はじめに
注…考察には全く関係ない内容の前置きですので、読み飛ばして頂いても問題ありません。
どうもこんにちは。むちころ犬と申します。
伝説が解禁されてしばらく経ち、ある程度環境が固まってきたように感じられますが、初代からポケモンを見てきた筆者としては、この環境にやや寂しさを感じている部分もあります。
それは
「あのミュウツーが蔑ろにされてる…」
キャラとしての人気は当然一級品。初代からポケモンに触れてきた筆者にとっては、シリーズを追う度に増えていく伝説達の中に置いても、やはりミュウツーこそが最強のポケモンであって欲しいと願っていました。
しかし今期の伝説戦、蓋を開けてみればミュウツーの採用率は全伝説の中でも中程度と、御世辞にもトップメタと言えるポジションにはありません。むしろ中程度である事が大金星と言えるかもしれませんが…
初代で単純にゲームバランスの崩壊を引き起こし、4世代ではユキノオーと共に「ふぶき」を連発して環境を氷付けにし、XYでは2種のメガシンカによって暴力的な種族値を振り回していたかつての輝きは昨今では鳴りを潜めています。
「初代が誇る最強のポケモンがこれでいい訳がない」
今回はそんなミュウツーが現環境に対して逆襲するための最適解を考察していこうと思います。
それではよろしくお願い致します。
ミュウツーのポテンシャル
まずはじめに現環境でのミュウツーの基本性能を、強味、弱味に分けて纏めていきます。
強味
1、速攻アタッカーとして完成したステータス
2、補助技も含めた多種多様なサブウェポン
3、専用技「サイコブレイク」による擬似的な両刀性能
弱み
1、『超』単タイプ故の全体的な火力の微妙さ
2、伝説としては低めの耐久と、耐性の少なさ
3、相性の悪いポケモンにメジャーが多数
ミュウツーの強味を簡潔に纏めると、それは『カスタマイズ性の高さ』の一言に尽きます。
C154、S130と速攻アタッカーとして十分な火力と速度を持ちながら、習得技のタイプ数も全ポケモン中最上位の水準となっています。
加えて専用技「サイコブレイク」により特殊アタッカーでありながら擬似的な両刀が可能、「ちょうはつ」や「トリック」等の小技も完備と、何でもこなせる万能さが最大の強味です。
ですがその反面伝説としては低めの耐久、少ない耐性から攻められると脆く、また単タイプに加えて最高打点が低い事が祟り、種族値の割にゴリ押ししにくく相手パーティに上手く刺されば強いものの、刺さらなければイマイチ攻めきれないポケモンです。
加えてザシアン(王)やイベルタル、ネクロズマ(日食)を始め、エースバーンやミミッキュバンギラス等、基本的な相性が悪いポケモンの採用率が高いという環境的な逆風もミュウツーの弱味の1つです。
バドレックス(こくば)の存在
上記の問題に加え、ミュウツーが採用率を落としているもう一つ大きな要因に、同じく『超』タイプの特殊アタッカーであるバドレックス(こくば)との役割上の類似点が上げられます。
1、ミュウツー以上のS(準速バドレックス(こくば)>最速ミュウツー)とC
2、攻撃タイプとして一貫性の高い『トルネロス(霊獣)』の複合と、高威力技「アストラルビット」の存在
3、『きんちょうかん』と『くろのいななき』の複合特性
純粋なアタッカーとして見た場合、数値と特性ではバドレックス(こくば)はミュウツーのほぼ上位互換と言える性能となっています。
『ひかえめ』での運用となれば、『サイコショック』の火力が『おくびょう』ミュウツーの『サイコブレイク』と殆ど変わらない数値となるため、単純な両刀性能での差別化も難しく、更に小技に関しても有用な物は両者でほぼ共通しています。
バドレックス(こくば)ではなくミュウツーを採用する戦術的なメリットは、サブウェポンの多様性に限定されるといっても過言はありません。
一例としてバドレックス(こくば)が突破困難である『とつげきチョッキ』持ちバンギラスに対し、『いのちのたま』+「けたぐり」で無償突破が可能な点は評価出来ます。
現環境でのミュウツーの適正、差別化
上記一例の発展系として、『いのちのたま』+「サイコブレイク」+「けたぐり」(下降補正無振り)を搭載したミュウツーは、ラッキーハピナスカビゴンバンギラスウツロイド等、シリーズ8で採用率が高い超耐久の特殊受け全般を積まずに突破可能な特殊アタッカーという珍しい個性を持つ事が可能です。
