こんにちは。5度目の投稿となります、イガと申します。第7世代からシングルレートに潜っているものです。竜王戦ルールのシリーズ8が明け、いまやサンダー天下といっても過言ではないくらいのサンダー環境となっておりますね。今回は、そんなサンダーに対して高い流し性能を持ち、サイクルの主導権を奪えるサポート型のエモンガについて紹介していきたいと思います。あくまでサンダーを倒すのではなく、サンダーを流しながら後続のポケモンに麻痺やデバフを入れることで味方後続のエースポケモンの起点にし、サンダーもろともエースポケモンにブチ抜いてもらう、という試合コンセプトを目指したエモンガの論となります。サンダーのいないPTに対しても役割が持てるよう、環境の流行を意識した緻密な調整に仕上げたつもりですので是非目を通していただけるとありがたいです。
注意書き
- HABCDS、V、DM(ダイマックス)等の略称を使用させていただきます。
- ダメージ計算はiOSアプリ「ダメージ計算SS」を使用させていただいております。
エモンガエモンガについて
ポケットモンスターブラック/ホワイトにて初登場した、モモンガモチーフの大変かわいらしいポケモンです。所謂「電気袋組」の一匹であり、個人的にはピカチュウやデデンネモルペコなどを抑えて一番の可愛さを誇るんじゃないか、とも思っています。(決して「採用理由:愛」とかって訳ではないです、、、)
非常に少ない電・飛の複合タイプを持ち、特性の電気エンジンにより電技を無効化できるため地・電が効かないという中々優秀なタイプ耐性を持ちます。しかし、電気袋組ならではの低水準な種族値により対戦ではほとんど使われることのないマイナーポケモンであると言えます。
ですが、S種族値103と多くの相手の上を取れる(=行動保証がある)こと、ほっぺすりすりという命中安定かつ襷まで潰せる麻痺撒き技を習得すること、アンコールや挑発といった起点回避技を習得することなどからPTのサポート役としては十分に活躍できるポテンシャルを持っていると言えます。特に、現環境で猛威を振るっているサンダーに対しては、前述のタイプ・特性により一致技を両方半減以下にでき、また上から怪電波を撃って機能停止に持ち込めるなど高い流し性能を誇るため、非常にサイクルコントロールがしやすいです。今回は、そんなエモンガの強みを現環境にて最大限生かせるような型を紹介したいと思います。
採用理由と役割
- (主に先発で)ほっぺすりすり等による起点作成
- 電気無効によるボルトチェンジサイクルのカット
- サンダー入りの構築に対するサイクルコントロール(起点阻止・起点作成)
→味方後続エースの抜きサポート
これらを同程度のS種族値から行えるポケモンとしてボルトロス(霊獣)が存在しますが、ほっぺすりすりをはじめとしたエモンガしか覚えない技が存在すること、マイナー故サンダーへの選出圧力になりにくい(=サンダーを釣り出しやすい)ことが差別化点になると考えます。
持ち物
基本的に気合の襷で確定とします。低耐久のため、エモンガより速い相手に対し襷による行動保証から無理矢理技を撃ちに行く機会がそれなりに多いです。
特性
対サンダーを前提としているため、電気無効の電気エンジンで確定です。Sが上がることによる恩恵はあまり受けられませんが、麻痺は自分でほっぺすりすりで撒きに行くので静電気での採用は無意味です。
性格
- 臆病
サンダーやウーラオス(れんげき)ミミッキュの上から行動できる臆病で確定とします。襷が潰れても行動しやすくなります。
技構成
<確定技>
- ほっぺすりすり 威力:20 命中:100
攻撃しながら相手を確定で麻痺させることができる、電磁波の超上位互換技です。相手の頑丈や襷を潰しながら麻痺させてSを落とし、後続の起点にします。威力は期待できませんが、電磁波と違って命中安定なのがありがたいです。外す理由がないので確定技とします。この技が無ければもう電磁波ボルトロス(霊獣)でいいです。
- 怪電波 命中:100
相手のCを2段階下げる技です。サンダーに対してはこの技から入ることで弱体化させることができ、場から流したり後続の起点にしたりできるようになります。コンセプト上、確定技とさせていただきます。
<候補技>
- ボルトチェンジ 威力:70 命中:100
攻撃しながら控えと交代できる優秀な対面操作技です。相手の上から撃てることが多いため、先発の不利対面から逃げるのに使えるほか、怪電波を受けても無理矢理ダイジェットを撃ってきたサンダーに対しては次ターンに後攻から撃つことで、味方後続を場に無償降臨させることもできます。電気タイプとしての最低限の遂行技としても、ほぼ確定で採用していいと思います。
- 蜻蛉返り 威力:70 命中:100
コメントよりご指摘を受けたので追記。
