はじめに
- この論に出てくるポケモンは特に記述がない限り理想個体を想定しています。
- ダメージ計算はVS SWSH及びSoldier Calc.を使用しています。
- 一般的に認知されている程度の非公式な略称や単語を使用します。
DM=ダイマックス
- 本育成論の充実のため、コメントでのご提案・ご指摘お待ちしております。特にジガルデ(50%)については仕様に複雑な部分がありますので、それに関するご質問も歓迎致します。
- 本育成論は型の解説に加えて、ジガルデ(50%)そのものについて深く掘り下げた解説を記載しています。型に関わる部分に絞ったとは言え情報量が非常に多くなってしまいましたので、目次から各項目に飛ぶことで情報の取捨選択がしやすいよう、読み飛ばし可能な項目には見出しに”▽”印を付けさせて頂きました。忙しい方や既に知識のある方はご活用ください。
コンセプト
それぞれの要素については以下で詳しく解説しますが、以降の長文をより理解しやすくする為、この型が基本的に何をしたいのかだけあらかじめ軽く説明します。
50%ジガルデ(50%)状態にて起点にできる相手に対し、蛇睨みによる有効範囲の広いS操作を絡めつつ身代わり・とぐろで安全にスワームチェンジ圏内まで耐久。その後パーフェクトジガルデ(パーフェクト)の優秀な耐久と身代わり、あらかじめ撒いた麻痺による痺れを盾に、とぐろを巻く・ダイアースで更にABDアップし要塞化及び全抜きを狙います。
麻痺を撒き、とぐろを巻き、パーフェクトなZygardeを目指しましょう!
ジガルデ(50%)固有の仕様解説ジガルデ(パーフェクト) ▽
ややこしい要素を持つポケモンですので、運用するにせよ対策するにせよしっかりとした理解が必要となります。既にご存知の方は読み飛ばしていただいて構いませんが、一応確認のためにも目を通しておくことをお勧めします。
- 特性 スワームチェンジの仕様
「自分の残りHPが半分以下になると『パーフェクトフォルム』にフォルムチェンジする」(当サイトより引用)
【1】フォルムチェンジ及びその判定のタイミングはターン終了時(食べ残しやスリップダメージ等処理後)
【2】50%ジガルデ(50%)→パーフェクトジガルデ(パーフェクト)になった際、HCSの種族値が次のように変化(今回の型ではCは関係ありませんが) H108→216, S95→85, C81→91
【3】フォルムチェンジの際、増えたH種族値分のHPがその時の残り体力に加算される。実質的には、Hの個体値や振った努力値に関わらずHPが108回復する(Lv.50時)
これは回復実等の通常時の体力を参照する回復とは異なり種族値そのものの変化である為、DM時にこの特性が発動した場合でも回復する割合は変わらず、HPが216回復します。(厳密には回復ではないようですが、感覚的に理解しやすい表現として使用しています)
【4】一度パーフェクトフォルムジガルデ(パーフェクト)になると、交代しても50%フォルムジガルデ(50%)には戻らない
【5】上記の仕様上、50%ジガルデ(50%)の時でも1発で落とされない限りはパーフェクトジガルデ(パーフェクト)状態と同等の耐久力として考えることができる。
※他にも固有特性としての特別な仕様がいくつか存在しますが、今回の型が目指す立ち回りにはあまり影響がない為省略させていただきます。
スワームチェンジによる回復は単に耐久の増加だけでなく、途中で体力を回復するという仕様により、身代わりを張れる回数の増加や割合定数ダメージの抑制にも貢献します。
- 専用技 サウザンアローの仕様
基本情報:地面 物理(非接触) 相手全体攻撃 威力90 命中100 PP10(16)
飛行タイプ、特性浮遊、技「電磁浮遊」「空を飛ぶ」「飛び跳ねる」、持ち物風船状態により地面から浮いている(本来地面技を無効化する)状態の相手にも当たるという効果により、非常に高い一貫性を持っているタイプ一致技。環境に多いポケモンでサウザンアローを半減以下にできるのはゴリランダーヌケニンフェローチェエルフーンくらいです。その為DM前提でない型ではサウザンアローワンウェポンでも十分過ぎる範囲を見ることが可能であり、これにより生まれる技スペースの余裕が今回の型を成り立たせていると言っても過言ではありません。
また、サウザンアローを当てられた浮いている相手は交代するまでうちおとす(接地)状態となり、以降サウザンアロー以外の地面技も当たるようになります。これは浮いている相手に対してもダイアースによる特防アップを狙える点で有用な仕様となっています。
