はじめに
あけましておめでとうございます。ライチュウトゲデマル
メタモンメタモンの仕様・強み・動かし方についてご存知の方にとっては、この論は無価値です。
メタモンがどう強いのかあまりわからない、という方の為の論となっております。
メタモンの特性について
メタモンメタモンは非常に特殊なポケモンです。その仕様は対戦初心者の方にとってはわかりづらいところだと思います。
まず、その仕様について一通り解説させていただきます。
メタモンの隠れ特性「かわりもの」は、交代や味方が瀕死になった後の繰り出し(死に出し)でメタモンがフィールドに登場した際に発動します。
効果はざっくり申しますと「対面している相手のステータスをコピーする」です。
細かく申しますと、「見た目/タイプ/特性/攻撃などの能力実数値/能力変化/覚えている技」などのデータを相手と同じものにするのです。
ただし、メタモンについてはむしろ「相手のデータのうちコピーできないもの」の方が重要です。特性かわりものによりコピーできない主なデータは、「相手のHP/ダイマックス状態/技のPP(5で統一される)/持ち物/状態異常」です。
文章だけですとわかりづらいので、実際にどういった処理がなされるか見てみましょう。
【相手側】
〇種 族:トゲキッストゲキッス
〇持ち物:弱点保険
〇技構成:[エアスラッシュ/マジカルシャイン/火炎放射/悪巧み]
〇特 性:てんのめぐみ
〇配 分:臆病 CS252 H4
〇実数値:H161 A49 B115 C172 D135 S145
【自分側】
〇種 族:メタモンメタモン
〇持ち物:拘りスカーフ
〇技構成:へんしん
〇特 性:かわりもの
〇配 分:生意気 HD252 (S個体値最低)
〇実数値:H155 A53 B69 C53 D110 S47
※なお、ここでの「種族」とは、便宜的にタイプ・種族値・見た目等を総合したステータスの呼び名を指すものとします。かわりもの発動後にこれらのステータスはトゲキッスのものに変化しますが、ポケモンそのものとしての種族はメタモンのままであり、実際にHPバーの上に記載されている表示名もメタモンから変化しません。
味方ピカチュウ vs トゲキッス相手 の対面において、トゲキッスがダイマックスし、ピカチュウのほっぺすりすりを受けて弱点保険を消費し、返しのダイジェットでピカチュウを撃破し、その後にこちらがメタモンを繰り出した状況を想定します。
この場合、相手トゲキッスのステータスはこのように変化しています:
【相手側】
〇種 族:トゲキッストゲキッス
〇状 態:ダイマックス状態/麻痺状態
〇持ち物:なし
〇技構成:[ダイジェット/ダイフェアリー/ダイバーン/ダイウォール]
〇特 性:てんのめぐみ
〇実数値:H322 A49 B115 C172 D135 S145 ※ただし、HPは322からほっぺすりすりで多少削れている
〇能 力:攻撃/特攻2段階上昇 素早さ1段階上昇
このトゲキッスに対して繰り出したメタモンのステータスは以下のように変化します:
【自分側】
〇種 族:トゲキッストゲキッス
〇状 態:通常
〇持ち物:拘りスカーフ ※「なし」にはならない
〇技構成:[エアスラッシュ/マジカルシャイン/火炎放射/悪巧み] ※全てPP5
〇特 性:てんのめぐみ
〇実数値:H155 A49 B115 C172 D135 S145
〇能 力:攻撃/特攻2段階上昇 素早さ1段階上昇
以上のようになります。
もう一度だけ軽くおさらいしておきますと、
- ダイマックス状態はコピーできず、従って当然技もダイマックス技にはならない
- 相手のHP実数値と残存割合はコピーできない
- コピーした技のPPは全て5になる
- 状態異常はコピーできない
- 持ち物はコピーできない
- 能力上昇/下降はコピーできる
- その他、タイプ・特性・性格補正・攻撃実数値などの情報はコピーできる
となります。
最後にいくつか重要な仕様を述べておきますと、まず身代わり状態の敵にはかわりものが発動しません。
また、化けの皮やダルマモード等フォルムチェンジする特性もコピーすることができません。
気を付けてください。
以上が特性かわりものの仕様についての説明でした。
次に、この特殊すぎる特性の活用法について、環境傾向と併せて考察していきます。
現環境におけるメタモンメタモン
メタモンについて述べる前に、まず現環境の潮流についてまとめておきましょう。
