※本論は予告なく削除する場合があります。
※ポケモン対戦において一般的に用いられる非公式の略語を使用します。
※2020/7/8 「採用理由」「苦手な相手」「相性の良い味方」の項を強化し加筆修正
※2020/7/15 確定技を「ドレインパンチ」から「インファイト」に変更
ウーラオスについて
エキスパンションパス第1弾・鎧の孤島より追加された新たなる準伝説ポケモン、ウーラオス(いちげき)。このポケモンには以下のような特徴があります。
- タイプ及び習得技の異なる二つの「かた」が存在
格闘・水タイプの「れんげきのかた」および格闘・悪タイプの「いちげきのかた」が存在します。どちらも種族値は同じですが、タイプの違いから見られる相手もそれぞれ違います。見せあい画面のドット絵では型の判別ができません。
- 非常に優秀な固有特性と専用技
特性「ふかしのこぶし」は、自身の直接攻撃技が相手のまもる系統の技を無視して命中するという効果があります。(ダイウォールは無理です)
また、専用技「すいりゅうれんだ」(連撃)および「あんこくきょうだ」(一撃)は共に確定で急所に当たる効果があります。前者は威力25×3回攻撃の水タイプ技、後者は威力80の悪タイプ技で、確定急所技の中でも破格の性能を誇ります。
専用キョダイマックス技「キョダイレンゲキ」(連撃)および「キョダイイチゲキ」(一撃)はふかしのこぶしを内包したような効果を持ち、まもる系統の技だけでなくダイウォールも貫通することができます。
採用理由と役割
本論執筆時点では、ランクバトルにてウーラオス(いちげき)が解禁されてから日が浅いですが、現状では速攻アタッカー型が多い印象を受けます。ですが僕は前述のウーラオス(いちげき)の特徴から、厄介な受けポケモンの対処ができるのではないかと考えました。ふかしのこぶしは「まもる」等による時間稼ぎを許さず、専用技は確定急所効果で相手の防御ランク上昇や壁を無視することができます。いちげきのかたの場合、確定急所のあんこくきょうだはビルドアップ1積みにより物理受けポケモンすら確定2発圏内に追い込みます。受け構築には苦手なニンフィアやマホイップ等のフェアリータイプが採用される場合も多いですが、ビルドアップ1積み暗黒強打は後述しますが彼女たちの後出しを許さない火力があります。
- 他の受け構築対策ポケモンとの差別化要素(2020/7/8追記)
高威力の確定急所技で急所を突きながら守りを貫通できるポケモンはウーラオス(いちげき)のみで、この時点で他のポケモンにはない大きな個性を有していると言うことができます。ですが、ソフトで1匹しか入手することのできない貴重なポケモンであるウーラオスを、汎用性を落としてまでこのような受け構築メタに特化させる価値はあるのかという疑問を抱かれる方も多いかと思います。ダメージ計算の項でも詳述しますが、この型のウーラオス(いちげき)はミラーで負ける確率が高いです。
受け構築の破壊方法としては1.受けの成立しない火力で攻める、2.広い技範囲で弱点を突く、3.一撃必殺技を当てる、4.挑発で展開を妨害し起点化するなどがあり、この型は1,4の複合となります。
今回は、物理特殊の違いこそありますが「対受けループ要員」として著名な悪巧みサザンドラおよび、同じ格闘タイプで受けを成立させない火力を出せる根性ローブシンと比較させていただきます。
悪巧みサザンドラVS今回のウーラオス(いちげき)
サザンドラの優れた点
・ドラゴンタイプにより半減できるうえに火傷を苦にしない特殊型であるため、熱湯を苦にしない
・ダイマックスにより悪の波動をダイアークにすることで、崩し性能がさらに上がる
・ウーラオスよりS種族値が高いため、より多くの相手の上から挑発を入れられる
・豊富な耐性によりサイクルに参加しやすく、受け構築メタ以外の役割もこなせる
ウーラオス(いちげき)の優れた点
・守るの貫通と確定急所による防御系バフの貫通
・サザンドラはラッキーのような圧倒的な特殊の数値受けを苦にするが、ウーラオス(いちげき)は後述のダメージ計算を参照してもわかる通り物理受けを貫通することができる上に、一部のフェアリーポケモンでも受けの成立しない火力を出せて、現環境の多くの受けポケモンを見られる
・受け対策の悪巧みサザンドラは有名になりすぎたが、2020/7/8現在一撃ウーラオス(いちげき)は気合の襷やスカーフ等を所持した対面重視の型が多く、受け対策型を警戒されず、この型でカモにしたい物理受けを後投げされることが多い
根性ローブシンVS今回のウーラオス(いちげき)
ローブシンの優れた点
・物理アタッカーでありながら火傷を苦にしない
・積み技を使わずとも十分な火力を手にできるので技スペースを比較的自由にカスタマイズでき、マッハパンチを採用する等、対面性能を高められる
