エレザード - ポケモン育成論ORAS・XY

この育成論ではHP、攻撃、防御、特攻、特防、素早さをHABCDSという略称で呼びます。また、ポケモン名等についても、略称を用いることがあります。ダメージ計算はトレーナー天国様のツールを用いて行い、ことわりのない限り理想個体を想定しています。また、すでにサンパワーエレザードの育成論がありますが持ち物が違うのでフォークはしないことにしました。

　xy初登場のポケモンです。初の電気・ノーマルという特異なタイプを持っていたり、ランターン以外では電気タイプ初の水無効特性を持っていたりと地味に新要素の多いポケモンです。そのような特徴と高いSや広範囲があいまって、レートでも使用率トップとはいかないものの、カロス新ポケモンの中ではまだ使われているほうかと思います。
　今回は晴れパのアタッカーとして考察するため、一般的な乾燥肌型ではなくサンパワー型の方を紹介していきたいと思います。

　採用理由:サンパワーだからというだけでは多分分かりにくいかと思いますので、2点ほど他の晴れアタッカーよりも優れている点を説明していきたいと思います。なお、以降「晴れアタッカー」という言葉を使う場合、特性に葉緑素かサンパワーを持つポケモンのことを指すことにします。
　まず、第一に晴れアタッカーで唯一、火力のある交代技ボルトチェンジを使える点です。サンパワーエレザードは耐久の種族値が低く、繰り出し範囲も優秀ではない上、サンパワーや珠でHPも相当削れるので、相手の攻撃をもらう前に一撃で倒さないと返り討ちに合います。しかし、後のダメ計でも示すようにエレザードは素のCがさほど高くないので、少し特殊耐久がある敵になると珠サンパワー10万でも確一にできません。そこで、ボルトチェンジを選択することにより、大きな負荷をかけつつ、エレザードを手元に残し、再登場時の無天候10万で倒しにいったり、後発のポケモンでの処理が楽になったりします。また、天候特性が5ターンになった現在、晴れ下に蜻蛉や交換読み交換などで丁寧に出してやろうとすると、残り晴れターンが1〜2ターンになることも多々あるので、晴れ終了した次のターンでボルトチェンジで相手に負荷をかけつつ、晴れ始動要因にもう一回晴らしてもらうといった芸当も可能となります。
　以上の内容だけでは、ボルトチェンジで負荷をかけられる利点はあるものの、その原点は耐久がないが故、攻撃の試行回数が稼げないところから来ているとも捉えることができます。そのような考え方からいくと、単純にある程度耐久がある葉緑素ナッシー等を採用した方がよいように思えます。そこで挙がるのがもう一つの利点で、単騎選出時や無天候時での汎用性です。エレザードはそこそこの火力で、S種族値109からの電気＋氷＋格闘という非常に広い範囲で攻めることができます。具体的には
ガブリアス
バンギラス
グライオン
ヒードラン
スイクン
サザンドラ
ギャラドス
エアームド
マリルリ
メガリザy
といったメジャーどころに刺さっていて汎用性の高さが伺えます。もちろん、技構成的に晴れていないときはボルトロスやそれこそ乾燥肌エレザードの劣化に近いですが、単騎選出ができるというのは非常に大きいです。理由は、従来の高火力天候パーティーであったトノグドラやカバドリはグドラやドリュが2体同時選出以外では繰り出しにくいため、どうしてもパーティー構成や選出が表裏の2択になりがちでした。その点エレザードは、晴れ要因（基本は単体性能の高いメガリザY）もエレザードも単騎選出がしやすいため、パーティー構築や選出もほぼスタンのような感じで扱え、エレザードを採用したせいで、パーティーに大きく負担をかけるということが少ないです。
　以上より、サンパワーエレザードを簡潔にまとめてみると、

1. 晴れ時中盤での高火力ボルチェン等による負担かけ
2. 相手が削れた終盤での範囲or晴れによる全抜きエース
3. 広い技範囲による汎用性の高さ

になるかと思います。

　まず、代表的な高火力電気タイプポケモンも含めた電気技の火力指数を並べてみたいと思います。火力指数とは攻撃(特攻)、技の威力、そして道具や技による補正の積によって表わされるものです。なお、全てC252で計算してあり、エレザードはもちろん臆病を想定しています。

