※この育成論には現時点で未解禁・未実装の要素が含まれています。
はじめに
いよいよシーズン4の開幕が近付いてきました(2020/2/29現在)。発表されたシリーズ3におけるランクマッチのルールにおいて以下のキョダイマックスポケモンの使用が可能です。
リザードンリザードン、バタフリーバタフリー
ピカチュウピカチュウ、ニャースニャース
キングラーキングラー、ラプラスラプラス
アーマーガアアーマーガア、イオルブイオルブ
カジリガメカジリガメ、セキタンザンセキタンザン
アップリューアップリュー、タルップルタルップル
サダイジャサダイジャ、ストリンダーストリンダー(ハイ)ストリンダー(ロー)
マルヤクデマルヤクデ、ブリムオンブリムオン
オーロンゲオーロンゲ、マホイップマホイップ
ここで注目されているのが、キョダイラプラスラプラスであり、その強みは何といっても固有ダイマックス技であるキョダイセンリツにあるといえます。キョダイラプラスは他のポケモンと違い、こおり攻撃技をダイアイスではなくキョダイセンリツとして撃つことができます。ダメージは元技に依存し、ダイアイスのあられ状態にする追加効果とは異なり、「オーロラベール」をはるという追加効果を持ちます。この効果が非常に強力で、相手にダメージを与えながら「オーロラベール」をはれる点、また元の「オーロラベール」と違って、あられ状態でなくともはれる点で、このキョダイラプラスは無二の存在といえます。ダイマックス権こそ切りますが、ひかりのねんどを持った後続サポート型、またはじゃくてんほけんを持ったセルフアタッカー型などが考案されてきました。
このような強みを持つキョダイラプラスは先のガラルビギニングでは非常に高い採用率を誇り、また一般ルールにおいて解禁前の今も、要対策ポケモンの一角として考察がなされています。
しかしこのラプラスにも対策法は存在し、CとS種族値がそこまで高くないこと(C85,S60)、キョダイセンリツがこおりタイプの攻撃技であることに着目し、逆に起点にできないかと考えました。特に、相手がラプラスにダイマックスを切っていて、1ターン目に高い確率でキョダイセンリツを撃ってくることを想定し、こちらはダイマックス権を温存しながら起点にし、全抜きできるエースが見つかれば対策になるでしょう。
そこで、最近解禁されたばかりのココロモリの高いすばやさ、特性「たんじゅん」とそれとじゃくてんほけんによる爆発力、こおり弱点であることに注目し考察しました。
ココロモリについて
ココロモリは低種族値を持ちながら非常に尖った個性を持つエスパー・ひこうのポケモンです。
種族値 : H67 A57 B55 C77 D55 S114
高いすばやさ以外は、進化ポケモンかと疑うほど低いです。そのため、アタッカーにするにも、受けにするにも頼りなく、これまで考案されてきた型は、高速を生かした場作りサポート型ばかりでした。
しかし、ココロモリには強力な夢特性「たんじゅん」があります。この効果は、自分にかかるステータスのランク変化が2倍になる、というものです。合わせて、ココロモリには優秀な積み技「めいそう」、「ドわすれ」があり、それぞれ「CD2段階上昇」、「D4段階上昇」という非常に強力な積み技として撃つことができます。また、ひこう技も覚えるためダイジェットを撃つことでS2段階上昇の恩恵を受けることもでき、その他には「じゃくてんほけん」の効果も2倍で受けることができます。
このような強みを持ちながらも、ココロモリについて様々な考察がなされてきましたが、これらの積み技を使用してもなお耐久が低く場持ちが悪く、特に物理方面の強化が難しい(フェザーダンスやリフレクターという技はあるが)点が課題点になっていました。一方で特殊方面は非常に優秀であり、きたるキョダイラプラスに対抗できる可能性があることが分かりました。
この型を採用する目的
先発に多いキョダイラプラスラプラスのキョダイセンリツによる壁展開を逆に起点にし、ココロモリが積むことで全抜きエースとして運用します。
特性
たんじゅん
能力ランクの変化が2倍になる。
ココロモリの専売特許です。シンプルな説明文からは打って変わって非常に強力な効果です。これによって「ドわすれ」を積むことで特殊方面は十分に硬くなれ、また「じゃくてんほけん」によってAC4段階上昇という爆発力を得ることができます。さらに、ダイジェットによりS2段階上昇させる芸当も可能です。後述の「アシストパワー」と相性が良いです。相手から受けるデバフ効果も倍になるのでこの点については注意が必要です。
持ち物
じゃくてんほけん
