はじめに
どうもこんにちは。むちころ犬と申します。
シリーズ13で環境が一段と変化した中で、今回考察するのは王ではなく通常のザマゼンタです。
以前は伝説枠の制限によりザマゼンタ(王)共々対戦で採用しづらいポケモンでしたが、シリーズ13でこれが無制限となった事で、環境的には相変わらず逆風ですが以前に比べて格段に採用しやすくはなりました。
ザマゼンタの特徴
種族値
H92 A130 B115 C80 D115 S138
まず初めに対戦でのザマゼンタの特徴を強み、弱みに分けて解説します。
強み
1.道具なしで実現出来る最硬レベルの物理耐久
2.伝説(幻を除く)の中ではバドレックス(こくば)ザシアン(王)に次ぐSの種族値
3.両壁の習得
弱み
1,単タイプの中でも扱いにくい単格闘
2.サブウェポンの火力の低さ
3.技のレパートリーの少なさ
4.一致技の通りの悪さ
5.ザシアンとの類似性
道具を固定化しない格闘タイプとしては全ポケモン中最大の種族値を誇る一方、種族値以外の要素が穴だらけと言える非常に両極端なポケモンです。強みとして特筆すべきは特性を踏まえた物理耐久で、無振りでさえ物理耐久指数33734となります。H振りポリゴン2@輝石で31680、防御特化ナットレイでようやく36381となるので、数値面では申し分ない性能と言えます。
その一方で、物理受けとして必須と言える再生回復や毒々等の搦め手がなく、サブウェポンも種類、範囲、火力が3拍子揃って足りていません。ザマゼンタ(王)とは違い道具がフリーになる代わりに鋼タイプも追加されず、また安定火力となる『きょじゅうだん』も持てないため、あちらと比較してもより一層ピーキーなポケモンになります。
他の伝説と比較しても欠点が多いポケモンですので、持たせる道具やどんな役割を与えるかが活躍させる上で非常に重要になります。
ザマゼンタの適正
前提として、攻撃面においてザマゼンタに出来る事はほぼザシアンでも可能です。
ザシアンとの大きな違いとして『両壁の取得』『物理耐久の高さを生かした後出し性能』があるため、それらを活かしたサポーター(兼アタッカー)が最も適正の高い役割といえます。ただこれだけではザマゼンタ(王)との競合は避けられませんので、下記で明確に違う役割を持たせます。
ザマゼンタと『脱出パック』
特徴の項で触れましたが、ザマゼンタはザマゼンタ(王)よりも更に技の種類が少なく、火力を出せる技が基本的に『インファイト』1本だけです。積み技も有用なものは『てっぺき』程度しかなく、『ちょうはつ』のような相手を直接妨害する技もないため、『インファイト』が通らない相手に直接打撃を与える事がかなり厳しいポケモンです。言い換えるとザマゼンタと対面した場合、相手は飛/妖/虫/超/霊への交代がほとんどの場面で安定行動になるという事です。
そこで今回はその相手の交換に合わせて『インファイト』で此方も交代できる『だっしゅつパック』を採用し、壁張りサポートに加えて有利サイクルを継続させるクッションの役割を追加、ザマゼンタ(王)より更にサポート色を強めた運用を考察します。
採用理由と役割
1、『インファイト』が抜群で通るノーマル/岩/鋼/氷/悪(環境で採用率が高い仮想敵としてはディアルガホワイトキュレムブラックキュレムラッキーハピナスメルメタルバンギラスナットレイ)等)への後出しからの対面操作
2、両壁によるサポート
3、ノーマル/岩/鋼/氷/悪の処理
1、3に関してはザシアンに脱出パックを持たせた場合でも可能ですが、
上記2点でこの型に関してはザマゼンタに優位性があります。何よりザシアンに脱出パックを持たせるとザシアン(王)が使えなくなる事が最大のデメリットです
持ち物
だっしゅつパック
コンセプトであり確定です。
基本的に『インファイト』で自分から発動を狙いますが、ランドロス(霊獣)の後出し威嚇から技を発動する前に暴発する事があります。
バドレックス(はくば)やブラックキュレム等ランドロス(霊獣)を起点化出来るポケモンと同時選出する事で被害を抑える事は可能です。