サンパワーメガネエレザード十万 48903
控え目メガネ霊獣ボルトロス十万 43740
サンパワー珠エレザード十万 42383
控え目メガネサンダー十万 39285
サンパワーメガネエレザードボルチェン 38036
控え目メガネ霊獣ボルトロスボルチェン 34020
サンパワー珠エレザードボルチェン 32964
無天候メガネエレザード十万 32602
控え目メガネサンダーボルチェン 30555
控え目スカーフ霊獣ボルトロス十万 29160
無天候珠エレザード十万 28255
無天候メガネエレザードボルチェン 25357
控え目スカーフ霊獣ボルトロスボルチェン 22680
無天候珠エレザードボルチェン 21976

晴れ下限定とはいえ、臆病かつ珠のエレザードが控え目メガネ準伝達と比べても遜色ない火力を出せていることが分かります。エレザードの持ち物を珠にした場合、霊獣ボルトロスとは晴れ下でもやや火力が劣るものの臆病S109という素早さと技の打ち分けができること、サンダーとはそれに加えて晴れ下での火力で差別化できています。持ち物をメガネにした場合は単純に晴れ下での火力で勝ることと素早さで差別化できています。ちなみに、スカーフ霊獣ボルトロスは計算してみたら無天候時の火力に割と近かったので載せてあります。

S激戦区から1歩抜きんでている上、上から殴られることをできるだけ防ぎたいので、臆病で確定です。

サンパワー型の考察です。

珠かメガネのどちらかです。以下にそれぞれの利点についてあげます。

• 珠

撃ち分けが可能なので、サブウェポンが使いやすく、単騎選出時や無天候時でも扱いやすい。反面、珠+サンパワーで最大HPの22.5％も削れたり、メガネと比べると今一歩火力が足りない場面が生じる。（後者はボルチェンで補うことができる。）

• メガネ

サンパワー時の10万の火力が魅力で、相手に一貫性がある時はとことん強い。反面、拘るのでサブウェポン（特にめざ氷）が撃ちにくく、単騎選出や無天候での汎用性がかなり落ちてしまう。

めざ氷理想個体31-偶-30-31-31-31を想定していることに注意してください。
CSぶっぱで、余りをD(Hに振ると偶数になるので一応)に振ります。特攻も素早さもギリギリなので、これが無難かと思います。

• 確定技

10万ボルト
安定した電気技。ボルチェンよりも火力に優れるのでやはり持っておきたいです。雷は晴れ時に命中率が50％に落ちるのであり得ません。

ボルトチェンジ
サンパワーエレザードが器用に立ち回るために必要な技。不利対面でもこれで一旦逃げることで火力を上乗せできます。

めざ氷
電気技との相性補完に優れ、対ガブ意識の技。これで襷、スカーフ以外のガブには勝てるので、こちらに襷、スカーフに強いポケモンを入れておくと使いやすいかもしれません。

• 選択技

気合い玉
筆頭候補。命中に難がありますが、紙耐久なので、できる限り広く殴れるようにしたいという考え方とは非常にマッチしています。また、前作ほどではないものの晴れパの苦手なバンギラスにも刺さるのもありがたいです。この技とストーンエッジを使うときだけはヤーティ神にお祈りするのが日課です。

草結び
水・地面勢への有効打。

へびにらみ
地面タイプにも通る電磁波。このポケモンでの全抜きが不可となった時に後続サポートのために打つ使い方になると思います。ノーマル技ですが、ゴーストタイプにも通る仕様になっています。

• 与ダメ

エース的要素もあり、不特定多数に技を打つ場合が多いので、何を載せるか悩みますがとりあえずメジャーどころを載せます。メガネは10万限定で、中乱1になるという部分のみ載せていきます。50音順に並べたので、印刷して対戦中に目安(カンペ)としても利用できます。サンパワー無/有で並べています。なお、バンギのダメ計はサンパワー無の場合は砂補正込で、サンパワー有の場合は砂補正なしで行っています。