今回はこの特徴を活かし、役割破壊に重点を置いた対面重視の初手運用型ミュウツーを考察していこうと思います。
採用理由と役割
受けにくさを重視した対面型の特殊アタッカーとしての採用となります。
特殊受け全般に刺さる「サイコブレイク」と「けたぐり」に加え、サンダーやランドロス(化身)カバルドンに刺さる「れいとうビーム」、ザシアンやネクロズマ(日食)ナットレイに刺さる「だいもんじ」等を駆使した対面での崩し性能の高さが魅力です。
特性
きんちょうかん
時間を掛けずに相手を崩す事を理想とする型なので、長期で居座る事で真価を発揮する「プレッシャー」とは相性が悪く、消去法で確定です。
「イバンのみ」や「オボンのみ」が発動しないため、不測の自体を回避出来る事があります。
持ち物
いのちのたま
確定です。
逆にこのアイテムがない場合、「サイコブレイク」がラッキーに受けられたり、「けたぐり」でH252バンギラスが落とせなかったり、「れいとうビーム」で無振りサンダーやカバルドンが落ちなかったりと、現環境ではかなり微妙な火力になってしまいます。
ミミッキュと同じく、このアイテム込みで最低ラインの火力が確保出来るといえるかもしれません。
性格・努力値と調整
ひかえめ
努力値B92 C188 S228
B…ようきA↑ザシアン(王)の「きょじゅうざん」を超高乱数耐え(「かみくだく」以外耐え)
C…残り、無振りサンダーを「れいとうビーム」で確1、H252カバルドンを高乱数1
無振りザシアン(王)を「だいもんじ」で確1
補正ありB振り輝石ラッキーを「サイコブレイク」で確2
S…最速110族抜き
環境で採用率の高いポケモンは素早さの格差がかなり大きく、最速運用でもミュウツーの上を取ってくるポケモンがザシアン(王)を筆頭にバドレックス(こくば)ドラパルトレジエレキフェローチェムゲンダイナ(同速)等多数存在します。逆にエースバーンを除いてS103族(ウツロイド)〜S130族(ムゲンダイナ)までの速度帯がバッサリと抜けており、素早さの序列は極端に早いか普通以下かといった具合です。
「ふいうち」の存在からエースバーンに関しても基本的に上を取れない事を踏まえると最速運用ではSの努力値が無駄になりやすく、今回はカミツルギキュウコン(アローラ)+αまで抜ける110族抜き調整とし、性格もそれに合わせ上昇効率が最もいい『ひかえめ』としています。
Bの努力値は主にザシアン(王)対面で不利を取らないためのものですが、副次的に特化ネクロズマ(日食)との対面で『じゃくてんほけん』発動時の「ダイスチル」の最大ダメージをDMミュウツーが89%程に押さえられるようになるため、DM時の珠ダメージ×2を踏まえても「ダイバーン」×2(H252DMに対して総ダメージ103%〜)でネクロズマ(日食)を突破した上でギリギリミュウツーを残す立ち回りが出来るようになります。
技構成
確定技
サイコブレイク
こちらのCに対して相手のBでダメージ計算を行う「サイコショック」の上位互換技です。
『いのちのたま』を持つ事で輝石ラッキーが確2となるため、ハピナスやカビゴンも含めて、これだけでも大多数の特殊受けの後出しを許しません。
DMを切ればキチンとした特殊技となるため、必要に応じた切り替えも可能と、トリッキーなミュウツーにピッタリの技です。
けたぐり
ほぼバンギラスピンポイントメタですが、そのバンギラスがミュウツーに対してかなりの高頻度で後出しされるため確定です。
下降補正無振りでも『いのちのたま』で大方のバンギラスに確1が取れるため、努力値や性格を調整する必要はありません。「きあいだま」の場合、命中不安に加え、『とつげきチョッキ』持ちの1発撃破には約60%の乱数も絡むため、総合的な致死率(命中×乱数)は約45%となり全く安定しないので「けたぐり」を推奨します。
DMされると無効となりますが、相手視点で交代が強く予想されるミュウツーに対して、抜き性能の低いバンギラスが後出し後いきなりDMを切る事はどう考えても悪手であるため普通に通ります。(ミュウツーが初手運用なら尚更で、こちらの裏が何も分からない状態で『闘』に対して有効打がないバンギラスで即DMは自殺行為です)