特性
ふくつのたて
場に出た瞬間にBが一段階上昇します。
他の特性はなく確定です。この特性のおかげで物理方面は努力値を割かずとも安定して後出しが可能です。
性格・努力値と調整
いじっぱり
努力値H172 A100 B4 D140 s92
実数値H189 A179 B136 C× D153 S170
環境で採用率が高いディアルガに対して、安定して後出しから『インファイト』で対面操作が出来るレベルまでHDを補強した調整になります。ここまで振るとC252珠ホワイトキュレムの『りゅうせいぐん』も当然耐えるので、弱点をつかれず『インファイト』で抜群を取れる相手に関しては物理特殊に関わらず後出しが出来るようになります。
Sラインに関してこの育成論ではガブリアス抜きとしていますが、「パルキアを始めとする100族を抜くついで」の調整ですので、ガブリアス自体あまりいないシリーズ13の環境下では少し下げてAやHDに回すのも一考です。このザマゼンタの主な役割対象の中ではブラックキュレムホワイトキュレムのS95が最も高いため、最低限このラインを越えていれば役割上は問題はありません。
逆にS102〜125までの間のSでザマゼンタが対面で打ち合えるポケモンは環境にほとんどいないので、これ以上振るなら最速マーシャドーを抜くS125抜き(『ようき』努力値156)が一つの調整ラインですが、反面特殊への繰り出し性能、もしくは火力が大幅に低下してしまいます。
技考察
確定欄
インファイト
ザマゼンタの格闘技の中で一番癖がなく火力が出る技です。『だっしゅつパック』発動のトリガーでもあるため、ザマゼンタ(王)よりもこの技の重要度は格段に上がります。しかしポケモン全体の耐久ラインが軒並み高い現環境では弱点を突けないとこれでも威力不足感はあります。
かみくだく
ほぼバドレックス(こくば)ピンポイント起用です。
超で弱点を突かれてしまうザマゼンタですが、バドレックス(こくば)は『サイコキネシス』より『サイコショック』を優先する事が圧倒的に多いため、対面からDMされなければ確1もしくはタスキ発動まで一気に削る事が一応可能です。(メガネサイコショックすら確定耐えします)
『インファイト』『リフレクター』読みから無償降臨を狙われるパターンもあるので、交換読み出きるとそのまま倒せる場面もあります。あくまで『バドレックス(こくば)が出てきた時』用の技なので、これがあるからといって死に出し等こちらから安易に相手をしに行くのは止めましょう。
後はザマゼンタと相性がいい味方はヌケニンに打点がない事も多く、一応その対策も兼ねています。
ひかりのかべ
リフレクター
5ターンの間、味方が受ける特殊/物理のダメージを半減させます。
場面によっては『インファイト』で即脱出はせず、壁を入れた上で裏に引いた方が有効な時もあります。
(主にザマゼンタを繰り出すタイミングで積み技を使われた場面や、こちらの裏が壁を盾にして積む事で全抜きが目指せる場面等)
確定欄の技で固める場合、ザマゼンタは不利な相手に直接妨害を仕掛ける手段がないので、1度の繰り出しで両方一気に張る=不利対面になっても無理矢理居座るプレイングは相手に時間を与える結果になりかねず、あまりオススメはしません。
選択技
こわいかお
バークアウト
ザマゼンタにとって数少ない『相手に直接妨害を掛けれる技』です。
『こわいかお』は裏の味方のSが中途半端な場合の補助、バークアウトは『ひかりのかべ』と合わせて相手特殊アタッカーに居座れるようになりますが、火力はほとんどなく壁だけでも十分な場合も多いので、やや優先度は低めです。
じゃれつくorサイコファング
Sに努力値を割いている場合、これらの技があればマーシャドーを対面から単独で処理出来ます。
一応『サイコファング』は無振りムゲンダイナにも中乱数2発が取れますが、環境にいるムゲンダイナの半分は『じこさいせい』持ちの耐久型なので、これがあっても勝ちに繋がる場面は極々希です。
立ち回り
