前書き
「わに」と申します。よろしくお願いします。
以下の内容に必ず目を通してください。
- 指定のない限りすべてのポケモンは理想個体を想定します
- HP、攻撃、防御、特攻、特防、素早さをH、A、B、C、D、Sの略称で表記します
- その他範囲の略称を用います
- ダメージ率はダメージ計算式をもとに計算しています
- ご質問、ご指摘はコメントにて受け付けます
- 育成論に関係のないコメント、無益だと判断したコメントは予告なく削除します
それでは考察に移ります。
論概要
先制の爪を持たせた奇形ハピナスです。
白い悪魔ことトゲキッスを最大の仮想敵とし、エアスラッシュの怯みゲーによる強引な突破に抵抗できる特殊受けとして考察しました。(運ゲーには運ゲーで勝負!)
副産物として受けポケモン全般が苦手とする呪い+身代わりのような嵌め戦術にも一定の耐性を付与できます。
常に確率が絡むため、食べ残しや回復木の実のような直接的な恩恵は得にくいですが、持ち物の選択肢の1つとしてご紹介できればと思い、投稿いたしました。
ここが強いよハピナス
基本性能と差別化、並びに採用理由のお話。
- 圧倒的特殊耐久と弱点の少なさ
種族値H255D135という全ポケモン中TOPの化け物じみた特殊耐久を誇ります。
この数値だけでほぼ全てのポケモンとの差別化が完了するほど。
また、ノーマルタイプが故に弱点が格闘タイプのみというのも重要なポイントです。弱点を突かれづらいということはそれだけ崩されづらいということなので、他の受けポケモンとは安定感が違います。
さらに高速回復技のタマゴ産みや耐久を補強する瞑想まで習得するため、詰ませ性能も非常に高いポケモンです。
反面、物理耐久は壊滅的(とはいえB252振りで無振りゴリランダーと同等の物理耐久は確保できるのですが)なので、物理耐久の高いポケモンとサイクルを形成しながら戦うスタイルが一般的。
- 持ち物の自由度とダイマックス(以下DM)適性
進化前であるラッキーやとの差別化に関わるお話になります。
ラッキーは進化の輝石を持たせることでハピナス以上の耐久を実現できますが、同時に持ち物が制限され、毒毒を没収された今作ではまともなダメージソースも地球投げに限定されてしまうため、型の自由度、汎用性においてはハピナスが勝ります。
また、C種族値75という最低限の火力と幅広い範囲の特殊攻撃技を習得するおかげでハピナスはラッキーよりもDM適性が高く、DMすれば耐久も実質2倍になるので、8世代の対戦環境にマッチしたポケモンだと言えます。
- その他差別化・採用理由
ラッキー以外に差別化が必要なポケモンとしてHDポリゴン2が挙げられます。
ポリゴン2はハピナスほどではありませんが、進化の輝石の補正込みで特殊受けとして十分機能する耐久を持ち、火力面でハピナスを上回ります。
ハピナス側の利点としては、進化の輝石の補正を考慮してもなお特殊耐久が大きく上回る点、瞑想による火力・耐久の補強が能動的に出来る点、ラッキーとの差別化同様に持ち物が限定されず、持ち物をトリックや叩き落す等で没収されても受けとして最低限機能する点が挙げられます。
ここまでの内容からもお分かりいただけるかと思いますが、ハピナスの採用理由は「対応範囲の広い特殊受け」この一言に尽きます。
潤沢な数値のおかげで明確な対策を講じていない全ての特殊アタッカーに対して役割を持つことができます。
この圧倒的特殊耐久と持ち物の自由度を生かすことがハピナスを育成する上では重要になってくるでしょう。
型解説
ここから今回の型を詳しく解説していきます。
- 持ち物
先制の爪
- 特性
天の恵みor自然回復
- 性格
穏やか
- 個体値
A0/5V想定
- 努力値
H36/B252/C100/D116/S4
- 実数値
H335/A-/B62/C108/D187/S76
- 持ち物について
本論の核となる先制の爪で確定です。
ネタ要素が強い持ち物という印象が強いかもしれませんが、行動確率に干渉できる唯一の持ち物でもあります。(※技の優先度には影響がありません)