以上が基本性能になりますが、意外と知られていない仕様が他にもいくつか存在するので、現環境で比較的起こりやすいものに絞って解説させていただきます。
【1】飛行タイプによって浮いている相手には等倍扱いになる
具体的には電気飛行のサンダー、虫飛行のバタフリー、飛行単のトルネロス(霊獣)等の全てに等倍で入ります。また2発目以降は相手がうちおとす状態となるので、飛行を除いたタイプ相性通りのダメージが入ります。
【2】タイプ以外の要因で浮いている相手には、本来のタイプ相性通りとなる
具体的には浮遊ヒートロトムウォッシュロトムや風船ヒードラン等には抜群で入ります。
【3】浮いている相手の身代わりにも上記【1,2】の判定を伴って当たるが、うちおとす状態にはならない
例として、サンダーの身代わりに対してのサウザンアローは等倍、本体に対する2発目はまだ浮いているため等倍(【1】参照)、この時点でうちおとす状態になるため3発目以降は抜群となります。身代わりをサウザンアローで破壊した次のターンにダイアースでDアップを狙おうとしたら当たらず、DMターンを無駄にしてしまった…ということのないように注意しましょう。
うちおとす状態になったかどうかの判断に困った場合でも、Yボタン→相手の状況から確認することができます。
【4】空を飛ぶ、飛び跳ねるを中断させる
耐久ジガルデ(50%)に対してこれらのターン技が撃たれるとは考えにくいですが、相手からのDM切り読み飛び跳ねる等を抑制することはできます。
特に把握しておくべきなのは【1】の仕様でしょう。現環境でこの条件に当てはまるのはサンダーテッカグヤホウオウ等ですが、どれも慎重に立ち回る必要のある相手です。抜群想定で計算し突破できると勘違いしてしまうと、一気に崩壊させられてしまいかねないので注意しましょう。
ちなみに、上記の浮く要因を複数持っていたとしてもサウザンアローを避けることはできません。また【1,2】両方に当てはまるポケモン、例えば浮遊かつ電気飛行複合のスピンロトムには等倍で入ることから、判断の優先度としては【1】>【2】であることがわかります。
以上の点を原則として考えると、恐らくあらゆる状況での判定に説明がつくと思われます。
<例>後攻ジガルデ(パーフェクト)VS先攻サンダー
1ターン目:サンダー羽休め、ジガルデ(パーフェクト)サウザンアロー
→サンダーが羽休めにより飛行タイプを失い接地状態となった為抜群。また技を当てた時点ではサンダーは浮いていない為、うちおとす状態にはならない。
2ターン目:サンダー暴風、ジガルデ(パーフェクト)サウザンアロー
→羽休めの仕様によりサンダーの飛行タイプが前ターン終了時に復活している為、原則【1】に則り等倍。うちおとす状態となる。
3ターン目:サンダー暴風、ジガルデ(パーフェクト)サウザンアロー
→既にうちおとす状態である為、原則【1】に則り抜群。
上記の例では原則に則り机上論的に結論を導き出しましたが、筆者が実際に検証したところ同様の結果を得ることができました(参考欄参照)。これをもって上述の原則が正しい根拠とし、これに基づいた判断の信頼性が高いことを主張させていただきます。
万が一例外的な現象を発見されましたら、コメントにてご報告いただければ幸いです。
他の専用技コアパニッシャーにも複雑な仕様がありますが、今回は採用していないため省略させていただきます。ジガルデ難しすぎる
今回の詰ませ型ジガルデ(パーフェクト)の強み、採用理由
- 優秀な耐久力
今回の調整だとパーフェクトジガルデ(パーフェクト)時の耐久実数値はH321-B141-
D148、物理耐久指数45261、特殊耐久指数47508 となります。これは物理方面ではHB特化ドサイドンボスゴドラを凌ぎ、特殊方面ではHD特化カビゴンポリゴン2(輝石込み)を超えるという、Sに116も振ったのにも関わらず非常に高い耐久力となっています。また、フォルムチェンジ時に50%ジガルデ(50%)とパーフェクトジガルデ(パーフェクト)のH種族値差を埋めるよう回復するスワームチェンジの仕様により、50%ジガルデ(50%)状態でも実質的にパーフェクトジガルデ(パーフェクト)状態と同じ耐久値を実現していることになります(1発で落とされない場合に限る)。
今回はこのような素の耐久力の高さに加え、とぐろを巻くとダイアースによるBDアップでそこから更に要塞化していくため、多くの相手を詰ませることが可能になります。ある程度積んだ状態では、普段は変化技や低威力技をカットする為に採用される身代わりすら破壊が困難となります(詳しくは技構成及びダメ計にて)。
