はじめに
どうもこんにちわ。むちころ犬と申します。
この論は以前投稿した「マルチアタックの可能性考察」の加筆、修正番となります。
以前の内容が初心者の方々にやや不親切な書き方だったため、より詳しくメモリ型シルヴァディが分かるよう改良した上で再投稿する事にしました。
改めてよろしくお願い致します。
この論の主旨
「マルチアタック」
サンムーンから続投のプレイヤーは、誰もが一度はこの技を何とか生かしたいと考えた事があるんじゃないでしょうか。
今回はこの「マルチアタック」とメモリを使用したシルヴァディについて、どうすれば膨大な比較対象達と差別化でき、尚且つ現ランクマッチの環境で最も活躍出来るのかを、著者の個人的な意見も踏まえながら考察していこうと思います。
メモリ型
シルヴァディと「マルチアタック」
特性「ARシステム」により、各メモリを持たせる事でシルヴァディを好みの単タイプに変更出来ます。
それに伴って「マルチアタック」も同タイプとなり、必ずタイプ一致、威力120 命中100% デメリットなしと、特性、技共に強いアイデンティティを誇りますが、両者とも採用率は残念の一言です。
その理由としては
- ARシステムとメモリにタイプ変更以外の効果がなく、実質「持ち物」と「特性」がなくなる
- ALL95の種族値が祟り、各タイプの強化アイテム込み高火力アタッカーに火力で全く及ばない
- もう一つの強みである「最大火力だいばくはつ使い」としての運用の方が実用性で勝る
主にこの3点でしょうか。
メモリ型を考察する以上、これらの障害をなんとかすり抜けるように独自の強みを見い出して行かなくてはなりません。
採用するメモリの選定
型を考察するためにも、まずは使用するメモリを選びます。
全17種あるメモリを取捨選択する中で、その基準の大前提は「対応タイプの物理、特殊技に同威力付近(威力110〜120)の技がない事(専用技、溜め技、高リスク技を除く)」です。
理由は単純で、汎用的な高威力技を抱えるタイプに変化すると比較対象が膨大になり、持ち物&特性なしというハンデを考慮すると差別化が非常に困難になるためです。
この時点で上記の前提を満たすタイプは岩超地悪鋼妖の計6タイプとなります。
ここから変化させるタイプを選択するのですが、性質上どうしても単タイプとなる事に加え、「マルチアタック」以外に高威力の物理技が殆どないシルヴァディを単なる物理アタッカーで起用する旨味は少なく、かといって比較的威力が出せる特殊技で穴を埋めるとしても、やはり強化アイテムも積み技もない以上総合的な火力不足感は否めません。
これらの点を踏まえると、落とし処としては攻撃技2枠、補助技2枠でのアタッカー兼サポーターとしての起用が最も現実的かと思います。
よってメモリ最終選考では、この限られた技枠でより広範囲のポケモンを相手取れるタイプの組み合わせを最優先とします。
その結果マルチアタックを地面にした上でれいとうビームを採用した地/氷の組み合わせが2ウェポン最多の9タイプに弱点をつける事から、今回はそれを活かしたグラウンドメモリを採用します。
それでは今回の考察へと移ります。
採用理由と役割
味方エースのサポート兼広範囲の削りを目的とします。
持ち物&特性なしのデメリットは辛いですが、「マルチアタック」の火力の高さと素のスペックの高さを武器とします。
選出段階で型を読まれる事がないのもポイントです。シルヴァディ本来の使い方が奇形扱いなのもどうかと思いますが…
持ち物
グラウンドメモリ
少ない技で広範囲を見るというコンセプト的に確定です。地/氷の組み合わせは闘/氷と共に2タイプ最多で弱点を付ける並びですが、シルヴァディは自力で地面タイプの技を覚えないため、これを実現させるためにも必須です。
同様の構成を取るポケモンにマンムーや
ドサイドン、地/水複合勢がいますが、いずれも補助技やマルチアタックの火力面等で差別化自体はそう難しくありません。
参考として、努力値の振り方が同じなら、マンムーのじしんと
シルヴァディのマルチアタックはほぼ同等の火力になります。
気持ちちょっとだけ負けてますが…