ウーラオス(いちげき)の優れた点
・守るの貫通と確定急所による防御系バフの貫通
・素のSの速さにより上から展開阻止が可能
・火炎玉でHPの削れる根性ローブシンと比較して、耐久を保てる
総括すると不可視の拳と暗黒強打が強烈なのと警戒されにくいがゆえの刺さりやすさ、種族値の高さゆえの腐りにくさが有用であると考えられます。
- 連撃でなく一撃を採用する理由
前述の通りウーラオスにはれんげきのかたも存在し、ふかしのこぶしによる時間稼ぎ防止と確定急所による防御系バフ貫通はれんげきのかたでも可能です。にもかかわらず今回いちげきのかたを採用した理由を記していきます。
受け構築にはドヒドイデやヤドランといった、れんげきのかたのタイプ一致技である格闘および水を両方とも半減する物理受けポケモンが採用されるため、れんげきのかたは容易に受けられてしまいます。
また、れんげきのかたの場合、遂行技はすいりゅうれんだとなります。仮想敵として設定しているアーマーガア、エアームド等はゴツゴツメットを所持している場合も多く、すいりゅうれんだでは必要以上のスリップダメージを受けてしまいます。
この2点から、受け対策という役目を任せるにはいちげきのかたのほうが適任なのではないかと考えました。
- 受けを成立させたくないなら鉢巻暗黒強打でも良いのでは?(2020/7/8追記)
コメントにて指摘がありました。一理あるご意見です。この型のコンセプトが「A1段階上昇相当の火力で暗黒強打を打ち込む」点にあるので、そのことを考えると1発目から高火力で殴れて回復の間に合わない拘り鉢巻でも良いのではないか… となります。それに、鉢巻であれば積みを無効化する天然ヌオーナマコブシピクシーへのダメージ量も増加します。
この型はサニーゴ(ガラル)エアームドカバルドン等のステロ展開阻止ができる点、物理環境においてビルド1積み(AB1段階上昇)にダイマックスを絡めることで物理相手への対面性能を高められる点を、苦しいながらも差別化要素とさせていただきます。
また、鉢巻型と比べて補助技を自然に採用しやすいため、ダイマックス時にダイウォールとして使用できます。ランクバトルで使用した時、ウーラオスにダイマックスを切った頻度もそれなりにあったので、ダイウォールの存在が役に立ったこともありました。(コメントより。2020/7/13追記。)
性格・努力値と調整
攻撃に補正をかけることにより、ビルドアップ1積みで受けポケモンをツーパンできる火力が出ます。そのために性格は使わない特攻を下げるいじっぱり一択です。
また、ダイマックスを前提としてはいませんが、キョダイマックス個体を採用しています。
努力値振りは以下の通りです。
H252 A156 B12 D20 S68
H→極振りで定数ダメージ最小の16n-1になります。
A→ビルド1積み暗黒強打でH191-B99ニンフィアを急所込み確定2発
HB→B172アーマーガアのボディプレス2耐え
HD→余り。C152ドラパルトの命の球流星群最高乱数以外耐え
S→最速バンギラス抜き抜きまで振ります。ほとんどの受けポケモンの上をとれます。
持ち物
- ラムのみ
確定欄はこちらにしています。ドヒドイデからの熱湯による火傷事故を防いだり、カバルドンやブラッキーのあくびを無視して積むことができます。これが安定すると思います。
- オボンのみ
回復ソースとしてドレインパンチを用意していますが、ランクバトルで50戦ほど戦ってみたところ気持ちドレパンより暗黒強打を撃つことのほうが多かったので、オボンのみが欲しいと思うこともしばしばありました。
- たべのこし
コメントにて提案がありました。確定数ずらしにもなる安定した回復ソースです。身代わりを採用する場合に相性が良いほか、食べ残しを持つことでB201ナットレイのボディプレスを2回耐えられる耐久になります。
持ち物に関してはあくまでも一例にすぎません。パーティーの他のポケモンとの兼ね合いで、パーティーに適したものを持たせてください。
技構成
あんこくきょうだ/インファイト/ちょうはつ/ビルドアップ
以上の構成を確定欄に表記していますが、必要に応じて入れ替えてください。あんこくきょうだとビルドアップはコンセプト上必須です。格闘技は格闘弱点ポケモンへの速やかな遂行に重要です。(※当初はドレインパンチを確定技にしていました。回復ソースになりますが、それよりも役割対象への迅速な遂行のほうが体力温存に繋がるという考えに至ったので、インファイトを確定技にしました。)
入れ替えるとしたらちょうはつの枠を身代わりにするかしないかだと思います。
- あんこくきょうだ
