前置き
shiokonと申します。
前回に引き続きテラレイドで運用するアタッカーを構成別に紹介していこうと思います。紹介数は3体としており、
【その1】チヲハウハネチヲハウハネ
【その2】サーフゴーサーフゴー
【その3】スナノケガワスナノケガワ
の順に進めていきます。今回は特殊「じめん」アタッカー型のスナノケガワスナノケガワの育成論となります。
この型はレイドバトルにおいて主流とする「ワンパン戦法」には直接対応していません。また文章内において一部用語及び略語を使用している箇所があります、ご注意ください。
※重要※
本稿は前回のサーフゴーサーフゴー育成論の内容を抑えていないと話についていけない可能性があります。その場合は下記育成論を参照してください。(最悪「【その2】について」の項だけ覚えて頂ければ大丈夫です。)
◎育成論SV/1912
なおテンプレに入るまでが長くなってしまっているため、結果だけ知りたいという方は目次から「コンセプトと役割」まで飛ばして頂いても大丈夫です。
【その3】について
- 「かいがらのすず」のみにおける影響
前回は【その1】の「吸収効果」を持つ攻撃技を備えた構成を再現するために「かいがらのすず」+「自己回復技」の構成を【その2】として紹介しましたが、自己回復技というのは結局のところ使えるポケモンは限られています。
そのような場合でも回復手段として機能するのが道具「かいがらのすず」の一番の強さではあります。しかしながら回復量が与えるダメージの1/8と低いため、より「受け」を重視する必要性があることも避けて通れません。
これらを踏まえ、実質的な回復手段がおうえん「いやしのエール」か道具「かいがらのすず」に限られる場合について考えていきます。
普段の回復手段を「かいがらのすず」に絞った場合の影響は何かといますと、
・「クリアチャーム」「とつげきチョッキ」など、ほかの有用な道具が使えない。
・「自己回復技」が入らないため、実質技が一枠空く。
と、以上の2点が挙がります。
このうち他の道具が使用できないことに関しては前回と同じであるため割愛するとして、注目すべきはその次の”技が一枠空く”ことです。
空いた枠に何を入れるべきであるかという話ですが、主力の攻撃技、自身の「こうげき」「とくこう」を上げる積み技で既に2つの役割を持っており、同じ目的の技を追加で入れたところで明確な差別化でもなければ片方の技が腐ってしまうため、できるだけ「別の役割」を持った技を採用することとなります。
◎前回までの基本技構成
(1)自身のアタッカーとしての「主力技」
(2)自身の火力を調節できる「積み技」
(3)相手の「こうげき」「とくこう」を下げられる技(できなければ(4)の追加枠とする)
(4)有事の際の「自己回復技」、または相手を行動阻害させる「状態異常付与技」、もしくはその他の「補助技」
構成から上記の踏まえると考えるべきは(3)と(4)となります。一見目的は被っていないように思われますが、自身と味方のポケモンの素の性能と、採用する技の効果、レイドの内容によっては平然と起こりえる事象です。
例えばアーマーガアアーマーガアやドドゲザンドドゲザンで技「ちょうはつ」を採用した際の話です。
相手が☆6のオトシドリオトシドリの時に両者を選出した際、
アーマーガアは特性「ミラーアーマー」で技「フェザーダンス」の効果を反射することができ、対しドドゲザンは特性「まけんき」による技「フェザーダンス」の影響で「こうげき」を±0の状態に戻すことができます。
変化技である「フェザーダンス」を両者は特性によってプラスに転じることができますが、「ちょうはつ」を使えばその機会は失われます。
また、これに限らず他の味方が技「しろいきり」を使用していた場合も同様であり、「ちょうはつ」使用時に特性「おうごんのからだ」を持つサーフゴーサーフゴーが味方にいる場合は変化技を無効化する諸特性の効果をも実質無効化してしまう弊害が発生します。
また一つ例として、スナノケガワスナノケガワに技「リフレクター」「ひかりのかべ」を採用した際の話です。
あるレイドにてスナノケガワが自身の耐久力上昇のため一番に「リフレクター/ひかりのかべ」使用したものの、同様に味方の一人がクエスパトラクエスパトラで「リフレクター/ひかりのかべ」を使おうしたところ、クエスパトラ側は既に壁が張られていたため技が失敗に終わり、味方は1ターン分行動を無駄にしてしまうということが起きます。
これは壁張り技を使用するサポート役の味方と鉢合わせた際にも同様のことが起こりえます。
最後にもう一つ、☆6カイリューカイリューレイドにて全員が技「フェザーダンス」を採用した特性「いかく」持ちのムクホークムクホークを選出した場合の話です。