ボルトチェンジと同じく、攻撃しながら控えと交代できる対面操作技になります。火力こそボルトチェンジに劣りますが、地面に対しても有効なためとにかく安定して撃つことができ、ドリュウズランドロス(霊獣)の襷ケアもできたりとメリットは大きいです。ただ、ナットレイガブリアスやゴツメ持ちに撃つとかえって自身の襷が潰されてしまうので、この辺りも考慮つつボルトチェンジとメリデメを比較した上で採用するのがいいと思います。
- 光の壁
本論投稿時、この技を覚えることを完全に失念しておりました。5ターンの間、相手の特殊技の威力を半減します。怪電波と選択になります。怪電波は重ねがけ出来るため強引に積んでくる相手に強いですが、交代されても効果が残る光の壁も強力です。サンダー+特殊アタッカー(ポリゴン2カプ・レヒレなど)の並びを見るならこちらの方が優先度は高いかと思います。怪電波より有用とのコメントが多ければ、確定欄の技も入れ替えさせていただきます。
- エナジーボール 威力:90 命中:100
サンダーと組まれやすく、使用率自体もそこそこ高いラグラージやドサイドンに対する遂行技です。確定欄の努力値配分(後述)によりH252振までのラグラージならオボン込みでも確定2発で処理できるため、ナメてステルスロックから入ってきた相手を欠伸を撃たせずに処理できます。電気無効の地面タイプに通る技ということで、技範囲的にはかなり採用を優先したい技となります。DM状態の相手にも通るため、草結びしか覚えないボルトロス(霊獣)との数少ない差別化点だったりもします。
- 甘える 命中:100
怪電波のAダウン版です。ほっぺすりすりと併せて使うことでエースバーンを後続の積みの起点にできるほか、電・草の通らない物理積みアタッカー(剣舞ガブリアスドリュウズランドロス(霊獣)など)に対する起点回避技となります。ボルトロス(霊獣)との差別化点でもあります。採用するならガブリアスの上から撃てるよう、調整案のB実数値orC実数値を2つ下げてSを最速にするのが良いと思います。
なお、確定急所技を持つウーラオス(れんげき)や特性クリアボディのドラパルトメタグロスなど、有効でない相手もそれなりにいるので注意が必要です。
- 挑発 命中:100
地震ワンウェポンのステロ欠伸カバルドンに撃つことで機能停止に持ち込めます。現環境ではステロ展開や積み技阻止くらいにしか使えなさそうな印象ですが、他に有効な使用場面があればどなたか教えていただけると助かります。
- アンコール 命中:100
相手の撃つ技を縛れるロック技です。DMされるとロックが解かれてしまいますが、うまく使えば相手に交代やDMを強制できるため試合展開を非常に有利に運べます。挑発との選択ですが、ステロなどの展開をそもそも阻止することはできない(一度は技を撃たせてしまう)ためそのあたりは一長一短です。
- バトンタッチ
コメントいただいたので追記。ボルトチェンジと違って相手にダメージは与えられませんが、電気無効の相手との対面で交換読み交換をされる場合など、相手の交換を見ながら引き先を選べるので対面操作技としては十分採用の余地があります。また、うまく決まることは少ないとは思いますが、電気エンジン発動によって上昇したSを後続に引き継ぐ動きもできます。
その他、候補となり得そうな技がありましたらコメントにて教えていただけると幸いです。
実数値(努力値)調整案1
H:131(4) A:85(0) B:104(188) C:103(60) D:83(20) S:168(236)
<調整意図>
H:端数、奇数調整
B:陽気水ウーラオス(れんげき)水流連打を超高乱耐え(93.8%)
C:H252振ラグラージをエナジーボールでオボン込み確定2発
D:余り、臆病スカーフサンダーの熱風+怪電波後の熱風を高乱耐え(81.3%)、怪電波後に臆病珠サンダーダイジェットを確定2耐え
S:最速100族(サンダー等)抜き
最速スカーフウーラオス(れんげき)の水流連打耐え+エナジーボールでDに振っていないラグラージを迅速に処理しやすい型になります。Sは100族抜きまで振ることでスカーフ持ち以外のサンダーに対し上から怪電波を撃てるため、珠サンダーのDMを考慮しないのであれば基本2回行動ができます。(先制怪電波→ボルトチェンジなど)。前述のエナジーボールを採用する場合はこちらで確定とします。
実数値(努力値)調整案2
H:157(212) A:85(0) B:86(44) C:96(4) D:82(12) S:168(236)
<調整意図>
HB:陽気水ウーラオス(れんげき)水流連打を超高乱耐え(93.8%)
C:端数
HD:臆病珠サンダーのC-2ダイバーン+C-4晴れダイバーンを高乱耐え(86.8%)、控えめ珠サンダーダイジェット+ダイバーンを高乱耐え(81.3%)
