はじめに
- 弱点保険持ちパッチラゴンは型として割とメジャーなものですが、シリーズ5までに投稿された論(他サイトも含め)は現行シリーズ6ルールの環境に合っていないと判断した為、僭越ながら投稿させていただきます。ある程度やり込んでいるプレイヤーの皆様にとっては既知の内容となっている可能性が高いですが、「弱保パッチラゴン使いたいけどどう調整すれば良いんだろう…」という層に向けた論ということをご了承頂ければと思います。
- この論に出てくるポケモンは特に記述がない限り理想個体を想定しています。
- ダメージ計算はダメージ計算SS・Soldier Calcを使用しています。
- 一般的に認知されている程度の非公式な略称や単語を使用します。(DM=ダイマックス)
- 本育成論の充実のため、コメントでのご提案・ご指摘お待ちしております。
シリーズ6におけるパッチラゴン(読み飛ばし可)
言わずと知れたシリーズ6の王者。使用率上位ポケモンの禁止により全体的なSラインが下がったものの、パッチラゴンミラーが多発するようになってしまった為余程の理由がない限り最速は譲れなくなってしまいました。またパッチラゴンに対し対面からならともかく後出しからの受け切りを安定させられるポケモンがいない為、パッチラゴンに弱点を突けるポケモンにスカーフや襷を持たせて突破するという方法がよく見られます。後出しが安定しないとは言ったものの、メインウェポンである電・竜の2タイプがどちらも無効タイプの存在があるので、読み合いに勝てばどうにかならないこともありません。どちらにせよサイクル戦が安定する相手ではない為、現環境はサイクル構築よりも対面構築が多い傾向にあります。
こういった現環境を踏まえ、DM向きの並以上の耐久×DMと相性の良い張り切り×DMと相性の良い弱点保険 という組み合わせのシリーズ6型パッチラゴンを今回は紹介していきます。
構成
- 持ち物
弱点保険
本論のコンセプトです。
- 性格
陽気
パッチラゴンが使用率トップの環境ですので、同速勝負を捨てないためにも最速は必須です。
火炎放射を採用する場合無邪気やせっかちが候補に上がるかもしれませんが、C下降補正の有無で確定数が変わる仮想的があまり居ないのと、抜群技を受ける前提な以上耐久を落としたくない為陽気で確定とします。
- 努力値配分
H204 A28 B20 D4 S252
H:16n-1かつ6n-1である実数値191調整、ほぼ全ての定数ダメージ最小
ここまで振ることでスカーフパッチラゴンの逆鱗やスカーフサザンドラの流星群をDM状態で確定耐えすることができます。
またHP満タンDM状態だとウーラオス(いちげき)のカウンター+アクアジェットor不意打ちを耐えるので気軽にダイジェットを打つことができます(ダメ計参照)。
A:余り
HB特化カビゴンに対し弱保未発動ダイサンダー・ダイナックルがギリギリ半分入らない為、木の実を食べさせません。
B:DMドサイドンと安全に撃ち合う為(ダメ計参照)。
D:端数
S:最速
余り(と端数)の努力値を今回はADに振りましたが、全てBに振ることで珠パッチラゴンの逆鱗や鉢巻ヒヒダルマ(ガラル)の氷柱落としの乱数が動くのでB52振りでも良いです。しかし確定耐えにはならないのでそれに頼る立ち回りは非推奨です。詳しくは後述しますが、予め壁を貼っておくとより安全に動かすことができます。
ミラーの同速勝負をせざるを得ない場面やDMをこのパッチラゴンに切らない選出を想定して、性能を落とさないために最速としています。
蛇足 調整別案
腕白 H204 B188 S116
先に弱点技を受けることでDMターンを節約する弱保エースあるあるを反映した案。「この環境で同速勝負捨てるのは無しだろう!」という筆者の思考に合わないので紹介程度にとどめます。
HB:珠パッチラゴンダイドラグーンをDMで確定耐え
S:S+1で最速ウーラオス抜き
同速勝負を捨てるなら耐久はこれ以上譲れず、S+1でウーラオス(いちげき)は抜きたいので努力値に余裕は全くありません(本当はゲンガー抜きまで振りたい)。