持たせると、効果抜群の攻撃を受けた時に『こうげき』『とくこう』ランクが2段階ずつ上がる。1度使用するとなくなる。
先述の特性「たんじゅん」と相性が非常に良い持ち物です。能力上昇が2倍になり、A4段階上昇も「アシストパワー」の威力上昇につながり無駄になりません。積み技を使えない場合もダイマックスを切ることで無理やり耐えて発動させることができます。
性格と努力値振り
高いすばやさを生かすために、性格はおくびょうを採用します。
努力値配分は、
努力値 : H4 C252 S252
実数値 : H143 Ax B75 C129 D75 S182
です。
明確な調整先はありません。準速130族と同速であるためすばやさは最速を推奨します。準速にした場合最速98族抜きとなるので環境に合わせてカスタマイズしてください。また、本育成論では特殊耐久はラプラス前での「ドわすれ」を前提としているため、耐久面にはほとんど振っていないですが、明確な仮想敵がある場合はそちらに合わせて頂いて結構です。
技構成と与・被ダメージ計算
ドわすれ
エスパー変化 威力-
自分の『とくぼう』ランクを2段階上げる。
ココロモリの特殊耐久を一気に上げる積み技です。特性「たんじゅん」によりD4段階上昇ができます。これにより、特化キョダイラプラスのキョダイセンリツ130(ぜったいれいどを想定)すらも非ダイマックス状態のココロモリが確定で耐えます。
被ダメージ計算
ラプラスC150(C↑252)ラプラスのキョダイセンリツ(130)
71.3%~83.9%(確定2発、D4段階上昇時を想定)
ここまでダメージを抑えることで、耐えてからの「じゃくてんほけん」発動が期待でき、また後述の「はねやすめ」でダイマックスターンと壁ターン枯らしができます。ちなみに「めいそう」の場合、本育成論のココロモリの耐久では1発耐えることができません。
ラプラスC150(C↑252)ラプラスのキョダイセンリツ(130)
104.8%~123.0%(確定2発、D2段階上昇時を想定)
「めいそう」を積み技に採用する場合でも、努力値をCからDに148回すことで確定2発に抑えることが可能です。
また、他の特殊アタッカーからの被ダメも載せます。
サザンドラC177(C252)サザンドラのあくのはどう
50.3%~60.1%(確定2発、D4段階上昇時を想定、Dに156振ることで確定3発)
サザンドラC177(C252)サザンドラのあくのはどう
75.5%~88.8%(確定2発、D上昇無し、ココロモリダイマックスを想定)
トゲキッスC189(C↑252)トゲキッスのダイジェット(130)
44.0%~52.4%(低乱数2発、D4段階上昇時を想定、Dに28振ることで確定3発)
ウォッシュロトムヒートロトムカットロトムC172(C↑252)FCロトムの10まんボルト
55.9%~67.1%(確定2発、D4段階上昇時を想定、はねやすめによる回復が追いつく)
ギルガルド(ブレード)C211(C↑252)ギルガルド(ブレード)のシャドーボール
50.3%~60.1%(確定2発、D4段階上昇時を想定)
以上のように、「ドわすれ」を積むことができれば、キョダイラプラスの「キョダイセンリツ」をはじめ、多くの特殊技を受けることができることがわかります。
アシストパワー
エスパー特殊 威力20(D130)
自分のいずれかの能力ランクが1つ上がる度に威力が20上がる。
ココロモリのメインウェポンです。先述の特性「たんじゅん」と持ち物「じゃくてんほけん」と相性が良く、「ドわすれ」を積み、さらに「じゃくてんほけん」が発動した場合(ACD4段階上昇)は威力260のタイプ一致技として撃てるため、非常に強力です。
与ダメージ計算
※全てC4段階上昇、アシストパワー威力260を想定してダメージ計算しています
H237-D115(H252)素ラプラスラプラス
207.5%~244.3%(確定1発、壁込みでも)
オーロラベールが残っている状態でも素に戻ったラプラスであれば確定1発で倒せます。しかし、ダイマックス状態のラプラスには耐えられてしまうので注意してください。
H474-D115(H252)キョダイラプラスラプラス
103.7%~122.1%(確定1発、但し壁込みで51.8%~60.9%)
そのために、「はねやすめ」によるターン枯らしを有効に使う必要があるといえます。
また、ラプラスの裏に控える後続への与ダメージを計算しました。
※全てC4段階上昇、アシストパワー威力260、相手壁状態を想定してダメージ計算しています
H263-D34(H220D28)カビゴンカビゴン
80.2%~94.6%(確定2発、壁ターン切れで確定1発)