- サウザンアローの高性能とそれに伴う技スペースの余裕
仕様解説でも既に触れていますが、サウザンアローは無効タイプが無く一貫性が高いタイプ一致技である為、基本ワンウェポンで充分=耐久に使える技スペが3つ生まれます。ここに確定欄の3つを入れコンセプトが完成するので、サウザンアローの存在を「今回の型を成り立たせている」と評した訳ですが、これはそのまま似たような立ち回りをする他ポケモンとの差別化にも繋がります。例えば瞑想クレセリアをワンウェポンにしようとすると、火力は出るものの悪で完全に止まるアシパと不一致故に処理速度の遅い冷ビ・ムンフォ等で選択しなければならず、両採用するとすれば安定した耐久に必要なパーツのどれかを捨てなければならなくなります。
また強力な禁伝に地面弱点を持つポケモン(ザシアン(王)ネクロズマ(日食)ソルガレオムゲンダイナディアルガレシラムゼクロム)が多いことも追い風であり、禁伝は1枠までというルール上相手の禁伝枠への処理速度が速いことは明確なメリットたり得ます。
- 蛇睨みによる広範囲への安定したS操作
麻痺によるS操作があることにより、本調整ジガルデ(50%)より速いアタッカーを以下2通りのパターンで起点化することができます。
1.初撃で50%ジガルデ(50%)の体力を残飯回復込みで半分以下に減らしてくる場合(例:A+1ザシアン(王)の巨獣斬)
ザシアン(王)の巨獣斬を受け、蛇睨みで麻痺にする→パーフェクトジガルデ(パーフェクト)になり、上からとぐろを巻いていき起点化
2.初撃で50%ジガルデ(50%)の体力を残飯回復込みで半分入らない場合(例:エースバーンの跳び膝蹴り)
エースバーンの跳び膝蹴りを受け、蛇睨みで麻痺にする→上からの身代わりで痺れを期待しつつスワームチェンジ圏内まで自傷、相手が痺れて身代わりが残った場合はとぐろを巻く→パーフェクトジガルデ(パーフェクト)になり完全起点化
また、蛇睨みは「地面タイプにも有効」「命中率100」という点で電磁波の上位互換技となっています。現環境で本調整ジガルデ(50%)より速いランドロス(霊獣)ドリュウズガブリアス等に対し安定してS操作できるだけでなく、なんと言っても1割の外しによるプラン崩壊が無いことが優秀だと強く感じます。
- 以上3点を根拠とした、対面から起点にできる相手の多さ
初撃から50%ジガルデ(50%)に対する致命打を撃ってこない物理アタッカー
ネクロズマ(日食)グラードンソルガレオエースバーンランドロス(霊獣)ゴリランダー頑丈顎ウオノラゴン等や、
ステロ・壁貼りといった起点作り要員
レジエレキオーロンゲラグラージエルフーンクレッフィ等、
火力の出ない受け
ホウオウナットレイテッカグヤラッキードヒドイデブラッキートリトドンウインディ等、
その他タイプ相性上有利な相手
サンダーバンギラスウツロイドメタグロスヒードランヒートロトムウォッシュロトム等
多くの相手を事前のお膳立て無しで対面から起点とすることができます。
また有利対面の際に積む・身代わりを残す・交代際に麻痺を入れる のいずれかができていれば、じゃれつく持ちのザシアン(王)やダイマックス砲搭載のムゲンダイナを始めとした多くの禁止伝説級に対しても有利に試合を進めることができます。これらのことから、有利対面を一度作っただけで多くの相手を詰ませるポテンシャルを持っていることがわかります。
詳細は各種ダメージ計算、立ち回り及び相性の良い味方の項目を参照。
- 対メタモン性能
相手のスペックをコピーするメタモンは、この禁伝環境において切り返し要因として優秀・使われる側としては非常に厄介な存在です。例えばザシアン(王)軸の場合、相手のスカーフメタモンにコピーされて返り討ちに遭わないようパーティの1枠にヌオーを入れる、またはコピーされないよう技スペを1枠身代わりに割く、といったように何かしらメタモン対策を講じなければなりません。
しかしながら、ジガルデ(パーフェクト)は以下の理由によりメタモンが全く脅威ではなく、したがってわざわざ対策する枠を設ける必要がありません。
1.ジガルデ(パーフェクト)の強さの要となっているH種族値はメタモンにコピーされない
本調整ジガルデ(パーフェクト)のH実数値321に対し、H252振りメタモンのH実数値は155。単純に耐久面で2倍以上の差があり、この差によりジガルデ(パーフェクト)の身代わりは破壊されず、逆にメタモンの身代わりはこちらの攻撃を耐えられません。
