はじめに
初めましての方は初めまして、ウツマと申します。剣盾で一度ヤミラミヤミラミの育成論を書いて以来、2度目の投稿になります。
スカーレットで出会った愛くるしい姿のサケブシッポサケブシッポに惹かれランクマッチで使ってきたのですが、今回面白い(それでいて汎用性を損なわない)型ができたので、皆さんに共有できたらと思います。
- この育成論では「種族値」「個体値」「努力値」といった非公式用語、および「H-A-B-C-D-S」などの略称を用います。
- ダメージ計算にはダメージ計算SVを使用しています。
- この育成論はレギュレーションBを想定しています。レギュレーションCで追加された四災とそれによる環境の変化は考慮していません。今後加筆する可能性はあります。
サケブシッポサケブシッポとは?
今作で新たに登場したパラドックスポケモンのうちの1匹で、合計種族値570という現代の姿プリンとは比べ物にならない高種族値と、豊富な補助技を武器に戦うポケモンです。
電磁波、ステロ、両壁、アンコール金縛り、トリルや滅びなどなど起点作りポケモンに欲しい技がほとんど揃っています。(あとは挑発さえあれば…)
しかし全ての変化技を無効にするチートポケモンサーフゴーの存在が逆風で、現状評価はあまり高くありません。
コンセプト
上記の通り、サケブシッポはサーフゴーに何も出来ず、後出しから悪巧みなど積みの起点にされることが明確な弱点となっています。そこで、『じだんだ』という技を採用することで、後出しサーフゴーを倒せるようにしようというのが本論の趣旨です。
ただし、このサケブシッポはあくまで起点作りポケモンであり、サーフゴーを倒すことは主たる役割ではありません。
やや耐久は低くなるものの、他の3枠で汎用性のある起点作り要因として十分に仕事をすることができるため、少し隠し球を備えているポケモンだと認識してください。
また、地面技の採用により環境に多いテツノドクガやジバコイルに打点を持つことができます。実際のところ、地団駄は対テツノドクガに打つことが最も多いです。
通常ガブリアスやカイリューなどの地面打点のあるポケモンがテツノドクガと対面した場合、交代されたり草テラスなどで応戦されたりする可能性があり、読み合いが生じます。しかしサケブシッポの地面技は絶対に警戒されないので、気にせず上から倒すことが可能です。テラスタルにより読み合いが深くなった今作では、“何より意表がつける”ことの価値が上がったといっていいでしょう。
『じだんだ』とは?
じたんだは威力75・命中100・PP10の接触物理技で、前のターンにわざが失敗していると威力が2倍の150になります。
わざが失敗するとは次のような場合をさします。
・ねむりやまひで動けなかった。
・わざが当たらなかった。(相手がゴーストダイブ中なども含む)
・「効果はないようだ…」となった。(身代わり状態のポケモン・既に麻痺しているポケモン・地面や電気タイプのポケモンに電磁波を使った場合、交代際にアンコールを打った場合、そしてキョジオーンきよめのしおやサーフゴーおうごんのからだなどの特性で電磁波を無効化された場合など)
この地団駄の仕様によって、交代で変化技を無効にしてきたサーフゴーに高火力地面技を打ち込むことが可能になります。ただし対面の場合は初心者ぶって電磁波から入る必要があります。
技構成
じだんだはコンセプトのため確定です。この技については既に詳しく述べたため、他の3枠について説明します。
ステルスロック
相手が交代する度に1/8×岩のタイプ相性のダメージを与えさせる設置技。
襷潰しやマルスケ潰しとして優秀で、起点作りとしては必須です。
でんじは
相手を麻痺状態にさせる技。命中90。
雑に撒いておくことで裏のポケモンで積みやすくすることができます。竜舞羽休めカイリューやムラっけスコヴィランなど、試行回数を稼げる積みポケモンとは特に相性が良いです。
アンコール
3ターン相手に同じ技を使い続けさせる。
基本的に上からアンコールすることになるため、相手を縛ってこちらが自由に行動できるのは2ターンになります。相手の変化技を咎めることができます。メンタルハーブには注意。
基本的にステルスロック、電磁波、アンコールの3枠がオススメですが、他にも優秀な補助技を覚えるので自由にカスタマイズしてください。以下、有用そうな技を列挙します。
かなしばり
最後に使った技を4ターン使えなくする。
相手の行動を1ターン無駄にさせることもできます。こだわり持ち相手に使ったりアンコールと併用することでわるあがきさせる戦法もあります。
リフレクター/ひかりのかべ
物理/特殊のダメージを半減させる壁を張る。
後続のサポートに。サーフゴーに後出しされても無効化される技では無いので、やや本論の趣旨とはズレています。
トリックルーム
5ターンの間、すばやさの序列が逆転する。
後続のサポートに。やや本論の趣旨とはズレます。
持ち物
ブーストエナジー
(この型の場合、)交代するまで素早さを1.5倍にする。
デメリットがないにもかかわらず、能力の上昇量が他の持ち物よりも大きくオススメです。これによって環境のほとんどのポケモンの上を取ることが可能になります。
