はじめに
どうもこんにちは。むちころ犬と申します。
今回御紹介するのは、冠の雪原にて追加されたUBの1体であるアーゴヨンです。
ランドロス(化身)やミミッキュと同じく、前作でトップレベルの強さを誇ったポケモンの1体です。
オンバーンビリジオンに続いて3回目となる「だっしゅつパック」型の考察ですが、それらとはまた違った強みを上手く伝えられればと思っています。
それではよろしくお願い致します。
アーゴヨンの強さの理由
まず、本格的な考察に入る前にアーゴヨンが何故それほど強いと言われていたのかをおさらいします。
アーゴヨンの強さの源泉、それは
「竜」タイプの特殊アタッカーとして完成された能力
この一言につきます。
C種族値127に加えてS種族値121、その他all73と速攻型の特殊アタッカーとして高水準の種族値を持ちます。
本来妖タイプを苦手とする「竜」でありながら、複合タイプに「毒」を持ち、上記したハイスペックなCとSによって大方の「妖」に上から一致弱点を狙える事から、妖タイプに選出を縛られない竜タイプとして非常に強い独自性を合わせ持つのが特徴です。
また、この「竜/毒」の複合は半減タイプが7つと比較的多く、耐久は低めなもののサイクル戦もある程度こなせる事も魅力です。
習得技に関しても「竜/毒」に加えて補完に優れる炎技や、元々高い火力を更に押し上げる「わるだくみ」も備え、性格「おくびょう」を選択時には特性「ビーストブースト(以下BB)」によって敵を倒す度にSも上昇していきます。
更に、今作ではBBの性質上全てのDM技を擬似的に「ダイジェット」のように扱える事や、「りゅうせいぐん」のデメリットを帳消しに出来る点、「ダイアシッド」によって更なる火力上昇も狙える事から高いDM適正まで完備しています。
総括すると「竜」タイプの特殊アタッカーに求められるほぼ全ての要素(対妖性能、対鋼性能、等倍火力、速度、DM適正、サイクル適正)を極めて高いバランスで備えているのがアーゴヨンの大まかな強みと言えます。
今回のアーゴヨンのコンセプト
アーゴヨンは上記した特殊アタッカーとしての汎用性の高さから、命の珠や拘りアイテム、気合いの襷等アタッカーが用いる殆どの汎用アイテムとの相性も優れています。
その中で今回筆者が「だっしゅつパック」を選択した理由、メリットは以下のようになります。
「りゅうせいぐん」の通し易さによる安定した初手出し性能
「だっしゅつパック」+能力低下技によって擬似的に「とんぼ返り」を行う戦術は有名ですが、その中でも「りゅうせいぐん」は広い等倍範囲による安定した火力が魅力です。アーゴヨンの場合、「毒」複合である事や炎技の所持率の高さから、「りゅうせいぐん」を無効、または半減にする「妖」や「鋼」を安易に後出しさせない点が非常に強力です。
これをエースバーンを越えるS121帯から撃てるため、この「りゅうせいぐん」からひとまずサイクルを始動させる動きが対戦の滑り出しとして非常に安定します。
参考までにC252アーゴヨンの「りゅうせいぐん」の火力指数は34905。これは特化ハチマキハッサムの「とんぼがえり」(31500)をも上回り、C252メガネレジエレキのトランジスタ「ボルトチェンジ」(35910)に匹敵する火力となります。
『無効化される相手の後出しを自前で抑制出来るメガネレジエレキを先鋒に据える』と考えてもらえれば、その強力さをイメージしやすいかと思います。
この安定したサイクル構築の初手性能に加え、アーゴヨン本来の強みである中〜終盤に置けるDMでの抜きエース運用の両立がこの型独自の強みとなります。
それらを踏まえ、「だっしゅつパック」型アーゴヨンの考察に移ります。
採用理由と役割
上記したようにサイクル構築に置ける先発&中〜終盤のDM抜きエースとしての起用となります
序盤から終盤までアーゴヨンの高い火力&技範囲を活かした立ち回りが出来るため、他二体は攻撃面よりも耐久に厚いポケモンを起用した『受け寄りのサイクル』である方が、初手アーゴヨンの先制「りゅうせいぐん」の引き先の確保という観点から見てもバランスがいいです。
