はじめに
だてめがねと申します。
育成論は初投稿です。よろしくお願いします。
今回紹介するポケモンは「どくタイプのシルヴァディ」です。シルヴァディは持ち物によってタイプが変わるユニークなポケモンですが私が確認した限り当サイトではどくタイプの育成論はありませんし、ランクマッチでどくタイプとマッチングしたことはありません。
もともとサザンドラが大好きでそれを通すためのフェアリー排除役を探した結果、どく
シルヴァディが対フェアリー性能で個性的な強みがあるという考えは以前から持ちながらも机上論止まりでした。しかし現在のシリーズ6環境はこのポケモンへの追い風が多く、実戦使用と育成論投稿にいたりました。
※HP・攻撃・防御・特攻・特防・素早さ・ダイマックス→H・A・B・C・D・S・ダイマの略称を使用しております。
※どくシルヴァディの考察をこれまで他に見たことがなかったため私なりの考察も記載し全体として長くなっています。初投稿ですので内容以外の長い/短いといった育成論の体裁面でもご指摘があれば次回に生かしたいと思います。
このポケモンの採用理由(シリーズ6環境での強み含め)
フェアリーを倒し、かくとうやドラゴンのエースポケモンを通すことを目的としているポケモンです。その目的に対して以下の強みがあります。
- 対フェアリー打点はシリーズ6においてどくタイプが優秀
フェアリーを半減で受けつつ、弱点をつけるタイプははがねとどくがあります。はがね2倍/どく等倍の主なフェアリーはミミッキュ
マタドガス(ガラル)、はがね等倍/どく2倍の主なフェアリーは
アシレーヌ
マリルリです。
ミミッキュが不在で逆にはがねを等倍で受ける
アシレーヌ
マリルリが増えているシリーズ6環境において対フェアリーの攻撃範囲はどくタイプの方が優秀と言えます。その中で命中安定/ノーリスク威力120のどく技を打てるのはこの型ならではです。
- 役割対象の上を無理なくとれる素早さ種族値
シルヴァディはS95族です。S95族より早い主要なフェアリーといえば、
ミミッキュ
エルフーン
キュウコン(アローラ)などが存在しますが、シリーズ6では
ミミッキュ
エルフーンが不在であり、逆に増えている
アシレーヌ
マリルリ
ニンフィアといったフェアリータイプは火力や耐久に努力値を振りつつ無理なくSで上回ることが可能であり、常に上から圧力をかけていけます。
変化技に頼らず、Sで抜けることからアシレーヌのみがわりや
ピクシーのアッキの実+回復技といった小細工を気にせず上から崩せることがこの型の強みです。
- 見せ合いで警戒されないため役割対象に逃げられない
「苦手なポケモンへ対策ポケモンを用意した結果、警戒されて苦手なポケモンが出てこなくなり対策ポケモンが腐った」というのは私に限らずご経験のある方もいるのではないでしょうか。このポケモンは特性:ARシステムにより見せ合い時にタイプが相手にバレず、特にポイズンメモリはケアされません。そのためパーティ全体が極端にフェアリーに強い構築でない限り相手はフェアリーを普通に選出します。従ってこのポケモンが役割対象不在で腐ることが少ないです。これは他のポケモンには不可能なこの型最大の個性です。
- パーティに新たな弱点を生じさせない(天敵の減少)
前項同様に「苦手なポケモンへ対策ポケモンを用意した結果、違う弱点がパーティに増えた」というのもあるあるエピソードと思いますが、このポケモンは単タイプゆえに弱点はじめんとエスパーのみと少ないです。さらにエスパー打点を持つポケモンは環境に少なく、メジャーなじめんタイプドリュウズ
カバルドンがシリーズ6は不参加です。加えて、ノーマル
シルヴァディをケアして出てくるゴーストタイプ
ドラパルト
ミミッキュが結果としてどく
シルヴァディの通りを悪くするという展開もシリーズ6ではあり得ません。また、このポケモンは種族値の高さゆえに一定の耐久と素早さを持ち、それと相性が良い技「すてゼリフ」でサイクルを回すことも可能です。これらの要素から「何もできずただ倒される」という相手は少なく、構築に余計な弱点を増やしません。
例えば、水妖対策だけを考えれば草毒複合が受け攻め両方でより安定しますが、環境上位のリザードンやその他ポケモンのほのお技、
パッチラゴン含む様々なポケモンのダイジェットが重くなるなど複合タイプゆえに他の弱点も増えます。このポケモンではそれが少なく、火力アップアイテムを持てないため火力で劣る場面はあるもののスペック自体が総じて他のどくタイプポケモンより優れます。
持ち物
ポイズンメモリ
技構成
マルチアタック(確定)