2.とぐろを巻くはAとBが同時に上昇する為、例え6回積んだ状態をコピーされたとしてもこちらを突破されない(急所事故を除く)
以上2点により、メタモンの切り返しを許さないどころか起点にすることすら可能となっています。またこの対メタモン性能の高さこそ、数ある強力な禁伝の中からジガルデ(パーフェクト)を採用する最大の理由であるとも言えます。
- 高めなTOD性能
1.低火力技では破壊が困難な身代わりを置ける
2.TODの判定勝ちに有利な高いHP
3.技の合計PPが最大で112と多い(プレッシャー相手でもTOD前にPP切れを起こさない)
4.スワームチェンジのエフェクトが長く、時間稼ぎに有効
もともと今回の型はTOD性能を求めて考案されたわけではなく、これは副産物的な要素と言えます。しかしながら、不思議な守りヌケニンや天然ヌオーといったお互いに突破できない相手の使用率がある程度高い為、TODにより決着をつける場面は避けられません。好き嫌いに関わらず考慮しておきましょう。
構成
- 持ち物
食べ残し
眠る・スワームチェンジ以外に回復ソースを持たないこと、今回の型が身代わりを貼りつつ場に居座り続ける型であることから、毎ターン自動で回復できる食べ残しで確定。
- 調整
慎重 H236 D156 S116
50%ジガルデ(50%)実数値:213-120-141-×-148(↑)-130
パーフェクトジガルデ(パーフェクト)実数値:321-120-141-×-148(↑)-120
H…パーフェクトジガルデ(パーフェクト)時、残飯身代わりの最高効率である16n+1。且つ50%ジガルデ(50%)の身代わり体力が50以上(地球投げやナイトヘッド1回で壊れない)
D…両受け性能を確保する為余り・性格補正をDへ。
S…50%ジガルデ(50%)時に準速ネクロズマ(日食)やS68振りサンダー及び麻痺状態のスカーフ意地エースバーン抜き、パーフェクトジガルデ(パーフェクト)時に麻痺状態の最速スカーフカイオーガ抜き(+実数値6)
B<D…ダウンロード調整(副産物)
[調整の基本方針]
B方面はとぐろにより比較的任意のタイミングで補強していくことが可能ですが、D方面はDM権を消費する上3回までしかランク上昇させることができません。より多くの相手を詰ませる安定した両受け性能を確保する為、S調整を施した上でのHDベースを調整の基本方針とします。
1.麻痺状態も想定したSライン調整
本作でSを上昇させる主な手段はダイジェット・スカーフの2つです。ダイジェットを撃たれる場合、相手のDM権を消費させつつ確率で行動不能となる麻痺を入れられることになり、こちらに有利な展開となるので、相手のダイジェットを考慮したS調整は必須ではなくなります。そこで初速を出せるスカーフ持ちに対象を絞り、その中でも現環境で特に猛威を振るっている最速スカーフカイオーガをS調整の最低ライン(S100振り)に設定しました。今回の確定欄ではここから実数値2だけ伸ばし、50%ジガルデ(50%)時に準速ネクロズマ(日食)やSをジェット前提まで落としている麻痺の通らないサンダー、スカーフ準速エースバーンに対して、それらをより安定して起点化できるよう調整しました。
2.ジガルデ(パーフェクト)時にH実数値が16n+1になるよう調整
今回確定欄に記載したH236振りの他に、H108振りでも16n+1調整を施すことが可能です。
H236振りのメリット:50%ジガルデ(50%)状態でも身代わりの体力が50以上(正確には53)になります。地球投げやナイトヘッド1回で壊れない為、対戦序盤にラッキーやサニーゴ(ガラル)と対面した際、余裕を持って起点とすることができます。
H108振りのメリット:単純にDやSに割ける努力値の量が増えるので、Sに大きく振りたい場合に特に有用になるでしょう。また、浮いた努力値を全て耐久に振った場合(B28 D252)パーフェクトジガルデ(パーフェクト)状態の総合耐久指数が若干高く(92769→93330)なりますが、逆に50%ジガルデ(50%)状態の総合耐久指数は少し低く(61557→60282)なります。
今回は50%ジガルデ(50%)状態での立ち回りを安定させることを優先させ、H236振りを確定欄(推奨)にしています。
3.余りを主にDへ
特殊耐久を伸ばすことで特にサンダー対面の安定性が向上し、相手の後続にも役割を持てるだけの体力を残せるようになります。