その効果が顕著に表れるのが今回の最大の仮想敵であるトゲキッス対面で、エアスラッシュを受けるターンに行動できる確率が43%(0.95×0.4+0.05)から54.4%(0.95×0.4×0.8+0.05×0.8+0.2)となり約10%ほど改善されます。
また、C+2状態のトゲキッスは3連続怯み(18.5%)や、2連続怯み(32.4%)+ダイジェットでハピナスを無償突破し得る(はい?)のですが、先制の爪を持たせることで何もできずに突破される確率をそれぞれ10%以上抑え込むことが出来ます。(3回連続行動不能→9.4%、2回連続行動不能→20.7%)
このように受け出し際に悪巧みを積まれた場合や怯みによるゴリ押し(確率の押し付け)に対しても一定の勝ち筋を見出だすことができる点はこの持ち物の長所と言えるでしょう。
また、Sランク変動、麻痺、追い風、トリックルームなどの状況に左右されず、常に上から行動できるチャンスが生じることは鈍足ポケモンにとっては非常にありがたく、単純な殴り合いにおいて相手を上から突破できる可能性が生まれ、トライアタック等の追加効果を上から押し付けることもできるので、結果として対面性能の向上や被弾率、事故率の低下に繋がります。
先制瞑想や先制回復が決まれば確定数を大幅にズラすこともできます。
さらに、相手の身代わり連打に対し、攻撃を続けることで、どこかのタイミングで必ず連続攻撃(後攻で身代わり破壊→先制の爪発動で本体に攻撃)が発生するため、呪い+身代わりといった嵌め戦術を単機で打開する可能性が生まれます。
電磁波+身代わりを搭載した所謂害悪型のトゲキッスに対しても打開のチャンスが生まれるのは大きいですね。
食べ残しや回復木の実と比較すると持ち物が競合しずらいため、ハピナス単体の汎用性を維持しつつ、他のポケモンに回復アイテムを回せる点も高評価です。
長々と説明してきましたが、コメントでもご指摘いただいた通り、サイクル戦における食べ残しや回復木の実等の直接的な恩恵には及ばず、常に確率が絡む不安定な持ち物であることは間違いないので、その点に留意した上で採用していただければ幸いです。
- 特性について
天の恵み、自然回復から選択です。
天の恵みはサイクル戦において相手に与える負荷が大きく、自然回復は状態異常による負け筋を消すことができます。お好みで選択してください。
先制の爪+天の恵みの構成を使用していて、相手に確率を押し付ける動きがとても楽しかった(ゲス顔)ので確定欄は天の恵みです。
- 性格および調整意図
H16n−1かつ6n−1
C172拘り眼鏡イエッサン♂のPFサイコショック+ステルスロック耐え
A177命の珠ギャラドスのダイジェット(130)耐え程度
C161命の珠リザードンのキョダイゴクエン(150)2発+定数ダメ2回耐え
C172トゲキッスのC+2ダイジェット(130)2耐え
C205適応力ポリゴンZのC+2ダイアタック(150)+ステルスロック耐え
余りC(ダイサンダー(130)でH175D120ギャラドス確1程度)
性格は、補正効率が最も良いDに上昇補正、必要のないAに下降補正がかかる穏やかで確定です。
サイクルを回す中でステルスロック等の定数ダメージを多く受けることを想定し、まずHを16n−1かつ6n−1に設定しました。
特殊受けとして最も重要なDラインは、タマゴ産み連打で相手のDMターンを枯らせるよう、強力な特殊アタッカーであるリザードントゲキッスポリゴンZを指標にしました。
B方面は物理アタッカーに対してもある程度居座る選択肢を持てるよう振り切り。これにより拘り眼鏡イエッサン♂のPFサイコショックも耐えるようになります。
最後に余りを全てCに注ぎ込み、端数を同族意識でSに回して完成です。
ここから各自構築に合わせて微調整していただければ幸いです。
【耐久指標】
注釈がない限り全て通常時のものです
物理耐久指数:20770
A177命の珠ギャラドスのダイジェット(130):81.1〜95.8%
A168命の珠エースバーンのキョダイカキュウ:94.3〜111.3%
A194ゴリランダーのGF下ウッドハンマー:82.0〜96.7%
