はじめに
この育成論では努力値、種族値などの非公式な呼称を用いる他、個体値の表現にH-A-B-C-D-Sの略称を使用します。
カラマネロカラマネロとは?
第6世代で初登場した悪/エスパー複合のイカポケモン。その独特すぎる進化条件の為、外出先で進化させるのが難しいポケモンとしても有名ですね。今作においては唯一の複合ですが弱点2つ(うち4倍1つ)に無効1つ、他全部等倍とやたらフラットな耐性を持っています。
H:86 A:92 B:88 C:68 D:75 S:73
というやはりフラットな種族値はコメントに困りますが、特性『あまのじゃく』+ばかぢからのコンボの他、元専用技(現在はオトスパスも使えます)であるひっくりかえすといった、他のポケモンには無い特徴も多々存在します。まあ数値不足のせいであんま話題になりませんが。今回は後者、準専用技・ひっくりかえすを用いた型となります。
『ひっくりかえす』について
対象となった相手の全能力のランクを逆転させます。例えばつるぎのまいを使った相手に撃てばA2段階↑がA2段階↓になり、ちょうのまいを使った相手はC↓D↓S↓と散々なことになります。積み技対策になるのですが現在主流の積み技は大体Sが上昇するので、カラマネロの微妙なSで有効活用するのは難しいものでした。しかし今回、そんな状況を文字通りひっくりかえすアイテムが登場しています。
持ち物
からぶりほけん
確定です。理由は立ち回りの項にて。
特性
カラマネロといえばあまのじゃくですが、この型においてはすりぬけ(隠れ特性)を採用しています。交代技を強く読むならきゅうばんでも構いませんが、ダイマックスに強制交代が無効なので現状あまりそれらの技は採用されておらず、みがわり対策になるすりぬけの方が有効です。
性格・努力値
確定枠はおくびょうのH252 S236 B20。最速70族抜き調整ですが、大して乱数は変わらないのでHS極振りでもあまり変わりません。物理技を採用する場合はようきにしてAを調整するといいですが、技枠を確定枠で3つ採用する都合上(厳密には2つですが、3つ目の技もほぼ必須レベルなので)あまり推奨はしません。どちらにせよ最低でも最速70族抜きは必須です。
確定技
ひっくりかえす
今回のコンセプト。
積み技に対して有効ですが使いどころがやや難しい技ですね。
さいみんじゅつ
命中率60%という頼りにするには怖すぎる催眠技です。
しかし『からぶりほけん』により、外してもSを2段階上昇させることが出来ます。
ちなみにあまのじゃくだと、Sが2段階下降します。
バトンタッチ
必須ではないですが動かしてると『やっぱ欲しいわ』となる技。
上昇したSを後続に渡せる他、催眠術の後に動きに応じて有利対面を作れます。
候補技
イカサマ
HSに大きく振る為、中途半端なAを誤魔化せるこの技は貴重です。
めいそう
CとDを1段階上昇。オーソドックスな積み技。バトン用。
わるだくみ
Cを2段階上昇。攻撃的な高速特殊エースへ繋ぐ場合に。バトン用。
つぼをつく
ギャンブルが好きな方に。ランダムに能力1つを2段階上昇。バトン用。
みがわり
眠り粉から積んでくる害悪型のバタフリーなんかを対策できます。
リフレクター
物理ダメージを半減。
ひかりのかべ
特殊ダメージを半減。
仮想敵
パルシェンやポットデスといった積み技主体の相手。
ダイマックスに対しても(1発耐えられれば)有効。具体的にはギャラドスとかですね。
立ち回り(仮想敵編)
パルシェンやポットデスといえば? そう、からをやぶるですね。BDを1段階低下させる代わりにACSが2段階上昇するという何を言っているのかよく分からない技です。
パルシェンはこの技を使った後連続技で全抜きを狙うエースとして動き、ポットデスは自身がエースになることも、バトンタッチで引き継ぐことも出来る器用肌です。どちらにせよ、上手く積ませてしまえば死しか残りません。
ということでまずは仮想敵と対面することを目指しましょう。ちなみにパルシェンは準速も多いのですが、最速も抜けるようにしておいた方が安定します。
そして以下、大体次の手順で確定です。
- おもむろにさいみんじゅつ。当たればOK、次の手番で積んでもよし、バトンで有利対面に繋いでもよし。
- さいみんじゅつを外した場合、相手はからをやぶるを成功させてしまいます。しかし大丈夫、からぶりほけんによりこちらのSも2段階上昇しています。カラマネロは73族、パルシェンポットデスは70族なので互いに2段階上昇なら抜けています。
- 満を持してひっくりかえす! 相手のBDは1段階上昇してしまいますが、ACSが2段階↓した状態になります。エース運用を基本とする彼らにとっては完全に致命傷です。後はからぶりほけんで上昇したSをバトンしたり、その隙に積み技を積んでからバトンしてしまいましょう。
以上の流れを基本とするサポーターとしての運用がこのポケモンです。
他のポケモンとの差別化ですが、まずひっくりかえすはこいつ以外にはオトスパスしか使えません。そしてオトスパスはパルシェンやポットデスを抜けず、さいみんじゅつも使えません。よって差別化を意識せずとも、この動きが出来るのはカラマネロだけなのです。
似たような動きにパワースワップ+さいみんじゅつなんてものがあります。サーナイト他、何体かが使える構成ですが相手のA(C)を低下させないので決定力を消すことは出来ず、またSも上昇したままだったりと細部がかなり異なります。相手の強化をそのまま弱体化に出来るのはカラマネロだけ!