以上の方針より、今回の型の目的を達成する為の努力値配分として最低限確定なのはH108 S100となります。ここからHD振りをベースとして、各個人の考察やプレイスタイルに基づき調整をカスタマイズすることが可能です。
《S調整例》
100振り…ジガルデ(50%)時に準速ウオノラゴン抜き、ジガルデ(パーフェクト)時に麻痺状態の最速スカーフカイオーガ抜き
108振り…ジガルデ(50%)時に麻痺状態の準速スカーフエースバーン抜き
116振り…ジガルデ(50%)時に準速ネクロズマ(日食)・S68振りサンダー抜き
132振り…ジガルデ(パーフェクト)時に麻痺状態の最速スカーフヒヒダルマ(ガラル)抜き
180振り…ジガルデ(50%)時に準速ゴリランダー抜き(フォーク元参照)
※その他有用な調整ラインにお気づきの方はコメントにてご指摘いただけますと幸いです。
- 技構成
コンセプト上以下の4つで確定とさせていただきます。
サウザンアロー
この技の仕様や強みについては上述した通りです。通りの非常に良いタイプ一致技なので、充分に積めていない状況にて積みより削りを優先させたとしても、ある程度のダメージが期待できます。
蛇睨み
こちらも詳細は採用理由欄「蛇睨みによる広範囲への安定したS操作」を参照。
1/4で強引に流れを変えられる痺れ効果も優秀で、特に試行回数を稼げるジガルデ(パーフェクト)とはその面でも相性が良いです。とはいえ結局は確率であり、なるべく痺れに依存しないよう立ち回りたいところですので、基本的にはS操作技として使用しましょう。
とぐろを巻く
攻撃・防御・命中率を同時に1段階ずつ上昇させる技。これを積んでいけばB方面は相当硬くなりますが、不意の急所には注意しましょう。通常急所に当たる確率は1/24ですので事故とも言われますが、今回の型は被弾数=急所の試行回数が多いので、B上昇を過信して悠長な行動をしているといずれ急所に当てられます。なるべく身代わりを残し続けてケアすると良いでしょう。
身代わり
状態異常を始めとした搦手のカット、急所ケア、交代読みの安定行動等一般的なメリットの他、ジガルデ(50%)においてはスワームチェンジの安全な発動につなげる役割もあります。
またジガルデ(パーフェクト)の貼る身代わりの体力は80、身代わりの総合耐久指数は80×(B141+D148)=23120となり、これは無振りゲンガーとほぼ同等の硬さとなっています。ここからとぐろ・ダイアースでBDを積んでいくと、1積みで無振りサンダー弱、2積みで無振りザシアン(王)より少し硬い身代わりが完成すると表現すれば、身代わりの壊されにくさを理解していただけると思います。
ダメージ計算 ▽
仮想敵が多い・フォルムチェンジにより耐久値が変わる・積み戦法を用いるといった理由により、想定したほうが良い状況の計算結果であってもその全てを記載するのは不可能です。その為仮想敵を使用率上位に絞り、また計算するまでもなく結果が明確なものはある程度省かせていただきました。あくまで参考程度に留めていただき、実際に運用する際はダメージ計算ツールをお手元に置いた状態でプレイすることを強く推奨します。
※「↑」=性格補正
- 与ダメージ
全てランク上昇無しで計算しています。
目安として、A+1時66.7%, +2時50%, +3時40%, +4時33.4%, +5時28.6%, +6時25%がそれぞれ100%に達します。
サウザンアロー
無振りザシアン(王) 55.0~65.8% 確定2
無振りイベルタル 26.8~31.8% 確定4
H252ムゲンダイナ 43.7~51.8% 乱数2(9.76%)
H4ネクロズマ(日食)(特性込み) 36.4~43.9% 確定3
無振りカイオーガ 32.5~38.2% 乱数3(97.55%)
H252ホウオウ(等倍) 26.7~31.4% 確定4
無振りバドレックス(こくば) 34.8~41.7% 確定3
H252ゼルネアス 23.1~27.4% 乱数4(62.15%)
H252バドレックス(はくば) 17.3~20.7% 乱数5
H4ブラックキュレム 25.3~30.3% 確定4
無振りゼクロム 49.1~59.4% 乱数2(99.6%)
H252ディアルガ 41.5~50.2% 乱数2(0.39%)
H252サンダー(等倍) 29.4~35.5% 乱数3(27.78%)
HB252↑カバルドン 15.3~18.6% 乱数6
H252ゴリランダー 13.5~15.9% 乱数7
H4フェローチェ 36.7~42.8% 確定3
無振りウーラオス(いちげき) 29.1~34.8% 乱数3(10.54%)
