撃を上げて特攻を下げる性格。一般に性格によって上がる能力のことを「補正がかかっている」「補正あり」などと呼ぶ。
- 積み
積みとは、バトル中に能力値を上昇させることを指す。バトル時には各能力値にランクというものが設定されており、これを上げることを積み、それができる技を積み技と呼ばれている。本記事のつるぎのまいをはじめ、りゅうのまい、わるだくみといったものが代表的。
- サイクル崩壊
ポケモン対戦ではサイクル戦という、交代を前提とした戦術が普及している。例えば、物理に強いポケモンを物理技に対して出し、余裕をもって動くことができるため。特殊に対しても同じで、このようにタイプや技種類によって交代を繰り返すことからサイクルと呼ばれる。
サイクル崩壊とは、そのサイクル戦の中で、物理技で物理を受けに来たポケモンを倒すなど、サイクルが成立しなくなる状況のことを言う。たいてい、サイクルが壊れたトレーナーは削りあいに負けて敗北の可能性が高くなる。
以上、ありがとうございました。
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