S:最速100族(サンダー等)抜き
最速スカーフウーラオス(れんげき)の水流連打耐え+サンダー対面で相手の万が一のゴリ押しDMをエモンガでほぼ確実に枯らせるよう意識した型となります。エナジーボールを採用しない+サンダーが特に重いPTであれば一考の余地ありといったところです。襷を持たせるのにここまで耐久に努力値を振るのも気持ち悪いかもしれませんが、対ウツロイドウオノラゴンなど襷が活きる場面はそれでも多いです。
与ダメージ
※調整案1の実数値で計算
あくまで相手の削りが採用目的ではないので最低限だけ載せます。
- ボルトチェンジ
無振サンダー 22.4〜27.2%
H252振サンダー 18.7〜22.8%
HD特化サンダー 13.7〜16.7%
無振水ウーラオス(れんげき) 58.2〜69.7%
H252振カプ・レヒレ 31.6〜38.4%
無振テッカグヤ 39.5〜48.8%
H252振テッカグヤ 33.3〜41.1%
- エナジーボール
H252振ラグラージ 63.7〜75.3%(オボン込み確定2発)
HD特化ラグラージ 44.4〜54.1%
H252振カバルドン 36.2〜42.7%
HD特化カバルドン 24.1〜28.8%
H4D252振ドサイドン 53.4〜62.8%
その他必要との声が多いものがあれば追記させていただきます。
被ダメージ
※調整案1の実数値で計算
襷で耐えることが前提なので、怪電波込みで行動回数が増えるサンダーについてメインで載せておきます。
陽気A252水ウーラオス(れんげき)水流連打 84.7〜103.0%(6.2%の超低乱1発)
→意地の水流連打はほぼ耐えないため、意地スカーフ型と対面した場合のみ何も仕事ができません。
臆病C252サンダー暴風 50.3〜59.5%
臆病C252サンダー熱風 58.7〜69.4%
臆病C252サンダーC-2熱風 29.7〜35.1%
→熱風+C-2熱風を81.3%の高乱耐え
C特化サンダー暴風 54.9〜65.6%
ここまではスカーフ型の想定です。(怪電波を撃つ前に被弾する)
これ以降は怪電波後(C-2)の火力で計算しています。
臆病珠サンダーダイジェット 41.9〜49.6%
→熱風を覚えていない臆病珠サンダーの攻撃は2耐えする
臆病珠サンダーダイバーン(≒C-4晴れダイバーン) 51.9〜61.8%
→臆病珠サンダーのダイジェット→ダイバーンは37.5%の低中乱数2耐え、
珠サンダーの2連ダイバーンは怪電波込みでも耐えない
特化珠サンダーダイジェット 45.8〜53.4%(57.5%の中乱数2耐え)
そもそもエモンガに対し無理矢理DMを切ってくるサンダーはさほど多くないと思いますので、この辺りは参考までに覚えておくといいのかなと思います。
立ち回り方
基本的にはサンダー入りの相手に対し初手で繰り出します。サンダー対面は怪電波から入るのが安定行動となります。それ以外の対面は、相手を麻痺させられるならほっぺすりすりから、麻痺しない相手に対してはボルトチェンジから入って相手のPTをかき乱します。襷が潰れたり控えに戻った後も、ほっぺすりすりを撃てる相手が残っていれば最低限仕事ができ、またサンダーに対しては存在するだけで電気技を牽制できるため、意外と活躍する機会は多いです。
また、ステロを撒かれなさそうな相手なら先発には置かず、相手のDMや積みエースに対し死に出しして襷を盾に無理矢理麻痺らせたりデバフをかける動きもできます。とにかく味方後続エースの抜き性能を上げるための行動を意識して立ち回るといいと思います。
相性の良い味方
竜の舞を覚える積みエースであり、ラグラージサンダー軸の役割対象にもされるポケモンです。先発で{ステロ}を撒きに来たラグラージをエナジーボールで削ってカイリューの技圏内に入れられる他、サンダーにも怪電波で抗えるのでカイリューが通しやすくなります。エモンガカイリューに一貫する冷凍ビーム持ちの相手にもエモンガが怪電波を入れて弱体化させられるのが強いです。カバルドンの処理がきつくなるので、ラム持ちにするか3匹目にカバルドンに強い味方を採用するといいと思います。
エモンガで弱体化させた相手の前で悪巧みを積んだり、そのまま倒してBB(ビーストブースト)の起点にしたりできます。BBでSが上がるようにしておけば、DMサンダーのダイジェットを1回受けてもS関係が逆転しないため高い圧力をかけられます。アーゴヨンに限らずUB全般抜き性能が高いため、好相性といえると思います。
エモンガ+DMエースで暴れた後のスイーパーとして優秀です。襷がなくとも行動保証のあるこのポケモンはやっぱり最強ですね。
他にも積みエース全般と相性がいいです。PT全体でサンダーを誘いやすくしておくとエモンガが活躍しやすくなるので、そのあたりを考慮しつつPTに組み込んでみてください。