一言で申しますと、「対面におけるダイマックス(以下「DM」と略します)による力押しの横行」とでも言うべきでしょうか。適切なタイミングでDMを切り、倍になった耐久力と威力が増した攻撃技により、多少のタイプ不利があってもそれごとひっくり返して勝つ。これが単純ながら最強の戦法であり、ゆえに現環境で広く用いられていることについては、疑いを挟む余地はないでしょう。
具体的な並びとしては、カバルドンギャラドスのようなステルスロック+欠伸からの展開、オーロンゲトゲキッスのようなダメージ半減壁からの展開、ミミッキュドサイドンのようなトリックルームからの展開、バンギラスドリュウズのような天候操作からの展開、などが多く見られるかと思います。
これらの並びに共通して言えることが一つあります。それは、「勝ち筋が太く、乱れていない」ことです。
これらの並びにおいて、相手ポケモンの突破は基本的にエースポケモンが担当します。上記の例でいうならば、ギャラドストゲキッスドサイドンドリュウズがエースポケモンです。
スタンダードな構築にとっては、エースポケモンを通すことこそが、ほぼ唯一ながら絶対的に安定している勝ちルートであるわけです。
エースポケモンの強さは、「そのパワーを押し付けること」にあります。であれば、押し付けるパワーは高ければ高いほどいいということになります。
というわけで、エースポケモンは多くの場合自分のパワーを高める手段を持ちます。最もオーソドックスなのが「積み技による能力上昇」です。ギャラドスならば竜の舞、トゲキッスならば悪巧みといった具合です。これらの技によってパーティが崩壊する光景は、皆様にとってもなじみ深く忌々しいものでしょう。
単純な話、攻撃力が2段階上がれば与えるダメージは2倍になるので、その時点で「半減受け」は成立しなくなります。こうなってしまうと大抵の場合防戦一方となり、切り返しの手段が無ければ厳しい戦いを強いられるでしょう。切り返しの手段としては「ミミッキュ」「襷持ちストッパー」「クッション」などを挙げることができますが、そもそもこういった手段に頼っている時点で、こちらの戦略は相手に押され気味であるわけで、この状況から反転攻勢に打って出るというのは、実際にはなかなか難しいものです。
竜の舞を使用したギャラドスにダイストリームで倒されたとしましょう。切り返し手段として最有力と名高いミミッキュにこの状況を返せるでしょうか。
ギャラドスのダイストリームでミミッキュは確定1発ですから、行動回数は1回だけです。この1回で可能である切り返しのうち最も効果的なものはトリックルームでしょう。トリックルームを使うことでミミッキュはあと1回の行動回数を得ますが、攻撃しても碌なダメージになりませんから、呪いを撃つなど適当な行動をとって素直に倒されるしかありません。そうなれば、ラスト1体でスーパーギャラドスに勝たないと結局負けてしまいます。実際にギャラドスを倒せるポケモンを残せるかどうか、また残せたとしても相手にまだ後続がいる場合にそいつに勝てるかどうか、といった事情を考慮するに、不安要素が多すぎると結論付けるのが妥当であるように思われます。先ほど「反転攻勢に出るのは実際にはなかなか難しい」といったのは、こういう状況が容易に想定できるからです。
しかし、ここで思い出していただきたいことがあります。
メタモンの特性かわりものは、相手の能力変化をコピーできます。相手が特性すなかきやすいすい等でパワーを補強しているとしても、それをも全部ひっくるめてコピーできます。
これは、上昇した能力にフリーライドし、相手のエースを同じ立ち位置から殴りに行けるということですが、それにとどまりません。場合によっては、能力を活かしてそのまま後続までも倒し切ることができてしまうのです。
つまり、どう考えても相手のエースを止めることができないような絶望的な状況になってしまったとしても、メタモンは場に出るだけでその状況をひっくり返せるのです。敗色濃厚な状況から一転して相手にエースの処理を強要させる状況を創出できるという意味で、文字通り「ひっくり返せる」わけです。
先ほどの状況でメタモンを繰り出すと、相手の攻撃をダイウォールで凌いでDMを枯らし、そこから逆にダイジェットで相手を突破することが可能です。そしてその後どうなるかといえば、相手は竜の舞とダイジェットを使用した雨状態のギャラドスを止めなければならないのです。
メタモンには消極的な強さと積極的な強さがあります。
消極的な強さが、今まで説明してきた通り、「相手エースが止まらなくなったとしても、それを止めることができる」点。言い換えれば「ストッパー」。
そして積極的な強さは、「相手の勝ち筋を逆手に取り、それをそのまま自分の勝ち筋として転用できる」点で、言い換えれば「抜きエース」です。
