前書き
「わに」と申します。よろしくお願いします。
以下の内容に必ず目を通してください。
- 指定のない限りすべてのポケモンは理想個体を想定します
- HP、攻撃、防御、特攻、特防、素早さをH、A、B、C、D、Sの略称で表記します
- 各指標におけるポケモンの数値(HABDS)は基本的にステータス実数値を示します。
- ダメージ率は計算式をもとに手計算しています
- ご質問、ご指摘はコメントにて受け付けます
- 育成論に関係のないコメント、無益だと判断したコメントは予告なく削除します
それでは考察に移ります。
論概要/コンセプト
シリーズ6環境での運用を前提とした突撃チョッキワルビアルです。
心許なかった特殊耐久を補強することで、シリーズ6における狭いプール(使用できるポケモンが限られた環境)の中での対応範囲を最大限広げ、パッチラゴン対策に留まらない汎用性の高い地面枠を目指しました。
シリーズ6環境でのワルビアルの強み
- 電気耐性と特性:威嚇
ワルビアルは、シリーズ6環境において最大限意識しなければならない使用率最上位のパッチラゴンの一致電気技を無効にできる耐性と火力を下げる特性:威嚇を持ちます。
ダイマックス(以下DM)したパッチラゴンの攻撃を安定して後出しから受けるためには、進化の輝石を持たせたHB特化サイドンやハガネールのようにかなり尖った性能のポケモンが必要になり、上手く構築を組まないと構築全体の汎用性を落とすことになりかねません。また、地面枠+フェアリータイプのサイクルでパッチラゴンの一致技を無効にしてDMターン枯らす動きも対策として考えられますが、相手の行動との択を制する必要があるため慎重な立ち回りが求められます。
その点ワルビアルは物理ポケモン全般の火力を削ぐ威嚇があるため汎用性が非常に高く、パッチラゴンに万が一突破されてしまってもAランク−1の効果を残すことで択負けのリスクや後続の負担を軽減できるため、読み合いが苦手な方にも扱いやすいポケモンです。(私もいつも助けられています!ありがとうワルビアル!)
- アタッカー気質のAS種族値
先に述べた威嚇に加え、A117/S92というアタッカー気質の種族値を持つ点もワルビアルの汎用性を支える大きな要因となります。
特にパッチラゴンの上から行動できる点はバンバドロハガネールドサイドンサイドン等の鈍足地面タイプにはない大きなメリットとなります。
また、シリーズ6環境で使用可能なパッチラゴンより速い地面タイプはダグトリオダグトリオ(アローラ)フライゴンマンムーワルビアルホルードシルヴァディのわずか7種のみで、このうち、ASベースのアタッカーとしての性能を維持しつつ、気合の襷にも頼らず、パッチラゴンのサブウエポン(龍/炎/飛行/地面/格闘)を全て耐えられるポケモンはワルビアルしかいません。
- 悪タイプであること
他の地面タイプにはないワルビアルの大きな特徴として悪タイプであることが挙げられます。
強力な霊タイプ(特にドラパルト)が使用禁止になったシリーズ6環境においては悪タイプのタイプ耐性が生きる場面はそう多くはありませんが、地味に役立つのが悪戯心に対する耐性です。
シリーズ6環境においては悪戯心からの後攻の尻尾(満腹お香)トリックを絡めて相手のエースを対策する、あるいは自身のエースを通す構築(後攻の尻尾トリック+バタフリー等)が一定数存在し、オーロンゲをはじめとした悪戯心ポケモンが以前までの環境よりも増加傾向にあります。今やメジャーな戦術となった悪戯心+後攻の尻尾トリックをシャットアウトできる点は他の地面枠にはない大きなメリットと言えるでしょう。
もちろん、超タイプ技ワンウエポンのランクルスゴチルゼル等を詰ませることができる等、悪タイプ本来の耐性が有効に機能する場合もあります。
ここまでの内容を以って他との差別化およびワルビアルの採用理由とします。
何故突撃チョッキ??
