はじめに
こんにちは。初めて投稿させていただきます。
マイナーポケモン使いのための、一つの助けになればいいなと思い、現在目下研究中のワタッコについての育成論を投稿させていただきます。ワタッコ
注意
- この育成論では、インターネット上などである程度認知されている種族値・個体値・努力値などについて、断りなく使用致します。ご不明な方は、各自での検索をお願いいたします。
- 各ステータスについて、以下の略称を使用致します。
H…HP
A…攻撃
B…防御
C…特攻
D…特防
S…素早さ
ワタッコについて
ワタッコワタッコは第二世代・金銀から登場した古参のポケモンであり、今作SVではパルデア各地でその姿を見ることができます。非常に愛くるしい姿をしており、いわゆるファンシー系の枠です。第四世代では高い素早さを生かした、アンコールからのやどみが戦術などで使用されました。第五世代でいたずらごころのエルフーンエルフーンに役目を奪われて以来、注目されることも少なくなったという印象です。
種族値が合計460とお世辞にも恵まれているとはいえず、特に攻撃能力に乏しいです。近年のインフレ気味・無駄の少ない新ポケモンたちに囲まれた環境では肩身が狭いです。ただ、シーズン1ルールでは高種族値のパラドックストドロクツキ・準伝説ディンルー・伝説ポケモンミライドンが軒並み禁止であり、もしワタッコがSVで活躍できる可能性があるとすれば、今をおいて他ありません。
さあ、今すぐワタッコを使いましょう!
採用理由と役割
マスカーニャマスカーニャピンポイント受けに特化します。
それ以外の性能は捨てます。理由は次に説明いたします。
この型に至る経緯
私はここまでに4つのワタッコの型を考察し、うち3つは実際に育成し、ランクマッチで使用しました。
それらの型の概要と、なぜ失敗したのかについて説明します。
- 高速ねむりごな型
高めの素早さからねむりごなを撒く型。運ゲではあるものの、高速+催眠はポケモンにおいて強いです。しかし、現在キノガッサモロバレルの台頭によりきのこのほうし対策が完備されており、サーフゴーキョジオーンそして草タイプや草テラスタルによる粉受けが盛んで、その対策の影響をもろに受けてしまいます。結局、高速ねむりごな型は無理だろうと判断しました。
- アンコやどみが型
地面・くさ技読みで後出しした後、アンコール→みがわり→やどりぎのタネでハメる、クラシックなスタイル。実際に育成し使用しましたが、非常に使いづらいです。まず、以前までほど環境で地面技、とくにじしんを見ないこと。次に、草タイプが多いので、やどりぎのタネが入りにくいこと。スカーフロトムに上を取られるので、スカーフトリックが入ると機能停止してしまうこと。極めつけに、すりぬけを持ったドラパルトやちょうはつ持ちも多く、ある程度ロックが決まったように見えても、そこから簡単に返されてしまうこと。これらの理由から、この型では戦えないと判断しました。
- スカーフすりかえ型
ロトムを真似た型。スカーフ、とんぼがえり、ちからをすいとる、すりかえ、アンコール。相手のスカーフトリックに怯えなくて済むし、耐久型は機能停止にできます。すりぬけも、相手の身代わりの上からスカーフを押し付けられると考えると、しっぽきりからの積みエースなどの動きも抑制できる。実際、そこそこの回数をこの構成でランクマッチに潜りました。耐久型つぶしに有効な反面、サーフゴーには無力。また、早めにスカーフを処理できないような攻撃重偏の選出に当たった場合、後半戦で戦力外となり、お荷物に。それ以上に、すり替え後を意識してすばやさにある程度努力値を裂いた関係上、本来タイプ有利のはずのマスカーニャにさえ、ごり押しであっけなく散ってしまいます。
これらの型を経て、今回紹介する型に至りました。
なぜ対マスカーニャマスカーニャなのか
現状、環境に多数のマスカーニャが存在しています。素早く、補助無効のちょうはつ、必中・確定クリティカルのトリックフラワーなど厄介な攻撃が多数存在し、また環境に多いドラゴンを潰すためにフェアリーテラスタルをするなど、考えていた以上に厄介な相手でした。