この型においては威力120でデメリットなしのどく技です。別途ダメージ計算は載せますが、H振りまでのフェアリーは大半がこれでワンパンです。また、等倍相手でもH振りのFCロトムを半分以上削る程度の火力は出ます。本育成論の役割遂行に欠かせない技です。
かえんほうしゃ(確定)
威力90のほのお技。呼ぶはがねタイプ(特に環境上位のナットレイ)へ抵抗するための技です。C下降補正無振りですが
ナットレイがDに厚く振っていない限りは半分以上削れ、好き勝手されない程度の圧力はかけられます。ほのおのキバも習得しますがC下降補正無振りのかえんほうしゃと大きく威力が変わらず、打ちたい相手にB>Dが多いため非推奨です(そもそも命中不安ですし)。
すてゼリフ(確定)
使用者が少なく個性の一つとも言える技です。そこそこの耐久、少ない弱点と相性良好です。フェアリー対面での交換読みで主に使います。また相性不利でもS75族以下のポケモンからはこれで後続の負担を下げつつ撤退できます。これができることで難しいことを考えなくてすみ、初級者でも意外と扱いやすい型になっていると思っています。
いわなだれ(推奨)
リザードン
ウルガモス向けピンポイント採用に近いですが、特に
リザードンは環境に多いため有効な場面があります。ダイマ前の耐久無振り
リザードンは一発で落とせます。ダイマ同士で撃ち合う場合も、ねっさのだいちベースのダイアースは耐えますので返しのダイロックで倒せます。「そもそもどくシルヴァディって何?」状態の相手が多いため、死に出しで
リザードンが来る展開は割と発生しました。
4枠目の「いわなだれ」はパーティにより選択しても良いと思いますが、タイプ一致マルチアタックが等倍相手なら威力180である以上、下手な2倍弱点狙いのサブウエポンは意味が薄いです。ピンポイント気味でも使いどころが明確な技を推奨します。
以下に候補技を掲載します。
なみのり(候補)
どく技を受けに来るじめんタイプへの有効打となります。環境に多いじめんタイプであるドサイドンのH振り個体には半分以上入りますので交換読みで打つ前提であれば強引に突破できる可能性があります。しかし、とつげきチョッキ、相手ダイマも考えれば無理があります。すてゼリフの方が安定すると思います。
サイコファング(候補)
マルチアタックが通らないどくタイプに打点を持てます。自身がどく半減、どくどく無効であることもあり、対どくタイプの仕事ができなくもないです。但しドヒドイデ突破には全く火力不足です。一応H振り
ストリンダー(ロー)に半分以上入りますし、無振り
ゲンガーは乱数で落とせます。ただし、それぞれののほっぺすりすりやおにびなどから入られる展開も考えるとそう有利とは言えないです。このポケモンは
オーロンゲに勝てるので壁破壊効果も一見生かせそうですが、肝心の
オーロンゲ自体には無効であるため扱いにくいです。
でんじは(候補)
強力な技ですが、このポケモンに後出しされやすいのはじめんタイプやはがねタイプ(もとから遅い)が多く、交換読みで刺さる場面は限定的です。パーティとして特にまひを撒きたい理由がなければ優先度は低いです。
※2020年9月24日 コメントを受けて追記
だいばくはつ(候補)
死に出しパッチラゴンに上からこの技を打つことでダイジェットの起点回避が可能です。具体例として、
サザンドラは最速CS振り/火力補強アイテムなしだとダイマ
パッチラゴンにりゅうせいぐんで確1とれませんが、この技での「S上昇阻止+削り」があればH振り
パッチラゴンでも倒せるようになり処理が安定します。但し、対フェアリーという本来の役割放棄に直結する技であるため採用優先度は一段低いです。パーティ上、
パッチラゴンを特に意識する場合選択肢になるでしょうか。
性格・努力値と調整
性格 :いじっぱり
努力値:H100-A204-B4-C0-D4-S196
実数値:H183-A155-B116-C103-D116-S140
- 性格
役割対象への火力を確保するためのいじっぱりです。
- HP
攻撃と素早さに振った余りを耐久に振っています。
- 攻撃
詳細なダメージ計算は後半に掲載しますが、H振りマリルリをマルチアタックで一撃で倒せるラインです(101.4〜119.8%)。多くのH振りまでのフェアリーを一撃で落とせます。
- 防御/特防
シリーズ6ではポリゴン2意識のダウンロード対策はしていません。
- 素早さ
最速75族パッチラゴン抜き。このポケモンで