一番の理由は対応範囲(仮想敵)を増やすためです。
使用できるポケモンが限られたシリーズ6の特殊な環境の中で対応範囲を広げるということは、そのまま汎用性と選出率の向上につながります。
この持ち物のおかげで心許ない特殊耐久が補強され、役割対象である電気、霊、超タイプへの受け出しが安定するとともに、リザードンサザンドラといった環境上位の特殊アタッカーや本来不利を取るフェアリー勢に対しても応戦できるようになります。
また、単純に足の速い地面タイプと突撃チョッキの相性が良く、ワルビアルにDMを切ってダイアースを使うことで、突撃チョッキ(D実数値1.5倍)、ダイアース(Dランク+1)、DM(HP実数値2倍)の相乗効果で特殊耐久が一時的に4.5倍にまで跳ね上がり、中速以下の特殊アタッカーとの打ち合いを制することが可能になります。
目安として、C195拘り眼鏡アシレーヌのムーンフォースでもD+1突撃チョッキワルビアル(DM時)に対してHP半分も削れず、ダイアースを連打することで巨DMラプラスと殴り合って3ターン生存できるほどです。
仮想敵
【受け出し可】
パッチラゴンヒートロトムストリンダー(ハイ)サンダースライチュウ(アローラ)レアコイルギルガルド(シールド)シャンデラガラガラ(アローラ)ゲンガーヤドラン(ガラル)ゴチルゼルランクルスフーディン等
【DMを絡めて対面処理可】
リザードンウルガモスサザンドラジュラルドンアシレーヌマタドガス(ガラル)ニンフィア等
鬼火等の補助技や交代際の役割破壊技には注意が必要ですが、持ち物のおかげでかなり広い範囲と撃ち合うことができ、物理アタッカー全般に対して威嚇で弱体化を狙うことができます。
型解説
では、ここから今回の構成を詳しく解説していきます。
- 持ち物
突撃チョッキ
- 特性
威嚇(自信過剰)
- 性格
意地っ張り
- 個体値
C抜け5V想定
- 努力値
H116/A156/B4/D12/S220
- 実数値
H185/A172/B101/C-/D92/S140
- 持ち物について
コンセプトの通り突撃チョッキで確定とします。
この持ち物を前提とした努力値配分となります。
- 特性について
汎用性を意識して威嚇で確定です。
低速サイクルに対する崩し性能を特に引き上げたい場合のみ自信過剰で。
- 性格・調整意図について
ゴツゴツメットおよびキョダイゴクエン定数ダメージ意識のH6n−1
H204B100マリルリに対してダイサンダーが76.4%〜
H153B99リザードンを岩石封じで確定1発
A112拘り鉢巻マリルリの力持ちアクアジェット確定耐え(威嚇無し)
A152命の珠パッチラゴンの張り切りダイドラグーン確定耐え(威嚇込み)
C194サザンドラの流星群1.5発確定耐え
C195アシレーヌのムーンフォース確定耐え
最速75族抜き
(※上記の耐久は全て非DM時(通常時)のものです。)
必要最低限のSは性格無補正でも実現できるので、耐久を下げずに最も補正効率の良いAに補正がかかる意地っ張りで性格は確定です。
最大の仮想敵となるパッチラゴンを抜くためにS220振りは決定。
Aはアタッカーとしての性能を確保するためにもなるべく高く設定したいところですが、実数値172まで確保することでH165B110パッチラゴンを地震で確定1発、ダイサンダーでH206B100マリルリを75%以上削って太鼓の起点を回避、H187B138アシレーヌをダイアース→ダイサンダーで激流を発動させず食べ残し回復込みで処理、岩石封じでH153B99リザードンを確定1発など様々な恩恵を得られます。
次に耐久ライン。ゴツゴツメットやリザードンのキョダイゴクエンの定数ダメージを意識してHを6n−1の実数値185に設定し、突撃チョッキの補正効率(×1.5)を意識してD実数値が2nになるよう端数をBDに振り分けると、ちょうど上記耐久ラインを確保できます。
火力、耐久、素早さ全ての数値がカツカツですが、A方面は若干乱数を甘える余地があるので、お好みで微調整してください。
技構成
- 確定技
地震
パッチラゴンをはじめとした電気タイプへの遂行技。範囲、威力、命中全て高水準の良技。
