はじめに
どうもこんにちは。むちころ犬と申します。
今回御紹介するのはシールドの看板伝説であるザマゼンタ(王)です。
シリーズ8の環境的に強い逆風に曝されているポケモンですが、出来るだけ分かりやすく、個性を活かせるよう考察していきますので、よろしくお願いいたします。
対戦でのザマゼンタ(王)の基本性能
まず初めに、実戦に置けるザマゼンタ(王)の性能を、『強味』『弱味』に別けて解説していきます。
強味、『高い対物理性能を始めとした、欠点のないステータス』
H92 A130 B145 C80 D145 S128
高水準の種族値に加え、専用特性『ふくつのたて』により場に出た瞬間にBが1ランク上昇します。元々の種族値の高さも加わり、無振りでさえ特化カバルドンを僅かに上回る物理耐久値を誇ります。
その他ステータスも欠点と言えるものは1つもなく、合計種族値やその配分、特性に関しては数ある伝説の中でもむしろ最上位の完成度と言えます。
システム上DMが出来ない事や道具が固定化されるデメリットはありますが、それを補える性能は有しています。そういった意味では前作のメガシンカに近い性質と言えそうです。
以上が簡単な強味です。続いて重要な弱味の解説に移ります
弱味1『ザシアン(王)の存在』
ザマゼンタ(王)が環境で逆風を受ける理由の半分がこれです。(もう半分は使用率上位に対する相性の悪さです)
上記の完成した性能は対であるザシアン(王)も同様で、彼方は「ふとうのけん」のA1ランク上昇と、よりアタッカーに適した種族値配分を持ちます。
火力面は「インファイト」でさえザシアン(王)>ザマゼンタ(王)になる程の差があり、両者の攻撃技の習得範囲もほぼ同じと、アタッカーとしてはほぼザシアン(王)の劣化という立ち位置に立たされています。
ザマゼンタ(王)の方が繰り出し性能自体は上ですが、
1、タイプ的にはザシアン(王)の方が受け出しに適した複合である事
2、そもそもザシアン(王)でも十分な耐久を持つ事
等により、上記の攻撃性能の差を埋める要素には至っていません。
弱味2『習得技と性能のアンチシナジー』
前述したようにアタッカーとしてはザシアン(王)に劣るザマゼンタ(王)ですが、習得技に「どくどく」等の搦め手やB↑を活かせる「ボディプレス」がなく、「じこさいせい」等の再生回復技もありません。
格闘打点も扱いやすい技が自身の耐久を下げる「インファイト」程度しかなく、本人の性能と習得技がいまいち噛み合っていません。
こういった性質から、本来最も適正が高い『物理受け』としての役割を全うする事が困難であり、性能面でどうしても『ザシアン(王)より扱いにくい』という印象が生まれます。
ザマゼンタ(王)の適正
ザシアン(王)と比較するとどうしても不遇なザマゼンタ(王)ですが、強味でも述べたように、ステータスや特性自体はむしろ全ポケモン中最上位と言える性能です。
1、非常に高い物理耐久値があるため、多少強引な繰り出しも可能
2、殆どのポケモンに先行できるS128族
3、「リフレクター」「ひかりのかべ」の習得
4、少量の努力値でも(伝説以外には)十分機能するA
これら4点が大まかなザマゼンタ(王)の個性です。
特に汎用性が高い両壁の取得はザシアン(王)との明確な違いであり、非常に高い耐久で物理アタッカーへと後出し→上から壁を展開といった立ち回りが出来るのは、サイクル寄りの積み構築では有用です。
今回考察するザマゼンタ(王)は、サイクルの中で積みエースの場を整える事を目的としたサポーター兼準アタッカーとなります。
単体で大きな活躍が期待できる(対面構築に高い適正がある)ザシアン(王)とは対照的に、こちらは補完面や役割を重視し、パーティと連携するサイクル構築を前提とした型になります。
『扱いやすさ』という点ではやはりザシアン(王)には劣るものの、組み合わせるポケモン次第で堅実な立ち回りが可能です。
そのため、論の後半ではどのようなポケモンの組み合わせがザマゼンタ(王)を動かす上で合理的なのかを考察していきます。
ザマゼンタ(王)とザマゼンタの違い
続いて、元のザマゼンタと比較した時のザマゼンタ(王)のメリット、デメリットを記載します。
メリット
1、対DMで有用な「きょじゅうだん」を一致で打てる
2、鋼複合となる事で耐性が増える
3、BDの種族値が30増える
4、かっこよくなる
デメリット
1、持ち物が固定される
2、鋼複合で弱点を突かれるリスクも増える
3、Sが10下がる
主にこのような違いが生まれます。
耐久値に関しては、ザマゼンタ(王)<ザマゼンタ@「オボンのみ」であるため、耐久指数上昇だけを狙ってザマゼンタ(王)を選ぶのはやや非合理となります。
主に鋼タイプ追加による繰り出し性能の向上や、「インファイト」に頼らない安定火力の存在が大きな利点ですが、道具固定による型バレのリスクとSの低下は痛く、適当に扱うとデメリットも相応に目立ちます。