ウーラオスがウーラオスであるために欠かせない技です。威力80の確定急所で、通りの非常に良い悪打点。一度積んだら安易な受け出しを許しません。基本的にはこの技で攻めていきます。ドヒドイデ、アーマーガア、エアームド、カバルドン等に対する遂行技になります。
ちなみに特性てんねんでこちらの積みを無効化してくるH201-B150ヌオーにも急所込みで41.7〜49.7%入るので、挑発で回復を封じつつ熱湯で焼けないことを祈りながら殴ればなんとかなりそうです。
- インファイトorドレインパンチ
格闘弱点の相手への遂行技となるタイプ一致技です。ナットレイ、ブラッキー、ラッキー、ハピナス、ポリゴン2、カビゴン等に対する遂行技となります。インファイトは耐久を落とす反面速やかな遂行ができます。ドレインパンチは回復ソースとして機能します。お好みでお選びください。
- ちょうはつ
受けポケモンの再生回復や、起点作りポケモンの仕事を封じるうえであると便利です。自身の積みの起点も作ります。攻撃技がイカサマ1つのブラッキーに対しては特に有効です。
- ビルドアップ
ちょうはつで動きを封じたり、ラムのみを盾にして積んでいきます。これを1回積むことで、受けポケモンを貫通できる火力が手に入ります。
- みがわり
入れるとしたらちょうはつの代わりになると思います。状態異常技を躱すのに使えますし、確定欄の努力値振りだとC73ドヒドイデの熱湯やサニーゴ(ガラル)のナイトヘッド等を身代わりが確定耐えします。ただし再生回復を許してしまいます。
立ち回り例(2020/7/8追記)
受けポケモンへの交代を読んで繰り出します。即交換すると若干怪しまれます。あるいはカバルドンあたりは初手で起点を作りに出てくることがあるので、初手出しを読んで初手選出します。ラムのみを盾に繰り出すこともできなくもないですが、以降熱湯が怖くなります。
相手の再生回復や状態異常技等のタイミングでビルドアップを一度積み、適宜ちょうはつを織り交ぜながら2回殴ります。初手で挑発を見せるのはおすすめできません。
相手の選出が3匹とも割れて、ウーラオスを通していけそうだと判断できたり、あるいは相手の攻撃を確実に耐えたいというような局面でダイマックスを切るのも有効です。B↑一撃ウーラオスはA168リベロエースバーンの球飛び膝蹴りを、最大乱数さえ引かなければ2回耐えられる耐久があり、物理相手への対面性能はなかなかのものです。また、キョダイイチゲキもダイナックルも、急所暗黒強打およびドレインパンチより火力が出ます。
与ダメージ計算
以下、ダメージ計算はポケモンソルジャー様のSoldier Calcを使用しています。
あんこくきょうだ(※急所ダメージで計算)
(素)
H201-B178ヤドラン 71.6〜84.5%
H201-B161ヤドラン(ガラル) 78.6〜93.5%
H167-B167サニーゴ(ガラル) 62.2〜75.4%
(ビルド1積み)
H157-B224ドヒドイデ 53.5〜63.6% ヘドロ回復を加味しても2発で落ちます。
H205-B172アーマーガア 54.1〜64.3% 残飯回復を加味しても2発で落ちます。
H171-B211エアームド 53.2〜63.1% 残飯回復を加味しても2発で落ちます。
H215-B187カバルドン 47.4〜56.2%
H191-B99ニンフィア 50.2〜59.1%
H171-B95マホイップ 57.8〜68.4%
(キョダイイチゲキ・素)
H326-B95ダイマックスドラパルト 88.3〜104.9%
ドレインパンチ
(素)
H207-B130バンギラス 117.8〜141%
(ビルド1積み)
H181-B201ナットレイ 64〜77.3%
H331-B62ハピナス 116〜136.5%
H335-B62ラッキー@進化の輝石 75.8〜90.1%
H191-B156ポリゴン2@進化の輝石 53.4〜63.8%
H267-B128カビゴン 69.6〜83.1%
H201-B178ブラッキー 66.6〜78.6%
H201-B259クレベース 45.7〜54.7%
インファイト
(素)
H207-B130バンギラス 187.4〜222.2%
(ビルド1積み)
H181-B201ナットレイ 103.8〜123.7%
H331-B62ハピナス 184.8〜217.5%
H335-B62ラッキー@進化の輝石 121.7〜143.2%
H191-B156ポリゴン2@進化の輝石 85.8〜101.5%
H267-B128カビゴン 110.8〜131%
H201-B178ブラッキー 107.4〜126.3%
H201-B259クレベース 74.6〜87.5%
※ダイナックルのダメージ計算は割愛させていただきます。ドレインパンチとインファイトの中間ぐらいの火力と考えてください。
