はじめに
DLC鎧の孤島がリリースされ、様々なポケモンが新しく解禁されました。中には現対戦環境を大きく覆すであろう、高いポテンシャルを秘めたポケモンが何体も存在します。S8開幕前の今からそれらのポケモンの対策を考えることは非常に大切だと思います。
さてDLC解禁前の対戦環境は(おそらく解禁後もですが)、常に「ダイマックス」を中心に展開されてきました。「ダイマックス」状態では、耐久値が上がるだけでなく火力も大幅に伸び(一部例外を除く)、これを中心に添えた構築が輝かしい結果を残してきました。一方その陰で、「ダイマックス」により衰退していった構築もあります。それが「受けループ」です。受けループとは、優秀な「数値」や「耐性」、「回復技」や「補助技」を武器とするポケモンをパーティに存分に入れ、タイプ補完を取り、相手のポケモンの攻撃を完全に受け回す戦術のことを言います。もちろんこの受けループで結果を残した素晴らしい構築がいくつもあり要対策だと言えますが、サンムーン以前の世代の環境ほどの脅威はないでしょう。その原因として以下の3点が挙げられると思います。
- 相手のダイマックス技により受けを崩される
- 十分な耐久指数を確保できるポケモンがプールに少ない
- 受けポケモンのダイマックスによる恩恵の少なさ
以上の要因により、仮に一度受けループに苦戦したとしても、受けポケモンの種類が少ないために簡単に対策をとることができてしまいました。
しかしながら、DLC解禁後のS8からは環境が一変すると考えられています。その理由は、ポリゴン2ポリゴン2やラッキーラッキー、ハピナスハピナス、エアームドエアームドをはじめとする、受けルの要員たり得る高耐久のポケモンが何体も解禁されることにあります。これ以降の対戦環境においては、強化された受けルに対する有効策が必須になることが考えられます。
以上の点を踏まえた上で、鎧の孤島で同様に解禁されたジバコイルジバコイルが受けル対策要員として非常に高い性能を持つことを報告します。特に、特性「じりょく」によるエアームドエアームドの処理、また「ボディプレス」の習得によりラッキーラッキーとハピナスハピナスを完全に克服した点について紹介します。
このジバコイルを採用することで以下のポケモンの対策を同時にとることが可能です。
「しんかのきせき」ラッキーラッキー、ハピナスハピナス、エアームドエアームド、「しんかのきせき」ポリゴン2ポリゴン2、ドヒドイデドヒドイデ、アーマーガアアーマーガア、カビゴンカビゴン、バンギラスバンギラス、クレベースクレベース、モスノウモスノウ、ヤドランヤドラン、ナットレイナットレイ
ジバコイルジバコイルについて
ジバコイルジバコイルは、高い耐久と高いCを併せ持つでんき・はがねタイプのポケモンです。
種族値 : H70 A70 B115 C130 D90 S60
ジバコイルジバコイルは3つの優秀な特性を持ち、「がんじょう」は行動回数保証、「じりょく」は特定のポケモンに対する役割遂行、「アナライズ」は火力補強、とどれをとっても強力だと言えます。環境に多く存在する型としては、特性「がんじょう」や「アナライズ」を活用した低速特殊アタッカーがありますが、一部のポケモンに対して強く出れる「じりょく」も少なからず一定数存在するようです。またC種族値に次いでB種族値が高く、これが後述する「ボディプレス」および「てっぺき」と非常に相性が良いです。
特性と持ち物
- 特性
じりょく
相手の『はがね』タイプのポケモンは逃げたり、ポケモンを交代することができなくなる。
がんじょう
HPが最大の時、『ひんし』状態になるダメージを受けても必ず1残る。また、一撃で『ひんし』になる技『じわれ』『ぜったいれいど』『つのドリル』『ハサミギロチン』を受けない。
アナライズ
自分の攻撃がターンで一番最後の時、技の威力が1.3倍になる。
- 持ち物
たべのこし
持たせると、毎ターンHPが最大HPの1/16ずつ回復する。
特性は、エアームドエアームドやアーマーガアアーマーガア、ナットレイナットレイの処理を急ぐ場合は「じりょく」、カビゴンカビゴンの「じわれ」などを嫌う場合は「がんじょう」の採用をおすすめします。また、「アナライズ」採用であれば、こちら「みがわり」に後出ししてきたドリュウズドリュウズに対して、B+0状態の「アナライズ」強化「ボディプレス」が97.2%~114.5%入ります。持ち物は、相手の受けルのポケモンの低火力による削りを「たべのこし」で回復していき複数体に役割を持てるようにHPを確保します。
性格・努力値と調整
性格はずぶといを採用します。これはBを伸ばすことで、「ボディプレス」で倒せる範囲を増やすためです。
努力値配分は、
努力値 : H124 B252 C20 D20 S92
