当育成論では、非公式である、ユーザー間で生まれた用語や表記を使います。
不明な用語は、基本的には検索サイトで“ポケモン_○○”のように調べてください。
全てのプレイヤーがロジックに忠実な行動を取っているわけではない、という考えから、悪いパターンも想定した机上の空論で安定行動を模索していきます。
当育成論は同一育成論内において複数のポケモンを取り扱います。種族ごとに区切るのではなく広い視野を持ち、同じ役割の他種族を構成違いという見方で考察していきます。それぞれの特色を見比べて最適な“構成”を選んでください。
採用条件
「このポケモンをこのような理由で採用する」ではなく、「この採用条件に当てはまるポケモンはこれら」という切り口から論を展開していく。今回提示する条件は以下。
◎条件:でんき耐性(無効)+とんぼがえり+一定未満の素早さ
でんきタイプの技には、通常の攻撃技とは異なる対策が必要なボルトチェンジやでんじはがある。それらを扱うポケモンに対して不利になりやすいポケモンからの交代先であり、さらに無償降臨サポートができるポケモンを探す。
《でんき耐性(無効)》
でんきタイプのポケモンや技に対して後出し回数を確保できる耐久。でんきタイプの技を無効化できることを前提とする。
特性によるタイプ無効は、かたやぶり(メガデンリュウ等)に注意。
《とんぼがえり》
相手のボルトチェンジによるサイクル回しを阻害しつつ、こちらはとんぼがえりを後攻で使うことで流れを操作する。相手が交代しようがしまいがその場に合わせて有利なポケモンを無償降臨させることができる。
同じように相手に無効化されては意味が無いため、ボルトチェンジではなくとんぼがえり、あるいはバトンタッチを覚えられるポケモンでなければならない。
《一定未満の素早さ》
上述のとんぼがえりを後攻で使うためには、相手のポケモンより素早さが劣っている必要がある。当育成論では、PGLのポケモンランキングに何度もランクインしているロトムを下回ることを最低限想定する。
(※フォルムチェンジロトム無補正性格/個体値31/努力値0⇒実数値106)
これらを満たせるポケモンはいくつか存在する。
選考
- 指定
△役割対象を明確にする上で、でんきタイプのポケモンを最大仮想敵に掲げる。でんきタイプのポケモンは特殊に偏っており、何度も後出ししたいため、ステータスはHPと特防へ極振り+端数自由とする(調整は考察しないので各自に任せる)。
△持ち物は耐久を底上げする物のみを扱う。オボンのみ(+25%)、とつげきチョッキ(+50%)の二点が候補であり、攻撃技のみを採用する構成ではとつげきチョッキが有力だが、補助技を採用する構成ではオボンのみで確定。居座らない立ち回りをすることや即効性が求められる場面があるためたべのこしは候補外。
△各交代技の特徴に関して意識を共有しておきたい。
・とんぼがえり - タイプでは無効化されない。攻撃技であるためまもるやみきりを使われると交代できない。相手のHPを削りながら交代できるが、接触技なのでゴツゴツメットやさめはだでダメージを受ける。
・バトンタッチ - とつげきチョッキを採用できず、ちょうはつにも弱い。相手のまもるやみきりは無視できる。能力ランクを引き継ぐため、いかくで攻撃が下がると引き継いでしまう。
・ボルトチェンジ - 後述のようにタイプ一致で威力が高いが、タイプや特性で無効化されることがある。非接触なのでゴツゴツメット持ちや接触発動特性に対してデメリットが生じない。場面によって使い分けられるのでとんぼがえりやバトンタッチと同時採用する意味がしっかりとある。
- 足切り
パチリス/エモンガ/ボルトロス(れいじゅうフォルム)
/フライゴン/グライオン/ランドロス/ホルード
/サンダース/プラスル/マイナン
後攻蜻蛉の性質上、命中安定の攻撃技で4倍弱点を突かれやすいポケモンは運用に向かないためフライゴン、グライオン、ランドロスを切り捨てる。
でんきエンジンが発動すると素早さが上がるエモンガ、素早さ種族値が著しく高いサンダースは、パワーリストを持たせるかレベル調整をしなければ素早さの条件を満たすことができない。そうするとプラスルを下回るほどに耐久が乏しくなる。後攻蜻蛉役として採用するのは不相応であると判断して切り捨てたい。耐久の低さに目を瞑ればそれぞれ、素早さの上昇を後攻バトンするエモンガ、あくびやいやしのすずを使えるサンダースと考察の余地はある。
- 目録
●パチリス