このように最大打点に恵まれないタイプに変化する事で、シルヴァディに足りない攻撃種族値を擬似的に補う事が出来ます。
カバルドンとの差別化について
攻撃面では上記の通りですが、グラウンドメモリを採用する以上このシルヴァディにとって耐性面での最大のライバルは
カバルドンとなります。
同じ地面単タイプであり、アタッカー、物理受け、サポートまで様々な型があるカバルドンの方が間違いなく汎用性で勝りますが、
シルヴァディ独自の利点として
- 「あくび」と比較して速効性に優れる「でんじは」の習得と、電気を呼びにくい地面タイプ故の相性の良さ
- 地面、氷技の火力(A特化のアタッカー型以外)
- Sの早さによる苦手対面での強引な味方サポート性能(特に「すてゼリフ」)
等々が上げられます。
「ステルスロック」→「あくび」によって相手パーティ全体に負荷を掛けていくカバルドンに対し、
シルヴァディはどちらかといえば「でんじは」→「すてゼリフ」等、相手単体を重点的に弱体化させる動きが強力と言えます。
Sの早さから「ちょうはつ」や「みがわり」に対してもある程度耐性があり、「あくび」に比べて速効性のある「でんじは」の所持、尚且つ読まれることのないグランドメモリ型であるため、先発カバルドンよりも行動阻害される可能性が低い事は明確なメリットと言えます。
性格
むじゃき
地面タイプとして最低限ドリュウズに安定して対面で勝ちたいので、Sに補正を掛けます。
「れいとうビーム」を使用するためCを下降させる訳にいかず、「せっかち」か「むじゃき」のどちらかとなりますが、物理重視の環境を考慮して「むじゃき」とします。
ダウンロードを強く意識する場合は「せっかち」も一考ですが、対スカーフパッチラゴンや対珠
ドリュウズに対面から突破される可能性が僅かに生まれる点は留意してください。
努力値と調整
A132
C156
S220
特化ドヒドイデを「マルチアタック」でヘドロ込み確定2発(2発合計ダメ107%〜)に出来るまでAに振りました。
ここまで降るとドリュウズは勿論、無振り
パッチラゴンも最高乱数以外1発(99.8%〜)となります。
Sはドリュウズを抜ける最速90と同値にし、余りをCに降り切ります。Cはこのラインだと、H252カバルドンが「れいとうビーム」で高乱数2発(2発合計ダメ95
%〜116%)となります。
持ち物補正がないため数値のブーストが出来ず、これでも若干足りてないため、耐久に努力値を割く余裕は全くありません。
技構成
確定技
マルチアタック
コンセプトであるため確定です。
攻撃に補正もなく努力値も中途半端な振り方ですが、これでもA252ワルビアルの「じしん」とほぼ同等の火力になります。
技の威力差は本当に大切です。
れいとうビーム
「こおりのキバ」では例えA特化にしても全く火力が足りないので、努力値が分散されますがこちらで確定です。多少Aを削っても、「マルチアタック」の威力によって役割対象への確定数にはそれほど影響しません。「マルチアタック」が技の威力差で救われてるのに対して、逆に「こおりのキバ」はその威力差で「れいとうビーム」に泣かされています。技の威力は本当に大切です。
すてゼリフ
有用且つ希少なサポート技であるため確定です。
後述する「でんじは」と合わせて、相手を機能停止させながら控えと入れ替われます。
でんじは
地面タイプという性質上、ロトム系列以外の電気に受け出される事はあまりないため比較的通しやすいでしょう。受け出しに
トゲキッスや
ギャラドス等のダイジェッターを用いられやすいため、それらに刺さると後の展開が非常に有利になります。
「すてゼリフ」とのコンビネーションも優秀ですので、是非とも併用したいところ。
他にも「とんぼがえり」や「きんぞくおん」など面白い技はあるのですが、有用性の観点から今回はこの4つでほぼ確定です。
立ち回り考察
耐久にあまり余裕がないため、基本は先発か死に出しが安定するかと思います。
立ち回りとしてはシンプルで、こちらが倒されるより早く相手を倒せるなら攻撃それ以外ならでんじは→すてゼリフの2パターンです。
