初めて育成論の投稿をいたします、アルリアと申します。
本育成論では、タイトルにも記載がございます通り、テラスかつ命の珠を持たせたカイリューカイリューについて考察をしてまいります。
マルチスケイルという特性を有していることからいのちのたまはミスマッチであって絶対に避けるべき持ち物である、というのが一般的な見解であろうとは感じております。
しかし、レギュレーションHという環境下であることとテラスの活用という2点を踏まえると、現実的な可能性の中で命の珠カイリューの運用が可能なのではないかと感じ、投稿に至りました。
ロマンの毛色が強い型ではありますが、ランクマッチなどでも使用に耐えうるような型として、ご提案させていただきます。
コンセプトと役割
対面性能重視のポケモンとなります。
レギュレーションHにおける使用率上位にいるポケモンを高い確実性をもって倒し、そして副次的に後続のポケモンにも負荷をかけていくことが主たる役割となります。
※サポートなどもあれば全抜きも狙える可能性はより高まりますが、今回はあくまでも単体性能のみに着目しております。
また、役割が明確で運用も単純なことから、初心者の方や対戦復帰後の方にもおすすめであると感じています。
持ち物
いのちのたま
本育成論においては持ち物はこちらで確定となります。
詳細は与ダメージ計算の項でご説明いたしますが、端的に言うと確定1発の範囲が広がるため、本アイテムの採用に至りました。
特性
マルチスケイル
こちらも確定です。
いのちのたまを所持しているとはいえ、あえてせいしんりょくを選択するメリットは本環境においてほとんどないと判断しております。
性格・努力値と調整
- 陽気 H4 A252 S252
AS252振り、HP実数値奇数調整のためのH4振りとなります。
現環境ではS種族値80前後のポケモンが多く、それらの調整は多岐にわたっていることや、ポケモンSVランクマッチにおける環境の流動性も非常に高いことなど、そうした対戦環境要因の影響を受けにくく継続的にパーティに組み込みやすい最速での育成を行っております。
仮想敵やパーティレベルにおいて対処が困難なポケモンに合わせた調整なども考えられるため、あくまでも本育成論のベース(たたき台)としてご参照ください。
テラスタル
対面特化のため、「目の前の1体をとにかく倒すこと」が役割として強く求められます。
その際、対面している相手に応じて臨機応変に技を選択することができ、その初撃が強化されているというのは技範囲が広いカイリューにとっては非常に魅力的な要素となります。
その他の通常のテラスタルを考察すると、たとえば、火力を追求しテラスを採用するとなると、汎用性はがた落ちすることは明らかだと思います。フェアリータイプが相手のパーティに存在するだけで、選出をためらってしまう可能性まで想像されます。
また、守りを意識し鋼テラスなどを採用すれば安定性は向上しますが、物理耐久が高く地面技も有しているガチグマ(アカツキ)ガチグマ(アカツキ)なども存在していることから、起点なども作らず真っ向から戦うとなると、不確定な要素も多くなります。
上記の懸念点を解消すべく、汎用性をある程度維持しつつ、かつ単体で完結できるような(分かりやすい)運用を可能にするために今回はの採用に至りました。
技構成
本育成論では、下記のものを確定技として指定いたします。
- げきりん
メインウエポンとして採用しております。条件が整えば、ガチグマ(アカツキ)ガチグマ(アカツキ)など環境上位の物理耐久が高いポケモンであっても確実に仕留められるようになるため、採用に至りました。
- じしん
上記の逆鱗の補完として採用しました。高火力で安定して撃ちやすい技でもあるため、対戦においては逆鱗と地震のいずれかを選択する場面が多くなることが想定されます。
- しんそく
優先度+2の威力80、カイリューのアイデンティティともいえる言わずもがな優秀な技です。また、今回はステラテラスを採用していることから、テラスタル後であれば神速も初撃はダメージが増加することも見逃せないポイントになります。
- りゅうのまい
舞うことによって倒すことができるポケモンが圧倒的に増えるため、採用しております。
また、上記以外にも選択肢として挙げられ、考察をおこなった技についても下記に列挙いたします。