基本的には通したい味方の裏に控える形での選出となります。ザマゼンタは主にノーマル/鋼/岩/氷/悪(ディアルガキュレムバンギラスナットレイラッキー等)に与える圧力が高く、これらを起点に脱出インファを決める事で高いリターンを得れる味方と組む事が理想的です。同時に相手の引き先になるであろう超/妖/飛/霊/虫/毒にある程度強ければ補完が出来ていると言えます。具体的にはディアルガホワイトキュレムナットレイ辺りが不利になり、ザマゼンタが引っ張ってくるイベルタルランドロス(霊獣)ホウオウルギアサンダーあたりに有利が取れるブラックキュレムやカイオーガ、『きあいだま』不採用時にチョッキディアルガやホワイトキュレムバンギラスラッキーが厳しくなるイベルタル等は比較的同時選出しやすく、『ジオコントロール』で起点化しようとしてくるゼルネアスを逆に起点に出来るザシアン(王)もややピンポイントですが相性は悪くありません。
両壁があるので突破力の高いこれらのポケモンに積み技を搭載しておくと、マーシャドーには注意が必要ですが有利対面からそのまま2タテ3タテ出来る展開も十分ありえます。即『インファイト』を打つべきか、壁をいったん張って脱出すべきかはこちらのアタッカーがどの程度相手パーティに刺さっているかで判断してください。
ザマゼンタは決して汎用性が高いポケモンではないので、『ほぼ毎回のように選出する』ではなく『裏のアタッカー(例に上げたカイオーガやブラックキュレムイベルタルザシアン(王)等)が相手パーティによく刺さりそうな場面でのみのワンポイント起用』がベストです。
与ダメージ計算
インファイト
H252ディアルガ……84.1~99.5%
無振りディアルガ……99.4~117.7%
無振りホワイトキュレム……109.0~130.0%
特化ラッキー@輝石……80.0~94.8%
H252バンギラス……179.7~214.5%
H252メルメタル……62.0~72.7%
特化ナットレイ……67.4~80.7%
無振りブラックキュレム……102.0~120.0%
特化ポリゴン2@輝石……54.2~65.6%
無振りウーラオス(いちげき)……116.6~137.1%
かみくだく
無振りバドレックス(こくば)……125.7~148.6%
被ダメージ計算
特化ディアルガ@命の珠
ときのほうこう……84.7~99.5%
ラスターカノン……46.0~54.5%
C252ホワイトキュレム@命の珠
りゅうせいぐん……73.0~86.8%
フリーズドライ……39.7~47.6%
特化バンギラス
ストーンエッジ……15.3~18.0%
特化メルメタル
ダブルパンツァー……19.0~22.8%(1発あたり)
A252ブラックキュレム
げきりん……39.7~46.6%
つららばり……8.5~10.1%(一発あたり)
A252ウーラオス(いちげき)@こだわりハチマキ
インファイト……48.1~57.1%
以下役割対象ではありませんが参考までに
特化グラードン
だんがいのつるぎ……39.7~46.6%
C252バドレックス(こくば)@こだわりメガネ
サイコショック……77.2~92.1%
アストラルビット……76.2~90.5%
無振りザシアン(王)
A↑じゃれつく…76.2~89.9%
同252A↑じゃれつく……88.9~104.8%
相性の良い味方・構築例
ブラックキュレムホワイトキュレム白黒キュレム
両者共通してザマゼンタが呼びやすいイベルタルランドロス(化身)ルギアサンダー(ブラックキュレムは+ホウオウ)に対面有利が取れ、尚且つ両者が苦手とするナットレイ(黒)バンギラス(白)ディアルガラッキー(白)にザマゼンタが役割を持てるため相性は良好です。
ブラックキュレムは『りゅうのまい』→DMでの制圧力が高く、壁でのサポートから2タテ以上を目指せる点が大きなポイントで、ホワイトキュレムは先発に据える事で、やっかいなカバルドンのステロ展開を封じれる点が魅力です。
一方で両者とも対ザシアン(王)が厳しく、『インファイト』脱出時のザマゼンタに対してザシアン(王)を着地させてくる可能性も十分考えられるので、3枠目はザシアン(王)に有利を取れるグラードンやホウオウ、もしくは先制で動ける下記のスカーフカイオーガで補強しましょう。