被ダメージ計算
以下は全て積みのない素の状態での被ダメージです。
(物理)
B172アーマーガアのボディプレス 41.5〜49.2%
B201ナットレイのボディプレス 48.3〜57%
A164カバルドンのじしん 36.7〜43.9%
A130カビゴンのキョダイサイセイ(からげんき) 34.7〜41%
A177ギャラドスのたきのぼり 32.3〜38.1% 等倍物理火力の目安
A194ゴリランダーのグラスフィールドグラススライダー 39.6~46.8% 等倍物理火力の目安
A204バンギラスのばかぢから 72.4〜85.9%
A172ドラパルトのドラゴンアロー1発あたり 20.2〜23.6%
A172ドラパルトのダイドラグーン(ドラゴンアロー) 49.7~59.4% 等倍物理ダイマックス技の目安
A182ウーラオス(いちげき)のインファイト 98.5〜115.9%
A177ギャラドスのダイジェット(とびはねる) 102.4〜121.7% 一致弱点ダイマックス技の目安
A168リベロエースバーンのとびひざげり 98.5~115.9% 一致弱点物理火力の目安
(特殊)
C73ドヒドイデのねっとう 19.3〜23.1%
C139ハピナスのトライアタック 36.7〜43.4%
C157ポリゴン2のトライアタック 41〜49.2%
C152ドラパルトのりゅうせいぐん 65.2〜76.8%
C177サザンドラのりゅうせいぐん 75.3〜88.8%
C172トゲキッスのエアスラッシュ 85〜101.4% 有効打に乏しく不利な相手です。
苦手な相手(≒このポケモンの対策)(2020/7/8追記)
- フェアリー全般
トゲキッスニンフィアオーロンゲetc...
ビルド1積み暗黒強打によってあくまで受け出しを成立させないというだけであって、基本的には厳しい相手です。トゲキッスは言わずもがな。壁張りオーロンゲの阻止に出ていくのも厳しいです。マタドガス(ガラル)は物理耐久に厚く、格闘1/4、悪1/2とかなり不利です。ピクシーは天然で積みを無効化してくるので天敵中の天敵です。ミミッキュはかなり不利なので、相手が連撃の型と勘違いして選出してこないことを祈りましょう。
- 天然ナマコブシナマコブシ
積みを無効化されるうえに、挑発で動きを封じてもよりによって持っている攻撃技がカウンターだったりするので、両者痛み分けになりがちです。
- ウーラオスウーラオス(いちげき)
前述した通り現状はAS襷型やスカーフ型が多く、上からの格闘技で倒されてしまいます。また、ダイジェットを搭載している個体も多く、ダイジェットの餌にされます。
相性の良い味方(2020/7/8追記)
- ギルガルドギルガルド(シールド)
相性補完が優秀で、一撃ウーラオスの弱点を全て半減以下で受けられるほか、一撃ウーラオスはギルガルドの弱点であるゴースト・悪を半減以下にできます。
- ウルガモスウルガモス
ウーラオスが受けをつぶすことによって通しやすくなるエースの一例。僕が実際にランクバトルで使用しています。ウーラオスに痛い一撃を入れてきやすい特殊アタッカーや、苦手なフェアリーを起点にできます。ただしダイジェットが一貫する点は要注意です。
- ガラルヤドランヤドラン(ガラル)
既存のスカーフ型の育成論でも紹介されていますが、一撃ウーラオスの弱点のうち格闘、フェアリーを半減で受けられる一方で、一撃ウーラオスはガラルヤドランの弱点であるゴースト、悪に強いです。ミミッキュが一貫する点は要注意です。
最後に(2020/7/8追記)
新環境が始まりまだ日が浅くはありますが、現在のランクバトルでは連撃、一撃ともにAS振りのウーラオス(いちげき)が多い印象を受けます。ポケ徹に投稿されているのも速攻アタッカー型が多い印象です。この型はウーラオスミラーで負けたり、ドラパルトに対して完全に有利に戦えたりしない等汎用性を落としてしまう面はありますが、本来ならウーラオス(いちげき)を受けるために繰り出されるドヒドイデを攻略できたり等、AS振りの型とはまた違った活躍ができると考えています。
考察の未熟な点や不可解な点、見苦しい点も多々あるかと思います。その際は遠慮なく厳しく指摘をお願いします。誤字脱字やおかしな表現を見つけましたらそっと教えてください。
2020/7/8に大幅な追記を行いました。ですが僕自身のランクバトル上位層に対する知識不足や立ち回りの未熟さもあって、追記したことが上級者の方々から見れば全くの的外れということも考えられます。気になった点の質問や指摘を、今まで以上に広く募集させていただきます。また、この論では考察不足が過ぎると感じられた場合にはフォーク投稿も歓迎いたします。
ここまで読んでくださってありがとうございました。