・テラバースト
テラスタル後であれば高威力で安定した技となり、テラスタルしたポケモンに対して抜群がとれることから、相手のテラスタル判断に左右されず選択できるという点は非常に魅力的です。
しかし、テラスタル前であれば特殊技扱いで使えたものではなく、そもそも地震で事足りる場面が多いため、本育成論では不採用としました。
本環境において/テラスなどが圧倒的に多くなるのであれば、このわざの搭載必要性について検討する余地が生まれると考えています。
・けたぐり
ガチグマ(アカツキ)ガチグマ(アカツキ)やブリジュラスブリジュラス、ドドゲザンドドゲザンなど、特に現環境においては刺さる相手が多く、一考の余地があります。
しかし、後述しますがガチグマ(アカツキ)ガチグマ(アカツキ)やブリジュラスブリジュラスに対しては逆鱗で必要十分であり、その他のポケモンに対しては地震が抜群で入ることから、優先度はやや低いと思われます。
また、環境に多いサーフゴーサーフゴーに対して無力化してしまう可能性があるのもデメリットとなります。
・アンコール
優秀な技ですが、補助技にアンコールを上手く合わせて攻撃しても命の珠の効果によりマルチスケイルが剥がれてしまい、アンコールと竜の舞を同時採用するなら今度は攻撃技が少なくテラスタルの恩恵を受けにくくなるため、今回は除外しました。
立ち回り例
単純明快です。基本は竜舞を狙いつつ、それでもダメージが足りなさそうであればテラスタルを使用する、というのが基本運用となります。
想定される立ち回りを下記に挙げます。
- 初手もしくは死に出しし、マルチスケイルを温存した状態で対面する。
- 舞えるなら舞う(できないなら次へ)。
- 相手の後続などもある程度考慮しつつ、必要ならばテラスタルも切り、対面している相手ポケモンを倒す。
- 後続に対しても(テラス神速などで)ダメージを与えて退場。
この運用のやさしさが、本育成論作成のきっかけにもなっています。
与ダメージ計算
解説を先送りにしていた命の珠に関して、ここではあらためて補足をいたします。
命の珠を採用した理由は、これもまた単純で「確定1発となる対象ポケモンが増加する」ことにあります。この対象ポケモンにはトップメタ級のポケモンも多く含まれます。
例として、ガチグマ(アカツキ)ガチグマ(アカツキ)をピックアップし、ダメージ計算を行います。
vsガチグマ(アカツキ)ガチグマ(アカツキ)…控えめ H252 B4と仮定
カイリューカイリュー 陽気A252テラスタル A+1(竜舞込み)で逆鱗を撃つ場合、
命の珠を所持していない場合
81.8〜96.3%(確定2発)
命の珠を所持している場合
106.3〜125.4%(確定1発)
つまり、初手でガチグマ(アカツキ)ガチグマ(アカツキ)に対面した場合は、「竜舞→テラスタル切り逆鱗」が非常に安定した選択となります。
これは命の珠を持たせるかつステラテラスであるからこそ可能な立ち回りであり、この点において本育成論は唯一性を有しています。
また、今回は仮想敵をガチグマ(アカツキ)ガチグマ(アカツキ)に定めましたが、たとえばブリジュラスブリジュラスに対して同様のシチュエーションが訪れた場合など、逆鱗よりも地震を優先したい場面であっても、テラスタルの威力補正が乗るため臨機応変に行動することができます。与ダメ計算においても100%をわずかに超える数値が多いため、命の珠による補正が効果的であることの証左となるかと思います。
さて、命の珠の有用性はある程度論じられたかと思います。
ここからは与ダメ計算に移ってまいります。
本育成論ではレギュレーションH環境下でのトップメタを中心にダメージ計算を行います。
使用率上位7位をキープしているポケモンたちと、そのほか本育成論で対処可能なポケモンについて与ダメ計算を実施します。
※2024/9/7 16:00時点での使用率ランキングに準拠しています。
与ダメ計算対象ポケモン
カイリューサーフゴーガチグマ(アカツキ)ブリジュラスアシレーヌウルガモスマスカーニャサザンドラコノヨザルドドゲザンセグレイブ
上記ポケモンに対し、適しているないしは想定される技選択を行った場合について、下記に列挙いたします。
げきりん | カイリューH4 マルチスケイル込み | 85.6%〜101.1% 乱数1発(6.25) |