H192-D135(H252)トゲキッストゲキッス
108.8~128.1%(確定1発)
H167-D160(H252)ギルガルド(シールド)ギルガルド(シールド)
52.6%~62.2%(確定2発、壁ターン切れで確定1発)
H181-D136(H252)ナットレイナットレイ
56.9%~67.4%(確定2発、壁ターン切れで確定1発)
以上より想像以上の火力が出ていることが分かります。壁ターンが残っていてかつ半減で受けることができなければ耐えることは易しくないでしょう。問題点としてはあくタイプに対してダメージが入らない点が挙げられるでしょう。
エアスラッシュ
エスパー特殊 威力75(D130)
30%の確率で相手をひるませる。
ココロモリのメインウェポンです。先述の特性「たんじゅん」と相性が良くダイジェットですばやさを2段階上昇させることができます。例えば、こだわりスカーフサザンドラのあくのはどうをダイマックスを切ることで無理やり耐え、ダイジェットで切り返すことができます。
与ダメージ計算
※全てC4段階上昇、ダイジェットを撃つこと想定してダメージ計算しています
H167-D110(無振り)サザンドラサザンドラ
154.4%~182.0%(確定1発)
H163-D95(無振り)ドラパルトドラパルト
182.8%~215.9%(確定1発)
上から殴ってくる特殊アタッカーが少ないためダメージ計算の例が少なくなってしまいましたが、切り返すことができることが分かります。
想定する立ち回り
立ち回りのシナリオを示します。
ケース1~対キョダイラプラス
- 1ターン目
先発あいてラプラス、こちらココロモリ
こちらココロモリ「ドわすれ」によりD4段階上昇
あいてラプラスキョダイマックス、キョダイセンリツ
こちらココロモリ(残り16.1%~28.7%)
こちらココロモリ「じゃくてんほけん」発動AC4段階上昇
- 2~3ターン目
こちらココロモリ「はねやすめ」により体力の半分回復(残り66.1%~78.7%)
あいてラプラスのキョダイセンリツを半減で受ける(残り24.2%~43.1%)
- 4ターン目
あいてラプラスダイマックス解除
こちらココロモリ「アシストパワー」
あいてラプラス(壁込みで103.7%~121.9%)
- 5ターン目以降
こちらココロモリをあいてが止められなければそのまま勝ち
ケース2~一般運用
- 1ターン目
先発あいてサザンドラ(こだわりスカーフ)、こちらココロモリ
こちらココロモリダイマックス
あいてサザンドラあくのはどう
こちらダイマックスココロモリ(残り11.2%~24.5%)
こちらココロモリ「じゃくてんほけん」発動AC4段階上昇
こちらココロモリ「ダイジェット(130)」
あいてサザンドラ(154.4%~182.0%)
- 2ターン目以降
こちらココロモリをあいてが止められなければそのまま勝ち
※相手サザンドラがダイマックスを切った場合は、ダイアークを耐えることができず負けになります。また、上から「ドわすれ」を積んで耐えた場合(81.1%~96.5%)も、ダイアークによるD下降により受けは不成立、また「じゃくてんほけん」発動後のダイジェットによる切り返しも耐えられてしまうので負けてしまいます。(夢特性解禁はよぅ様指摘)
さいごに
たんじゅんココロモリには可能性を感じられずにいられませんでした。これほど個性が強いポケモンの考察をすることが楽しくて仕方がありません。しかし、実際に運用してみると耐久が想像以上に低く、運用が難しいポケモンであることを痛感させられることと思います。本育成論をとおして、このココロモリの有用性を理解してもらえたのであれば幸いですが、しかし過信は禁物であると考えています。この育成論ではラプラスの物理技、特に「こおりのつぶて」のケアを一切しておらず、他にもエスパー・ひこうの範囲の狭さについては何一つ言及していません。これらの点に関しては、何より対戦ルールが未実装の段階の考察であるため、投稿者が実際に運用したことがないことに原因があります。また、この型が警戒されるようになれば、立ち回りもさらに複雑になるでしょう。ですので、解禁後にすぐに使用して修正をしていくつもりです。また、皆さまとの議論の中でより良いカスタマイズが見つかれば、と考えています。
それでも、ココロモリに活路がほんのすこしでも見い出せたことに興奮を隠しきれませんでした。是非、上手い運用法を見つけていきたいと考えています。
以上、長文になりましたが読んで下さりありがとうございます。
コメント欄での指摘や活発な議論を歓迎します。どうぞよろしくお願いします。