ですが、マルチアタックがダイマックスと致命的に相性が悪く(威力が下がるため)、ダイマを用いた打ち合いはさけるべきなので、相手側にダイマックスの気配を感じた時は弱点を付けても「でんじは」や「すてゼリフ」から入って下さい。初手エースバーン対面などはこのパターンです(初撃から珠カキュウで吹っ飛ぶリスクはありますが、能力UP効果を含むダイナックル、ダイジェットが優先される事が多く、強気に攻めても生き残る事が多いです)
Sが比較的高めなので「すてゼリフ」で退場するまでに大きくHPを削られても、再登場時にもう一度相手を妨害出来る可能性があります。
与ダメージ計算(基本的に小数点以下は四捨五入)
マルチアタック
特化ドヒドイデ…53.5%〜64%
無振りドサイドン(ハードロック)…47%〜57%
無振りドリュウズ…121%〜144%
無振りパッチラゴン…99.8%〜117%
無振りエースバーン…121%〜145%
特化ウインディ(威嚇込み)…43%〜52%
H252バンギラス…68%〜79%
無振りルガルガン(黄昏)…140%〜165%
特化ジバコイル…115%〜136%
H252ドラミドロ…95%〜112%
無振りドラパルト…58%〜69%
れいとうビーム
H252カバルドン…47.4%〜58%
無振りトゲキッス…43%〜51%
H252フシギバナ…41%〜49%
無振りドラパルト… 60%〜71%
H252ゴリランダー…49%〜59%
無振りサザンドラ… 50*%〜60%
無振りFCロトム(草、飛)…49.8〜59%
「マルチアタック」の威力に助けられ、あまりAに努力値を割かずともそれなりの威力が出ます。
メジャー処で極振りしたかどうかで確定数に影響が出るのは、特化ウインディくらいでしょうか。
逆に「れいとうビーム」は弱点を付いてもまだ微妙に火力が足りませんが、B特化カバルドンに必要最低限の打点を持てるのは小さくない利点です。
誤差の範囲ですが、一応威力は抜群れいとうビーム≧等倍マルチアタックです。
被ダメージ計算
何度も攻撃を受ける余裕はないため「これぐらいの火力なら一発耐えて、最低限の仕事はこなせる」という参考に止めて下さい。
特化ドリュウズ@命の珠
じしん…78%〜%92%
A252パッチラゴン
げきりん…79%〜94%
特化バンギラス@こだわりハチマキ
かみくだく…71%〜82%
AC252ドラパルト@ 命の珠
ドラゴンアロー二発…53%〜64%
りゅうせいぐん…58%〜70%
A252エースバーン@命の珠
キョダイカキュウ…101%以上
ダイジェット…82%〜97%
開幕キョダイカキュウは無理ですが、それ以外ならサポートは可能です。
A252ゴリランダー
GFグラススライダー…93%〜111%
補正もアイテムもなしでこれなので、GF展開中は基本的に無理です。
A252ミミッキュ@命の珠
シャドークロー …39%〜47%
じゃれつく… 48%〜57%
無振りカバルドン
じしん…39%〜46%
A252ウインディ@命の珠
フレアドライブ… 74%〜87%
C252ヒートロトム
オーバーヒート… 72%〜85%
C252トゲキッス
エアスラッシュ… 42%〜50%
マジカルシャイン…45%〜53%
特化サザンドラ
りゅうせいぐん…81%〜96%
あくのはどう…50%〜60%
相性の良い味方
ギャラドスギャラドス
ウインディウインディ
「すてゼリフ」と威嚇を併用して物理アタッカーを強く牽制出来ます。
両者共このシルヴァディが苦手な
ゴリランダーに有効打があるのも嬉しいところ。
ギャラドスはやや不安ですが、代わりに「りゅうのまい」による強力な突破力が魅力です。
フシギバナフシギバナ
対ゴリランダー性能の高さに加え、「くろいヘドロ」+「やどりぎのタネ」+「みがわり」の所謂やどみが戦術が、「すてゼリフ」+「でんじは」と非常に高いシナジーがあります。
ややロマンではありますが、キョダイ個体のベンタツと合わせてスリップダメージを突き詰めるのも面白いかもしれません。
ジバコイルジバコイル
地面タイプの弱点である草と氷に耐性を持ち、尚且つ水に高い打点があるため相性は良好です。
「すてゼリフ」が交換を誘発しやすいため、アナライズを絡めた超火力で負荷を掛けたり、「てっぺき」+「ボディプレス」を仕掛けたりと幅広い戦術をとる事が可能になります。