バトル開始時では特性「いかく」によって攻撃は4段階まで下がっているため、カイリューへの技「フェザーダンス」の効果は1回分で済みますがこれを味方全員が最初の1ターンを「フェザーダンス」に費やしてしまったり、シールドを張られた際は誰も技によって攻撃を下げることができず結果としてジリ貧になってしまうこともありえます。
最後だけ話は極端ではありますが、補助技の採用は技構成の(1,2)以上に慎重に選ぶ必要があり、でなければ思わぬ落とし穴にハマってしまいます。
例に出てきたこれらの技を採用するな、使うなということではなく、要は技の使用に関する状況判断、役割を腐らせないための技採用を考える必要があるということです。
- (3,4)枠の技採用と工夫
前回にて”「回復手段が限られる」傾向になるほど「耐久面を重視する」ことが必要”であるとしました。
「自己回復技」を抜いた場合は常用できる回復手段が「かいがらのすず」のみとなってしまうため、今回は空いた(4)枠を耐久を重視することに充ててみます。
- 「耐久面を重視する」技について
(1)「あまえる」「かいでんぱ」系
・1ターンで相手の攻撃特攻を2段階下げられる即興技。
(2)「ひやみず」「バークアウト」系
・技の「追加効果」によって相手の攻撃特攻を下げる技。
(3)「リフレクター」「ひかりのかべ」系
・味方も対象とするダメージ軽減技。
(4)「てっぺき」「ドわすれ」系
・1ターンで自身の防御特防を2段階上げられる即興技。
(5)「ビルドアップ」「めいそう」系
・自身の攻撃特攻を積みつつ防御特防を上げられる技。
(6)「おたけび」「コスモパワー(じばそうさ)」系
・相手の攻撃と特攻を下げる、もしくは自身の防御と特防をそれぞれ1段階ずつ上げる技。
(7)「ほうでん」「ふんえん」系
・「まひ」「やけど」状態により行動阻害や攻撃半減を引き起こす技。
これらの技はいずれも受けるダメージを減らすことを主としていますが、実際の影響はそれぞれ違っています。
- 実際の影響について
(1)「あまえる」「かいでんぱ」系
・対象が相手であるため、味方に影響を及ぼす。
・変化技であるためシールド展開時は使えず、場合によっては腐る。
(2)「ひやみず」「バークアウト」系
・対象が相手であるため、味方に影響を及ぼす。
・攻撃技であるためテラスタルオーブのチャージ回数稼ぎに使える。
・追加効果であるためシールド展開時でも問題なく効果を発揮できる。
・減衰速度は(1,4)よりも劣る。
(3)「リフレクター」「ひかりのかべ」系
・状態変化であるため特殊行動「バフ解除」の影響を受けない。
・他の技と比べ比較的多くのポケモンが扱える。
・ダメージ軽減率に限界がある。
(4)「てっぺき」「ドわすれ」系
・良くも悪くも味方に影響を及ぼさない。
・軽減速度は(1)と同程度。
(5)「ビルドアップ」「めいそう」系
・「つるぎのまい」「わるだくみ」との棲み分けが可能。
・軽減速度は(2)と同程度。
(6)「おたけび」「コスモパワー(じばそうさ)」系
・一つの技で両方の分類に対応できる。
・減衰速度は(2)と同程度。
・扱えるポケモンが非常に少ない。(コスモパワーに至っては現状誰も使えない)
(7)「ほうでん」「ふんえん」系
・状態異常にできれば味方にも影響するため恩恵は強い。(成功するとはいってない)
・相手のタイプや特性によっては効果がない。
・扱えるポケモンは少なめ。
結局のところポケモンによって扱える技は限られているためどれが一番いいかというものはありませんが、使用の際に及ぼす影響を知っておくと味方含め戦況を有利に進めることができます。
敢えてテラレイドアタッカーという名目で絞るのであれば、チャージ回数稼ぎ、「こうげき」「とくこう」減衰、「かいがらのすず」回復を同時並行できる(2)「ひやみず」「バークアウト」系が運用の幅広さでは一番であると考えられます。
しかし物理特殊それぞれで技を用意するとなるとそれだけで技が2枠とも埋まってしまうため、より汎用性を考えるのであれば色々と工夫が必要となります。
一つは「タイプ」です。
「でんき」タイプであれば「まひ」、「ほのお」タイプであれば「やけど」、「はがね/どく」タイプであれば「どく」状態を防ぐことができ、また「じめん」タイプなら「でんき」無効、「ゴースト」タイプなら「ノーマル,かくとう」無効、「フェアリー」タイプなら「ドラゴン」無効となります。
これの主なメリットとは「状態異常対策」及び「攻撃技の絞り」を行うことができる点にあります。