ワタッコは合計種族値が足りておらず、特に攻撃面が不遇です。そのため不用意に繰り出しても、相手にプレッシャーをかけることは難しいです。そこで今回は、現在流行しているマスカーニャのみに特化することで最低限の需要を満たし、また完全に役割を遂行することによって他のメンバーがマスカーニャを意識しなくて済むこと、そしてプラスアルファとしてのバトンを添えることで、他のマスカーニャ受けの劣化にならないように気を付けました。
タイプ:くさ・ひこうが優秀
マスカーニャのメインウェポンであるトリックフラワーを1/4にでき、その他マスカーニャの武装であるあく・かくとう・フェアリーに弱点を突かれない優秀なタイプです。これにより、強引な突破を防ぎます。一応、がんせきふうじのないキノガッサキノガッサにも高い耐性があります。
同タイプに、奇しくも合計種族値が同じ460族であるトロピウストロピウスがいます。あちらはより耐久があり特性・しゅうかくが優秀ではありますが、豊富な補助わざを生かし器用に立ち回るという点ではワタッコに分があります。
そのほかは、幻のポケモンのシェイミ(ランド)や最終進化でないフクスロー程度ですので、意外と貴重な複合タイプです。
持ち物:ゴツゴツメットまたは「なし」について
マスカーニャがワタッコに対してとる選択肢として、現状最も多いのは、はたきおとすととんぼがえりです。ゴツゴツメットはとんぼがえりによる交代に少しでも負荷をかけるために採用します。はたきおとすに対しても、1度だけダメージを与えることができます。この1/6のダメージが、この型にとって極めて重要です。
また、アクロバットを採用する場合には、もちものなしも選択肢に上がります。アクロバットを採用すると、対マスカーニャの安定性を落とす代わりに、キノガッサに対する打点を得ることができます。
特性はすりぬけ推奨。
マスカーニャがみがわりを採用していた場合、一方的にやられることが無いように隠れ特性のすりぬけ一択です。ワタッコの通常特性二つはどちらも晴れの時にしか効果がなく、その意味でもすりぬけがいいと思います。
テラスタルはしない
このポケモンでテラスタルはしません。
ですので、テラスタイプの厳選・書き換えの必要はありません。
性格・努力値と調整
ずぶとい(A↓B↑) H252 B220 S36
実数値 H182 A67 B129 C75 D115 S135 (6V必須)
Sは無振りでも、くさわけ1回で最速マスカーニャを抜くことができます。今回は、すぐ上の最速70族キノガッサ抜き調整にしました。
攻撃も特攻も無振りですが、これでH4振りマスカーニャをゴツメ+くさわけ+かふんだんご(4倍弱点)で確殺できます。ここで攻撃を使うので、6V必須です。Aにもちゃんと王冠をつかいましょう。(^^;
技構成
くさわけ(確定技)
この構成のコンセプト技です。この技の採用によってすばやさに割く努力値を最小限に抑えることができ、耐久力の獲得につながりました。また、タスキを潰すことにもつながり、同じ理由で対キノガッサ仕様の場合でも役に立ちます。ちょうはつ中でも撃てるのも◎。
ちからをすいとる(こうごうせい)
回復と攻撃ダウンを同時にこなす壊れ技。マスカーニャのみならず、積みのないほとんどの打撃型に有効。マスカーニャの悪技による攻撃をシャットアウトしてくれます。トリックフラワーは確定急所なので無意味ですが、ワタッコの素の耐性が草1/4なので問題ありません。
一応、こうごうせいとの選択であり、こちらは長時間対面になって、すいとる攻撃力がない、といった状況にはならなくなります。しかし基本的にはちからをすいとるの方が優秀です。
かふんだんご(アクロバット)
マスカーニャへの最大打点。ゴツゴツメット込みならH4振りマスカーニャを確1ですが、そうでなければ耐えられます。変幻自在なら一撃は不可。とはいえ、こちらはマスカーニャに対して何度でも後出し可能なので、問題はないです。打点があることそのものが大切です。