• 10万ボルト

H4メガガルーラ 49.7%〜59.1%/73.4%〜86.7%
H4メガギャラドス 83.6%〜100.5%/124.5%〜147.3%
H252ギルガルド 38.3%〜44.9%/56.8%〜67.6%
H252メガサナ 40%〜47.4%/58.8%〜69.7%
H4シャンデラ 71.3%〜83.8%/105.8%〜126.4%
H252スイクン 76.8%〜91.7%/114.4%〜135.7%
H4トゲキッス 98.7%〜118%/147.2%〜174.5%
H252ナットレイ 21.5%〜25.9%/32%〜38.6%
H252マリルリ 102.8%〜121.7%/154.5%〜182.1%
H252ハッサム 60.4%〜71.1%/90.3%〜106.2%
H252バンギラス 28.9％〜34.2％/43.4%〜51.6%
H252ヒードラン 43.4%〜51%/63.6%〜75.2%
H252メガヘラ 46.5%〜55%/68.9%〜81.2%
H4ボルトロス 69%〜81.2%/103.2%〜121.2%
無降りメガリザY 103.9%〜124.1%/154.9%〜183.6%
H252水ロトム 54.7%〜64.3%/80.2%〜94.9%

• ボルトチェンジ

H4メガガルーラ 38.6%〜45.8%/56.9%〜67.4%
H4メガギャラドス 65.4%〜78.9%/97%〜115.7%
H252ギルガルド 30.5%〜35.9%/44.3%〜52%
H252メガサナ 31.4%〜36.5%/45.1%〜54.2%
H4シャンデラ 55.1%〜66.9%/83%〜98.5%
H252スイクン 60.3%〜71.4%/87.9%〜105.3%
H4トゲキッス 77.6%〜91.9%/113%〜135.4%
H252ナットレイ 17.1%〜19.8%/24.8%〜30.3%
H252マリルリ 80.1%〜95.6%/120.7%〜142.9%
H252ハッサム 46.8%〜55.9%/70.6%〜83.6%
H252バンギラス 22.7％〜27％/49.7%〜58.9%
H252ヒードラン 33.3%〜39.8%/50%〜59%
H252メガヘラ 35.2%〜42.2%/52.9%〜63.1%
H4ボルトロス 53.5%〜63.8%/80.6%〜95.4%
無降りメガリザY 81.1%〜96.1%/118.1%〜141.5%
H252水ロトム 42%〜50.3%/63%〜74.5%

ここで一旦まとめてみますと、(H252とかは省きます)

• 無天候10万で高乱数以上

マリルリ、メガリザY、H4トゲキッス

• サンパワー10万で高乱数以上

メガギャラ、H4シャンデラ、スイクン、H4ボルトロス

• サンパワーボルチェン+無天候10万で高乱数以上

H4メガガルーラ、ハッサム、メガヘラ、水ロトム

となり、ボルチェンがあると等倍で比較的耐久のあるアタッカーまで対応できることが分かります。残りのうち、ナットレイ、バンギラス、ヒードラン、そしてダメ計は挙げていませんがサザンドラは全て気合い玉によって対処が可能です。さすがにメガサナとかになると、上記のパターンでは落としきれず、ステロ+サンパワー10万+無天候ボルチェンくらいが必要となってきます。もちろん、火力的な意味で書いただけなので、メガガルーラとかは猫、不意打ち持ちなので苦手です。

おまけ
メガネ10万で中乱1以上になるダメ計
H252ハッサム 69.4%~81.9%/103.3%~122%
H252水ロトム 61.7%~73.2%/91.7%~108.9%

• めざ氷

D4ガブリアス 99.4%〜119.1%
H252カバルドン 48.3%〜58.1%/72.5%〜86%
H252グライオン 111.5%〜131.3%

• 気合玉

H4サザンドラ 103.5%〜122%
H252ナットレイ 77.3%〜91.7%
事前にサンパワーボルチェンが入っていれば落とせます。

H252バンギラス 102.8%〜123.1%
H252ヒードラン 76.2%〜90.4%/113.1%〜133.8%
これ+ボルチェンか、実はサンパワー十万+無天候ボルチェンでも落とせたりする。