「状態異常対策」の効果は☆6レイドにて特に顕著であり、「でんじは」による素早さ半減と行動阻害、「やけど」による攻撃半減、「キノコのほうし」による「ねむり」状態を捌くか捌けないかによって攻略の成否が大きく変わります。
また「攻撃技の絞り」とは、相手の出せる技を制限させることです。レイドボスの主力技となりやすい「げきりん」「インファイト」といった高火力技や追加効果が存在する「かみなり」「ヘドロばくだん」など、相手の有効打や運要素を排除することができます。
例1:「でんき」タイプのテツノカイナで「まひ」を無効化する。
例2:「ほのお」タイプのソウブレイズで「やけど」を無効化する。
例3:「くさ」タイプのラランテスで「キノコのほうし」を無効化する。
例4:「ゴースト/はがね」タイプのサーフゴーで「ノーマル,かくとう,どく」を無効化する。
例5:「フェアリー」タイプのニンフィアで「ドラゴン」を無効化する。
もう一つは「種族値の傾向」です。
元々防御特防にどちらか大きく優れたポケモンであれば補強がなくとも多少の融通が利き、なおかつ足りないもう片方の防御特防を補強できる手段があれば、耐久面に関しては要求性能を満たしつつ技を1枠分空けて済ますことができます。
例6:B種族値120のドドゲザンに技「バークアウト」を採用する。
⇒空いた枠で技「ちょうはつ」を採用する。
例7:D種族値150のヌメルゴンに技「ひやみず/とける」を採用する。
⇒残りの枠で技「いのちのしずく」を採用する。
もう少し細かく色々取り上げるべきですが、とりあえず以上の二つが主流の方法となります。耐久面を考えつつポケモンそれぞれが持つ良さを用いて足りない部分を補うことを心掛ければ「かいがらのすず」のみの場合でも十分に使用に耐えることができます。
既に粗方説明してしまいましたが、今回は【その2】構成で使えた「自己回復技」が使えない場合を想定し【その3】の
「かいがらのすず」の構成
について紹介していきたいと思います。
- 【その3】の構成について
「かいがらのすず」の構成ということで前回の【その2】とあまり変化がないように思えますが、「自己回復技」を使えるか使えないかで運用の難易度が大きく上昇します。
イベントレイドなど選出対象を絞っている場合はその限りではありませんが、基本として「かいがらのすず」構成は”防戦一方の状態になってしまった時には既にレイドを攻略できない”という認識をして頂ければと思います。
理由としては”常用できる回復手段が「かいがらのすず」のみしかない”ことです。
攻撃せず下積みすることにも限界があり、攻撃しなければ回復もままならないため、いわば戦わなければ生き残れないという状態となります。
そもそも素の状態で「攻撃技のダメージ量に対する「かいがらのすず」の回復量」が「相手の攻撃によるダメージ」を上回るケース自体少なく、他の補助技や積み技を使用するターンは攻撃できず「かいがらのすず」による回復が行えません。
ピンチだからといって何ターンも体力回復目的で「いやしのエール」を使用している時点で時既に遅く、戦況がジリ貧になるのはそれ以前に選出や構成などに問題があるといえます。
選出に問題がない場合、それなら「かいがらのすず」による回復量を増やすか、相手からの被ダメージ量を減らすかという話ですが、正直な話これに関しては時と場合によるといえます。
◎例(1)
「どく」テラスの☆6(Lv.90+BD128振り)の個体値ALL31、性格補正なしタイカイデンタイカイデンを相手にLv.100個体値ALL31性格ひかえめ努力値H252C252D4のスナノケガワスナノケガワを選出します。タイカイデンは最大打点の「さわぐ」、スナノケガワは「だいちのちから」で攻撃。
今回は「チャージビーム」によってC1段階上昇した場合と「ひかりのかべ」によって特殊ダメージを2/3にした場合の2パターンで考えます。
・「チャージビーム」の場合
タイカイデンC:221不一致等倍さわぐ(スナノケガワD実数値:207)
⇒75~63
スナノケガワC+1:562一致抜群だいちのちから(タイカイデンD実数値:169)
⇒756~642(鈴回復量:94~80)
スナノケガワの残りHP:374
・「ひかりのかべ」の場合
タイカイデンC:221不一致等倍さわぐ(壁込み)(スナノケガワD実数値:207)
⇒50~42
スナノケガワC:375一致抜群だいちのちから(タイカイデンD実数値:169)
⇒505~429(鈴回復量:63~53)
スナノケガワの残りHP:374
以上の通りどちらの場合でもスナノケガワのHPは特に変わりませんが、より多くダメージが通る分「チャージビーム」の方が有効であるといえます。