ダイアース(130)
無振りカイオーガ 46.2~54.8% 乱数2(58.59%)
無振りバドレックス(こくば) 50.2~60.0% 確定2
- 被ダメージ
ザシアン(王)以外全てランク上昇無しで計算しています。またスワームチェンジや積み技、残飯回復により確定数がかなり変動する為、乱数1未満の場合は確定数表記をしていません。
スワームチェンジ仕様【5】解説、及び採用理由欄「優秀な耐久力」で述べたように、基本的にはジガルデ(50%)とジガルデ(パーフェクト)の耐久値は同等と捉えられます。これは確定1発を取られていない限りどちらのフォルムで対面しても確定数が同じであることを意味しており、したがってジガルデ(50%)状態での被ダメ計算は、残飯回復込みでスワームチェンジ圏内に入らないものと、1発で落とされるもの(どちらも乱数含む)を載せています。
[50%ジガルデ(50%)状態]
・残飯回復込みでスワームチェンジ圏内に入らないもの
ネクロズマ(日食)
A252↑メテオドライブ 43.6~51.1%
イベルタル(ダークオーラ込み)
C252珠悪の波動 45.5~53.5%
ホウオウ
A252↑ブレイブバード 45.0~53.5%
A252↑ダイジェット 52.5~62.4%
エースバーン
A252↑飛び膝蹴り 45.0~53.5%
A252ダイジェット 53.5~63.8%
サンダー
C252↑暴風 38.4~45.5%
C252↑珠暴風 50.2~59.1%
C252↑ダイジェット 48.3~57.7%
ランドロス(霊獣)
A252↑地震 40.8~48.3%
A252↑ダイジェット 52.5~62.4%
ゴリランダー(グラスF補正有り)
A252↑鉢巻グラススライダー 49.7~59.1%
A252↑鉢巻はたき落とす 35.6~42.2%
悪ウーラオス(いちげき)
A252↑暗黒強打 45.0~53.5%
カプ・レヒレ
C無振りムーンフォース 39.4~47.8%
・1発で落とされるもの
ザシアン(王)(A+1)
A252じゃれつく 112.6~133.3% 確定1
ムゲンダイナ
C252眼鏡ダイマックス砲 105.1~124.8% 確定1
カイオーガ
C252冷凍ビーム 88.2~105.1% 乱数1(25.0%)
ゼルネアス(フェアリーオーラ込み)
C252↑ムーンフォース 91.0~107.9% 乱数1(43.75%)
ゼクロム
A252逆鱗 91.0~107.9% 乱数1(43.75%)
ディアルガ
C252↑時の咆哮 119.2~141.7% 確定1
ラプラス
C252↑キョダイセンリツ(120) 129.5~153.9% 確定1
フェローチェ
A252トリプルアクセル(全弾命中) 118.3~140.8% 確定1
[パーフェクトジガルデ(パーフェクト)状態]
ザシアン(王)(A+1)
巨獣斬 41.4~48.9%
イベルタル
C252珠ダイアーク(130) 48.9~58.2%
C252珠ダイジェット(130) 36.7~43.6%
ムゲンダイナ
C252ダイマックス砲 47.3~56.0%
C無振りダイマックス砲 39.8~47.3%
バドレックス(こくば)
C252珠アストラルビット 40.4~47.6%
サンダー
C252↑珠ダイジェット 41.7~49.8%
悪ウーラオス(いちげき)
A252↑鉢巻暗黒強打 44.8~53.2%
ミミッキュ
A252珠じゃれつく 41.4~49.5%
カプ・レヒレ
C252↑ムーンフォース 36.1~43.6%
C252↑冷凍ビーム 47.3~56.0%
ドラパルト
A252ドラゴンアロー 42.3~52.3%
ウオノラゴン
A252↑頑丈顎or鉢巻エラがみ(先制) 49.8~58.8%
- パーフェクトジガルデ(パーフェクト)身代わり被ダメージ計算
BDをそれぞれ何回積めば〇〇の攻撃を身代わりが耐えるという情報になります。こちらはジガルデ(パーフェクト)の詰ませ性能の高さを感じていただくことを目的としておりますので、再現性を考慮しないチョイスがあることをご了承ください。
※B上昇値は最大+6、D上昇値は最大+3とします。
B+0→バンギラスA252↑噛み砕く 確定耐え
B+1→エースバーンA252↑飛び膝蹴り 確定耐え
B+2→ザシアン(王)A252A+1巨獣斬 確定耐え
B+3→ミミッキュA252↑珠じゃれつく 確定耐え
B+4→メタグロスA252↑冷凍パンチ 確定耐え
B+5→ゼクロムA252ダイドラグーン(140) 15/16耐え