- 技構成
確定技
・でんげきくちばし
パッチラゴンの超火力の源。DMが切れた後は威力約1.3倍×命中0.8倍=期待値1.04倍とほぼ変わりません(エレキフィールド非考慮)。
・げきりん
タイプ一致による火力もさる事ながら、ダイドラグーンのAダウンがこの型において非常に優秀。弱保発動後は火力過剰なので安定のドラゴンクローもアリですが、警戒されて弱点を突かれなかった際に押し切れる逆鱗を確定欄にしています。
・つばめがえし
ダイジェットの素兼張り切り必中技。Sの上昇手段が無いといくら耐久振りと言っても上から殴られ続けて沈んでしまいます。AC+2 S+1のパッチラゴンが相手に与える絶望感たるや…。
選択技
上から順に優先度高
・かえんほうしゃ、だいもんじ
ナットレイやアイアント等に対する炎技枠。撃ちたい相手はDが低い場合が多い事と、カウンターや接触ダメージ対策にもなる為、炎の牙よりも特殊技を推奨します。火炎放射と大文字は正直好みだと思うのですが、ナットレイを安全に処理できる火炎放射を確定欄には載せています。
・けたぐり
パッチラゴンのDMを受け回しで枯らそうとしてくる相手や弱保警戒で焦らしてくる相手に圧をかけられます。最近増えてきたカビゴンに対して強く出られるのもポイントが高いです。炎技を使う場面が思いの外少ないように感じ、ナットレイ相手にダイナックルを積む方がメリットとなる場面もあったので、採用価値は高いと思います。テンプレと銘打った手前火炎放射を確定欄としていますが、筆者はこちらを搭載していました。
・じしん
地面の技範囲が欲しいというよりは、弱保と相性の良いダイアースのDアップ目的です。ただしロトム系統サザンドラリザードンといった特殊ポケモンが軒並み浮いている為優先度は低め。
ダメージ計算及び対面考察
使用率上位のポケモンを中心に対面での有利不利を解説します。
追加のご要望がありましたらコメントにてご提案ください。
※↑は性格補正を意味します。
- VSパッチラゴン
・与ダメージ
対B4DMパッチラゴン
ダイドラグーン 80.6~95.1% 確定2
・被ダメージ(全てこちらDM)
A252逆鱗 71.2~84.8% 確定2
A252ダイドラグーン 83.7~98.9% 確定2
珠A252逆鱗 92.6~110.2% 乱数1(62.5%)
珠A252ダイドラグーン 108.9~128.5% 確定1
相手のパッチラゴンの持ち物が珠の場合は、同速勝負に勝つか事前にダイジェットを積んでおかなければなりません。一方スカーフの場合上を取られても確定で耐える上に弱保の発動もできるので有利と言えます。対パッチラゴンは相手の持ち物を見極めることが重要となってきます。
- VSアシレーヌ
・与ダメージ
対HB252↑アシレーヌ
ダイサンダー 106.9~126.2% 確定1
ダイジェット 29.9~35.8% 乱数3(33.9%)
対H252DMアシレーヌ
ダイサンダー 77.5~91.9% 確定2
・被ダメージ(全てこちらDM)
C252↑ダイフェアリー 82.1~97.3% 確定2
火力を落としているとは言え流石に有利です。地面タイプとの交代読みでダイサンダー・ドラグーンが撃ちづらくなった時、中間択でダイジェットを選択しても弱保が未発動だとあまり負荷がかけられないことは押さえておきましょう。
- VSウーラオス(いちげき)(水悪まとめて考察)
・与ダメージ
対B4ウーラオス(いちげき)
ダイジェット 73.1~86.8% 確定2 (実数値128~152)
対B4DM水ウーラオス(いちげき)
ダイサンダー 64.0~76.0% 確定2
・被ダメージ(全てこちらDM)
A252インファイト 28.5~34.0% 乱数3(1.8%)
鉢巻A252インファイト 42.6~50.5% 乱数2(1.9%)
A252アクアジェット 7.0~8.6%(実数値27~33)
A252不意打ち 16.7~19.8%(実数値64~76)