この枠をアクロバットに変えればキノガッサへの打点にもなりうる反面、マスカーニャへの圧は下がり、特に変幻自在であくタイプになった場合にダメージが激減するので、役割的には怪しくなります。この枠をアクロバットにし、選択枠をとんぼがえりにすれば一応、キノガッサもマスカーニャも見れますが、使いにくいと思います。
この枠(かふんだんごの代わり)としてとんぼがえりを採用する場合、相手が交代しなかった場合のことを常に想定する必要があり、パーティ全体がトリックフラワーの危険にさらされます。推奨しません。とんぼがえりの採用は、次の技枠で解説します。
バトンタッチ(選択技)
マスカーニャ受けを「ただ流すだけ」にしないために必要な技です。ちょうはつを除く全局面に対応しており、とくに眼鏡・はちまきのエースにつなげれば、不足しがちな速度が補えます。マスカーニャを抜くために上げた素早さを次のポケモンに流用できるので、構成に無駄がないです。
バトンタッチとの選択技
ねむりごな、しびれごな、おきみやげ、リフレクター、ひかりのかべ、やどりぎのたね、わたほうし、あまえる、どろぼう、おいかぜ、なやみのたね、とんぼがえり、すりかえ
バトンタッチの枠は、相手の後続に負荷をかけたり、味方の後続が動きやすくするための技なら置換できます。どの局面でも使っていけるのはバトンタッチですが、それ以外の補助技はどれも一長一短。安全なのは壁系、相手に無効系がいなければ粉系。相手にはたきおとされる前提ならどろぼうやすりかえも面白いです。とんぼがえりは、ミミッキュミミッキュのばけのかわをはがすのに使えます。おきみやげも有効ですが、マスカーニャが生きている限り何度でも対面したいため、今回の型とはマッチしないです。しかし後続が安全に積めればそのポケモンでマスカーニャごと薙ぎ払えばいいわけで、パーティ構築によっては候補になります。
強力だが採用しづらい技
アンコール、コットンガード、つるぎのまい、みがわり、なげつける
今回の型はマスカーニャを引かせる、または倒しきることを前提としています。なのでアンコールは使いにくく、身代わりを張るタイミングも理由も特にないです。一応アンコールに関しては、相手が積みエースに交換した後、さらに1ターン待ってアンコールする、ということはできますが、かなりリスキーですし、カイリューカイリューミミッキュミミッキュハッサムハッサムのような先制技持ちに対応できません。コットンガード・つるぎのまいをバトンするには枠が足りないのが惜しく、その枠を裂く場合は別の型となります。なげつけるは粉や変化技無効の相手にまひをいれる手段ではありますが、そもそもマスカーニャははたきおとすを採用していることが多く、不安定です。
運用方法・注意点
マスカーニャに対して出します。マスカーニャは初手から来ることが多く一点読みでもいいですが、後投げも可能です。
初手はくさわけ選択。これによりマスカーニャの速度を抜きます。
相手がとんぼがえりなら、次のターンはこの速度上昇をエース(サザンドラサザンドラなど、Sが1段階上がる恩恵が大きい後退先がいいと思います)にバトンしてあげましょう。
相手が居座る場合、ちからをすいとるを入れます。こちらが先手になっているので、ちょうはつで無効化されません。またふいうちは、こちらが攻撃技でないので失敗です。
相手がまだ居座る場合、かふんだんごを撃ちます。相手のタイプが変わっていない場合、H4振りならゴツゴツメットとくさわけ込みでちょうど倒しきれます。変幻自在で単タイプになっている場合でも、ワタッコはマスカーニャに何度でも後出しできるので、サイクルの中でプレッシャーをかければいいです。
相手がテラスタルでタイプを変えた場合(フェアリー等)さすがに火力不足です。その場合は、むしろワタッコに対してテラスタルを切らせたという部分を評価しましょう。フェアリー技でワタッコが落ちることはありません。
注意すべきなのは、マスカーニャの挑発と、交代先の積みエースです。