仮想敵を考えると抜くことはできません。
シリーズ6ではグラスフィールドを展開するゴリランダーがいないので10万馬力ではなくこちらを。
- 準確定技
雷の牙
環境に刺さるサブウエポン。(牙じゃなくてパンチをください)
ダイサンダーとして使用することでマリルリやアシレーヌの起点を回避、ニンフィアの欠伸対策、交代読みでアーマーガアやエアームドを崩すなど、呼ぶポケモンによく刺さります。
- 選択技
インファイト(瓦割り)
地味に呼ぶナットレイやサザンドラ等に刺す技。
雷の牙と併用することでハピナスドヒドイデアーマーガアといった特定の並びに強くなり、ダイナックルとして使用することでAを補強することもできるので崩しの起点として役立ちます。
壁構築を強く意識する場合は瓦割りと入れ替えて選択してください。
岩石封じ
優秀なS操作技であり、範囲補完技。
地震、インファイトと併用することでネンドール以外の全てのポケモンに等倍以上で攻撃できます。(+悪技で全てのポケモンに等倍以上)
ダイロックとして使用することでDMしたリザードンやウルガモスの迅速な処理ができる他、天候を書き替えて天候エースの弱体化、月の光や光合成の回復量を減らすといった芸当が可能です。
DDラリアット
相手のランク補正を無視して攻撃できるタイプ一致技。
アッキ瞑想ランクルスやコスモパワーゴチルゼルなど厄介な積み(詰み)ポケモンに対する突破口になります。
等倍範囲の広い一致技ですが、打ちたい相手がシリーズ6環境では限られる点、ワルビアル自身がダイアークのDダウンの恩恵を受けない点が惜しい。
スケイルショット
能動的に自身の素早さを上げることができる技。
ダイドラグーンとして使用すれば、威嚇と併せて物理との打ち合いにより強くなります。
特にドサイドンの弱点保険を発動させず、かつ等倍で攻撃しながら火力を削げる点は非常に優秀。
追加効果は優秀ですが、命中、威力ともに不安定なのが玉にキズ。
この他、リザードンヒートロトム等に一貫しドサイドンへの最高打点となるアクアテール、ナットレイやハッサムの迅速な処理ができる炎の牙、DM時にS操作ができる捨て身タックル(ギガインパクト)等が候補に挙がりますが、ピンポイント気味なので本論での言及はしません。お好みでカスタマイズしてください。
各種ダメージ計算
【火力指標】
与ダメージ計算は全て非DM時の相手を記載しています。
- 地震(火力指数25800)
H165B110パッチラゴン:106.6〜127.2% 確1
H181B90ストリンダー(ハイ):240.8〜285.0% DMも確1
H167B160ギルガルド(シールド):74.2〜87.4% 確2
H187B138アシレーヌ:37.4〜44.9% 確3
H181B201ナットレイ:27.0〜32.0% 確4
※ダイアース時は1.3倍の火力になります。
- 雷の牙(火力指数11180)
H206B100マリルリ:41.7〜49.5% 確3
H205B125アーマーガア:33.1〜40% 確3
H191B90マンタイン:99.4〜117.2% 超高乱1
※ダイサンダー時は1.84倍の火力になります。
- インファイト(火力指数20640)
H181B201ナットレイ:43.6〜51.9% 低乱2
H167B110サザンドラ:85.0〜100.5% 低乱1
H171B100ワルビアル:61.4〜72.5%(威嚇込み) 確2
※ダイナックル時は0.79倍の火力になります。
- 岩石封じ(火力指数10320)
H153B99リザードン:101.9〜122.8% 確1
H161B100オンバーン:48.4〜58.3% 乱2
H157B127ヒートロトム:39.4〜47.1% 確3
※ダイロック時は1.83倍になります。
- DDラリアット(火力指数21930)
H217B139ランクルス:55.2〜66.3% 確2
H177 B115ゴチルゼル:81.3〜96.0% 確2
H167B167進化の輝石サニーゴ(ガラル):40.7〜48.5 % 確3
※ダイアーク時は1.52倍の火力になります。
- スケイルショット(一発当たり/火力指数4300)