実数値 : H161 A67 B183 C153 D113 S92
調整先は、
H : 16n+1(たべのこしみがわり効率重視)
B : B+2「ボディプレス」で特化「しんかのきせき」ポリゴン2ポリゴン2確定2発
C : 「10まんボルト」でH252エアームドエアームド確定1発
S : 4振り70族(エアームドエアームドなど)抜き
D : 余り
です。
技構成
てっぺき[★★★★★]
はがね変化 威力-
自分の『ぼうぎょ』ランクを2段階上げる。
ボディプレス[★★★★★]
かくとう物理 威力-防御依存
『こうげき』ではなく、自分の『ぼうぎょ』と『ぼうぎょ』ランクを『こうげき』の数値にしてダメージ計算する。
10まんボルト[★★★★★]
でんき特殊 威力90
10%の確率で相手を『ルガルガン(まひる)』状態にする。
以下、選択技です。
みがわり[★★★☆☆]
ノーマル変化 威力-
自分のHPを最大HPの1/4だけ減らして、減らしたHPと同じHPの自分の分身を作り、分身のHPが0になるまですべての攻撃を自分の代わりに分身が受ける。分身は状態異常にならない。ただし、音系の技などはそのまま受ける。
受けループに入るポケモンは基本的に火力が低いため、安全に「みがわり」がはれることが多いです。例えば、ナットレイナットレイの「やどりぎのタネ」を防いだり、カビゴンカビゴンの「じわれ」試行回数を要求したりと非常に便利です。また、「てっぺき」により要塞化すると並大抵の物理技を「みがわり」が耐えることも可能です。
ラスターカノン[★★☆☆☆]
はがね特殊 威力80
10%の確率で相手の『とくぼう』ランクを1段階下げる。
受けループに入るフェアリータイプのポケモンが果たしているのか分かりませんが、打点が欲しい場合は選択肢に入ります。また環境に多いドラパルトドラパルトに対しても撃つことができます。
それぞれのポケモンに対する処理ルートとダメ計
ここでは、受けルに入ってくるであろうポケモンに対しての処理ルートを記載します。未解禁のポケモンも混ざっているため、それらについてはこれまで流行した型をベースに仮想しています。
- 「しんかのきせき」ラッキーラッキー
○与ダメ ジバコイルジバコイル→ラッキーラッキー
B+2「ボディプレス」
H357B62(H252B↑252)「しんかのきせき」ラッキーラッキー
66.6%~78.4%(確定2発、「たまごうみ」回復で間に合わない)
- ハピナスハピナス
○与ダメ ジバコイルジバコイル→ハピナスハピナス
B+2「ボディプレス」
H362B68(H252B↑252)ハピナスハピナス
89.5%~105.5%(低乱数1発、「たまごうみ」回復で間に合わない)
●被ダメ ハピナスハピナス→ジバコイルジバコイル
C95(無振り)「かえんほうしゃ」
36.0%~43.4%(「てっぺき」を最低2回積める)
C139(C↑252)「かえんほうしゃ」
52.1%~62.1%(「てっぺき」を最低1回積める)
C139(C↑252)「だいもんじ」
63.3%~75.7%(「てっぺき」を最低1回積める)
- エアームドエアームド
○与ダメ ジバコイルジバコイル→エアームドエアームド
「10まんボルト」
H172D90(H252)エアームドエアームド
101.1%~119.7%(確定1発、先制「はねやすめ」回復でも間に合わない)
H172D134(H252D↑252)エアームドエアームド
67.4%~81.3%(確定2発、「はねやすめ」回復で間に合わない)
●被ダメ エアームドエアームド→ジバコイルジバコイル
B211(B↑252)「ボディプレス」
43.4%~52.1%(「たべのこし」込みで確定3発)
A145(A↑252)「ブレイブバード」
8.0%~9.9%(みがわりが2発耐える)
- 「しんかのきせき」ポリゴン2ポリゴン2
○与ダメ ジバコイルジバコイル→ポリゴン2ポリゴン2
B+2「ボディプレス」
H192B156(H252B↑252)「しんかのきせき」ポリゴン2ポリゴン2
50.0%~59.3%(確定2発、「じこさいせい」回復で間に合わない)
●被ダメ ポリゴン2ポリゴン2→ジバコイルジバコイル
A67(A↓個体値0)「イカサマ」
8.9%~10.5%(みがわりが2発耐える)
※個体値31だと10.5%~12.4%(身代わりが2発で壊れる可能性がある)
※A個体値25以下推奨
C172(C↑252)C+1(特性「ダウンロード」)「シャドーボール」
42.8%~50.9%(「たべのこし」込みで確定3発)
- ドヒドイデドヒドイデ
○与ダメ ジバコイルジバコイル→ドヒドイデドヒドイデ
「10まんボルト」
H157D162(H252)ドヒドイデドヒドイデ