負け筋の遮断と勝ち筋の構築を一体で簡単にこなせるメタモンは、エースを通す試合が主である現環境にこの上なくマッチしているというのが論旨になります。
抽象的な話は一旦終わりにして、具体的に誰にどう刺さるのか、何に注意すればいいのか、その辺を見てみましょう。
運用の考察
構築単位で言えば、メタモンを選出していきたい相手はスタンダードな展開系の構築です。
展開系の構築でエースになりうるポケモンとしては、まず飛行DMエースが挙げられます。具体的にはトゲキッスギャラドスリザードンパッチラゴンその他大勢。
それから、天候エースも欠かせません。ドリュウズガマゲロゲツンベアーカマスジョーあたりです。
さらに、通常の積みエースも含めていいでしょう。パルシェンバンギラスバタフリーオノノクスなどが該当します。
基本の動きとしては、まず彼らにある程度やりたい放題やらせることです。自らが受けた痛みの強さはメタモンの強さに比例します。
そしてメタモンを繰り出し、DMを切るかどうか考えます。何故なら、メタモンは相手の素早さをコピーする為、DMを切った場合に相手と同速になってしまうので、どう頑張っても勝率が50%になってしまうからです。
例えば剣舞を積んだドリュウズなんかは通常の地震で倒せますので切らなくて大丈夫ですし、逆にカマスジョーなんかはどう頑張っても一撃で倒せないので、切らないと結局押し負けてしまいます。
そこで取るべき手段としては、相手のDMを枯らせるなら枯らしてしまうことです。DMが枯れた相手の攻撃を、こちらのDMにより倍になったHPで無理やり耐えて押し勝つ動きを取るのです。これはミラーマッチで等倍技が最高打点になるポケモンに変身した場合、とりわけトゲキッスギャラドスリザードンあたりと戦うときに頻繁に起きます。
実際にメタモンを動かす時に気をつけなければならないのは、DMを切るかどうかという一点に集約しています。できる限り同速勝負のリスクを回避しつつ、回避できない場合には相手DM無しに対しこちらがDMありの状態で戦うことを心掛けてください。
また、メタモンは決定的な弱点を一つ抱えています。「どこまで行っても強さが相手に依存する」ことです。
相手のギャラドスへの切り返しとしてメタモンを選出した場合、相手がギャラドスを選出していなければ、メタモンは役割を失います。メタモンはアタッカー以外のポケモン(ヌオーとか)に変身すると途端に弱くなるので、選出段階で本当に選出するべきかどうか吟味する必要があります。
以上、実際にメタモンを動かす時の話でした。
構築の考察
メタモン自体の性能については終わりです。
では、一体どんな構築にこいつを採用すればその強みを引き出せるのでしょうか。
一つ目の案としては、受け回し構築における崩しへのカウンターとして採用することが考えられます。
「受け回し構築」とは、相手の攻撃を受けることを重視し、こちらのポケモンが突破されない状況を作り出すことで相手を詰ませて勝利する構築をいいます。よく採用されるポケモンとしてはドヒドイデヌオーアーマーガアなどです。
この構築は、受けを戦法の主軸に据えているので、あまりにもパワーが高く受けきれないポケモンに弱いです。パワーをもって受け回し構築を破壊する行為を「崩す」といい、崩す行為又はそれを担うポケモンのことを「崩し」といいます。
「崩し」には、剣舞や悪巧みなどで一気に火力を引き上げて突破を図ってくる連中が該当します。こういった崩しに対し、メタモンはその特性ゆえ強力な対抗手段となることができるのです。
相手にとってみれば、崩しに着手しなければ受け回し構築を突破できないが、かといって着手するとメタモンを強化してしまうことになるので、立ち回りを考える必要に駆られます。
二つ目の案としては、展開構築における補完枠としての採用が考えられます。
「展開構築」は少し前に出てきました。ダメージ半減壁、状態異常のばら撒き、天候、ステルスロックやねばねばネット等の設置ギミックにより、エースポケモンの無双を補助する構築のことをいいます。
展開構築は「負け筋を潰すことよりも勝ち筋を通すことを優先する」という性質上、同じ構築のミラーマッチになった場合で相手に先に展開されたときに、切り返す手段に欠けます。この穴を埋めるためにメタモンを採用するということです。
ただし、当たり前と言えば当たり前ですが、拘りスカーフメタモンはトリックルーム展開には不利です。
あまり積極的に推奨すべき案ではないですが、例えば5体である程度広い範囲を見られている構築において、残り一枠に雑に突っ込んでおく、というのも一つの案です。
相手依存にはなりますが、ストッパーあるいは切り返しとしての性能は随一ですので、単に保険をかけておく意味で採用しても強いでしょう。
