どうも、現在スペレでムクホークが使用率3位で大変機嫌が良いファイドです。ちなみに現状のスペレ環境にはオウム返しz型がブチ刺さっていると思います。
- 指定のない限りすべてのポケモンは理想個体とする
- HP、攻撃、防御、特攻、特防、素早さをそれぞれHABCDSと表記
- ポケモン名やタイプ、持ち物に一部略称を使用
- ダメ計にはトレーナー天国様のものを使用
- 蛇足の項は読み飛ばし推奨
- フォーク元を先に読むことを推奨
はじめに
以前書いたフォーク元の論において、
「このポケモンは対面構築には合うか」
という質問を受けた。筆者はサイクルでしか使ったことがなかったが、「目の前の相手を確実に倒す」という対面構築のコンセプトには合致していると判断した。
しかし本当にそうだったのか。気になった筆者は補完枠として紹介したスカーフムクホークをあえて軸に据えた上でサイクル寄りの対面構築を組んだ。時間がなく多くは潜れなかったが、そこで感じたのは「物足りなさ」である。
いくら威嚇が撒けて遂行速度もあるとはいえ、相手に命がけが刺さらなかった場合Sが高すぎてほぼ確実に先制トンボ返りを撃つことになってしまうからである。受けだし前提のサイクル構築なら気にならなかったが、対面重視ではそうはいかない。
そこで今回は高すぎたSによる先発性能を捨て、対面、クッション性能を高めた型を紹介する。
この型の強み
- 命がけ+広範囲高火力技による崩し性能
フォーク元でも述べたが、H実数値191からの命がけによりゴーストタイプ以外の多くのポケモンを強引に吹き飛ばすことができる。
さらに通りが良い一致技であるブレバ、鳥のくせに何故か覚えるインファという2つの高火力打点を持ち、Aに割いたことでこれらを実用的な火力で放つことができる。この飛行+格闘を両方半減できるのはボルトロス(霊獣)カプ・コケコギルガルド(シールド)等限られたポケモンのみである。
これにより、Sを抑えたとはいえ実数値は136でありフォーク元で挙げたポリゴン2を始め多くの高耐久ポケモンの上から命がけが撃てる。また火力と技範囲の向上によって自分より遅い相手への崩し性能が高まったといえる。
- 対面、クッション性能の向上
チョッキを着ることで威嚇では軽減できない特殊技のダメージを大幅にカットした。これにより純粋に行動回数が増えた他、特殊メガルカリオゲッコウガ等に対し命がけを使わずに突破する事が可能になった。Dに薄い型だと良くて1-1交換、酷ければスカーフや先制技で無駄死にしていた相手が対面からならほぼ確実に数的有利を取りにいけるのは大きなメリットであろう。また機会は限定されるがドヒドイデの熱湯に受け出しても焼けなければ次の命がけで倒すことができたりする。
またDを上げSを落としたことで優秀な耐性を生かしたクッションとしても扱いやすくなった。多少削れたとしても高いH、最低限のSと攻撃性能、特性威嚇により大きな影響力を持つことができる。さらに地、霊のサブウェポンをほぼ2耐えできるため後出しからの後攻トンボで後続に繋ぐ動きが狙いやすい。
ちなみにランドとの差別化はフォーク元と概ね変わらないため省略する。
ほかに地、霊の一貫を切れるポケモンにバルジーナがいるが、遂行速度、威嚇によるサイクル適性、弱点の数などで差別化は可能である。
フォーク元との比較
- 命がけとS関係
フォーク元では圧倒的なSからの固定191ダメージをウリにしていたが、まず命がけの仮想敵について整理したい。
能動的な誤魔化しである命がけを撃つ相手は主に
- 高速過ぎて邪魔
- 硬すぎて邪魔
- 構築単位で重い
という3つに分けられる。
まず1について、相手の高速ポケモンを上から落とせるのは確かに強力ではあるが、反面大概は低耐久でありわざわざ道連れにするには釣り合わない。例えば初手に来やすいカプ・コケコを誘いつつ落とせるが、裏に1体地面がいればそれで十分に対応できる。
ところがスカーフを持つデメリットとして技の打ち分けが効かないこと、速すぎてほぼ確実に先制トンボを打ってしまい不利対面でディスアドを取りやすいことなどがあり逆にその速さがネックになっていた。