マスカーニャに挑発される場合を考えます。
後出しは草技か悪技を想定しており、さすがにこのタイミングでの挑発は厳しいです。一応、対マスカーニャ打点であるくさわけ+かふんだんごは打てるので、最低限のプレッシャーはかけられます。
初手、くさわけに対して挑発された場合、次のマスカーニャのとんぼがえりよりも、こちらのかふんだんごが早く、ダメージは入れられます。ちょうはつがあくタイプなので、相手がへんげんじざいの場合、かふんだんごのダメージは相手のHPの半分手前程度になります。
くさわけの時点ではたきおとす等あく技やトリックフラワーだった場合、次のターンに一度ちからをすいとるで回復することができます。これは前述の通りです。
これ以降、マスカーニャ退場までの間にちょうはつを撃たれた場合、基本的にマスカーニャには大きな負担をかけることができており、一見成功に見えます。
しかし実際にはワタッコに火力がありませんので、交代先に簡単に積み技を許してしまいます。
こちらがワタッコを出しているとき、相手はそれだけで積みエースが出しやすいです。悲しい。
これが、技の4つ目に後続への負荷を意識した技を採用しなければならない理由です。
この点だけはワタッコと付き合う以上、避けては通れません。
特に剣舞ミミッキュやカイリューハッサムウルガモスなどとの相性は最悪に近いです。
この点はパーティ単位でカバーするしかありません。
幸い、SVには積みアタッカーに強い強力な特性:てんねん持ちが多数存在しています。
中でもヘイラッシャヘイラッシャは草技に、ラウドボーンラウドボーンは悪技にそれぞれ弱いため、これらの受けポケからの引き先として、またワタッコからのつなげ先として、相互に補完できていると思います。
与ダメージ計算
ゴツゴツメット + くさわけ + かふんだんご
H4マスカーニャ(くさ・あく)……100.0〜117.1%
H4マスカーニャ(へんげんじざい:あく)……69.0〜80.2%
H4マスカーニャ(へんげんじざい:くさ)……61.8〜71.0% この場合、次のかふんだんごで確定(100.0〜117.1%)
H4マスカーニャ(フェアリーテラスタル)……40.1〜45.4%
とんぼがえり
H4マスカーニャ(くさ・あく)……52.7〜63.2%
ゴツゴツメット + くさわけ + アクロバット(威力110、わんぱく。はたきおとす想定)
H4マスカーニャ(くさ・あく)……92.8〜109.2%
アクロバット(威力110、わんぱく)
H252キノガッサ……115.0〜136.6%
また、くさわけ → アクロバットで、がんせきふうじを耐えつつ速度逆転を防ぎ
H252、B無補正164振りまで確定なので、対面からなら調整キノガッサは大体落とせます。
被ダメージ計算
A252↑マスカーニャ
トリックフラワー(急所) 11.5〜13.2%
つじぎり、ふいうち 30.3〜36.3%
つじぎり(急所) 46.2〜54.4%
2連急所でも、約50%の確率で耐えます。
はたきおとす(アイテムあり) 41.8〜49.5%
はたきおとす(アイテムなし) 28.0〜33.5%
じゃれつく(タイプ一致) 38.5〜46.2%
とんぼがえり (タイプ一致)30.3〜36.3%
A252キノガッサ(テクニシャン)
タネマシンガン(5回) 19.2〜24.7%
がんせきふうじ 52.8〜62.7%
マッハパンチ 13.2〜16.0%
おわりに
ワタッコワタッコは補助技が豊富で非常に器用なポケモンですが、近年は器用さとパワーを兼ね備えたポケモンも多く、実際にはワタッコにとって非常に厳しい環境です。しかし、マスカーニャの流行っている今だからこそ、そのマスカーニャに的を絞ることで、足掛かりを得ました。現状のルールのうちに、一匹でも多くのマイナーポケモンが活躍できることを祈っています。
最後までご観覧頂き、ありがとうございました。すこしでもワタッコに希望を見て頂けたら幸いです。
オワタッコなんて言わせないもん!ワタッコ