立ち回り(仮想敵以外編)
積み技を主体とする相手に対面出来ない場合もあるでしょう。その場合でも、さいみんじゅつ+バトンタッチを用いたクッション役としても有用です。
- おもむろにさいみんじゅつ。当たればOK、外してもからぶりほけんでSが2段階上昇します。からやぶを決めたパルシェンポットデスを抜ける=スカーフや、74族以上の2段階S↑以外ならほぼ抜けます。
- 当たった場合はバトンタッチで相手の動きを見てから有利対面への交代を選択できます。対面の方が素早く、かつ積み技を使っていた場合はひっくりかえすを安定択として選択することも、交代読みでさいみんじゅつを重ねることも可能です。安定はバトンタッチ(ひっくりかえす)、読みに自信があるならさいみんじゅつを重ねるとよいでしょう。仮に交代読みさいみんじゅつが外れても、からぶりほけんでS2段階上昇を利用できます。
- からぶりほけんが発動した場合、上からもう一度さいみんじゅつを試みるorバトンタッチで引き継ぐの2択になります。前者の場合は更に外した場合に無駄に落とされて1体無駄にするリスクが、後者は後続へ負担をかける危険性があります。対面との状態やエースの選出に応じて選択しましょう。
仮想敵と当たらなくても、最悪さいみんじゅつ連打(両方外す確率は16%)が失敗しない限りはなんかしらの役割を果たしてくれます。
例外はラムのみ持ち(カゴのみは大抵がねむカゴギミックの耐久型なので、試行回数が多いほど有利になり、また相手の積みを許さないカラマネロ視点では辛い相手ではありません)および特性・ふみん(やるき)、マジックミラーに対してほぼ何も出来ない(イカサマぐらい)点ですが、ふみん(デリバードヨルノズクパンプジン(普通))はメジャーなポケモンとは言い難く、やるきに至ってはデリバード以外は進化前のポケモンしか持っていません(一応きせきバリヤード(ガラル)が選出される可能性はあるっちゃありますが)。
ラムのみはともかくマジックミラーについては現状ブリムオンがトリパで選出されるケースがほとんどなので、奴相手には選出しないようにしましょう。
被ダメージ(仮想敵編)
相手がからやぶってきたりしたら骨抜きにするので、以下はこの動きを読まれてそのまま普通に殴られた場合のダメージになります。
- A↑252振りパルシェン
つららばり:10.8~12.9%(乱数8発)※確定2発
ロックブラスト:7.2~8.8%(乱数12発)※確定3発
- 無補正252振りパルシェン
つららばり:9.8~12.4%(乱数9発)※確定2発
ロックブラスト:6.7~8.2%(乱数13発)※確定3発
- C↑252振りポットデス
シャドーボール:50.2~59.5%(確定2発)
- 無補正252振りポットデス
シャドーボール:45.5~54.4%(乱数2発)
被ダメージ(仮想敵以外編)
- A↑252振りバンギラス
ストーンエッジ:53.3~63.7%(確定2発)
- C↑252振りシャンデラ
オーバーヒート:87~102.5%(乱数1発)
- C↑252振りトゲキッス
マジカルシャイン:94.3~111.9%(乱数1発)
基本的に、一致弱点を突かれない限り大抵1発耐える程度の耐久はあると考えておけばよいでしょう。
終わりに
ということで本育成論は以上となります。
ダブルでもじゃくてんほけんが流行していると聞きました(筆者はダブルはほぼやってないので伝聞になるのですが)ので、そいつらへの対策としてもこのカラマネロは有効となりうるでしょう。その場合はS等を調整してください。
奇襲気味に妨害することになるので完全に決まるのは少々ピンポイントですが、カラマネロにしか出来ないこの動きが完璧に決まった時、その快感から最早逃げ出せなくなる筈です。
ご意見・ご感想をお待ちしております。それでは。