ホルード- ポケモン育成論サンムーン

• 全編において常体を用い、また敬称を略す。

最初に

• 多少調べれば分かる程度の略称、用語を用いる。また、性格補正あり252振りを「特化」、性格補正なし252振りを「ぶっぱ」と呼称する。
• ダメ計についてはアプリ「究マネ」を使用した。

論の前に

論に入る前に1つ問題を出そう。「がむしゃら」は物理攻撃技・特殊攻撃技・補助技のどれに分類される技だろうか。このページから移動することなく思い出してみて欲しい。

ホルビー

ホルビー

ホルビー

ホルビー

ホルビー

ホルビー

ホルビー

ホルビー

ホルビー

ホルード

正解は、物理攻撃技である。補助技だと勘違いしていた人もいるであろう。

受けサイクルブレイカー

さて、がむしゃらが物理攻撃技であるということは、Z化するとウルトラダッシュアタックになるということである。当然ながらウルトラダッシュアタックは通常攻撃。ということは、がむしゃら持ちにノーマルZを持たせると相手を強引に裏の圏内に削る技と高火力の決め技の両立を技枠1つで実現できるということである。つまり、

1. Zがむしゃらで相手を1体ぶっ飛ばす
2. 身代わりや相手の攻撃で程よくHPを減らす
3. がむしゃらでもう1体をごっそり削る
4. 裏のポケモンで止めを差してラス1もそのまま倒す

ということが可能となる。そして更に、それを使えるポケモンが元々凄まじい突破力を持っていた場合は、

1. Zがむしゃらで相手を1体ぶっ飛ばす
2. 他のウェポンでもう1体ぶっ飛ばす
3. 身代わりや相手の攻撃で程よくHPを減らす
4. がむしゃらでラスト1体をごっそり削る
5. 裏のポケモンで止めを差す

机上論だが、このようなことが可能となる。決まればなんとも楽しそうである。勿論ただの机上論ではなく、この動きは受け系のサイクルを仕掛けてくる相手に対して極めて強く出れる。がむしゃらの強制削りと正面からのスーパーパワーの波状攻撃で相手の受けが成立できなくなれば、相手のサイクルを容易く崩壊させてイージーウィンを狙える、という算段だ。
さて問題は、そんなことができるポケモンが存在するのかという話。条件としては、
・がむしゃらを覚える
・持ち物にノーマルZを持つ余裕がある
・ウルトラダッシュアタックを超高火力で放てる→常時物理火力アップ特性持ちノーマルタイプ
・受けポケモンが受からない程の火力を捻出できる→積み技持ち(積み技なしではほぼ不可能)
・がむしゃらをZ化する意味がある→他にノーマル攻撃技を採用する必要がない(先制技を除く)→複合タイプ
・相手の上から身代わりを貼れる最低限の素早さを持つ
この6要素全てを満たしているポケモンとなる。該当するポケモンは、ラッタア種ラッタ(アローラ)(張り切り・普悪・S77)、ホルードホルード(力持ち・普地・S78)の2体。双方に良さはあるのだが、ラッタア種は張り切りの技外しが大きなネックとなる。火力や耐久で少し勝っている点や4倍弱点の有無もある。今回はホルードにこの戦法をやってもらおう。

性格・努力値・持ち物・特性

この型で最も重要なのはSラインである。どこまで抜いて上から身代わりや攻撃ができるか、というのはこのホルードが倒せる範囲に直結する。読者諸君がどこまで見たいか、ということを考えた上で調整してほしい。以下に重要ラインを列挙しておこう。「↑」は性格補正を表す。

ホルード↑252振り……最速ヒードラン抜きヒードラン
ホルード↑228振り……準速FCロトム抜きヒートロトムウォッシュロトム
ホルード↑204振り……最速メガバンギ抜きメガバンギラス
ホルード↑172振り／252振り……準速ヒードラン抜きヒードラン
ホルード↑124振り／212振り……最速バンギラス・最速テッカグヤ抜きバンギラステッカグヤ
ホルード68振り……無振りFCロトム抜きヒートロトムウォッシュロトム