でんき耐性:ちくでん
交代技:とんぼがえり
種族値:60-45-70-45-90-95
素早さ:最遅 90 ~ 無補正無振り 115
HD指数:26,052(32,448/39,078)
技候補:ボルトチェンジ/いかりのまえば/ほっぺすりすり/でんこうせっか/どくどく/ひかりのかべ/他
●ボルトロス
でんき耐性:ちくでん
交代技:とんぼがえり
種族値:79-105-70-145-80-101
素早さ:最遅 95 ~ 無補正無振り 121
HD指数:26,970(33,640/40,362)
技候補:ボルトチェンジ/10まんボルト/きあいだま/ヘドロばくだん/はたきおとす/ちょうはつ/他
●ホルード
でんき耐性:じめんタイプ
交代技:とんぼがえり
種族値:85-56-77-50-77-78
素早さ:最遅 74 ~ 無補正無振り 98
HD指数:27,072(33,840/40,512) ※ほおぶくろの推定HD指数42,864
技候補:じしん/やつあたり/はたきおとす/でんこうせっか/いかりのまえば/イカサマ/どくどく/リサイクル/他
●プラスル
でんき耐性:ひらいしん
交代技:バトンタッチ
種族値:60-50-40-85-75-95
素早さ:最遅 90 ~ 無補正無振り 115
HD指数:23,213(28,912)
技候補:ボルトチェンジ/ほっぺすりすり/どくどく/アンコール/わるだくみ/ねがいごと/ひかりのかべ/他
●マイナン
でんき耐性:ちくでん
交代技:バトンタッチ
種族値:60-40-50-75-85-95
素早さ:最遅 90 ~ 無補正無振り 115
HD指数:25,050(31,200)
技候補:ボルトチェンジ/ほっぺすりすり/どくどく/アンコール/わるだくみ/ねがいごと/ひかりのかべ/他
○エモンガ
でんき耐性:でんきエンジン
交代技:とんぼがえり/バトンタッチ
種族値:55-75-60-75-60-103
素早さ:最遅 97 ~ 無補正無振り 123
HD指数:19,926
技候補:ボルトチェンジ/はたきおとす/ほっぺすりすり/どくどく/アンコール/ちょうはつ/ひかりのかべ/はねやすめ/他
○サンダース
でんき耐性:ちくでん
交代技:バトンタッチ
種族値:65-65-60-110-95-130
素早さ:最遅 121 ~ 無補正無振り 150
HD指数:27,692
技候補:ボルトチェンジ/10まんボルト/どくどく/あくび/ほえる/ねがいごと/いやしのすず/ひかりのかべ/他
- 素早さライン参考
誰を抜きたいか、誰に抜かれたいかでどこに調整するかが変わる。個体値の妥協採用ラインが人によってまちまちなため、特に準伝説を意識する場合は想定より遅い可能性も頭に入れておく必要がある。
特記無い限りは無補正性格/個体値31/努力値0
106 → フォルムチェンジロトム
105 → クレセリア/スイクン/個体値0サンダー
104 → 最遅ボルトロス(けしんフォルム)
102 → 準速50族
101 → ギャラドス
100 → 80族
x94 → のんきスイクン
x93 → 最速ソーナンス
x90 → 70族/個体値0クレセリア
x87 → ランターン
x81 → 最遅ロトム
x80 → ジバコイル
x75 → デンリュウ
x65 → メガデンリュウ
運用
- 役割対象
まずは客観的な視点で考察するために、PGLの統計データからおさらいする。環境が不安定なシーズン7を除いたORASリーグ各シーズンのポケモンランキング上位12匹、加えて12匹それぞれの『一緒に手持ちに入れられているポケモンTOP10』『このポケモンが倒したポケモンTOP10』『このポケモンを倒したポケモンTOP10』に掲載されているポケモン統べ36匹を分類していく。
でんきタイプ
ボルトロス(けしんフォルム)/ウォッシュロトム/サンダー/ライコウ
でんじは(へびにらみ)がランクインしている
クレセリア/ポリゴン2/ジャローダ/ナットレイ/ギャラドス
特殊偏重
ゲンガー/スイクン/ウルガモス/サザンドラ/ヒードラン/ニンフィア/サーナイト
物理特殊偏りが小さい
ギルガルド/ボーマンダ/ゲッコウガ/リザードン/ルカリオ
物理偏重
ガブリアス/ガルーラ/バシャーモ/ファイアロー/ランドロス(れいじゅうフォルム)/マンムー/クチート/マリルリ/ドリュウズ/バンギラス/カバルドン/キノガッサ/カイリュー/ヘラクロス/ローブシン