A189拘り鉢巻ドラパルトのドラゴンアロー(一発当たり):38.8〜45.6%
C172拘り眼鏡イエッサン♂のPF下サイコショック:72.8〜85.9%
特殊耐久指数:62645
C161命の珠リザードンのキョダイゴクエン(150):28.0〜33.4%
C161命の珠キングドラの雨下ダイストリーム(140):39.7〜46.8%
C172トゲキッスのC+2ダイジェット(130):40.5〜47.7%
C205適応力ポリゴンZのC+2ダイアタック(150):74.0〜87.1%
C172トゲキッスのエアスラッシュ:11.9〜14.3%
はい、恐ろしい特殊耐久ですね。命の珠リザードンのキョダイゴクエンで3割弱しか削れないのは本当どうかしています。物理耐久もBに振り切ったおかげで多くの攻撃を1発耐えることがお分かりいただけるかと思います。
ここに記載していないものは恐れ入りますが各自計算をお願いします。
- 追記
先制の爪発動の価値を高めるため以下の調整案を追記させていただきます。(※性格、個体値について変更はありません)
- 努力値
H36/B204/C148/D116/S4
- 実数値
H335/A-/B56/C114/D187/S76
- 調整意図
H16n−1かつ6n−1
DM時にA168命の珠エースバーンの飛び膝蹴り超高乱数耐え
C172眼鏡イエッサン♂のPF下サイコショック耐え
C+1トライアタックでH161D95ポリゴンZ確2
C+1トライアタックでH153D105リザードン高乱数2
C+1ダイアイス+ステルスロックでH161D135トゲキッス確1
HD方面の耐久は上述の調整と変わらず。
Bを必要最低限のラインまで落とし、Cに最大限努力値を回すことで、瞑想込みで確定2発ないし高乱数2発にまとまる範囲を増やしました。これにより一度先制して攻撃できることに大きな価値が生まれます。
上述の調整と比較すると火力が伸びた分、物理アタッカーに対して居座れる対面が減るのでその点には注意が必要です。
お好みで選択してください。
技構成
- 確定技
タマゴ産み
サイクル戦における体力維持、DM枯らし等様々な局面で役立つ回復ソース。
特殊受けとして必須です。(むしゃむしゃ)
瞑想
積み技でゴリ押してくる特殊アタッカーへの誤魔化しや自身の火力補強のために必須。
上手く積むことができればDMと併せて裏の物理アタッカーを倒す立ち回りも可能です。
- 選択技(攻撃技)
トライアタック
特性:天の恵みと併せることで40%の確率で火傷・凍り、麻痺のいずれかの状態異常を押し付けることができる破格のタイプ一致技になります。
ハイパーボイス
トライアタックよりも威力が高く、身代わりを貫通するため、嵌め戦術やTODに対してより強くなります。特に自然回復で採用する場合のタイプ一致技として。
冷凍ビーム
主に身代わりドラパルトの起点回避用の技。
トゲキッスやカバルドン等に対する打点にもなり、ダイアイスとして使用することで天候操作できる点も便利。確率は低いものの凍りの追加効果も強力。
シャドーボール
主に身代わりドラパルトの起点回避用の技その2。
ノーマル技との範囲補完に優れ、Dダウンの追加効果も優秀です。
雷(10万ボルト)
天の恵みによって驚異の6割麻痺を叩き出す技。冷凍ビームとの範囲補完に優れます。
特性が自然回復の場合や安定を求める場合は10万ボルト推奨。
火炎放射
主に身代わりジバコイルの起点回避や鋼タイプへの打点となる技。
火傷の追加効果がありがたい。
地球投げ
霊以外のタイプ相性を無視して一定ダメージを与えられる技。
安定したダメージソースですがDMとの相性が悪いので優先度は少し低め。
この他、ステルスロックや電磁波、歌う、小さくなる等優秀な補助技を習得しますが、攻撃技2種+タマゴ産み+瞑想の構成が使いやすく、安定感があると感じたため、この他の補助技についての言及は控えます。お好みに合わせて選択してください。
【火力指標】
全て通常時の相手を記載しています。
- トライアタック
H161D135トゲキッス:23.6〜27.9%
H153D105リザードン:31.3〜37.2%