耐性が完全に変わるため、ザマゼンタ(王)を中心に補完が取れるパーティを組むよう意識しましょう。
採用理由と役割
積みエース構築でのサポート枠での採用となります。ザマゼンタ(王)+もう1体でサイクルを回しつつ壁展開+αを行い、エースが積み技からDMで全抜きを目指すのが大まかな流れとなります。
火力、速度ともにハイバランスで備えているため、状態次第ではエースの降臨を待たず自分から相手を突破していく事も可能です。
持ち物
くちたたて
道具としての効果は何もありません。
装備しても戦闘が始まるまでは姿が変わりません。
性格
ようき
アタッカーに対して上から壁を貼る事で行動回数が少なくとも1回は増える事から、最低でもトップメタである最速エースバーンまでは抜いておきたいところです。
下記の調整では、体力が満タンならDMエースバーンに対しても、先制「リフレクター」込みでDMが枯れるまで粘る事が可能です。(命の珠「キョダイカキュウ」2耐え=物理アタッカーとの対面では、速度勝ちしていれば最低3回の行動が可能です)
努力値と調整
努力値H236 A76 B4 C0 D4 S188
実数値H197 A160 B166 C×D166 S189
『闘』タイプ最低限の役割として『しんかのきせき』ポリゴン2を突破可能になるまでAに努力値を回しました。ここまで振ると一撃ウーラオス(いちげき)も確定1発となり、「きょじゅうだん」でH252バドレックス(はくば)も確定2発となります。
耐久方面に関しては「ふくつのたて」の1.5倍を考慮しても、Hに振る方が総合耐久値では上になります。
HとBの配分を変えれば物理耐久はほんの僅かだけ上に動きますが、誤差の範囲と言えるレベルですので、基本は4だけをBに入れて実数値を偶数とし、後はHを重視して下さい。物理耐久指数は49000超えと、特化輝石ポリゴン2すら上回る数値となります。
Sは前述したようにエースバーン抜き調整となります。最速にする場合はHから必要分を移動して下さい。
技構成
きょじゅうだん
メインウェポン
デメリットのない主力攻撃であり、DM時の相手にダメージが倍になります。
ザマゼンタとの明確な違いの1つとなるため確定です。
リフレクター
採用理由であるため確定です。
「ふくつのたて」の存在から物理に対して繰り出していく事が多くなるので、基本はこの技から入って行動回数の確保をしていく事になります。
自身の被ダメ軽減による擬似的な強化に加え、後続のエースの繰り出しサポート、また積みサポートにもなる優秀な技です。
ひかりのかべ
「リフレクター」と概ね共通です。
インファイト
耐久ダウンは厄介ですが、対バンギラスやポリゴン2ウーラオス(いちげき)一撃ナットレイ等、撃つべき相手は環境にそこそこいます。
耐久の低下はサイクルで補う事を意識しましょう。
ねむる
上記の技よりやや優先度は落ちますが、ザマゼンタ唯一の回復ソースとなります。
『リフレクター』展開後は異次元の物理耐久(指数約98000)を誇るため、並みの一致弱点程度なら素眠りで回復が追い付きます。(持ち物なしエースバーンの「かえんボール」で乱数4)
上記以外の技に関しては、ザシアン(王)の方が適正が上であったり、使い勝手に難点があるため、今回は候補外とします。
立ち回り例
主に先発、またはもう1体の積みサポーターの裏に控える形での選出となります。ザマゼンタ(王)が物理方面に対して非常に安定した後出し性能がある事から、もう1体のサポーターは主に特殊方面に厚いポケモンである(カイオーガやイベルタルムゲンダイナ辺りの何れかに強い)事が理想です。
2者間でのサイクルの中で壁の展開や削りを入れた後(可能なら相手DMも消費させる)、エースを繰り出し一掃するのが理想的なパターンとなります。
与ダメージ計算
きょじゅうだん
H252ゼルネアス…68%〜81%
H252バドレックス(はくば)…52%〜62%
無振りイベルタル…39%〜47%
無振りザシアン(王)…40%〜49%
無振りミミッキュ…140%〜166%
無振りゴリランダー…48%〜57%
インファイト
特化ポリゴン2…50%〜59%
特化ナットレイ…61%〜73%
無振り{ネクロズマ(日蝕)}…44%〜51%
無振りウーラオス(いちげき)一撃…104%〜123%
無振りレジエレキ…99%〜118%
H252振りテッカグヤ…43%〜52%
被ダメージ計算
B↑で計算、リフレクター時は半減
A252ランドロス(化身)@いのちのたま
じしん…59%〜71%
ダイアース…77%〜92%
A252エースバーン@いのちのたま
キョダイカキュウ…81%〜96%
ダイジェット…24%〜29%
A252ミミッキュ@いのちのたま
シャドークロー…26%〜32%