この中で、『物理偏重』に分類したポケモンは基本的に全て役割対象外となる。『物理特殊偏りが小さい』は技構成次第となるため、選出画面の時点では役割対象外。『特殊偏重』のサーナイトやニンフィアはサイコショックを覚えていることがあり、ヒードランはどくどく+みがわり戦術が多用されるポケモンなので別途対策必須。『でんじは〜』ナットレイ、ギャラドスは物理型が多いため役割対象として見るのは難しい。
以上から、挙げたうちのおよそ1/3は役割対象として見ることができそうである。ここに掲載されていないポケモンも、同じように分類してみることで役割対象を明確にしていくことができる。
ただし、この“役割対象”は、自身で突破することが可能とは定義しない。
- 役割
- でんき受け(流し)
- 後攻蜻蛉
- 削り
- (麻痺による機能停止)
これらを満たすことを役割遂行とする。
特殊全般を役割対象と捉えられるのはでんき受けのためのHP特防極振りによる副産物であり、選出機会を損失させないための措置である。
- 構築
HP管理が必要、後出し性能が低い、麻痺状態で機能停止するといった欠点がありながらも制圧力の高いポケモンを無償降臨させる目的で採用することになる。
メガガルーラ/メガボーマンダ/メガルカリオ/メガゲンガー/ファイアロー等をエース枠、エアームド/ヤドラン/ジャローダ等をゴツメ枠として採用しているパーティには補完として組み込みやすい。
クッション役が突破された際のリカバリーまで考慮するなら、手負いのボルトロスからいたずらごころでんじはを受けずに(先制技等で)トドメを刺せるポケモンがいるのが望ましい。
- 立ち回り
役割対象へ後出しし、とんぼがえりを使うことを基本とする。居座られたら上から縛れるエースを無償降臨させるか、それが可能でなければ再度後出しする。
戦況、相手が取った行動に応じて削り技、サポート技を混ぜていき、エースが制圧できるよう場を整えていく。基本的に交代読みに限られる技(あまえる等)は使わない。交代を読むのであればとんぼがえりで全て事足りるため、リスクを伴う交代読み技を使う必要は無い。相手が居座っても交代しても状況が悪化しないよう、一貫性を意識した技選択が大事だと考える。
役割対象外と撃ち合う性能を持たせないので、釣り交代には特に気をつけたい。
- 採用候補
◆単タイプバランサー - パチリス
役割対象から弱点を突かれにくく、バランスよく役割をこなしてくれる。タイプ相性上エアームドと受け回すのに向いている。
攻撃種族値こそ低いものの変則的な攻撃技で4枠埋まるので無理なくとつげきチョッキの技構成を組むこともできる。一貫性の高い削り技としていかりのまえばがあり、ほっぺすりすりでサポートも可能。みがわりに弱いので後続で対策必須。
オボンのみ+わるだくみボルトロスの単体突破を安定させることを考えるなら、どくどくの採用を推奨する。
サンプル
ステータス:167-66-90-65-156-103
特性/持ち物:ちくでん/とつげきチョッキ
技構成:とんぼがえり/ボルトチェンジ/いかりのまえば/ほっぺすりすり
耐久指標(補正無し/とつげきチョッキ)
C177ボルトロス-きあいだま
→ 51~61/34~41 (31%~37%/20%~24%)
C172ウォッシュロトム-ハイドロポンプ
→ 69~82/46~55 (41%~49%/28%~33%)
C194サザンドラ[x1.5]-りゅうせいぐん
→ 136~162/93~109 (81%~97%/56%~65%)
火力指標
とんぼがえり 183-116ガブリアス
→ 16~19 (7%~9%)
ボルトチェンジ 186-101ボルトロス
→ 25~31 (16%~20%)
◆ジャローダに強い駒 - ボルトロス
総合種族値が高く腐りにくい。タイプ相性上ヤドランと受け回すのに向いている。
10まんボルトやボルトチェンジで削り性能も確保されておりスイクンに強く、はたきおとすによりクレセリアのゴツゴツメット、ポリゴン2のしんかのきせきを落として弱体化させることもできる。
ひこうタイプがあることでじめんの一貫性を切れるほか、ヘドロばくだんを採用することでジャローダの単体突破も狙える。デメリットとしてはステルスロックやこおりタイプの技が2倍であり消耗しやすい。
サンプル
ステータス:186-125-90-166-145-105
特性/持ち物:ちくでん/とつげきチョッキ
技構成:とんぼがえり/10まんボルト/はたきおとす/ヘドロばくだん