バンギラスの裏に控えている事が多いサンダーやランドロス(霊獣)に対しても「れいとうビーム」が刺さるため、相手には見えないミュウツーの一貫が生まれやすくなります。
れいとうビーム
サンダーやランドロス(化身)カバルドン等刺さる相手が環境に多いため確定です。
バンギラスと同時選出されやすいポケモン全般に刺さるため、「サイコブレイク」、「けたぐり」、下記の「だいもんじ」と合わせると、ミュウツーに後出し出来るポケモンが相手パーティにいないといった状況も起こり得ます。
選択技
だいもんじ
「けたぐり」では基本対応出来ない『鋼』への有効打です。「かえんほうしゃ」ではザシアン(王)へのダメージが足りないためこちらを推奨します。
上記の調整だと、『「かみくだく」を採用していない陽気ザシアン(王)に対しては』非DMでも相討ち以上を狙えます。
上記3つの技と比較するとやや優先度は落ちますが、選択技内では筆頭候補です。
ちょうはつ
初手出しが多くなるミュウツーなので、相手の機転作成要員を潰すという意味でも持っておくと便利な技です。DM時に「ダイウォール」があると切り返しが安定する場面も数多くあります。
この技を採用する場合、「だいもんじ」を採用しつつ「れいとうビーム」とこの技を入れ換える方が、鋼に対する打点を損なわず動きやすいかと感じます。
ぼうふう
エースとして「ダイジェット」からの全抜きを目指したい場合に。
強力な技ではあるのですが、この技を用いてエースとしての運用を検討する場合、そもそも「ダイジェット」が必要ないレベルの速度を持ち、「くろのいななき」によって火力が自動で上がっていくバドレックス(こくば)の方が適正で勝ります。「くろのいななき」発動後はバドレックス(こくば)の等倍「アストラルビット(ダイホロウ)」>ミュウツーの2倍弱点技となる事が殆どなので、差別化の観点からあまりオススメはしません。(強い事は強いですし、DM時の『悪』『トルネロス(霊獣)』への確定数の変化等、ミュウツーに有利な要素も一応あります)
みらいよち
2ターン後(発動から2回動いたターン終了時)に攻撃する変わった技です。同一ターン中に1匹のポケモンへの集中砲火によるサイクル破壊性能が魅力です。
主に交換読みから負荷を掛けていく事になるため、扱いは難しい部類ですが、種族値的に一般ポケモンは有利を取れない限り伝説対面では引く事が多いため、特に初手出しからの「みらいよち」は比較的決めやすいです。
かみなり
主にカイオーガ入りの雨パに対するメタ意識で。
カプ・レヒレやナマコブシにも有効ですが、いずれも「サイコブレイク」でほぼ2発ですので、優先度は低めです。
習得技が膨大であるため、個別の考察はここまでとします。
本論では、確定欄の「サイコブレイク」「けたぐり」「れいとうビーム」「だいもんじ」のフルアタ構成を前提とします。
立ち回り例
対面構築、またはサイクル構築での先発として選出してください。
技範囲の広さと『特殊数値受けに止められない特殊アタッカー』という性質上、相手の選択枝が多い序盤の方がミュウツーの強味を活かしやすいです。
特にバンギラス入りの構築に関してはミュウツーストッパーとしてかなり選出されやすいので、(バンギラスをより強く選出させるため、構築時点であえて穴を作れば尚よしです)これを「けたぐり」で崩してミュウツーの一貫を通しやすくする立ち回りが強力です。
「けたぐり」でH252バンギラスが先制確1となるため、裏にいる事が分かっていても有利対面時に交換読み「けたぐり」をする必要はありません。
バンギラスが相手構築にいなくても、両刀性能があるため交代から止めにくいポケモンなので、有利対面を取れれば普通に攻撃しているだけでも十分に機能します。
与ダメージ計算
サイコブレイク
無振りムゲンダイナ…131%〜153%
無振りゼルネアス…70%〜82%
無振りウーラオス(いちげき)(連撃)…151%〜180%
無振りドラパルト…103%〜122%
無振りランドロス(化身)…88%〜105%
無振りレジエレキ…147%〜173%
H252ホウオウ…68%〜81%
H252ラプラス…68%〜79%
B振り輝石ラッキー…53%〜64%
B特化ヌオー…53%〜62%
B特化カプ・レヒレ…49%〜59%
けたぐり