パッチラゴンには勝てませんがトップメタへの隙はパーティとして最小化すべきと考えています。対面してしまった場合、上から削るかすてゼリフを入れるかで単にダイジェットの踏み台として無償突破されることを回避します。また、95族以上のフェアリータイプは根本的に抜けないとして、75族〜95族の間の抜ける可能性があるフェアリータイプは、80族の
トゲキッス
サーナイトがメジャーです。しかし、
トゲキッスは現在休業中、
サーナイトはスカーフ運用も多いことから役割対象としては切ることとし、その分を耐久に振るという意図もあります。
立ち回り例(総論)
- フェアリーを苦手とするエースポケモンをパーティに組み込み、フェアリー対策はこのポケモンでこっそり行うことで相手のフェアリー選出を誘いましょう。
- 先発起用推奨です。警戒されないので初手フェアリー対面が普通に起こります。特に
サザンドラ
ウーラオス(れんげき)
ウーラオス(いちげき)など「先発がありそうでフェアリーに弱い」ポケモンを見せることでより先発でのフェアリー選出が誘いやすくおすすめです。
- ダイマは火力が下がるため(マルチアタック:威力120→ダイアシッド:威力95)基本しません。フェアリーとの対面で相手ダイマ、こちら非ダイマだと打ち負ける場合もありますがほとんどの場合2回マルチアタックを入れて倒すか後続の技圏内まで削ることは可能です。ダイマを温存することで総合的な有利はとれますので(展開次第ですが)焦ってダイマは非推奨です。例外として、ダイマ
リザードンをダイロックで倒す場合と
ナットレイを一気に崩した方が良い場合のダイバーンは使っています。
立ち回り例(各論)
環境に多いフェアリータイプとしてアシレーヌ
マリルリを例示します。
基本的な動き方は他のフェアリータイプ対面でも変わりません。
フェアリー以外に打点がないポケモンの相手はより簡単です(ニンフィアなど)。
- VSアシレーヌ
アシレーヌ
- Sは確実に抜けるため対面時は交代読みすてゼリフが安定です。ムーンフォースへの受け出し後も序盤はすてゼリフです。Sで勝るためとっておけば上からマルチアタックを打てるチャンスはきます。受け出し→相手ダイマダイストリームといった展開で強引に突破されることをまずはケアすること優先です。相手が強引にダイマしてくるところにすてゼリフが刺さると逆に有利もとれます。
- 撃ち合いはHC個体はマルチアタックでワンパンです。HBに厚いと耐えますが、C特化げきりゅうハイドロポンプで85.2~100.5%のダメージですから殴り合いでは負けません(マルチアタックを耐えた時点でC特化はないですし)。ダイマックスされた場合もC特化ハイドロポンプベースのダイストリームを一発耐えますので(72.7~85.8%)2回マルチアタックを打って倒すor大きくHPを削ることが可能です。
アシレーヌは素早さが高くないので大きく削れば後続で上から処理可能です。相手のダイマに対してこちらは非ダイマですから総合で有利はとれます。唯一、相手が耐久薄めの場合にマルチアタックがダイマ
アシレーヌのげきりゅう圏内にちょうど入ると突破されます。(H振り
アシレーヌのダイマにマルチアタックのダメージが59.9〜71.1%)。
- VSマリルリ
マリルリ
基本はアシレーヌへの動き方と変わりません。序盤はすてゼリフ安定、博打はらだいこは現環境で考慮不要と思います。撃ち合う場合、HA個体はマルチアタックでワンパン、Bに厚い場合は耐えるものの、相手の攻撃によるダメージはA特化アクアブレイク:50.8~60.7%、アクアジェット:23.5~28.4%で勝てます(A特化こだわりハチマキアクアジェット×2も耐えます。アクアブレイクのB↓は非考慮)。
ダイマックスしてきた場合もA特化ダイストリームは77.6~91.8%のダメージで耐えますので二回殴って倒しましょう。オボンの実だとギリギリ倒せませんがHPはごっそり削れます。物理アタッカーのためとつげきチョッキが関係ない点もマリルリ相手をする際の強みです。
- 苦手なポケモン
「相性不利で相手が早い」対面はすてゼリフ撤退もできず厳しいですが、「採用理由」項で述べた通りこれに該当するポケモンがシリーズ6は減少しています。環境上でこのポケモンをノーリスク無償突破できるのは最速ホルードです(じしんで死にます)。
ホルード入りの相手をする際は後続でケアするか初手で投げないのが無難です。それ以外は弱点の少なさもあり何もできず落ちることは少ないです。
パッチラゴンのスカーフでんげきくちばし、
ウーラオス(れんげき)のハチマキすいりゅうれんだなどはさすがに落ちますがそれを全対応できるポケモンはいないと思いますので他でカバーします。一応、