◎例(2)
「どく」テラスの☆6(Lv.90+BD128振り)の個体値ALL31、性格補正なしムクホークムクホークを相手に例(1)と同様のスナノケガワスナノケガワを選出します。ムクホークは最大打点の「すてみタックル」、スナノケガワは「だいちのちから」で攻撃。
今回は「チャージビーム」によってC1段階上昇した場合と「てっぺき」によってB2段階上昇した場合の2パターンで考えます。
・「チャージビーム」の場合
ムクホークA:248すてみ一致等倍すてみタックル(スナノケガワB実数値:230)
⇒179~152
スナノケガワC+1:562一致抜群だいちのちから(ムクホークD実数値:169)
⇒756~642(鈴回復量:94~80)
スナノケガワの残りHP:316~275
・「てっぺき」の場合
ムクホークA:248すてみ一致等倍すてみタックル(スナノケガワB+2実数値:460)
⇒90~76
スナノケガワC:375一致抜群だいちのちから(ムクホークD実数値:169)
⇒505~429(鈴回復量:63~53)
スナノケガワの残りHP:361~337
この場合ではり多くのHPを残せる形となり、「てっぺき」の方が有効であるといえます。
C+1とB+2の違いなので流石に「てっぺき」の方が良いのは当たり前ですが、こうした効果量の違いによって使い分けすることが「かいがらのすず」構成では重要となります。(あとムクホークに関してはサーフゴーで調理できるのでスナノケガワはあまり選出しません。)
また前々回から言う通りタイプ相性ももちろん重要です。上記例を見ても不一致等倍タイカイデンと特性+一致等倍ムクホークではそもそもの火力の差があるため、タイプ相性によって無条件で半減、無効を取れるということは非常に重要です。(タイカイデン対スナノケガワの場合は「ぼうふう」の半減によって与ダメージがほんの少し「さわぐ」より低くなっており、この状態では「ぼうふう」による混乱30%の危険性も考えなくてよくなるためタイプ相性が上手く働いている例といえます。)
まとめとして、安定性を【その1】【その2】へ近づけるためには耐久をより重視し、種族値、タイプなどポケモンそれぞれが持つ特徴と使用できる技を用いて足りない部分を補うことが必要となります。が、
実際は育成の内容ではなく、選出基準や技の使用判断が重要となる構成になるかと思います。
なお、ダメージ計算に関しては”ポケモン対戦考察まとめWiki”様のSV世代のダメージ計算式を参考にさせて頂きました。
◎https://latest.pokewiki.net/%E3%83%80%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%82%B8%E8%A8%88%E7%AE%97%E5%BC%8F
テラレイドにおける「じめん」タイプアタッカー
- 「じめん」タイプの強さ
テラレイドの攻略を考える上で、相手のテラスタイプに合わせて抜群を取れることを考え各種タイプのアタッカーを用意しておくのは最善手です。
「じめん」タイプにおいては「ほのお,でんき,どく,いわ,はがね」タイプに弱点を突くことができます。
攻撃面に関しては相当優秀なタイプであるといえます。ただし耐性においては「みず,こおり,くさ」タイプに抜群を取られる形となります。とはいえ「こおり」を除きサブウェポンとして搭載されにくいタイプではあるため、レイドボスの元のタイプをしっかり把握して選出しておけばあまり弱点を突かれにくいかと思われます。
また攻撃面が優秀と言いましたが、それは「ほのお,でんき,どく」の3タイプに弱点を突けるためです。弱点の少ない「でんき,どく」に有効打が持てるのは勿論ですが、「ほのお」にも弱点を突けることが大きいです。
「ほのお」タイプの弱点は「いわ,みず,じめん」ですが、「いわ,みず」タイプはテラレイドにおいてあまり登用しづらい傾向があります。
「みず」タイプは攻撃、耐性面ともに優秀ですが、該当タイプを持つポケモンのほとんどは細かいところで足りない要素があります。例を挙げるとするならば、瞬間火力しか出ないマリルリ、絶妙に火力か耐久が足りていないウェーニバルケンタロス(パルデア水)ダイケンキ、火力難なウネルミナモ、優秀だが初動が遅すぎるヤドランヤドキングと多く挙がり、どれもこれも運用の癖が強いタイプとなります。
また「いわ」タイプは攻撃面では優秀ですが耐性が致命的であり、主力技やサブウェポンとして搭載されることが多い「かくとう」「じめん」を弱点としており更に「みず,くさ,はがね」と計5タイプに弱点を突かれてしまうため、汎用性という側面で言えばなかなか登用しにくいタイプであるといえます。