かげうち…20%〜24%
A252ゴリランダー@いのちのたま
グラススライダー…9%〜11%
10まんばりき…35%〜41%
A252ザシアン
インファイト…62%〜73%
特化{ネクロズマ(日蝕)}
フォトンゲイザー…13%〜16%
じしん…36%〜43%
特化バドレックス(はくば)
ブリザードランス…18%〜21%
10まんばりき…35%〜42%
ダイアース…48%〜57%
先手で「リフレクター」を入れると、弱点でも大方確定3発以下となります。
相性の良い味方&パーティ考察
ザマゼンタ(王)をメインに据えた編成と、その立ち回り型について一部掲載します。
一例
基本選出
ザマゼンタ(王)ラティアスギャラドスorメタモン
全て書き出すとキリがないですが、ひとまず『相手のパーティにザシアンイベルタルがいない場合の選出』だと考えて下さい。
ザマゼンタ(王)とその補完に非常に優れるラティアスとの2者間でのサイクルでエースであるギャラドスの場を整えていく事を主目的としています。
相手メタモンによって積みエースであるギャラドスが選出しにくい場合、その枠にこちらもメタモンを据えて対抗します。詳しくは個別のメタモンの項で解説致します。
ラティアスラティアス@タラプのみ
サイコキネシスorみらいよち
マジカルフレイム
じこさいせい
+α(補助技自由枠)
特殊受け兼サポーター。
特化カイオーガの命の珠「ダイストリーム」への後出しを成立させるため持ち物は「タラプのみ」で固定。
素早さを最速ウーラオス(いちげき)抜き程度まで落とし、残りをHDの実数値がほぼ均等になるよう(H164D196S148)に振り分けて下さい。続く「ダイアイス」を耐えるために「じこさいせい」も必須です。
自由枠を攻撃技か「めいそう」にすれば、万が一のDM要因として機能します。それ以外なら「でんじは」か「いやしのねがい」が無難です
基本はこのラティアスとザマゼンタで相手を削りつつ、壁等のサポートを混ぜていく事になります。
ギャラドスギャラドス@いのちのたまorソクノのみ
たきのぼり
とびはねる
パワーウィップ
りゅうのまい
エース1。
「パワーウィップ」によりヌオーで止まらない「じしんかじょう」持ち。
両壁で耐久を補っての「りゅうのまい」は単純に強力です。補完面もザマゼンタ(王)とラティアスの間で上手くとれているので、バランスのいい並びになります。
ただ強力ではありますが、シリーズ8ではメタモンには注意が必要となります。「リフレクター」とDMがあれば正面からの打ち合いは有利ですが、「りゅうのまい」時の被弾から突破される可能性は否めないため、いっそ「りゅうのまい」を切り、「じしんかじょう」と「ダイジェット」だけで能力を上げていく方が便利かもしれません。
メタモンメタモン@いのちのたまorとつげきチョッキ
サポーターではあるものの、両壁を張ったザマゼンタ(王)のステータスは凄まじく、エースバーン等の一部を除いて一般ポケモンでこれをまともに突破するのは中々困難です。必然的に積み技やステータスの高い伝説でのDM等で相手をしてくる事が予想されるので、それに対するカウンターとしてエース(ギャラドス)の代わりに投入します。壁が張られている事とDMを前提とすると、スカーフで先制を狙う意義は薄いかと判断し、打ち合い性能が上がるアイテムを優先しました。先に「へんしん」して場に居座ると相手メタモンを完全に腐らせる事が出来ます。
いのちの珠があれば、対ゼルネアスや{ザシアン(王))への切り返しから「てんねん」を貫いて全抜きを目指せる可能性があります。
余談ですが、スカーフ{メタモン}にザマゼンタ(王)をコピーされた場合、ラティアスに交代すれば「インファイト」は受ける事が可能です。
バンギラスバンギラス@オボンのみ
ステルスロック
でんじは
ロックブラスト
かみくだく
対イベルタル構築時のラティアスとの交代要因です。ザマゼンタとは一部弱点が共通しますが、ギャラドスとの三者間ではある程度補完されています。あくまでラティアスの代わりですので、どちらかといえばサポート色の強い構成です。
</u>ヌオーヌオー@たべのこし</u>
あくび
じこさいせい
ねっとう
+α
対ザシアン構築でのラティアスの入れ換え要因となります。スタンダードなHB特化です。
以上が編成一例の解説、立ち回りの補完となります
終わりに
いかがだったでしょうか。
可能な限りザマゼンタ(王)の個性を出す形で考察してみましたが、インフレしたステータスからサイクル構築そのものが逆風気味です。
上記の構築ではムゲンダイナがやや重いため、環境に合わせてお好みのパーティにカスタマイズして下さい。
ザマゼンタ(王)を扱うなら、それなりのプレイングスキルと愛を持って戦う事が何より重要かもしれません。
以上です。ありがとうございました。