パッチラゴンがスカーフでなければ(命中不安を嫌ってダイマすれば)上をとれるようにSを振っていますし、
ウーラオス(れんげき)はタイプ相性上インファイトは打たれにくいのですいりゅうれんだを読んで後続で受けるなどの対応が可能です。
相性が不利でも最速75族以下のポケモンからはすてゼリフで逃げられます。
与ダメージ計算
以下、相手ポケモン→与えるダメージ割合 を記載します。
- マルチアタック
H振りアシレーヌ
マリルリ
ピクシー
ニンフィア
オーロンゲ
マホイップ
キュウコン(アローラ)は全て一撃で倒せます。HB特化はさすがに一撃で落とせないものの、HPを大きく削ることは可能です。
HB特化アシレーヌ→81.3〜97.3%
HB特化マリルリ→70.5〜84.1%
HB特化ピクシー→75.2〜90.1%
※HB特化、アッキ発動後でも50.5〜60.4%。つきのひかりは追い付かない。
HB特化ニンフィア→81.2〜96.0%
HB特化オーロンゲ→81.2〜96.0%
HB特化マホイップ→88.4〜104.7%
対フェアリー以外のダメージは以下です。
無振りパッチラゴン→58.2〜69.1%
H4振りウーラオス(れんげき)
ウーラオス(いちげき)→50.0〜59.7%
無振りサザンドラ→57.5〜68.3%
- かえんほうしゃ
基本的に4倍弱点相手以外ではささやかなダメージにしかなりません。
H振りナットレイ→57.5~68.5%
HD特化ナットレイ→44.2~53.0%
H振りハッサム→96.6~115.9%
H振りギルガルド(シールド)→26.3~32.3%
H振りギルガルド(ブレード)→61.1~71.9%
- いわなだれ
被ダメージ計算
以下、対象技→受けるダメージ割合 を記載します。
このポケモンは基本的にはダイマックスさせない前提のためすべて通常状態でのダメージ割合になります。
- フェアリータイプのポケモン
C特化{アシレーヌ}のねっとう→41.5~49.7%
C特化アシレーヌのムーンフォース→24.6~29.5%
A特化マリルリのアクアブレイク→50.8~60.7%
A特化ハチマキマリルリのアクアジェット→36.1~42.6%
A特化マリルリのじゃれつく→26.8~31.7%
C特化ニンフィアのハイパーボイス→25.1~30.1%
- フェアリータイプのポケモン以外
ようきパッチラゴンのでんげきくちばし→103.3〜121.9%
A特化いのちのたまパッチラゴンのダイジェット→63.9〜75.4%
A特化いのちのたまパッチラゴンのダイドラグーン→120.2〜142.6%
C特化いのちのたまリザードンのブラストバーン→91.8~108.7%
C特化いのちのたまリザードンのダイアース(ねっさのだいち)→48.9~58.2%
※このダイアースのみダイマ撃ち合い前提でこちらもダイマ時。
最速A252振りウーラオス(れんげき)
ウーラオス(いちげき)のインファイト→29.0~34.4%
最速A252振りウーラオス(れんげき)のすいりゅうれんだ→55.8%〜69%
最速A252振りウーラオス(いちげき)のあんこくきょうだ→59.0〜69.4%
相性の良い味方
- もともと
サザンドラを生かすために考察したポケモンですのでおすすめは
サザンドラです。どく
シルヴァディの弱点であるエスパー無効、じめん無効です。採用理由の項でも触れましたが
ドリュウズの「かたやぶりじしん」がないため、じめん技への引き先として安定感アップ中です。
- 同様にフェアリータイプが障害となる
ウーラオス(れんげき)
ウーラオス(いちげき)も相性がいいと思います。じしんの一貫だけ切れるように構築を組みましょう。
「すてゼリフ」での簡易的な起点を生かす「わるだくみ」型、同様に「すてゼリフ」とのシナジーがありそうな「じゃくてんほけん」型、「とんぼがえり」と「すてゼリフ」でサイクルを有利に回す型などいろいろなサザンドラを試しましたが、個人的には
サザンドラ自身の強みをシンプルに生かしやすい「とんぼがえり」採用型が良いと思いました。
※「じゃくてんほけん」型は 育成論ソードシールド/570 を参考にさせて頂きました。決まると気持ち良くなれる大変面白い型でした。
最後に
ここまで読んで頂き、ありがとうございました。
初投稿でマイナーポケモンのためどこまで皆様にご評価いただけるか不安ですが一応、本ポケモンを使い(上位帯と言えないまでも)マスターランクで100戦程度は回しました。
シリーズ6という特殊環境においては面白い活躍ができると思っています。