この辺りを参考にSを調整してほしい。後はH実数値4n+1となるようにHに振り余裕があればDL対策をした上で火力に全振りすればいい。読者諸君のパーティーに合わせて調整しよう。性格は陽気と意地っ張りの選択となるはずだ。
確定欄には意地H4A252B12D20S220を据えておく。最速テッカグヤ抜き抜きにすることで、そのあたりで調整しているヒトムあたりを吹っ飛ばそうという算段である。
持ち物はコンセプト上ノーマルZで確定、特性はアタッカーのため力持ち1択である。

技構成

今回はコンセプトを満たす上で自由になる技枠が存在しないため、4技全て確定である。以下、列挙する。

• がむしゃら

（相手の残り体力−自分の残り体力）分の定数ダメージを与える物理攻撃技。通常は襷や身代わりを駆使して対面の相手をごっそり削るという目的でのみ使われる技である。実際このホルードもその使い方はするが、今回はZ技化することで一発限りだがZ恩返しと同じ威力160の通常攻撃としても運用できる。教え技。

• 身代わり

がむしゃらの体力調整、相手の補助技回避、剣舞を積む隙作り等マルチに使える技。特にがむしゃらの体力調整のため必須である。技マシン。

• 剣の舞

いくら力持ちを持っているホルードと言えど、受けポケを一気に切り崩すにはまだ少し火力が足りない。その点火力を引き上げられる技は必須である。技マシン。
因みに、6世代技マシンにグロウパンチがある。こちらも一考の価値はあるだろう。

• 地震

流石に普通の一致打点が無ければ汎用性に劣る。そのため、コンセプトに必要な技という訳ではないが1体のポケモンとして必須である。レベル技。

運用

序論で書いた通り、Zがむしゃらと通常がむしゃらを駆使して相手を盛大に引っ掻き回すのが仕事である。最初に出したタイミングでなるべく有利対面を取れるよう、耐性を活かした受け出しや後攻蜻蛉等を駆使していくと良いだろう。エアームド不在の受けループなど、1体で崩壊させられそうなら先発でいきなりぶん投げるのも悪くない。1つ気を付けて欲しいのは、このポケモンは全ての相手に汎用的に出して無難に仕事をこなすポケモンではなく、一部のぶっ刺さる相手に出して大暴れするタイプのポケモンである。出す相手はしっかりと吟味しよう。
これは筆者の経験則での話なのだが、有利対面を取ったら積極的に身代わりを置きにいくことをお勧めする。ホルードは剣舞を積まなくとも洒落にならない火力はあるので、相手は急いで受けられるポケモンに交換してくることが非常に多い。そこに身代わりを置いて剣舞を積んでしまえば最後、相手は何も出来ずにパーティーが崩壊していくこととなる。交換読み剣舞でも悪くないが、相手が超強気に突っ張ってきた場合を考えると身代わりの方がより安定するだろう。

相性の良い構築

受け思考のサイクルに非常に強いという特性上、受けルや低速サイクルに弱い並びの補完枠として投入するのが一番良い。サザングロスクモサザンドラメタグロスオニシズクモ等、メタグロス軸のパーティーが筆頭候補になるだろうか。また、Sが速すぎないことから場合によってはトリル運用もできるので、積み技を使わないトリパ(ポリゴン2メガクチートやミミッキュオニシズクモ等)に突っ込んでみるのも面白いだろう。
これは注意点だが、エアームドとテッカグヤはこのホルードでは倒せない。この2体の対策枠は別途用意しておこう。

ダメ計

確定欄の調整で計算している。
今回は確定数の変動するラインを載せる程度に留める。ダメ計に名前が挙がっているからといってこのホルードの役割対象であるとは限らないということは留意していただきたい。不足は各自計算してもらいたい。