• 草結び

HD特化トリトドン 59.6%〜71.5%/90.8%〜107.3%
H252ラグラージ 113%〜133.3%

• 被ダメ

A252↑根性未発動ブシンマッパ 97.8%〜115.3%
A252↑マリルリアクアジェ 51%〜61.3%
A252メガガルーラ猫だまし 41.6%〜48.9%/ 19.7%〜24%
A252↑ハチマキハッサムバレパン 51.8%〜61.3%
A252↑ハチマキファイアローブレバ 74.4%~88.3%
S振りならフレドラがくるので普通に死にます。

C252ボルトロス10万 28.4%〜33.5%
C4スイクン熱湯 31.3%〜37.9%
C252↑トゲキッスマジシャ 54.7%〜64.2%

基本攻撃は受けたくないので、申し訳程度でとどめておきます。簡単にいうと、物理方面はものすごく紙で、特殊方面は高速アタッカーとしてはそれなりに高いといった感じです。しかし、珠やサンパワーダメがあるので過信は禁物です。

　理想的には、まず、中盤に蜻蛉や交換読み交換、もしくは死に出しなどによって場に出してやり、控え目メガネサンダーをも凌ぐサンパワーボルチェンを中心として相手パーティに負担を掛けていきます。この時、有利対面でなくなるまでは十万・めざ氷・気合玉を打って、不利対面になったらボルチェンを打つのが良いでしょう。そして終盤では晴れが終わっている代わりに相手パーティが削れているので高いSと広い範囲を生かしてごり押します。つまり、中盤は電気技中心にメガネサンダーのように負担をかけつつ、終盤は拘っていないのでメガネサンダーのように電気の一貫性を作ることができなくても押し切ることができるということです。もちろん、残りHPの管理やメガリザYの温存次第では終盤でも晴れ状態で暴れることも難しいですが可能です。
　また、相手パーティにエレザードの攻撃範囲がぶっ刺さっていることも結構あるので、その場合は単騎選出でも十分に活躍してくれます。そして、ブシン・ガッサ・メガガルーラのような一撃死レベルの先制持ちやS110以上のこちらへの有効打持ちがいる場合に選出する場合は、全抜きは難しいので、より中盤での負担かけに専念した立ち回りを意識しましょう。

メガリザY
晴れ要因兼高火力アタッカー。単体性能が高い点、エレザードの苦手な地面や格闘を無効or半減でき、相性補完がそこそこな点でキュウコンよりも大きく勝っています。

ハッサム
蜻蛉ルチェン。とんぼ返りの負担と終盤での抜きの両方を両立できるハチマキがオススメです。イメージとしてはとんぼ返りとボルチェンで負担をかけて、片方が倒れたらもう片方で全抜きを狙うという感じです。

ゴツメクレセリア、カバルドン
エレザードやメガリザYが苦手なメガガルーラやガブリアス(主に、タスキ・スカーフ)を比較的安定して受けることができます。クレセリアは耐久種族値がすごいので、安定感があります。ただし月の光の回復量アップにはあまり期待しない方がいいです。カバルドンは耐久は劣るものの、昆布で削るサポートを行ったり、中途半端な晴れターンを解除したり、ギルガルドにもある程度対抗できる点が優秀です。

なお、twitter(捨て垢)の方にサンプルパーティが載っていますので、そちらもよければご参考ください。

LZEW-WWWW-WWW5-6B2R
in 晴れ過剰まあ、改良してからはマンダ解雇しちゃいましたが。サンパワーめざ氷＋サンパワー十万でミトムを倒し、カバルドンに砂にされてからは技範囲で適当に押し切っています。ちなみに計算でもH252ミトムが上記技で高乱数で落ちるので、急所じゃなくてもいけてます。

WM2G-WWWW-WWW5-H7YC
エレザードは実質一回攻撃しただけですが、サンパワーボルトチェンジによって、相手の残飯ヒードランを臆病メガリザYのめざ地圏内に入れることに成功しています。なお、この試合のように、守るをされると体力と晴れターンが同時に削られて面倒です。

　いかがでしたでしょうか。xyでは常に晴れを保つことは非現実的なので、一試合の中でも晴れ高火力を利用する場面と、無天候状態で範囲で頑張る場面の2つが合わさってこその強さなので、フルアタにしてはかなりトリッキーな立ち回りとなります。汎用性では準伝電気に劣るかもしれませんが、メガリザY入りのパーティでは一つの有意義な選択肢になっているのではないかと思います。

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