サーフゴーH4 | 87.7%〜103.6% 乱数1発(25.0%) | |
ガチグマ(アカツキ)H252 | 106.3%〜125.4% 確定1発 | |
ブリジュラスH252 | 112.1%〜131.9% 確定1発 | |
サザンドラH4 ※テラス | 88.0%〜104.1% 乱数1発(31.25%) | |
コノヨザルH252 | 151.1%〜178.3% 確定1発 | |
セグレイブH252 ※等倍テラス | 132.4%〜155.8% 確定1発 (無しの場合99.0〜116.6%) | |
じしん | サーフゴーH4 | 173.6%〜207.3% 確定1発 (竜舞+無しの場合98.7〜116.5%) |
ブリジュラスH252 | 110.6%〜131.9% 確定1発 (無しの場合92.3〜109.6%) | |
ウルガモスH252 | 101.0%〜118.2% 確定1発 | |
アシレーヌH252 | 93.0%〜109.6% 乱数1発(62.5%) | |
ドドゲザンH252 | 113.0%〜134.2% 確定1発 | |
しんそく | アシレーヌH252 | 74.8%〜88.2% 確定2発 |
ウルガモスH252 | 96.8%〜113.7% 確定1発 | |
マスカーニャH252 | 96.0%〜113.8% 乱数1発(75.0%) |
現環境トップメタレベルのポケモンに対しても比較的優位に立ち回ることができるようになると思います。
しかし、上記の中でも対面は避けるべき苦手な存在もいます(例:確定1発が安定してとれないアシレーヌ、テラスタルを切られることが予想されるカイリューなど)。そうした相手は無理に対処する必要はないので、後続などに任せましょう。
また、上記のダメージ感を把握していれば、与ダメから相手の調整を推察することも可能となるので、把握いただくことを推奨いたします。
被ダメージ計算
命の珠を有している都合上、攻撃技を撃つとマルチスケイルが無効となってしまうため、その点だけご留意ください。
ここではマルチスケイルが無効化した場合を想定し、被ダメを掲載いたします。
※マルチスケイルを考慮する場合はダメージを半減したうえでご覧ください。
サーフゴー C特化 | |
ゴールドラッシュ | 68.8%〜81.4% 確定2発 |
シャドーボール | 45.5%〜54.4% 乱数2発(53.51%) |
ガチグマ(アカツキ) C特化 | |
ブラッドムーン | 80.8%〜95.8% 確定2発 |
ムーンフォース | 74.2%〜87.4% 確定2発 |
ブリジュラス C特化 | |
りゅうせいぐん | 141.3%〜168.8% 確定1発 |
ラスターカノン | 43.7%〜52.0% 乱数2発(10.15%) |
アシレーヌ C特化 | |
ムーンフォース | 104.1%〜123.3% 確定1発 |
ウルガモス C特化 | |
むしのさざめき | 25.7%〜30.5% 確定4発 |
テラバースト | 93.4%〜111.3% 乱数1発(62.5%) |
マスカーニャ 陽気A252 変幻自在 | |
じゃれつく | 86.2%〜101.7% 乱数1発(12.5%) |
トリプルアクセル ※2回目成功まで | 117.3%〜143.7% 確定1発(14.84%) |
サザンドラ C特化 | |
りゅうせいぐん | 141.3%〜168.8% 確定1発 |
あくのはどう | 43.7%〜52.0% 乱数2発(10.15%) |
ドドゲザン A特化 ※特性:総大将は非考慮 | |
ふいうち | 41.9%〜50.2% 乱数2発(0.39%) |
アイアンヘッド | 48.5%〜57.4% 乱数2発(91.01%) |
セグレイブ A特化 | |
きょけんとつげき | 152.0%〜180.8% 確定1発 |
スケイルショット ※いかさまダイス所有 | 129.3%〜197.6% 確定1発 |
ここまで、ざっと被ダメを並べてみました。
テラスタルによるタイプ変更不可はデメリットとして存在することは確かで、基本的にアタッカーとして運用するカイリューカイリューが苦手な相手に対しては、マルチスケイルが残っていない状態でなければ苦しい展開となります。