やわらかいすな
地面技の威力を1.2倍にする。
基本的に持ち物はブーストエナジーをオススメしますが、パーティーで他に持たせたいポケモンがいる場合や、高火力が好きな場合はこちらを選んでください。ブーストエナジーでは耐えられる可能性のある耐久振りのサーフゴーを倒しやすくなります。(でもHBだとやっぱり倒せない…)
交代で効果が消えないのは魅力です。
性格・努力値と調整
もちものによってそれぞれ調整が異なります。
ブーストエナジー調整案
性格:いじっぱり
努力値:H100 A252 B4 C0 D4 S148
持ち物:ブーストエナジー
実数値:203-128-120-×-136-150(225)
調整はAブッパ、Sはブーストエナジー発動で最速スカーフサーフゴー抜き、残り耐久です。
初手で対面するスカーフサーフゴーに有利をとれるように、そこを抜けるSにしています。これによりアイテムでSを上げていないドラパルトやテツノツツミなどの上を取ることもできます。
やわらかいすな調整案
性格:ようき
努力値:H60 A188 B4 C0 D4 S252
持ち物:やわらかいすな
実数値:190-109(130.8)-120-×-136-179
調整はテツノドクガの上をとるために最速、地面テラス威力2倍地団駄でH振りサーフゴーを確定1発できるようにA、残り耐久です。
特性
こだいかっせい
一択です。持ち物がブーストエナジー以外の場合で、天候が晴れだと素早さが1.5倍になりますが、特性はないものだと考えていいでしょう。
テラスタル
地団駄の火力を上げるためにコンセプト上地面一択。
コンセプトにこだわらない場合、ゴースト技を半減以下にできる悪・ノーマルがよさそうです。
立ち回り
基本的に先発に出して、ステロや電磁波をばら撒きます。
地団駄があるため、後ろにサーフゴーやジバコイルなどが控えている場合でも強気に電磁波を押すことができます。(相手の交代を恐れずに行動できる点が地団駄型の強みだと思っています)
とりあえず地団駄を押します。相手は普通交代しませんし、基本的に倒せます。
後ろにテラスタルを残しておきたいなら素地団駄で削り、そうでない場合は地面テラスタルを切って倒してもよいでしょう。頑丈持ちは少ないので大抵倒せるはずです。
電磁波などに後出ししてきたジバコイルはカモネギです。テラスを切る必要もなく地団駄で倒せます。
初手に出された場合スカーフの可能性が高いです。まずは初心者ぶって電磁波を押します。その後テラスタルを切って地団駄で倒します。先にテラスタルを切ってしまうと地面技を警戒して飛行テラスされたりすることがあるので、倒す直前までテラスは隠しておきましょう。ただし、C252ゴールドラッシュで乱数でやられるので、トリックまたはシャドボ読みで動くのはややヤンキープレイです。安定感を求める人はちゃんと裏に引きましょう。
変化技を後出しで受けに来た場合はやっぱりカモネギです。テラス地団駄で破壊しましょう。
地団駄を耐えられた場合は、相手はおそらくHBです。上からもう一度地団駄を入れたら倒せるかもしれませんが、飛行テラス自己再生をされると悲しいことになるので、サーフゴーに有利なポケモンに交代してサイクルを回すほうが安全です。
初手で対面する機会の多いポケモンです。裏が浮いているポケモンや毒・鋼タイプなどで毒菱を気にしないのであれば、地団駄で倒しにいきましょう。大抵襷持ちなのでステルスロックを撒かれますが必要経費です。
電磁波に後出しされた場合や、攻撃を守るで防がれた場合などで威力2倍の地団駄を放てますが、実は自己再生連打で受け切られます。既にサイクルの中で削れているのでなければ、早いうちに交代した方が良いです。
初手に出てくるセグレイブは地面テラスで電磁波を透かしてくることが多いです。地団駄が2倍になってもあまり削れないため、とりあえず様子見でステロから入りましょう。
- その他起点作りポケモン
まずはステルスロックを撒き、相手の行動を見ます。相手もステロなどの変化技を使ってきた場合はアンコールで固定し、交代を誘い電磁波を撒いていきます。
(アンコールされたあとも相手が居座り、アンコールをかけ直すタイミングで交代してくることもあるでしょうが、その場合は素直にアンコールを打っていい場合が多いです。交代読みを外したときのリスクが大きく、かりにアンコールを交代で透かされたとしても地団駄の威力2倍のトリガーを入れられるからです。
また、既に電磁波状態のポケモンをステルスロックなどで縛った場合、相手は交代するか居座るかの択になりますが、こちらはとりあえず電磁波を打っておけばいいでしょう。交代してきた場合は交代先に麻痺を入れられますし、交代されなかった場合はやはり例の威力2倍のトリガーを入れられます。)
ハバタクカミ程度の耐久のポケモンであれば、後出しされても威力2倍テラス地団駄で倒すことができます。
- サケブシッポよりも速い/速そうなポケモン
ブーストエナジーでSの上がったハバタクカミやスカーフを持ってそうなドラパルトなどには、電磁波を撒いてからステロを撒きます。