特性
ビーストブースト
UBの専用特性。
「相手を倒した時、H以外の実数値が一番高い能力が一段階上昇する」効果を持ちます。
今回のアーゴヨンの場合はSが上昇するため、敵を倒しながら速度を上げる事が可能です。
「ダイアシッド」を用いて敵を倒すと、ターン消費なしでCSが一段階上がるため、抜き性能が大幅に上昇します。
持ち物
だっしゅつパック
この型のコンセプトです。
『自身の能力が低下した時、控えのポケモンと入れ替わる』効果を持ちます。
威嚇持ち、特に来シーズンではランドロス(霊獣)には注意が必要ですが、基本的に特殊アタッカーであるアーゴヨンに対してランドロス(霊獣)を含めた威嚇持ちを積極的に後出ししてくる事はあまりないので、注意すべきは初手の偶発対面となります。
後続にアーマーガアやクレセリアカバルドン等の物理受けを控えさせて置くと、ランドロス(霊獣)威嚇→アーゴヨン脱出→アーマーガア登場→対戦開始となるため、道具こそ消費しますが明らかな有利対面からバトルが始まります。この性質から、対策となるポケモンを事前にキチンと準備しておけば、威嚇に関してはそこまで警戒する必要はありません。
性格
おくびょう
『上から「りゅうせいぐん」を撃ち逃げする』というコンセプトから確定です。
エースバーンやインテレオンらをギリギリ抜けるS121という絶妙な数値を持つため調整を挟む余地はありません。
また補正を掛ける事で、努力値をCSに極振りした場合でもBB発動時にSが上昇するようになります。
努力値と調整
CS252余りD
上記したようにSは最速が望ましく、火力アップアイテムを持てない事から「抜きエース」とするために可能な限りCにも努力値を割く必要があるため、努力値はCS極振りが理想です。
余りは環境で増える事が予想されるポリゴン2のダウンロードを意識しDに入れています。
技構成
りゅうせいぐん
メインウェポン兼「だっしゅつパック」発動のトリガー。「竜」タイプとしてはドラパルトオンバーンに次ぐ速度から撃てる事に加え、火力は両者よりも約1.2倍程高くなります。
ヘドロウェーブ
アーゴヨンの個性である対「妖」性能を満たすためにも必須です。この技とアーゴヨンの高い攻撃性能のおかげで「りゅうせいぐん」が無効化されにくく、より安定した先制脱出が狙えるようになります。
かえんほうしゃorだいもんじ
対「鋼」に置ける役割破壊技となります。
基本的に初手に関しては相手が「鋼」であろうと「りゅうせいぐん」が安定択となるので、メインとなる使い処は中〜終盤となります。DMによる使用をメインと捉えるなら威力重視で「だいもんじ」を、他にもDM要員がいるのなら、安定性重視で「かえんほうしゃ」を選択して下さい。(ダメージ自体は「かえんほうしゃ」でも大方足りています)
わるだくみ
自身のCを2段階上昇させます。
中〜終盤に掛けてアーゴヨンが全抜きを目指す上であると便利な技です。
性格補正によってSにBBが掛かるため、これを積んだアーゴヨンが相手を一匹倒した時点で止める事が非常に困難になります。
他にも「エアスラッシュ」や「10まんボルト」「りゅうのまい」等を覚えますが、活かせる場面がピンポイントな技が多く、上記した技を差し置いてまで採用する必要性は薄いため、汎用性を重視してこの4つで確定とします。
立ち回り考察
基本的な選出として、アーゴヨン+物理受け(アーマーガアカバルドンクレセリア等)+特殊受け(バンギラスハピナス等)という並びを前提として考察します。
初手は勿論アーゴヨンから入り、対面相手によって以下の行動を選択して下さい。
1、相手がアーゴヨンより速いorアーゴヨンより遅いが、こちらを一撃で仕留める火力を持つ「妖」タイプ→「りゅうせいぐん」を撃たず、そのまま裏の物理or特殊受けへと交代
2、確定1発を取られない「妖」タイプ→「ヘドロウェーブ」
3、それ以外→「りゅうせいぐん」から裏の物理or特殊受けに交代
特筆すべきは3の範囲の広さで、基本的に対面が竜半減の「鋼」であろうと初手は「りゅうせいぐん」を選択して下さい。