つまるところ「じめん」は比較的運用しやすいタイプであるということです。
- 実用可能なじめんタイプのアタッカー
ということで運用できそうなポケモンを絞っていくわけではありますが、その前にテラレイドにおける特殊「じめん」の優秀さについて触れていきます。
まず通常の最高難易度である☆6レイドでは、全体として”攻撃技しかない”構成よりも"変化技を1つ以上搭載している"構成のレイドボスの方が多くいます。
ですので変化技対策に一手講じるだけで運用に大きく幅を持たせることができます。
前項の通り攻撃面で優秀な「じめん」タイプではありますが、その大半は「物理アタッカー」としての運用がほとんどとなります。
何が言いたいかといいますと、物理アタッカーは「あまえる」「おにび」などの変化技で簡単に戦局が左右されてしまいます。"変化技を1つ以上搭載している"構成の方が多いとしましたが、この中で物理ダメージを軽減できる変化技を持つレイドボスというとこれも多くいます。
- 「おにび」持ち
- 「あまえる」持ち
- 「フェザーダンス」持ち
- 「くすぐる」持ち
- 「つぶらなひとみ」持ち
- 「ふんえん」持ち:火傷確率30%(攻撃技ですが一応記載)
これだけで話が済めばいいですが、他にも「でんじは」や「キノコのほうし」があるため、例え物理ダメージ軽減の対策をしたとして、「まひ」「ねむり」「どく」などの対策も決して平行できるわけではありません。ですので「物理アタッカー」は現状色々と向かい風の傾向にあります。
が、「特殊アタッカー」に関しては上記の技らの影響が無い、もしくは軽い被害で済ませられるため該当技を持つレイドボスには強く出ることができます。
これらを踏まえると特殊「じめん」タイプは物理与ダメ弱体化の影響を受けづらく多くのタイプに弱点を突けることができるという強さを持ちます。また「じめん」タイプであるため技「でんじは」を無効にでき、「どく」半減によって「どく」タイプの攻撃技が選ばれづらいため「どく」状態になりにくく、「すなあらし」の影響を受けないことも強さの一つといえます。
以上より特殊地面アタッカーの運用ができそうなポケモンを絞っていきますがとある問題点があり、まともな積み技を持っているポケモンがほぼいません。元タイプが地面でなければ候補はいくつかありますが、運用が難しくなるため今回は却下として、候補となるのはリククラゲリククラゲかスナノケガワスナノケガワとなります。
両者とも素早さが100族あたりと比較的高い部類に入るうえ、補助技を多く習得するため優秀な性能を持ちます。しかし、リククラゲに関しては火力補助として使用する「アシッドボム」が毒タイプであり役割対象となりうる「はがね」テラスでは無効化されてしまううえ、特性の活用が難しいため見送りに。
スナノケガワの場合は特性の発動に関する問題点が残りますが、技周りが優秀であるため多少の応用が利きます。しかし優秀と言いつつ「めいそう」「わるだくみ」をスナノケガワは覚えません。ではどのようにして積むかといいますと技「チャージビーム」を使用します。
「チャージビーム」は命中90とラランテスの「リーフストーム」並みの不安要素ではありますがあくまで積み技としての採用であるため十分な命中率です。
効果としては攻撃後70%の確率で自身の「とくこう」を1段階上げるというものであり、ウルガモステツノドクガの「ほのおのまい」(50%)やラウドボーンの「フレアソング」(100%)と似ています。
スナノケガワに「チャージビーム」を採用する利点は2つあり、効果は劣るものの「つるぎのまい」「わるだくみ」のように積み技として代用できること、もう一つは攻撃技であるためチャージ回数稼ぎとして使用することができます。ただし100%ではないため過信は禁物ですが。
またスナノケガワは物理特殊ダメージを軽減する技を豊富に持ち合わせており、物理では「てっぺき」「リフレクター」、特殊では「かいでんぱ」「ひかりのかべ」と幅広く使えます。
なお今回は他候補として採用はしませんが、BDダウンを狙える「いやなおと」「きんぞくおん」や「まひ」状態を狙える「ほうでん」「でんじは」「のしかかり」、その他「じならし」「マッドショット」「じばそうさ」を使うことができます。
「自己回復技」がないのが玉に瑕ですが、サポーターとしての運用もできないこともない習得技の優秀さが先住民スナノケガワの魅力です。
なお前項に触れた”工夫”ですが、スナノケガワは比較的均整の取れた耐久種族値であるため今回は工夫の余地がそこまでありません。ですので補助技は「物理ダメージを軽減できる」技と「特殊ダメージを軽減できる」技の2つを採用する形となります。