そこで今回はスカーフを捨て、命がけの仮想敵を鈍足が多く対面構築での突破が難しい2(と一部の3)に絞った。これにより火力、耐久ともに大幅に上がった他、後攻トンボが狙える、フォーク元では邪魔だったインファを採用できるなど汎用性が高まった。
確かにSを落としたことでスカーフカプ・テテフランドロス(霊獣)カミツルギやカプ・コケコメガメタグロス等への奇襲性能は失ったが、これらはテッカグヤなど鋼タイプで相手をしやすく、ムクホーク自身がその取り巻きの多くに有利を取れるため問題はない。
- インファイトの採用について
特にダイパ世代はアニポケや自身の旅パでの活躍でムクホークといえばインファイトというイメージをもつ人も多いだろう。しかし対戦においてこの技の重要性はあまり高くない。
高火力技とはいえこいつ自身のAは120しかなく、アタッカーとしてはzか特性捨て身に頼らざるを得ない。だがインファは捨て身補正がかからず不一致技であるため弱点を突かないと火力が出ず、しかも反動のBDダウンは場合によってはブレバ反動よりも重い。それなのにフェアリー環境のせいで悪は少なく、全身弱点の氷は虫の息、ノーマルは軒並み耐久がキチガイ、鋼は大量にいるが何故か格闘等倍ばかり。とにかく撃つ機会が少ないのである。
では何故採用するのか、それはムクホークにとってのインファの立ち位置はサブウェポンではなく役割破壊技だからである。確かに刺さる相手は少なくデメリットも大きい。しかしそれでも他のポケモンならメインウェポンに据えるような火力と命中をもつこの技は破格の性能である。だからこそ狙った相手にピンポイントで刺すプレイングが必要であり、ある程度の行動保証と対面操作をもつこの型ならそれが十分に可能である。
採用理由
ここまでの内容より、
- 低速への崩し、誤魔化し
- 地、霊の一貫切り
- 威嚇によるサポート、クッション
以上の理由で採用が可能である。
持ち物
行動回数を稼ぐため、後出しできる範囲を広げるためにチョッキで確定
オボン、混乱実はともに発動圏内に収まる攻撃がが少なく使い勝手が悪かったため除外
特性
コンセプトより威嚇で確定
技構成
- 確定技
命がけ、トンボ返り
今回のコンセプト
ブレバ
通りのいいメインウェポン
火力は特化メガガルーラの猫+不意打ち程度
インファイト
仮想敵メガバンギラスメガルカリオゲッコウガetc.
Sを削って余った努力値をAに回すことでバンギ対面での安定行動を取れるようになった
トンボで反動も気にならず、純粋に対応範囲が広がるため確定
- 選択技
がむしゃら
強みとして挙げてはいるが、今回はSを削ったためノーダメージで命がけを打てる機会は少ない。そのためがむしゃらに変更するのも手である。
ただしがむしゃらは相手の行動・型に強く依存すること、命がけのダメージ量を超えることは稀であること、また相手を落とすことができないことなどから筆者は命がけの方が優れていると感じた。
今回は以上で枠が埋まるので他の候補の考察は省略する
調整
案1
意地
努力値 H244/A52/B4/D84/S124
実数値 H191/A161/B91/C-/D91(136)/S136
H 16n-1
A インファで無振りメガバンギラス確定
B 余り
D C252 メガゲンガーのヘド爆低乱2(9.1%)
強力な積みエースであるメガバンギラスを上から落とせる数値を確保することでこのポケモンの技範囲の広さを活かしきることができる。ただしこれ以上Aを上げても確定数はほとんど変わらない。
またメガゲンのヘド爆をほぼ2耐えできるため特殊相手でもクッションとして扱うことができる。
Sをここまで落としたことで抜けなくなるポケモンには、
100族メガリザードンYメガリザードンXメガバシャーモウルガモス
や
ミミッキュカプ・テテフランドロス(霊獣)
等がいるが、100族は同速対決の時点で不利(バシャガモスはどちらにせよ有利)、ミミッキュも不利、半数がスカーフ10%がタスキのカプ・テテフや振り方次第では命がけでも落ちないランドロス(霊獣)も上を取ったところで大した対策にはならない。
またSラインを下げることもアリではあるが、最速キノガッサ抜きであるS116ラインは確保すべきである。
案2
意地
努力値 H212/A44/B100/D28/S124
実数値 H187/A161/B103/D84(126)/S136