アーゴヨンの炎技の所持率から相手視点では引きが安定ですが、その際「ヘドロウェーブ」の存在から「妖」タイプを安易に対面させる訳にもいかず、結果としてスカーフ所持の「竜」や数値受けが可能なハピナス等の高耐久が後出しされる事が多くなり、それらに対して打ち逃げから有利対面を継続させる事が可能です。
仮に居座られたとしても、こちら側はその鋼に対して有利な方の受けを後出しすれば済むので、この対面に置いて「りゅうせいぐん」を選択する際に生じる駆け引きがありません。勿論これは「鋼」以外の対面に置いても共通です。
負荷を掛けて引っ込めた後は、基本的には後続の受けポケモン2匹によるサイクルをメインに立ち回り、後攻「とんぼがえり」や役割終了後の「受け」を切った死に出し等、アーゴヨンを再展開出来るタイミングを伺って下さい。
再び場に出した後は「わるだくみ」→DMまたは即DMから削れた相手を処理しつつ、そのまま決着に持ち込む流れを意識しましょう。
与ダメージ計算
りゅうせいぐん()はDM技
無振りガブリアス…138%〜162%(148%〜175%)
無振りエースバーン…89%〜105%(97%〜114%)
無振りランドロス(霊獣)…81%〜95%(87%〜102%)
無振りボルトロス(化身)…86%〜101%(92%〜109%)
無振りカイリュー(マルスケ)…66%〜78%(71%〜84%)
無振りファイヤー(ガラル)…55%〜65%(60%〜71%)
H252サンダー…61%〜72%(66%〜78%)
H252テッカグヤ…26%〜31%(29%〜34%)
H252クレセリア…39%〜46%(41%〜49%)
無振りハピナス…26%〜31%(28%〜33%)
ヘドロウェーブ
無振りカプ・コケコ…141%〜167%(132%〜157%)
無振りカプ・テテフ…99%〜117%(92%〜102%)
H252カプ・ブルル…196%〜226%(178%〜212%)
H252カプ・レヒレ…73%〜86%(69%〜83%)
無振りトゲキッス…90%〜106%(84%〜101%)
無振りミミッキュ…59%〜70%(56%〜67%)
無振りゴリランダー…123%〜145%(117%〜137%)
だいもんじ
無振りアイアント…328%以上
H252テッカグヤ…61%〜72%(76%〜91%)
H252ナットレイ…126%〜145%(155%〜183%)
H252アーマーガア…69%〜82%(88%〜104%)
H252ジバコイル…77%〜90%(97%〜115%)
「かえんほうしゃ」を選択する場合、メジャー処だとDM時にアーマーガアとジバコイルに対する乱数で不利を取ります。
被ダメージ計算
平均値をやや下回る耐久性能であるため、基本的に一致弱点を耐える事は出来ないと考えて下さい。
不一致でも、相手が強化アイテム持ちだと高確率で落ちます。(基本的にDM時以外は「だっしゅつパック」を利用して極力被弾しない立ち回りが理想ですので、ダメージは参考程度に止めて下さい)
A252エースバーン@,命の珠
とびひざげり…58%〜68%
ふいうち…64%〜74%
A252ゴリランダー@命の珠
グラススライダー…21%〜26%
10まんばりき…120%〜142%
A252ミミッキュ@命の珠
じゃれつく…68%〜82%
かげうち…30%〜37%
無振りポリゴン2
れいとうピーム…62%〜74%
C252ファイヤー(ガラル)
もえあがるいかり…57%〜67%
ぼうふう…69%〜82%
C252レジエレキ
ボルトチェンジ…32%〜39%
C特化カプ・レヒレ
ムーンフォース…63%〜75%
れいとうビーム…80%〜95%
C特化カプ・テテフ
ムーンフォース…77%〜92%
相性の良い味方考察
アーゴヨンを先発起用する際の後続となる物理受け、特殊受けで筆者が適切だと感じるポケモンをご紹介します。
今回のアーゴヨンは単体性能の他、同時選出されるポケモンとの連携が大切になりますので、相方となる二体は環境をよく踏まえて選択して下さい。