H167B110サザンドラ:19.1〜22.7% 乱5
H221B150ドサイドン:4.9〜6.3% 乱15
H161B100オンバーン:21.1〜24.8% 乱5
※ダイドラグーン時は5.2倍の火力になります。
【耐久指標】
※被ダメージ計算は注釈が無い限り威嚇込み、突撃チョッキ込み、非DM時(通常時)のものです。
- 物理耐久指数:18685(威嚇込み:28027相当)
A152命の珠パッチラゴンの張り切りダイドラグーン(140):83.7〜98.9% 確2
A108命の珠ホルードの力持ちダイアタック(150):85.4〜100.5% 低乱1
A112拘り鉢巻マリルリの力持ちアクアジェット(※威嚇無し):82.7〜97.2% 確2
A211ドサイドンの馬鹿力:68.6〜81.0% 確2
A211ギルガルド(シールド)の影討ち:8.6〜10.2% 乱10
- 特殊耐久指数:17020(突撃チョッキ込み:25530相当)
C161命の珠リザードンのダイソウゲン(140):85.9〜101.6% 低乱1
C187ウルガモスのダイワーム(130):108.1〜127.5% 確1
C194サザンドラの流星群:56.2〜66.4% 確2
C211ギルガルド(シールド)のラスターカノン:37.2〜44.3% 確3
C195アシレーヌのムーンフォース:83.2〜98.3% 確2
ここに記載していないものは恐れ入りますが各自計算をお願いします。
選出と立ち回り
汎用性が高く、どんな構築に対しても先発、後発問わず選出できます。
基本的には味方とサイクルを形成し、臨機応変に立ち回ります。後述しますが、威嚇の効果があまり意味を成さないウーラオス(れんげき)に対して受け出しできるポケモンと併せて運用すると良いでしょう。
DM無しでも十分戦えますが、DMすることで真価が発揮されるので、ワルビアルにDMを切ることを前提に選出や立ち回りを考えると良いです。
パッチラゴンやリザードンといった相手のエースに対するストッパーとしての仕事をさせたい場合は、後発に据えてエースが出てくるまで極力HPを温存する動きをします。逆に初手に出すと気合の襷のステロ撒きを警戒され、DMを読まれないので対面的に運用して相手を一気に崩すことも可能です。
相性の良い味方
- ドヒドイデドヒドイデ
過去の私の育成論の中で何度も登場しているワルビアル最高の相方です。
交代を繰り返しながら威嚇と再生力で強引に受けを成立させる動きが強力。
パッチラゴンに抗えるトーチカ身代わり型がオススメ。
- ヒートロトムヒートロトム
ワルビアルが苦手な草、フェアリーや鋼タイプに強く、ボルトチェンジでサイクル補助ができるポケモン。トリックで受けを機能停止に出来る眼鏡型がオススメ。
- パンプジンパンプジン(特大)
ウーラオス(れんげき)ホルードドサイドンなど環境に多い物理アタッカーへの解答。ワルビアルとの相性補完もバッチリ。
などなど。
基本的には水/草/格闘/フェアリーからの引き先となるポケモンと相性が良いので色々試していただければ幸いです
あとがたり
今回はまたまたワルビアルの育成論となりましたがいかがだったでしょうか。
シリーズ6になり環境がガラリと変わったので、環境に合わせて考察してみました。
ギャラドスやトゲキッスゴリランダーといった天敵がいなくなり、ワルビアルにとっては動きやすい環境だと思います。
本論を通して少しでもワルビアルに興味を持っていただけたら嬉しいです!
最後までご覧いただきありがとうございました!
以下余談です。
前世代での初投稿からおよそ3年半。本論で通算投稿件数がちょうど40件になりました。ここまで投稿を続けることができたのは、皆様の温かいコメントやご指導があったからです。本当にありがとうございます。
せっかくなので普段の投稿とはちょっと違うことをやってみようとも考えたのですが、リアルの事情でなかなか時間も取れず、かといって投稿をズルズル先延ばしにするのも違うと感じたので、結局いつも通りの育成論になりました(笑)
3年半も投稿しているくせにまだまだ未熟なポンコツガバガバ投稿者ですが、これからも何卒よろしくお願いいたします。