差別化
同じ起点作りポケモンだとしても、電磁波の有無で差別化できます。
- デカヌチャンデカヌチャン
ステロ電磁波アンコールの技構成が可能なフェアリータイプの起点作りポケモンです。
耐久やすばやさなど、ステータス面ではサケブシッポの勝利です。起点作りポケモンは上から挑発をされるとかなり動きが制限されるので、すばやさは特に重要です。ただデカヌチャンはタイプが優秀なだけでなく、型破りでそもそもサーフゴーの特性無効であり、対サーフゴーを考えると安定感があります。
じならしという地面打点があるとはいえ、テツノドクガには上から弱点を突かれるので、その点も差別化点となります。
- でかいきんのたま投げつけ型悪テラスサケブシッポ
サーフゴーが憎くてたまらない人向けの変態型。1ターン目から最大火力を打てるのは魅力ですが、1度しか攻撃できない点や実質持ち物無しになってしまう点は大きなデメリットであり、そもそもサーフゴーにH振りされるだけで耐えられる微妙な火力しか出ないので、地団駄に比べてかなり劣ると考えています。
(スカーフをトリックされても投げつけられるのは少し面白いかもしれません)
与ダメージ計算
- 以下は被ダメージ計算とともに、ブーストエナジーを持たせた調整案(確定欄に記したもの)を前提にします
- 特に記載のない場合、テラス無し威力75のじだんだの与ダメージを計算しています。☆は威力2倍のときのダメージ、◇は地面テラス時のダメージを意味します。
- 威力2倍のダメージは2回連続で起こりえないため、(確定2発)と書かれていても実際には2ターンで倒しきれないこともあります。
サーフゴー
H4:39.2~46.6%(確定3発)
〃☆:77.3~92.0%(確定2発)
〃☆◇:115.3~137.4%(確定1発)
H252☆◇:96.9~115.4%(乱数1発・ステロ込み確定1発)
(やわらかいすな調整案の場合:100.0~118.5%(確定1発))
H252B252↑☆◇:69.0~83.5%(確定2発)
テツノドクガ
H4:115.3~138.4%(確定1発)
ジバコイル
H252:63.2~74.5%(確定2発)
〃◇:94.9~110.7%(乱数1発・ステロ込み確定1発)
〃☆:122.0~144.6%(確定1発)
キラフロル
H4:85.5~100.6%(低乱数1発)
H252:71.5~84.2%(確定2発)
ハバタクカミ
B4:36.9~43.8%(確定3発)
〃☆:73.8~86.9%(確定2発)
〃☆◇:110.7~130.0%(確定1発)
ドドゲザン
H252:26.0~30.9%(確定4発)
〃☆:50.2~59.9%(確定2発)
キョジオーン
H252:24.1~28.9%(ほぼ確定4発)
〃☆:47.3~56.0%(乱数2発)
〃☆◇:70.5~84.5%(確定2発)
H252B252↑:18.3~22.2%(乱数5発)
〃☆◇:53.1~63.7%(確定2発)
ドオー
H252B4:37.9~45.5%(確定3発)
〃☆:75.9~89.4%(確定2発)
〃☆◇:113.9~134.1%(確定1発)
H252B252↑☆◇:74.2~88.6%(確定2発)
テツノカイナ
H252:22.2~26.8%(乱数4発)
〃☆:43.6~52.1%(乱数2発)
セグレイブ
H4:17.2~20.4%(ほぼ確定6発)
ガブリアス
H4:17.3~20.6%(ほぼ確定6発)
被ダメージ計算
サーフゴー
C252↑ゴルラ:100.4~118.2%(確定1発)
〃シャドボ:66.0~79.8%(確定2発)
C252ゴルラ:91.6~107.3%(乱数1発)
〃シャドボ:60.0~71.9%(確定2発)
テツノドクガ
C252炎舞:31.5~37.4%(乱数3発)
C252眼鏡炎舞:47.2~56.1%(乱数2発)
ハバタクカミ
C252シャドボ:62.0~73.8%(確定2発)
C252眼鏡シャドボ:91.6~109.3%(乱数1発)
C252↑眼鏡シャドボ:100.4~119.2%(確定1発)
C252↑眼鏡妖テラスムンフォ:79.8~94.5%(確定2発)
セグレイブ
A252↑イカサマダイスつららばり:49.2~76.3%(高乱数2発)
A252↑地面テラス地震:50.2~59.6%(確定2発)
カイリュー
A252飛行テラバースト:46.3~55.1%(乱数2発)
A252↑鉢巻ノテラス神速:56.6~66.9%(確定2発)
ドドゲザン
A252↑アイアンヘッド:76.8~91.6%(確定2発)
ハッサム
A252↑テクニ鉢巻バレパン:83.7~100.4%(低乱数1発)
相性の良い味方・構築例
電磁波・ステロを使う起点作りポケモンなので、積み構築と相性が良いです。特に竜舞羽休めカイリューのような回復できる積みポケモンは相手の麻痺の試行回数を増やして積めるのでおすすめです。
また、ステロで相手の襷を潰せるため、ハバタクカミのような高火力ポケモンも通しやすくなります。ただし、パーティー内でブーストエナジーが取り合いにならないようにだけ注意してください。