H161D95ポリゴンZ:32.9〜39.1%
- ハイパーボイス
H161D135トゲキッス:25.4〜30.4%
H153D105リザードン:34.6〜41.1%
H161D95ポリゴンZ:36.6〜43.4%
- ダイアタック(130)
H161D135トゲキッス:36.6〜43.4%
H153D105リザードン:49.6〜58.8%
H161D95ポリゴンZ:52.7〜62.1%
- 冷凍ビーム
H195D96ドラパルト:40.0〜47.1%
H161D135トゲキッス:34.7〜40.9%
H215B124カバルドン:28.3〜33.4%
- ダイアイス(130)
H195D96ドラパルト:57.4〜67.6%
H161D135トゲキッス:49.0〜58.3%
H215D124カバルドン:40.0〜47.4%
- 雷
H175D120ギャラドス:87.4〜102.8%
H161D135トゲキッス:42.2〜49.6%
H172D90エアームド:59.3〜69.7%
ダイサンダー(140)
H175D120ギャラドス:110.2〜130.2%
H161D135トゲキッス:53.4〜63.3%
H172D90エアームド:73.8〜87.2%
シャドーボール
H195D96ドラパルト:35.3〜42.0%
H131D125ミミッキュ:41.2〜48.8%
H177D130ゴチルゼル:29.3〜35.0%
ダイホロウ(130)
H195D96ドラパルト:57.4〜67.6%
H131D125ミミッキュ:65.6〜77.8%
H177D130ゴチルゼル:46.8〜55.3%
火炎放射
H177D110ジバコイル:38.4〜45.1%
H205D105アーマーガア:34.6〜40.9%
H185D85ドリュウズ:47.5〜56.2%
ダイバーン(130)
H177D110ジバコイル:55.3〜65.5%
H205D105アーマーガア:49.7〜58.5%
H185D85ドリュウズ:67.5〜80.0%
ここに記載していないものは恐れ入りますが各自計算をお願いします。
選出と立ち回り
仮想敵となる特殊アタッカー(リザードンウルガモストゲキッスポリゴンZポリゴン2イエッサン♂イエッサン♀アシレーヌインテレオンキングドラスピンロトムストリンダー(ハイ)サザンドラ等)がいる構築に選出し、役割に従って味方の物理受けとともにサイクルを回します。基本的に特殊アタッカー全般に役割を持てますが、トリック(すり替え)、一撃技、渦潮+滅びの歌やサイコショック等を覚えるポケモンは選出段階で意識しておきましょう。
仮想敵に対して受け出し、余裕があれば裏に一貫する攻撃、体力を温存する必要があればタマゴ産み、相手が積み技を使ってきたら瞑想、必要に応じてDMを選択します。瞑想を複数回積むことができれば積極的にDMしていきます。
どんな局面でも20%の行動確率があるので、とにかく諦めない心意気が大切!
相性の良い味方
- カバルドンカバルドン
相性の良い物理受け。
主にエースバーンやパッチラゴン等に対するクッションになります。
- バルジーナバルジーナ
相性の良い物理受けその2。
ゴリランダーや一撃ウーラオス(いちげき)に受け出せる数少ないポケモンです。
- ヤドランヤドラン
相性の良い物理受けその3。
数値自体は低めですが特性の再生力が非常に優秀です。
- ドラパルトドラパルト
サイクルを回した後のスイーパーとして優秀なポケモン。
格闘タイプの技を空かすことができ、受け出しが成立しづらいウオノラゴンやパッチラゴンを上から叩ける貴重な存在。
などなど。
色々試していただければ幸いです。
あとがたり
さて、今回は一風変わった先制の爪ハピナスの育成論となりましたがいかがだったでしょうか。
トゲキッスの怯みゲーに嫌気がさしていた時に思いつきで採用してみたところ、常に20%の勝ち筋が残っている感覚で使用でき、想像以上の活躍をしてくれたので投稿してみました。本論が何かのお役に立つことを願っております。
最後までご覧いただきありがとうございました!