長くなりましたが次項からいつもの定型文になります。
コンセプトと役割
攻撃面が優秀な「じめん」タイプをより有効活用するため特殊アタッカーとしての運用が可能であることを前提に、積み技として「チャージビーム」を使用でき、かつ相手の物理特殊ダメージを「てっぺき」「ひかりのかべ」によって軽減できる「じめん」タイプのポケモンであることからスナノケガワスナノケガワを採用しました。
今回はテラレイド攻略における特殊「じめん」アタッカーとしての役割になります。
持ち物
- かいがらのすず
持たせることで、攻撃技によるダメージを与えた際にそのダメージの1/8の値分だけ自身を回復する効果を付与します。
今回は【その3】の構成上確定となります。
特性
- こだいかっせい
「にほんばれ」状態か、「ブーストエナジー」を持っていると自身の一番高い能力が上がります。上昇率は「すばやさ以外」の能力値が1.3倍、「すばやさ」の能力値が1.5倍です。変えようがないため確定です。
今回の構成では通常時に「とくこう」が上がります。(「てっぺき」のB上昇量によっては「ぼうぎょ」が上がる場合があります。)
個体値・性格・努力値
- 個体値:「こうげき」:0/それ以外:31
「とくこう」は勿論のこと、耐久に関する項目も最大値とします。今回も「すばやさ」を最大値にしてください。なお技「イカサマ」や「こんらん」状態での被ダメージ軽減を兼ねて「こうげき」は0としています。
- 性格:ひかえめ(とくこう↑:こうげき↓)
特殊アタッカーとしての運用であるため使わない「こうげき」を犠牲に「とくこう」を伸ばす形とします。
- 努力値:HP:232/とくこう:252/すばやさ:24
内容と理由は後述。
技構成
◎基本構成は以下の通りです。
- だいちのちから
威力90/命中100。10%の確率で相手の「とくぼう」を一段階下げる(追加効果)
:確定枠
- チャージビーム
威力50/命中90。70%の確率で自分の「とくこう」を一段階上げる
:確定枠
- てっぺき
自身の「ぼうぎょ」を2段階上げる(変化技)
:自由枠
- ひかりのかべ
5ターンの間自身を含めた味方の特殊ダメージを2/3にする。急所に当たった場合は効果を発揮しない。
:自由枠
- 他候補
◎技の入れ替え候補は以下となります。(今回も非推奨)
・「リフレクター」:5ターンの間自身を含めた味方の物理ダメージを2/3にする。急所に当たった場合は効果を発揮しない。
⇒「てっぺき」と入れ替え。味方のサポートも兼ねたい場合。
・「かいでんぱ」:相手の「とくこう」を2段階下げる。(変化技)
⇒「ひかりのかべ」と入れ替え。効果量重視だが変化技であることに注意。
テラスタル
- じめん
じめんタイプアタッカーとしての役割を果たすため、技威力が上昇する「じめん」で確定となります。
なおこの時「じめん」弱点がなくなります。
努力値調整について
スナノケガワスナノケガワ自体が素早さ101族と比較的速いことから、2タイプしか扱えないものの技の通りが良い最速パーモットパーモットを抜くことができます。
最速パーモットの素早さ実数値が243であるためS24振りによりLv.100時でのスナノケガワの素早さを244としています。
抜けることのメリットとしては「インファイト」を初手「てっぺき」によってダメージ軽減できることが主なものとなります。
こちらの火力面ではパーモットが勝手にBDダウンを行ってくれるため弱点を突けるテラスタイプであればBの調整がなくとも余裕で回復が間に合います。(シロデスナでいいじゃんというのはグッとこらえる)
なお最大打点で「インファイト」を選択してくれる可能性があるハッサムケンタロス(パルデア単)ケンタロス(パルデア炎)(⇐炎テラスを除く)も同様となります。(ヘラクロスに関しては素の特殊耐久が高く、「メガホーン」「インファイト」の2択となるうえ「にらみつける」があるため運によるところが大きい。)
「ぼうぎょ」に関して、弱点を突ける場合にはソウブレイズドドゲザンを選出対象にすることができ、両者とも最大打点でスナノケガワに与えられるダメージは
☆6無振りソウブレイズ(A実数値:257)の無念の剣(スナノケガワ無振りB+2実数値:460)
⇒59~50
☆6無振りドドゲザン(A実数値:275)の土下斬(スナノケガワ無振りB+2実数値:460)
⇒59~50
と同じになります。
しかしD種族値に関してはソウブレイズ>ドドゲザンであるためソウブレイズで「だいちのちから」による鈴回復について考えていきます。