説明は以上です。
以下はステータスの話になりますが、メタモンのステータスは相手に合わせて変わってしまいますので、言及することはそこまで多くないです。
ここまでで読み終えて頂いても結構です。
各種データ
〇性 格:なまいき(特防↑素早さ↓)
〇特 性:かわりもの
〇個体値:H/B/D31 S0
〇努力値:H252 B4 D252
〇実数値:H155 A* B69 C* D110 S47
〇持ち物:こだわりスカーフ
〇技構成:[へんしん]
- 性格、個体値、努力値について
HPは変身後でも変わらないため、当然最高値が理想です。
攻撃と特攻はメタモンの状態で攻撃することが無いのでなんでもいいです。
マタドガス(ガラル)に対して繰り出さざるを得ない状況になった場合、マタドガス(ガラル)の特性化学変化ガスによりメタモンの特性かわりものの発動が阻害されてしまうので、マタドガス(ガラル)の前で「へんしん」を使わなければ勝つことができません。この場合、マタドガス(ガラル)に一回攻撃されてしまいますが、その際のダメージをできる限り減らす為に、性格生意気・特防特化を施しています。あまりの4を防御に振っているのは、同じくマタドガス(ガラル)が爆発系などの物理技を持っていた場合にダメージを軽減する為です。
なお、マタドガス(ガラル)に変身しても、化学変化ガスを発生させることはできません。
また、素早さ最低の理由ですが、お互い死に出しや先発で威嚇持ちと対面した際に、威嚇を受ける→かわりもので変身する(相手の能力を参照するので、威嚇による攻撃下降は無かったことになる)→相手に対し威嚇発動、という流れを実現させる為に最低値としています。
厳密には最低値にする必要はありませんが、そもそもメタモンの素早さそのものに意味が無いので、素早さ実数値48の相手から威嚇を受けるわずかな可能性を考えて、せっかくなら最低値にしておこうということです。
面倒なら個体値31でもさほど問題は無いかと思われます。
- 持ち物について
かわりものの仕様上、必ず同速勝負が発生します。そのリスクを避ける為の拘りスカーフです。
DMによって拘りを解除しつつ、上昇した能力で攻撃していける点も噛み合っています。
同速勝負でこちらが一方的にやられるリスクを避けるという意味では、きあいのタスキも十分候補になりえます。
ステルスロック展開には弱くなってしまいますが、同速勝負をすること自体のリスクがなくなりますので、気兼ねなくDMを切っていけるようになります。
各論
- トゲキッストゲキッス(臆病/C252/弱点保険発動済み/DM状態)
【ダメージ計算】
エアスラッシュ 33.8-40.0
ダイジェット 57.7-68.3
ダイジェットでお互い確定2発である為、2ターン目に同速勝負に負けると倒されます。
DMを枯らせるなら枯らしてしまうのが無難でしょう。
- ギャラドスギャラドス(陽気/A252/DM状態)
【ダメージ計算】
とびはねる 24.8-29.8/乱数4(99%)
ダイジェット 38.5-45.6/乱数2(52%)
とびはねるでDMを枯らしてから攻められますが、竜の舞を2回以上積まれているとダイジェットで50%の乱数なのに加え、相手もとびはねるによるDM枯らしができる点に注意が必要です。
- リザードンリザードン(臆病/C252/サンパワー/晴れ/DM状態)
【ダメージ計算】
エアスラッシュ 41.1-48.6
ダイジェット 71.8-84.6
ダイジェットで同速に追い付かれる為、DMを枯らさないと同速勝負になりますが、ダイウォールの搭載率は低めです。
最悪、メタモン以外の全員を切り捨て、リザードンだけで相手を倒す必要が出てきます。
- ドリュウズドリュウズ(意地/A252/DM状態)
【ダメージ計算】
じしん 77.8-91.3
ダイアース 100.5-118.3
攻撃上昇がない場合地震で確1が取れないので同速勝負になります。メタモンで倒す前提なら相手に好き放題やらせましょう。
一方、剣舞を積まれれば、ダイスチルで防御が1段階上昇していても通常地震で倒すことができます。
他にも仮想敵として名前を挙げたポケモンはいますが、搭載している技やDMを切るかどうかの判断など、育成論の場では一概に言えないことが多い為、各論は少な目に記述しておきます。
実際のバトルにおいては、対面する相手をDMを切らずに倒せる圏内まで事前に削っておく・状態異常を撒いておく・不要なポケモンを捨てて相手のDMを枯らしておくなど、メタモンが遺憾なく強みを発揮できるような場づくりが非常に重要になってきます。
以上です。