耐久指標(補正無し/とつげきチョッキ)
C177ボルトロス-めざめるパワー(こおり)
→ 56~68/38~46 (30%~37%/20%~24%)
C172ウォッシュロトム-ハイドロポンプ
→ 75~88/51~60 (40%~47%/27%~32%)
C194サザンドラ[x1.5]-りゅうせいぐん
→ 147~174/99~117 (79%~94%/53%~63%)
C127ジャローダ-リーフストーム
→ 33~39/21~26 (18%~21%/11%~14%)
火力指標
とんぼがえり 183-116ガブリアス
→ 29~35 (13%~16%)
10まんボルト 186-101ボルトロス
→ 84~100 (45%~54%)
ヘドロばくだん 182-116ジャローダ
→ 98~116 (54%~64%)
◆ゴーストの一貫性を切る - ホルード
唯一でんきタイプではなくじめんタイプとして候補に挙がっているが、ウォッシュロトムのハイドロポンプ、ボルトロスのきあいだまと命中不安定ながらも威力の高い技が弱点になっているため及第点といったところ。ゲンガー、ギルガルドに対して比較的強め。でんきタイプではないのでへびにらみに耐性が無い。
特性をほおぶくろにするかちからもちにするかで方向性が変わる。ほおぶくろはオボンのみ確定で場持ち重視。リサイクルを覚えさせることでゴツゴツメット持ちに疲弊させられにくくなる。ちからもちは相手にかける瞬間的な負荷を上げることで、すみやかにエースの一貫性を作る。
いかりのまえば、はたきおとすを両立できるため削り、サポートとしての性能は高い。また、他と比べて物理耐久が比較的高めなので本来とは別の用途でも行動回数を確保しやすい。
サンプル
ステータス:192-77-97-x-141-89
特性/持ち物:ちからもち/とつげきチョッキ
技構成:とんぼがえり/じしん/はたきおとす/いかりのまえば
耐久指標(補正無し/とつげきチョッキ)
C177ボルトロス-きあいだま
→ 114~136/78~92 (59%~71%/41%~48%)
C172ウォッシュロトム-ハイドロポンプ
→ 152~182/102~122 (79%~75%/53%~64%)
C194サザンドラ[x1.5]-りゅうせいぐん
→ 153~180/102~120 (80%~94%/53%~63%)
C222メガゲンガー-きあいだま
→ 144~170/96~144 (75%~89%/50%~59%)
A222ギルガルド-せいなるつるぎ
→ 156~184 (81%~96%)
火力指標
とんぼがえり 183-116ガブリアス
→ 35~42 (19%~23%)
じしん 167-101メガゲンガー
→ 174~206 (104%~123%)
じしん 167-170ギルガルド
→ 102~122 (61%~73%)
◆後続の抜きサポート特化 - プラスル
耐久を見ると最も低く、場持ちはよくない。唯一特性がひらいしんであることに加えてバトンタッチを採用するので、特攻上昇を引き継ぐことを目的に採用することになる。ほっぺすりすりやどくどくで状態異常を撒きやすいためたたりめゲンガーと組みやすい。
サンプル
ステータス:167-63-60-106-139-104
特性/持ち物:ひらいしん/オボンのみ
技構成:バトンタッチ/ボルトチェンジ/ほっぺすりすり/どくどく
耐久指標
C177ボルトロス-きあいだま
→ 58~69 (35%~41%)
C172ウォッシュロトム-ハイドロポンプ
→ 76~91 (46%~55%)
C194サザンドラ[x1.5]-りゅうせいぐん
→ 153~181 (92%~108%)
◆補助技が多様なパチリス - マイナン
覚える技はプラスルとほぼ同じで、耐久はパチリスに劣る。ちくでんによる場持ちとパチリスにはない補助技を求めた折衷案となる。
サンプル
ステータス:167-61-70-x-150-104
特性/持ち物:ちくでん/オボンのみ
技構成:バトンタッチ/ほっぺすりすり/どくどく/ねがいごと
耐久指標
C177ボルトロス-きあいだま
→ 54~64 (32%~38%)
C172ウォッシュロトム-ハイドロポンプ
→ 72~85 (43%~51%)
C194サザンドラ[x1.5]-りゅうせいぐん
→ 142~168 (85%~101%)
これらは優れた種族を説くものではなく、選択肢の提示であり、そこに優劣の差はない。
以上です。