カイオーガカイオーガ@スカーフ
対策必須のポケモンであり、ディアルガやナットレイが環境上位にいる理由そのものと言えます。上記のキュレム達より更にこれらのポケモンを呼びやすく、飛行を『れいとうビーム』で牽制しつつザシアン(王)にも対面で弱くはない(勝てるかどうかは相手の調整次第です)と痒いところに手が届くポケモンです。
シンプルなH252チョッキディアルガは無補正C252カイオーガの雨『しおふき』で確定3発(34.8~41.1%)となるため、具体的な立ち回り例として先にカイオーガを展開した上でディアルガに『しおふき』を受けさせ、ザマゼンタに交代後、向こうの交代に合わせて『インファイト』、再度カイオーガを展開し『しおふき』をすれば、相手側は残りHP2〜3割の低HPでディアルガにDMを切らないと受けが成立しません。仮にザマゼンタへの交代時にいきなりDMを切られたとしても、『インファイト』でDMディアルガのHPを43%〜49%削れるので(ここまでで相手の残りHPは約20%前後)、どちらの展開になってももう1体の味方(ブラックキュレムホワイトキュレムイベルタル等)で十分削りきれる数値です。ディアルガが落ちればカイオーガの一貫性がかなり高まるので、『しおふき』連打やDMで勝負をつけましょう。
このような形で『相手の交代、居座りに左右されない安定択を取りつつカイオーガの一貫を取る』といった立ち回りが可能で、またこれらは先に上げたブラックキュレムやイベルタルでも応用可能です。
イベルタルイベルタル@命の珠
主にバンギラスやラッキー、突撃チョッキ持ちのディアルガや白黒キュレムに対面不利を取りやすいためこれらが重い場合に。
ただラッキーに関しては特殊型のイベルタルに対し回復を挟む事で複数回の繰り出しが可能であるため、これに関してはイベルタルに『ちょうはつ』を持たせる方が対策として安定します。
ザマゼンタと共通してザシアン(王)とゼルネアスに不利を取るため、これらを起点に「りゅうのまい」を積めるネクロズマ(日食)が3枠目として優秀です。
ネクロズマ(日食)を同一パーティに入れるなら『デスウイング/悪の波動/不意打ち/挑発』が対応出来る範囲が広くザマゼンタとの噛み合いも良好です。
パーティ一例(10月5日一部変更)
本論ザマゼンタ@脱出パック
HASベース竜舞型ブラックキュレム@ラムの実
ASベース竜舞型ネクロズマ(日食)@弱点保険
CSベースイベルタル@命の珠
HSベース剣舞型ザシアン(王)@朽ちた剣
CSベースカイオーガ@拘りスカーフ
汎用性を持たせつつザマゼンタを採用した積み構築一例です。方向性としては『ザマゼンタを活躍させる』ではなく『カイオーガやブラックキュレムイベルタルのどれかの通りがいい時(有利対面を作れれば2体以上倒せそうな時)にザマゼンタで補強する』イメージです。
カイオーガとブラックキュレムがいるためザマゼンタの役割対象であるディアルガやナットレイが出て来やすく、ワンポイントとはいいつつも比較的ザマゼンタを選出しやすいかと思います。
副次的にはなりますが、ザマゼンタもザシアン同様選出画面では姿は変わらないため、基本は『鋼』複合であると捉えられる事が多く、このパーティは相手から見るとディアルガのメインウェポンである竜/鋼の一貫性がかなり低く映りますので、『こちらの裏が分からない内はディアルガ(キュレムも)にDMを切られにくい&切られたとしても火力と追加効果が強いダイドラやダイスチルが飛んで来にくい』というメリットも一応あります。
見ての通りザマゼンタ以外は採用率上位帯のみで構成されたパーティですが、脱出パックによる『有利対面の継続』『クッション』を役割にする以上、同時選出される2匹は『ザマゼンタの1ターンを代わりに使う』事になるので、可能な限り回りを固めるポケモンは環境に適したものを選ぶように心掛けて下さい。
最後に
以上となります。
最後まで御覧頂きありがとうございました。