今回のパッチラゴンはDM時のH実数値が382なので、ダイジェットが最大乱数を引いた場合でも返しのカウンターダメージ152×2=304を耐え、さらに次のアクアジェット及び不意打ちも確定耐えすることができます。
これにより
対襷ウーラオス(いちげき)
ダイジェット→カウンター耐え→先制技を耐えて突破
対鉢巻ウーラオス(いちげき)
インファイト・暗黒強打耐え→ダイジェット&1手で突破
対スカーフウーラオス(いちげき)
インファイト・暗黒強打確定2耐え→ダイジェット&1手で突破
というようにほぼノーリスクでダイジェットを選択できるようになります。
- VSリザードン
・与ダメージ
対B4DMリザードン
ダイサンダー 90.1~106.5% 乱数1(43.7%)
電撃嘴 117.6~139.1% 確定1
ダイジェット 25.4~30.0% 確定4
・被ダメージ(全てこちらDM)
珠C252ダイドラグーン 59.1~70.1% 確定2
珠C252ダイバーン(元ブラストバーン) 25.6~29.8% 確定4
対リザードンは一見有利に見えるものの、鬼火持ち個体が一定数いるので要注意です。
- VSドサイドン
・与ダメージ
対H252DMドサイドン
ダイドラグーン 22.2~26.3% 乱数4(10.1%)
A+2ダイドラグーン 43.9~52.0%
・被ダメージ(全てこちらDM)
A252↑ダイアース 71.2~84.8% 確定2
A252↑ダイアース ダイドラグーンによるAランク下降込み
A−1 48.6~57.0%
A−2 36.1~42.9%
A252↑ダイロック 35.6~42.4% 確定3
一般的にドサイドンはパッチラゴンに強い枠として採用されますが、本論の弱保パッチラゴンであれば対面で打ち勝つことができます。
耐久面では上からダイドラグーンを撃ち込むことによりギリギリ確定2耐え(57.0%+42.9%=99.9%)することができます。
攻撃面では、(計算上こちらのダイドラグーンの確定数が残念なように見えますが)弱保未発動ダイドラグーン+弱保発動後ダイドラグーン×2で倒し切れます。
弱保警戒でダイロックを撃たれる分にはAランク下降込みで痛くも痒くもないので問題ありません。
- VSサザンドラ
・与ダメージ
対B4DMサザンドラ
ダイドラグーン 79.6~94.0% 確定2
対B4サザンドラ
A+2ダイジェット 83.2~98.2% 確定2
・被ダメージ(全てこちらDM)
C252ダイドラグーン 80.1~94.7% 確定2
スカーフサザンドラの流星群を耐えてくれるだけで良かったのに、ダイドラグーンまで耐えられるようになった偉い子です。ただし弱保発動後のダイジェットで確定1を取れていない関係で、Sを上げた状態で相手の後続と対面することができません。
- VSカビゴン
・与ダメージ
対HB252↑カビゴン
ダイサンダー 40.4~47.5% 確定3
ダイナックル 41.1~48.6% 確定3
対H252カビゴン
ダイナックル 62.1~73.4% 確定2
・被ダメージ(全てこちらDM)
A+1A無振りダイアース 44.5~52.3% 乱数2(21.4%)
A+1A無振りキョダイサイセイ(元空元気) 30.8~36.3% 乱数3(58.5%)
HB特化カビゴンの混乱実を発動させないことでスムーズに突破できる可能性は高くなりますが、鈍いを積まれたりDMを切られると結局厄介な相手です。鈍い2ウェポン型カビゴンは地震を採用していることが多く、弱保が発動してしまえば楽に突破できます。
一定数いるカウンター型には何もできないので注意したいところですが、カウンター読み交代などで隙を見せると鈍いや腹太鼓を積まれる危険性があるので安定しません。できるだけ対面は避けたほうが安全でしょう。
- VSホルード
・与ダメージ
対H4ホルード
ダイドラグーン 95.0~111.8% 乱数1(68.7%)
ダイジェット 49.0~58.3% 乱数2 (97.6%)
A+2ダイジェット 98.1~116.1% 乱数1(87.5%)
・被ダメージ(全てこちらDM)
A252地震 57.0~67.5% 確定2