H 命がけでH252振り80族(アシレーヌオニゴーリメガフシギバナ等)を確定
B 特化 -1ミミッキュポカフレ+じゃれほぼ耐え(1.9%)
A 無振りメガバンギラス上から2つ切って乱1
D 特化ギルガルド(シールド)ラスカ超低乱2(5.5%)、無振りメガゲンガーヘド爆確3
Sは案1と同じ
CSメガゲンとH191ラインを捨て物理方面に厚くした調整。
ミミッキュに対して後出しし、zを受けきって後攻トンボで皮を剥がす動きができる。ダメージ量によって相手の型を判別できメガルカリオメガメタグロスメガゲンガー辺りの上から縛れるポケモンに繋げる。
ちなみに数値が足りていないのでどちらもH252振りは候補には入らない。
運用方法
フォーク元と違い先発前提ではない。
各技の仮想敵や威嚇→トンボが刺さる相手がいる場合、また相手の構築に対し2体である程度の一貫が取れているときのクッションとして選出する。
スカーフアタッカーのイメージが強いせいか物理受けを誘いやすいが、相手を命がけで倒す必要があるのかをその都度判断しなければならない。HPが1でも残っていれば威嚇を入れられる上、地味にトンボのダメージも馬鹿にならないため過労死には注意が必要である。
苦手な相手
- 高速電気
裏に電気受けを置く必要がある。
- 霊
やられはしないが倒せもしない
基本的には後攻トンボか低速への命がけで役割が完結するため明確に不利な相手は少ない
相性のいい味方、構築
対面構築から着想を得たためそれを意識した論になったが、サイクルパーツとしても当然採用できる。
地、霊を弱点とするエースや物理方面が心許ない鈍足ポケモンなどと組ませると互いを生かし合うことができるほか、削り残した相手にトドメをさせる先制技持ちも有用である。
例としては
皮のないミミッキュを上から縛れ地、霊弱点であるメガルカリオメガメタグロスメガゲンガー
メガ前の避雷針による電気受けとメガ後の威嚇ループができるメガライボルト
等をオススメする。
ダメージ計算
調整はは案1のものを用いた。
それぞれダメージの目安として分かりやすいもののみを記載する。これ以外は適宜推測、計算して頂きたい。
性格補正込み252振りを"特化"と表記
- 与ダメ
ブレバ
H252メガゲンガー 65.2%〜77.8%、確2
H4ミミッキュ 83.2%〜99.2%、確2
H20アーゴヨン 78.1%〜92%、確2
インファ
メガバンギラス 100.5%〜118.8%、確1
H244ヒードラン 58.8%〜70%、確2
H4カミツルギ 72.5%〜85.9%、確2
H148B252カビゴン 48.8%〜58.2%、超高乱2
- 被ダメ(物理は威嚇込み)
特化キノガッサマッパ 26.7%〜31.4%、確4
特化ミミッキュじゃれ 30.3〜36.6%、乱3
特化メガギャラドス氷牙 42.9%〜51.3%、超低乱2
特化ランドロス(霊獣)岩封 37.6%〜45%、確3
A252カミツルギスマホ 35%〜42.4%、確3
特化ドリュウズ雪崩 45%〜53.4%、低乱2
特化ホルード岩封 40.8%〜49.2%、確3
A252メガミミロップ恩返し(≒冷パン)
41.3%〜49.2%、確3
C252カプ・コケコ10万 87.9%〜103.6%、低乱1
C252メガゲンガーヘド爆 43.9%〜51.8%、低乱2
C252ゲッコウガ変幻冷B 60.7〜73.2%、確2
型がどうであれ対面からはインファ安定
無振り+1ポリゴン2冷B 49.2%〜58.6%、超高乱2
同C252 40.8%〜49.2%、確3
C 252アーゴヨンウェーブ 41.3%〜49.2%、確3
特化カプ・テテフサイキネ 58.6〜69.6%、確2
特化カプ・レヒレドロポンz 64.9〜74.9%
弱点が少なく、多少火力が高くても最低1発は耐えることができる。
終わりに
今回はこの型と合わせて先発性能を高めた型も考察した。育成論サンムーン/1887
アタッカー(または空を飛ぶ要員)としての印象が強いムクホークだが、実はかなり型が豊富でさまざまな構築にマッチするポケモンである。独特の強みとカスタマイズ性を持つこのポケモンを是非一度使ってみてはどうだろうか。