しかし、それはこの型に限らずカイリューカイリューというポケモン自体が有するウィークポイントだと考えています。マルチスケイルが剥がされた状態で苦手な相手と対面しないこと、ステルスロック等に注意するということを徹底すれば、一般的なカイリューカイリュー運用と同じく、活路を見いだすことができます。
苦手なポケモン
レギュレーションH上に限定し、苦手なポケモンや戦術について考察します。
- 物理受け
アーマーガアアーマーガアやエアームドエアームドなどの浮いているタイプや、ヘイラッシャヘイラッシャなどのてんねん持ち物理受けは歯が立ちません。
ただ、ドヒドイデドヒドイデ程度であればA+1テラスタル逆鱗or地震で乱数1発(56.25%)のダメージは与えられます。本育成論のカイリューカイリューを等倍で受けきるには、物理耐久に関して特に秀でた能力を有していなければならないため、「物理受けすなわち不利」と決まりきっているわけではありません。
- ステルスロック・すなあらし持ち
相手のパーティがフィールド自体に仕掛ける定数ダメージリソースを有している場合には、無理に選出する必要はありません。
※A特化で本育成論の調整を施したカイリューカイリューであればB特化カバルドンカバルドンを逆鱗で乱数1発(37.5%)までは到達しますが、あえてカイリューカイリューで相手取るくらいなら、挑発持ちに任せるのが無難です。
しかし、ステルスロックでの起点づくりを担うことも多いブリジュラスブリジュラスが初手に出てくることが読めるのであれば、本育成論のカイリューカイリューの役割対象となりますので、プレイングで逆手に取ることは可能です。
- きあいのタスキ・がんじょう持ち
ストッパーとなってしまうことに加え、こちらは命の珠によるダメージも入ってしまうためマルチスケイルが無効になった状態で被弾する可能性まで発生します。自分より足の遅いきあいのタスキorがんじょう持ちは最も避けるべき相手です。
こればかりは読み切ることができません。各ポケモンのテラスタルのタイプはマジョリティが存在しているため、そこから予測を立てていきましょう。
今後、レギュレーションH環境であまりにもカイリューカイリューにとって不利なテラスタルが増加するのであれば、テラバーストの採用を検討する必要があります。
相性の良い味方・構築例
与ダメの項にある通り、確定1発になるポケモンも多いですが、中乱数1発程度のポケモンもそれなりに存在しております。また、きあいのタスキ&がんじょう持ちは天敵となるため、そうした懸念を解消するためにこちらもステルスロックを撒くことは非常に有効です。また、相手がステルスロックを撒くことはできる限り避けたいということも勘案すると、ちょうはつ持ちのポケモンも欲しくなります。
こちらがステルスロックを撒くことができ、ちょうはつを持っている、その条件を満たす中だと、コノヨザルコノヨザルは本育成論のカイリューカイリューと相性がよいと言って、差支えないのではないでしょうか。
おわりに
本育成論は以上となります。末筆ではございますが、ここまでご覧いただきありがとうございました。
現在、カイリューのテラスタイプは46.0%、24.9%、14.7%が上位3タイプであるのに対し、0.1%と非常にマイナーなテラスタルとなります。
このマイナーなテラスタルとカイリューカイリューにおいて禁忌ともいえる命の珠(当然こちらはランキング圏外)を組み合わせることによって、レギュレーションHにおいてはトップメタ級ポケモンの多くを確定1発〜中乱数1発で仕留められる、そんなミラクルが発生していることが、本育成論で伝えたかったことの主旨となります。このテラスタルとアイテムの関係からセンセーショナルな性質を持つ育成論ではありますが、いわゆる「ただのネタ」だと判断されないよう、真摯に作成にあたりました。
与ダメ&被ダメ計算を参照しつつ調整を加えることができれば、より本育成論のカイリューカイリューの活躍の場は広がっていくと感じてはいますが、そうした調整は私よりも優秀なトレーナーの方々に委ねようと思っています。実用的かつロマンもある、そして思わず笑ってしまうような圧倒的な火力をぜひご体感ください。
そして、こうした体験を通じ、このゲームの面白さがより多くの方々に届くことを切に願っております。
備考欄
追記事項などがあればこの項に更新歴など記載いたします。