• 与ダメ

ホルードZがむしゃら
→H244霊獣ランドロス(威嚇非考慮)ランドロス(霊獣)
100.0〜117.4% 確定1発
→H252メガへラクロス
85.0〜100.0% 乱数1発(6.3%)
→図太いH220B252クレセリアクレセリア
50.2〜59.6% 確定2発
→H252テッカグヤテッカグヤ
42.6〜50.0% 乱数2発(0.4%)
→HB特化メガヤドランメガヤドラン
41.8〜49.8% 確定3発
ホルード地震
→無振りメガメタグロスメガメタグロス
101.9〜121.3% 確定1発
→H4ミミッキュミミッキュ
101.5〜119.8% 確定1発
→H252ギルガルド盾ギルガルド(シールド)
94.6〜112.6% 乱数1発(75.0%)
→H4メガミミロップメガミミロップ
83.7〜98.6% 確定2発
→HB特化ドヒドイデドヒドイデ
76.9〜91.7% 確定2発
→H252メガフシギバナメガフシギバナ
49.7〜59.4% 乱数2発(99.6%)
→HB特化カプ・レヒレカプ・レヒレ
41.2〜49.2% 確定3発

• 被ダメ

メガリザードンXのぶっぱフレアドライブメガリザードンX
100.6〜119.3% 確定1発
メガガルーラの特化恩返しメガガルーラ
69.6〜82.6%＋16.8〜20.5% 乱数1発(2.0%)
ミミッキュの特化じゃれつくミミッキュ
50.3〜59.6% 確定2発
ドヒドイデの無補正無振り熱湯ドヒドイデ
41.0〜49.7% 確定3発

メガリザードンYのぶっぱ火炎放射メガリザードンY
99.4〜118.0% 乱数1発(93.8%)
アーゴヨンのぶっぱ流星群アーゴヨン
82.0%〜96.9% 確定2発
カプ・コケコのぶっぱめざ氷カプ・コケコ
42.2〜49.7% 確定3発

編集後記

随分と久しぶりの育成論となってしまったが、如何だっただろうか。本論では、2つ程実験的な試みをしてみた。
1つは『「やりたいこと」を先に決めてからそれができるポケモンを探す』ということである。普段は書くポケモンを決めてからやれることを考えるので、順番が逆なのだ。お陰で筆者の育成論としては珍しく候補技無しとなってしまったが、型としては面白いものが出来上がったと思っている。
もう1つは『ダメ計の数を可能な限り減らす』。筆者はダメ計を回すのは割と好きなタイプではあるが、育成論に載せるダメ計は適切なものを探すのがなかなか難しく結構な負担となっている。ダメ計の負担は恐らく頻繁にこのサイトに投稿している人共通の悩みだろう。正直筆者としてはこういう所に載せるダメ計は確定ラインさえ示せれば充分だと思っている。そして「このポケモンの攻撃はどのくらい耐えるんだろう？」と気になったのであれば、是非自分でトレ天や究マネなどを開いて計算してみて欲しい。色々計算しているうちになんだか楽しくなってくるものである。

お付き合い頂きありがとうございました。

おまけ

※今回のおまけは長いので興味がない人は飛ばしてほしい。

ところで読者諸君は、ピカブイをプレイしているだろうか。筆者はピカチュウ版を購入し、のんびりとプレイしている。ガチ対戦をメインにしている人にとっては不満点もあるかもしれないが、「純粋にポケモンの世界を楽しむ」という点では歴代最高傑作なのではないかと筆者は考えている。ジョイコンやモンボ＋を使ってのゲット体験は少々難易度は高いが非常に面白い。何よりも相棒のピカチュウが可愛い。本当に可愛い。あのクオリティのリフレ系列を是非とも来年の新作にも持ってきてほしいものである。
それと、スマブラの話。ポケモンからの参戦ファイターはガオガエンガオガエンだったが、読者諸君の予想は当たっただろうか。筆者はネクロズマを予想していたので外れた 筆頭候補と言われていたのはジュナイパージュナイパーだったが、言われてみればレスラー系ファイターというのは今までいなかった点、空飛ぶ弓使いには丸かぶりするファイターがいた点を考えると確かに納得のチョイスである。なかなか癖のある面白いファイターになっていそうなので、是非発売されたら触ってみたいものだ。