62.4%~73.8%(確定2発、「じこさいせい」回復で間に合わない)
H157D213(H252D↑252)ドヒドイデドヒドイデ
47.1%~57.3%(高乱数2発、「じこさいせい」連打を強要)
●被ダメ ドヒドイデドヒドイデ→ジバコイルジバコイル
C73(無振り)「ねっとう」
18.6%~22.3%(みがわりが1発耐える)
- アーマーガアアーマーガア
○与ダメ ジバコイルジバコイル→アーマーガアアーマーガア
「10まんボルト」
H205D105(H252)アーマーガアアーマーガア
73.1%~85.8%(確定2発、先制「はねやすめ」に注意)
H205D150(H252D↑252)アーマーガアアーマーガア
50.7%~61.4%(確定2発、Sで上を取っているので「はねやすめ」連打を強要)
●被ダメ アーマーガアアーマーガア→ジバコイルジバコイル
B172(B↑252)「ボディプレス」
36.0%~43.4%(確定3発)
- カビゴンカビゴン
○与ダメ ジバコイルジバコイル→カビゴンカビゴン
B+2「ボディプレス」
H267B128(H252B↑252)カビゴンカビゴン
64.4%~76.4%(確定2発、混乱実込みでも超高乱2発)
●被ダメ カビゴンカビゴン→ジバコイルジバコイル
A178(A↑252)「DDラリアット」
19.8%~23.6%(みがわりが1発耐える)
A178(A↑252)「ヒートスタンㇷ゚」
27.3%~33.5%(たべのこし込み確定4発)
A178(A↑252)「アームハンマー」
45.9%~54.6%(たべのこし込み低乱数2発)
A178(A↑252)「じしん」
91.9%~109.3%(中乱数1発)
- バンギラスバンギラス
○与ダメ ジバコイルジバコイル→バンギラスバンギラス
B+2「ボディプレス」
H207B178(H252B↑252)バンギラスバンギラス
119.8%~142.9%(確定1発)
●被ダメ バンギラスバンギラス→ジバコイルジバコイル
A204(A↑252)「かみくだく」
31.6%~37.8%(乱数3発)
A204(A↑252)「じしん」
106.8%~126.7%(確定1発、B+2でも確定2発)
- クレベースクレベース
○与ダメ ジバコイルジバコイル→クレベースクレベース
「10まんボルト」
H202D66(H252)クレベースクレベース
58.4%~68.8%(確定2発、「じこさいせい」回復で間に合わない)
●被ダメ クレベースクレベース→ジバコイルジバコイル
B259(B↑252)「ボディプレス」
53.4%~63.3%(確定2発)
※「ミラーコート」に注意
- 「こおりのりんぷん」モスノウモスノウ
○与ダメ ジバコイルジバコイル→モスノウモスノウ
B+2「ボディプレス」
H177B80(H252)モスノウモスノウ
77.9%~92.0%(確定2発)
●被ダメ モスノウモスノウ→ジバコイルジバコイル
C194(C↑252)C+1「れいとうビーム」
40.3%~47.8%(確定3発)
- ヤドラン(原種)ヤドラン
○与ダメ ジバコイルジバコイル→ヤドラン(原種)ヤドラン
「10まんボルト」
H202D100(H252)ヤドラン(原種)ヤドラン
77.2%~92.0%(確定2発、「なまける」回復が間に合わない)
●被ダメ ヤドラン(原種)ヤドラン→ジバコイルジバコイル
C167(C↑252)「だいもんじ」
77.0%~90.6%(確定2発)
- ナットレイナットレイ
○与ダメ ジバコイルジバコイル→ナットレイナットレイ
B+2「ボディプレス」
H181B201(H252B↑252)ナットレイナットレイ
61.8%~72.9%(確定2発)
●被ダメ ナットレイナットレイ→ジバコイルジバコイル
B201(B↑252)「ボディプレス」
42.2%~49.6%(確定3発)
※「てっぺき」の積み合いになると負けます
さいごに
ジバコイルジバコイルが受けル対策になることが伝わったかと思います。特に「ボディプレス」の習得が大きく、これまでのようにただ特殊受けを後出しすればよいわけではなくなりました。ただし、受けルに採用されやすい「てんねん」ヌオーヌオーやアタッカードラパルトドラパルトには有効打を持たないので注意が必要です。本育成論では、対受けル性能にのみ着目して議論しましたが、例えば後出しドリュウズドリュウズの「じしん」をB+2で耐えて、「ボディプレス」で反撃(確定1発)するような動きも可能です。この様に常時運用も可能だと思うので、それについては使用してくださった皆様によって開拓が進むことを心から期待します。
以上、長文になりましたが読んで下さりありがとうございます。
コメント欄での指摘や活発な議論を歓迎します。どうぞよろしくお願いします。