H252バンギラス…102%〜123%
H252ナットレイ…43%〜52%
れいとうビーム
無振りイベルタル…81%〜96%
無振りサンダー…107%〜126%
無振りランドロス(化身)…231%以上
無振りガブリアス…199%〜236%
無振りカイリュー…97%〜115%
H252カバルドン…97%〜115%
H252ゴリランダー…103%〜122%
だいもんじ
無振りザシアン(王)…104%〜123%
無振りネクロズマ(日食)…79%〜94%
H252メタグロス…114%〜135%
H252テッカグヤ…94%〜112%
特化ナットレイ…115%〜138%
被ダメージ計算
無補正252ザシアン(王)
きょじゅうざん…85%〜100%
かみくだく…91%〜107%
C252ムゲンダイナ@いのちのたま
ダイマックスほう…74%〜86%
A特化ネクロズマ(日食)
メテオドライブ…58%〜69%
ダイスチル…75%〜90%
A252ホウオウ
せいなるほのお…51%〜60%
C252レジエレキ@こだわりメガネ
10まんボルト…96%〜113%
ボルトチェンジ…75%〜88%
C特化ラプラス
キョダイセンリツ(ぜったいれいど)…56%〜66%
A252ガブリアス
じしん…46%〜55%
げきりん…56%〜66%
A特化ゴリランダー@いのちのたま
GFグラススライダー…59%〜70%
このポケモンの立ち回り注意点
考察冒頭にも述べましたがミュウツーの耐久は伝説の中ではかなり低い水準となっています。『いのちのたま』のデメリットで更に耐久が落ちているため、運用時は極力被弾をしないよう気を付けて下さい。
また、多くの数値受けを2発以内で突破出来るものの、「ちょうなつ」がなければポリゴン2とクレセリアには有効打がないため、これら入りのパーティにも別途対策が必要となります。
対伝説ではイベルタルはかなり辛い相手であり、基本的に不利な読み合いとなってしまいます。(こちらが体力満タンでDM+相手がDMしなかった場合のみ「ダイアイス」で勝機があります)
相性のいいポケモン
サンダーサンダー
バンギラスの選出を誘導しながら、ミュウツーが苦手とするイベルタルやウーラオス(いちげき)(一撃)に対して有利なポケモンです。
バンギラスに限らず特殊数値受けを呼ぶため、この型のミュウツーとは特に高いシナジーが期待できます。サンダー自体の汎用性の高さも優秀です。
パーティ構築一例
本考察ミュウツー@いのちのたま
HAベースバンギラス@とつげきチョッキ
CSベースサンダー@こだわりスカーフ
ASベースエースバーン@きあいのタスキ
HBベースヌオー@たべのこし
CSベースドラパルト@だっしゅつパック
ミュウツーを中心とし、苦手とするイベルタルやバドレックス(こくば)エースバーンに対する切り返しに重点を置いた汎用性重視の構築例です。
細かい調整は考察の範疇外ですので省略します。
ミュウツーとサンダードラパルトの存在からバンギラスを非常に呼びやすいため、「けたぐり」や「サイコブレイク」による突破から試合全体のペースを取り安くしています。
最近はザシアン(王)対策のヌオー対策に「かげふみ」ゴチルゼルが採用されている事があるため、TODを狙われないようにヌオーに「アシッドボム」を採用しておくと、ザシアン(王)への後出しを躊躇わなくてよくなります。
ミュウツーでも勝てない事はありませんが、初手偶発対面である事が必須条件ですので、別途でのザシアン(王)対策は確実に行って下さい。
ミュウツーがフルアタであるため、メタモンにコピーされた場合もエースバーンの「ふいうち(ダイアーク)」で縛る事が出来ます。またそれ以外にも、DMバンギラスへの打点が全くない事を利用し、こちらのバンギラスを後出しした上でDMを切る事で一方的に撃破、または流す事も一応可能です。
ミュウツーサンダーエースバーンの並びで対面構築となり、ミュウツーバンギラスヌオーorサンダーorドラパルトとすればサイクルに適した並びとなります。
おわりに
以上となります。
かつての栄光を考えれば苦しい立場に立たされているミュウツーですが、環境に逆襲するつもりで今回このような型を提案させていただきました。
この考察がミュウツーの地位向上へのちょっとした役に立てればと思っています。