Lv.100補正ありC252振りスナノケガワ(C実数値:375)の抜群大地の力(ソウブレイズ無振りD実数値:241)
⇒354~300(鈴回復量:44~37)
素の状態では追い付かないため、ソウブレイズに関しては「てっぺき」でB+4の状態にするか、「チャージビーム」でC+1の状態にする必要があります。なおBへの努力値振りだけでは補いきれません。
☆6無振りソウブレイズ(A実数値:257)の無念の剣(スナノケガワ無振りB+4実数値:575)
⇒40~34
Lv.100補正ありC252振りスナノケガワ(C+1実数値:562)の抜群大地の力(ソウブレイズ無振りD実数値:241)
⇒531~451(鈴回復量:66~56)
どの場合も最大被ダメージ+最小回復量が0を下回っていますが、乱数のブレが起きない限りは基本的に補えるものと考えても大丈夫です。
ところがどっこい問題は「とくぼう」についてです。スナノケガワが特殊ダメージ軽減で使用できる技は「ひかりのかべ」「かいでんぱ」と軽減率上限があるか、使用機会が限られるといった問題に直面しています。
下記の選出相手の項目では記載していませんが、CD種族値が高く、追加行動枠で「ドわすれ」「にほんばれ」を使用するウルガモスは対応できず、現実的な登用が可能なのは特殊版「インファイト」ともいえる「アーマーキャノン」持ちのグレンアルマあたりが限界といえます。こちらも追加行動で「めいそう」「にほんばれ」を使用しますが、最大打点である「アーマーキャノン」によってBDを下げてくれるおかげで受けの成立がギリギリ可能であるため、今回のスナノケガワの調整はグレンアルマを主とします。
素の状態での与(被)ダメは
☆6無振りグレンアルマ(C実数値:257)のアーマーキャノン(スナノケガワ無振りD実数値:206)
⇒172~146
Lv.100補正ありC252振りスナノケガワ(C実数値:375)の抜群大地の力(グレンアルマ無振りD実数値:205)
⇒416~353(鈴回復量:52~44)
「ひかりのかべ」採用時は
・壁込みアーマーキャノン(スナノケガワ無振りD実数値:206)
⇒114~97
「アーマーキャノン」によるBDダウン時での与ダメージは
・D-1実数値:136
⇒624~530(鈴回復量:78~66)
・D-2実数値:102
⇒831~706(鈴回復量:103~88)
上記BDダウン状態に加えてC+1状態の与ダメージは
・D-1実数値:136(C+1時)
⇒935~794(鈴回復量:116~99)
・D-2実数値:102(C+1時)
⇒1246~1059(鈴回復量:155~132)
以上からスナノケガワは無振り状態でも「ひかりのかべ」「チャージビーム」を併用すれば最速3ターン目から自力で受けを成立させることができます。
NPCの動き(がっちりぼうぎょ)を加味すれば2ターンからでも可能にはなりますが、
- 初手で「ひかりのかべ」を使用
- 「チャージビーム」を使用し「とくこう」を1段階上げる
- その後はどちらかの効果がなくなるまで「だいちのちから」で攻撃
と固定させたほうがいいかもしれません。
ただあくまでこれは自身のみ行動した場合の話であってNPCや味方の行動回数によっては追加でBDダウンが入る可能性もありますし、追加行動の「めいそう」やシールド展開、「おにび」の影響もあるため実際の戦況はもう少し複雑になります。
これらを踏まえると「とくぼう」に関しては特に振らずとも一応問題はないかと考えられます。(なおグレンアルマソウブレイズが「ほのお」テラスの場合はあまり選出しないようお願いします。威嚇持ちNPCやサポート役の味方がいれば大丈夫ですが、少なくともスナノケガワ単体ではジリ貧になります。)
選出相手について
基本は弱点を突けることを前提に選出します。(ほのお,でんき,どく,いわ,はがねテラスのみ)
前々回から同様、元々の「タイプ相性」を考え、弱点を突かれる以下のレイドボス(☆6)には原則選出しないようお願いします。
・ギャラドスギャラドス
・シャワーズシャワーズ
・ヤドキングヤドキング
・ペリッパーペリッパー
・キノガッサキノガッサ
・ガブリアスガブリアス
・カバルドンカバルドン
・リーフィアリーフィア
・グレイシアグレイシア
・モロバレルモロバレル
・ブロスターブロスター
・クレベースクレベース
・ドヒドイデドヒドイデ
・モスノウモスノウ
・ヘイラッシャヘイラッシャ
・ハルクジラハルクジラ
・セグレイブセグレイブ
・リククラゲリククラゲ
・ドオードオー
・水ケンタロスケンタロス(パルデア水)
続き「一致等倍」や「不一致抜群」で攻撃してくる以下の一部レイドボスでは一部を除き(⇒表記)選出を控えるようお願いします。