B+6→フェローチェA252トリプルアクセル(全弾命中) 15/16耐え
D+0→ウォッシュロトムC252ハイドロポンプ 確定耐え
D+1→イベルタルC252珠悪の波動(ダークオーラ込み) 確定耐え
D+2→サンダーC252↑珠ダイジェット(140) 15/16耐え
D+3→ラプラスC252↑フリーズドライ 15/16耐え
とても身代わりとは思えない耐久力です。
対面考察
- 初手等の事前準備無しで対面した場合でも起点にできる相手
・初撃から致命打を撃ってこない物理アタッカー
ネクロズマ(日食)グラードンソルガレオエースバーンランドロス(霊獣)ゴリランダー頑丈顎ウオノラゴン等
・ステロ・壁貼りといった起点作り要員
レジエレキオーロンゲラグラージエルフーンクレッフィ等(挑発持ちでない場合)
・火力の出ない受け
ホウオウナットレイテッカグヤラッキードヒドイデブラッキートリトドンウインディ等
・タイプ相性上有利な相手
サンダーバンギラスウツロイドメタグロスヒードランヒートロトムウォッシュロトム等
(採用理由欄「対面から起点にできる相手の多さ」より再掲)
- 初手等の事前準備無しで対面した場合は起点にできないが、事前に身代わり残し・麻痺撒き・とぐろ積みのうちどれか一つ成功させていれば突破が可能な相手(DM使用を含む)
これらの相手を確実に受けきって流せる(対面操作できる)ポケモンを構築に組み込むことで、ジガルデ(50%)の立ち回りを安定して通していくことができます。
・伝説アタッカー
じゃれ搭載ザシアン(王) 眼鏡ムゲンダイナ スカーフカイオーガ 珠バドレックス(こくば) 臆病ゼルネアス等
※ゼルネアスは控えめや耐久に厚く振っている型だと不利乱数勝負になります。
・一般アタッカー
剣舞ミミッキュ ダイアイス搭載メタグロス 砂かき鉢巻ウオノラゴン 五里霧中ヒヒダルマ(ガラル) 鉢巻ウーラオス(いちげき)等
(被ダメージ計算参照)
- こちらの有利対面時に身代わりやとぐろを積めた場合でも、向こうの即後出しから止められてしまう相手
ジガルデ(50%)ジガルデ(パーフェクト)を運用する上での障壁であり、理想的な立ち回りが成立する構築を組んだ上でいかに対処するかがカギとなります。また相手が何かしら悠長な行動をし、それにより複数回積めた場合はこの限りではありません。
・氷連続技持ち
ブラックキュレムフェローチェブリザポスマンムー等
被弾数がランダムである為運が絡む部分ではありますが、基本身代わりごと貫かれるケースが多いです。特に竜舞を積んだ珠ブラックキュレムを止めるのは非常に困難ですので、ジガルデ(パーフェクト)以外での対処ルートを確立するのは勿論、構築全体の汎用性を優先して対ブラックキュレムを敢えて想定しない(所謂"切る")のも1つの手だと思われます。
・吹き飛ばし、吠える持ち
カバルドンウインディエアームド等
積みポケモンの天敵。幸いウインディとエアームドの強制交代技採用率はそこまで高くないようですので、強く意識しなければならないのはカバルドンということになります。フォーク元でも触れられていますが、裏の宿木でステロ疲弊をケアしながら削る、別途カバルドンを確実に起点にできるポケモンを用意する等の対処ルートを確保しましょう。
・並以上耐久の挑発持ち
カプ・レヒレファイヤー(ガラル)オーロンゲエルフーン等
当然ながら挑発を受けては積むことができず、逆に起点とされてしまいます。通常は挑発が気にならないポケモンに交代するだけで対策となり得ますが、受け寄りの構築だと厳しい展開に持ち込まれます。
・どれだけ積んでも突破できない相手
不思議な守りヌケニン 天然ヌオーナマコブシピクシー
ヌケニンナマコブシ鈍い無しヌオーに関しては相手もジガルデ(パーフェクト)を倒す手段を持たないので、数的有利をとっていればTODを仕掛け、不利であれば逆にTODを仕掛けられないよう立ち回らなければなりません。これらのポケモンが相手の構築に見えた場合は、数的不利を取らないよう始めから意識しましょう。
構築の組み方(相性の良い味方)
本ジガルデ(パーフェクト)を軸として構築を組む際、2種類のアプローチが考えられます。
- 受け構築的アプローチ
ジガルデ(50%)は初手選出が安定(詳しくは立ち回りの項目にて後述)する為、単体で起点にできないポケモンと初手対面した際、その相手に対する確実な引き先を用意して有利対面を作っていく、という構築になります。ジガルデ(50%)の有利不利がはっきりしていることもあり、ジガルデ(50%)が単体で起点化できない特定の相手に対する流し性能の高いポケモンが採用されます。