A252電光石火 11.2~13.6%
A252ダイアース 73.8~86.9% 確定2
襷持ちが多いことを考えるとダイジェットが安定ですが、スカーフ持ちかつ低乱数を引いてしまうと倒されてしまいます。
- VSラプラス
・与ダメージ
対H252DMラプラス
電撃嘴 75.3~88.6% 確定2
ダイサンダー 57.3~68.3% 確定2
・被ダメージ(全てこちらDM)
C252↑キョダイセンリツ(元絶対零度) 63.3~75.3% 確定2
本論の弱保パッチラゴンの悪いところ。本来有利なはずである弱保ラプラスに確定1を取れない為C+2キョダイセンリツで落とされてしまいます。あえてラプラスの弱点を突かず、キョダイセンリツを受けての弱保発動もオーロラベールで相殺されてしまうので無意味。とは言え相手目線からすればパッチラゴン相手にDMを切りたくないでしょうから、相手の交換読みの行動に繋げることもできなくはありません。
・与ダメージ
対HB252↑ナットレイ
ダイバーン 72.9~86.1% 確定2
ダイナックル 38.6~46.4% 確定3
対HB252↑トリトドン
ダイドラグーン 50.9~60.5% 確定2
対HB252↑サニーゴ(ガラル)
電撃嘴 43.1~50.8% 乱数2(3.1%)
対HB252↑モロバレル
ダイジェット 52.4~62.4% 確定2
ダイバーン 40.7~47.9% 確定3
ダイサンダー 23.0~27.1% 乱数4(59.9%)
対HB252↑バンバドロ
ダイドラグーン 42.5~50.7% 乱数2(1.9%)
特にバンバドロを見るとよくわかると思いますが、初期火力がないために受けを崩すことが困難になっています。受け寄りのパーティに対してこのパッチラゴンは刺さっていないということを理解した上で構築を組みましょう。
※対受けなので被ダメ計算は割愛
珠パッチラゴンとの違い
珠ASパッチラゴンの特徴
・初期火力が高く、無条件に相手に高負荷をかけられる。
・タイプ無効以外の受け出しを許さない。
・珠ダメもあって耐久が高くなく、Sも決して高速ではない為、上から殴られると突破されやすい。
・対策必須の型であるが故にカウンター等でも切り返されやすい。
弱保HSパッチラゴンの特徴
・高い耐久力からDM状態での積み性能が高く、撃ち合いに強い。
・地面タイプや襷カウンターといった一般的に苦手とされる相手に強い。
・受け寄りの構築を自分から崩せない(火力アップ方法が相手依存)。
・ほぼDM前提な為選出や立ち回りがやや窮屈になる可能性がある。
これらの違いを踏まえて、自分の構築に合った型を選びましょう。
※スカーフ型はDM前提の弱保型とは立ち回りが別物となり比較できません。
相性の良い味方
弱点技を受ける前提である弱保エースと相性の良い壁貼り要員。尻尾トリックで電撃嘴の通りを良くしたり、パッチラゴンの苦手な受けポケに挑発したりと役割は多いです。相手のパッチラゴンを対面で準機能停止させることもでき構築の邪魔にならないので、個人的に必須の相方だと考えています。
パッチラゴンを向けられる側の視点として、パッチラゴンを止めようとするとリザードンが重くなる傾向があります。例えば受けポケとしてダメ計に挙げたナットレイトリトドンサニーゴ(ガラル)モロバレルバンバドロにリザードンは強く出ることができます。完璧ではありませんが、パッチラゴンとの相性補完がそこそこあるのも良いですね。
苦手な相手
詳しくはダメ計参照。裏に任せましょう。
上からの鬼火で火力を削がれる上に弱点技を持っていないので完全な機能停止に追い込まれます。
等倍高火力のゴリ押しには弱いです。ちなみに珠電撃嘴なら超高乱数1ですね。
おわりに
HSベース弱点保険パッチラゴンいかがだったでしょうか?珠を他のパーティメンバーに奪われてパッチラゴンの性能低下に悩んでいる方や、有利不利を逆転させてドヤ顔したい方は是非使ってみてください。
冒頭でもお伝えしましたが、コメントでのご提案・ご指摘お待ちしております。
ご高覧いただきありがとうございました。