・カイリューカイリュー
・ボーマンダボーマンダ:
⇒味方に「物理受け」サポーターがいる場合のみ
・ムクホークムクホーク:
⇒味方に特性「いかく」持ちか「物理受け」サポーターがいる場合
・オノノクスオノノクス:
⇒味方に特性「いかく」持ちか「物理受け」サポーターがいる場合
・ヌメルゴンヌメルゴン
・バチンウニバチンウニ:
⇒味方に「特殊受け」サポーターがいる場合のみ
・ミミッキュミミッキュ:
⇒味方に特性「いかく」持ちか「物理受け」サポーターがいる場合
・コノヨザルコノヨザル
また攻撃は耐えられるものの、素の「とくぼう」が高い以下のレイドボスはあまり選出しないようお願いします。
・ハピナスハピナス
「じめん」技を無効化するものとして特性「ふゆう」持ちや技「でんじふゆう」を使用する以下のレイドボスにも選出しないようお願いします。
最後に例外。技「めいそう」など、積み技を常用するタイプのレイドボスには分が悪いため選出しないようお願いします。
・サーナイトサーナイト
・アーマーガアアーマーガア:
⇒味方にサポーターがいれば選出できる
立ち回り
どのレイドでも基本的な動きは変わりません。
- 初手は相手の攻撃技の分類に合わせ、「てっぺき」または「ひかりのかべ」を使用する。
- 上記を済ませたら「チャージビーム」を使用し「とくこう」上昇を狙う。なお、上昇しなかった場合は繰り返してもいいし、しなくてもいい。
- その後は「だいちのちから」で攻撃し続ける。この間に「てっぺき/ひかりのかべ」の効果が切れた場合は攻撃を中断して再使用したのち攻撃を再開する。(「チャージビーム」の使用はお好みでどうぞ。)
テラスタルについては、タイプによる耐性変化の影響がなければすぐに行ってください。スナノケガワにおいては「でんき」「じめん」耐性がそれぞれ影響し合わないため、基本的には「でんき」タイプの「ひこう,はがね」半減が影響する場合は下準備をしてテラスタルすると上手く立ち回れます。
「おうえん」に関しては特に素の運用で必須としていないため状態異常になった場合の回復、即席の火力増強や耐久力上昇など、お好きなところで使っていただいても大丈夫です。
【その1】〜【その3】までの総括
前々回からテラレイドアタッカーについて紹介しましたが、結果として”適度に相手の攻撃を受けて、適度に回復しつつ攻撃する”ことを軸に3つの構成を紹介する形となりました。
- 【その1】
「吸収効果」を持つ攻撃技を備えた構成
- 【その2】
「かいがらのすず」+「自己回復技」の構成
- 【その3】
「かいがらのすず」の構成
運用の難しさでいえば【その1】<【その2】<【その3】と回復手段がなくなるごとに難易度が上がってきます。しかし【その1】よりも【その3】の方が活躍できないというわけではなく、育成内容や選出、技の使用判断で簡単にそれは覆ります。
ですので紹介したこれらの内容はあくまで一例であることをご留意くださいませ。
アタッカーの構成は別に今回紹介したものに限りません。なんならサーフゴーとスナノケガワでは持ち物を「かいがらのすず」に固定するというある種の縛りプレイをしていますので考えようはいくらでもあります。
既にこの”ポケモン徹底攻略”様のサイトでもテラレイド用のアタッカーとして色々な構成が上がっています。
今回のシリーズで紹介した「きゅうけつ」などの吸収技の構成や「かいがらのすず」を用いた構成のほか、「とつげきチョッキ」や「しんかのきせき」を取り入れた面白い構成(カキシルス)など様々あります。
”いらみみ”さん:【テラレイド】対特殊殲滅アタッカー ディンルーの育成論
◎育成論SV/1797
"Mz"さん:【テラレイド】火力支援アタッカー型輝石ゴースト
◎育成論SV/2020
それはさておき、テラレイドバトルにおけるアタッカーの構成を考える上でこれらの育成論内容が参考になればと思います。
最後に
今回は特殊じめんアタッカー型としてスナノケガワの育成論をご紹介しました。
正直な話、他のアタッカーと比較するとあまり☆6には登用しないポケモンです。それ以前に回復手段に乏しいため半減を取れないとかなり綱渡り状態になりやすくなります。
ただそこまで使えないかというとそうではなく、絶対に必要ではないけどここぞという時に、痒い所に手が届く存在です。ランダムで長く潜っていると意外と使用機会が多くあるため作っておいて損はないかとは思います。(麻痺を無効にしたり火傷を軽視できる点はかなり強いです。)
あとスナノケガワはテラスタルすると少し面白いです。
ここまで読んで頂きありがとうございました。