・ジガルデ(パーフェクト)の苦手な特定の伝説対策
ラッキーヌオーヌケニンバンギラスヒードランクレベースメタグロストリトドンブラッキー等
特にラッキーは癒しの願いにより体力満タン状態のジガルデ(パーフェクト)を再臨させることが可能であり優秀です。
・ジガルデ(パーフェクト)の苦手な一般枠対策
テッカグヤカプ・ブルルウォッシュロトム等
- 展開構築的アプローチ
ジガルデ(50%)が単体で起点化できない相手に対し安全に積めるよう、あらかじめ他の起点作り要員や対面操作要員で場を整える、という構築になります。壁貼りやトリックといった汎用性の高いサポート技や、欠伸や行動制限技のような対面操作能力を持つポケモンが採用されます。主に火力以外の要因でジガルデ(パーフェクト)の展開を妨害してくる相手に対し、しっかりと役割を持てるかどうかも重要な要素です。受け構築的アプローチに比べジガルデ(パーフェクト)の始動が遅く数的不利を取りやすいものの、必要なサポート要員は構築内に少数体で済み選出でも1体いれば成立するため、余った枠でジガルデ(パーフェクト)が苦手な相手の処理要員を立てられるという点が魅力でしょう。
・起点サポート系
クレッフィオーロンゲ壁貼りドラパルト等
特にクレッフィはジガルデ(パーフェクト)の弱点を全て半減で受けることができ優秀です。
・対面操作系
カバルドンラグラージ怠けアイアント金縛アンコヤミラミ等
行動制限系はDMに弱いのでタイミングに注意しましょう。
・ジガルデ(パーフェクト)の苦手な相手を処理できるポケモン
カプ・レヒレギャラドスエースバーンメタグロスウツロイド等
展開構築的アプローチでは特にカバルドンが重くなりがちなので、そこを確実にカバーできるポケモンは入れておきたいところです。
立ち回り
50%ジガルデ(50%)状態にて起点にできる相手に対し、蛇睨みによる有効範囲の広いS操作を絡めつつ身代わり・とぐろで安全にスワームチェンジ圏内まで耐久。その後パーフェクトジガルデ(パーフェクト)の優秀な耐久と身代わり、あらかじめ撒いた麻痺による痺れを盾に、とぐろを巻く・ダイアースで更にABDアップし要塞化及び全抜きを狙います。(当論コンセプトより再掲)
以上が最も基本的な戦法・運用理念であり、対戦中はこの流れに乗せることでゲームセットを目指すことになります。この「起点にできる相手」とは対面考察の項目にて述べた通りですのでそちらを参照してください。
- 選出タイミングについて
・相手の起点作り要員を逆に起点化することができる
・先に展開(とぐろ積みや身代わり残し)しておくことで不利対面を覆せる
以上の理由により初手出しが安定する場合が多いです。
- 身代わりを出す際の留意点
残飯とスワームチェンジという2つの回復ソースを持つとは言え、自己再生のような自発的に大きく回復できる技を持たない為、体力は有限だと捉えた方がいいでしょう。麻痺による痺れに期待して無闇に身代わりを連打すると、いつの間にか相手の技の確定圏内まで減ってしまうこともあるので注意。相手が身代わりを1回で破壊できない場合のみ確実なアドバンテージが発生することを念頭に置きつつ、ダメージ計算もしっかりと行いながら慎重な立ち回りを心掛けましょう。
おわりに
本論によりジガルデジガルデ(50%)ジガルデ(パーフェクト)に対する理解を深めていただけましたら幸いです。
参考の項目にて筆者が実際に検証した際の動画(Twitter)を貼り付けていますので、興味のある方はご覧ください。またシリーズ8も1シーズン分が終了しましたので、検索をかければもっと見やすい形の検証情報が見つかると思われます。
ご高覧いただきありがとうございました。
参考▽
- サウザンアロー仕様検証動画(筆者自身が行ったもの)
・羽休め関連検証
・仕様【1,2】浮遊かつ飛行タイプの場合の判定
・仕様【3】身代わりに撃った場合
フォーク投稿について ▽
- 理由
調整やその意図は異なるものの、コンセプト(立ち回りや技構成)がおよそ同一であったためフォーク投稿としました。フォーク元の育成論も大変質の高いものとなっておりますが、HOMEのバトルデータ上で最も採用率の高い性格「慎重(HDベース)」の育成論も必要だと感じ投稿に至りました。
- フォーク元との違い
・意識する相手や状況とそれに伴う調整の違い
・フォーク元にて簡潔に示されているジガルデ(50%)ジガルデ(パーフェクト)の性能やその仕様についての掘り下げ