ハッサムハッサム
ジバコイルと同じく草、氷に耐性を持ちます。水に対して打点が低くなりますが、こちらは非常に高い対
ゴリランダー性能が魅力です。
「すてゼリフ」「とんぼがえり」共に無効がないため、「ボルトチェンジ」搭載のジバコイルよりも二者間でのサイクル能力は高いと言えます。
このポケモンの弱点
選出画面でメモリの種類が分からない以上、メモリ型に関して相手が事前に取れる対策は何もありません。
道具と特性がない
本当にこの一点が全てだと思います。
他メモリの可能性について
今回は「広範囲を削るサポート」としてグラウンドメモリ型を考察しましたが、コメント欄より要望があったため、最終選考に上げた他のタイプについても簡単ながら利点を上げようと思います。
あくまで本考察外の話であるため、著者の主観に基づく部分も多く含まれる事は御了承下さい。
ロックメモリ
著者的にはグラウンドメモリに次いで優秀かと考えています。弱点を突かれやすいのが気掛かりですが、「マルチアタック」が他岩技に比べて明らかに高性能であるため、この一点だけでも差別化に困る事はありません。アタッカー気質のポケモンが非常に多いタイプであるため、このメモリを持たせる場合は本論と同じくサポート寄りの構築をお薦めします。本論のように2ウェポンサポートにする場合は、「岩/氷」または「岩/炎」あたりが扱いやすいかと思います。
ライバルとしてはバンギラス
セキタンザン
ルガルガン等です。マルチアタックの火力指数は、
テラキオンのストーンエッジとほぼ同じとなります。
サイキックメモリ
物理エスパーとしては最高峰の火力となりますが、役割対象である毒、格闘が物理よりのステータスである事から、やや噛み合っていない印象はあります。
ただエスパーの補完技として「とんぼがえり」を採用できる事から、「すてゼリフ」を他の技に変える余地が生まれるので、他のタイプよりはアタッカー気質の構築を取りやすくはなるかもしれません。
マルチアタック(超)とんぼがえり、かえんほうしゃでんじは(こごえるかぜ等の構成が無難でしょうか。
いずれにしても、サポート性能と攻撃範囲に優れるポケモンが多数在籍するタイプなので、差別化難易度は比較的高めかもしれません。
ダークメモリ
一貫性が高い高威力悪技とサポートを両立出来る点がメリットですが、ライバルも多く、純アタッカーならウーラオスや
バンギラスに、サポーター兼任なら同じく「すてゼリフ」を使える
ゴロンダや
タチフサグマが立ちはだかります。
最終選考に上げたタイプの中では、恐らく一番差別化に難儀します。
スチールメモリ
耐性の多さと、「とんぼがえり」「すてゼリフ」によるサイクル適正の高さが魅力です。「マルチアタック」の火力はドリュウズの「アイアンヘッド」の約1.2倍となるため、物理鋼枠としては独自性がありますが、役割的に最大のライバルとなるのは似たような戦術が取れる
ジバコイルとなります。
火力指数的にもアラナイズラスターカノン>マルチアタックとなってしまうので、「こごえるかぜ」と「すてゼリフ」の併用など、サポート色を強めて差別化したいところです。
フェアリーメモリ
「マルチアタック」の火力は物理フェアリー最大打点のマリルリの「じゃれつく」と同レベルの威力となります。覚える技も違いがでるため、唯一「つるぎのまい」を採用した純アタッカーとしての活路があるかもしれません。サポートを兼用する場合
ニンフィアや
ピクシーがライバルとなります。
特にニンフィアは、スキンハイパーボイスとマルチアタックが同程度の火力となる事、高い耐久(特殊)にあくびと再生回復を備えれる事から、本考察のカバルドンに近い立ち位置と言えます。
おわりに
如何だったでしょうか。
マルチアタック搭載型シルヴァディは本当に器用貧乏を突き詰めたようなポケモンです。今回考察するに当たって著者自身も何度も迷走しました。
結局考えに考え抜いた結果自分はグラウンドメモリに落ち着きましたが、人の数だけ答えがあるポケモンだと思うので、みなさんも理想のシルヴァディを探してみて下さい。
この考察がそのお役に立てれば幸いです。