物理受け
クレセリアアーマーガアエアームドカバルドンポリゴン2等
選考基準としては『再生回復を備える事』と『アーゴヨンと大きく弱点が重複しない事』に加え、『環境に蔓延るDM高火力を数値で止められる事』としました。
他にもブラッキー等がいますが、全てを記載すると数が多いので一部割愛します。何を選んでもそれぞれ受けられるポケモンが違う一長一短の性能です。
以下、上記5体の性質を簡潔に記載します。
クレセリアクレセリア…暴力的な数値耐久。受けられるポケモンは非常に多いが、再生回復が安定しない「つきのひかり」であるためバンギラスが苦手。また搦め手が少ない。「みかづきのまい」によって被弾したアーゴヨンのリカバリーが出来る。
アーマーガアアーマーガアエアームドエアームド…タイプ的にランドロス(化身)へのメタ性能が高く、アーマーガアは後攻「とんぼがえり」、エアームドは「ステルスロック」とそれぞれ別ベクトルのサポートが可能。耐久型として猛毒にならない点も優秀だが、エースバーンやパッチラゴンを受けられない。
カバルドンカバルドン…クレセリア並みの数値耐久。「あくび」と「ステルスロック」によるサポート色が強く、エースバーンに弱点を突かれない。反面アッキのみ以外にBを上昇させる手段がなく、「あくび」が遅効性である事からラムのみ持ちに好き勝手に積まれる事がある。ギャラドスやゴリランダーが苦手。直接的な役割対象ではないがカプ・レヒレが非常に辛い。
ポリゴン2ポリゴン2…輝石込みの圧倒的な耐久、「ダウンロード」による火力補強も可能でDM適正も備える。持ち物が固定であり、かつ「でんじは」程度しか搦め手を持たない。DMなしだとウーラオス(いちげき)やフェローチェが厳しい。
主にこのような特徴を持ちます。環境や下記にて記載する特殊受けとの相性を考慮して選択して下さい。
特殊受け
バンギラスハピナスカビゴンカプ・テテフレジアイス
こちらの選考基準は物理受けとは事なり、どちらかと言えば防御面よりも攻撃性能をやや重視しています。
理由としては『突撃チョッキや砂嵐によってDの補強が出来る事』や『物理技と比べ特殊技は火力で劣る事』最後に『努力値を割くまでもなく、元々特殊耐久値が高いポケモンが多い事』が理由です。
環境的な重要度は「物理受け」>「特殊受け」であるため、個別の考察は割愛します。
組み合わせ一例
アーゴヨンアーマーガアorエアームドバンギラスorカプ・テテフ
アーゴヨンクレセリア(三日月の舞型)バンギラス
アーゴヨンクレセリアカビゴン
アーゴヨンカバルドンハピナスorレジアイスorカプ・テテフ
アーゴヨンポリゴン2バンギラス等
このポケモンの弱点、注意すべき相手
この手の高速ドラゴンの例に漏れず、初手ドラパルトとの偶発対面はやや難しい選択を強いられる事があります。
また対面での相性こそ悪くないものの、「ミストメイカー」を持つカプ・レヒレはアーゴヨンの抜き性能を大きく落としてくるため、カプ・テテフ等を同時選出してフィールドの張り替えを積極的に行えるような編成でない場合、エースとしての活躍はカプ・レヒレが残っている限り極めて難しくなります。
また「わるだくみ」があるとは言え、やはりチョッキバンギラスやハピナス等の「超耐久」を無理矢理突破出来る程ではないため、これらは裏のカバルドンやアーマーガアの「ボディプレス」、バンギラスの「ばかぢから」等で何とか突破して貰うしかありません。
耐久も並程度しかなく、相手スカーフによる急襲にも注意が必要です。特に脱出アーゴヨン+物理受け+特殊受け編成時は、パーティの攻撃面はほぼアーゴヨンに一任しているため、早期にアーゴヨンが倒されてしまうと試合が一気に鈍化します。(構築がやや受けループ寄りであるため、相手が控え2匹を突破出来なければそれでも勝てる場合がありますが、時間が掛かります。)
おわりに
いかがだったでしょうか。
いつもよりパーティ構築論に寄った考察となりましたが、少しでも「だっしゅつパック」型アーゴヨンの魅力が伝わっていれば幸いに思います。