- 全編において常体を用い、また敬称を略す。
最初に
- 多少調べれば分かる程度の略称、用語を用いる。また、性格補正あり252振りを「特化」、性格補正なし252振りを「ぶっぱ」と呼称する。
- ダメ計についてはトレーナー天国のツールを使用した。
特殊型の強み
近頃、オニシズクモ界隈において本格的に特殊型が流行し初めている。PGLシングルデータによると、シーズン9においては控えめオニシズクモは11.8%、波乗り・熱湯は合わせても26.1%程であった。だが、現在では控えめが27.5%(約2.3倍)、熱湯だけでも30.8%(波乗りは22.3%)となっている。本論ではその流れに乗り、特殊水Z型を考察していく。
特殊水Z型と他の型とを比較してのこちらの強みは大きく2つ。1つは、メガリザードンXY・メガメタグロス・メガクチートメガリザードンXメガリザードンYメガメタグロスメガクチートの全てに確1を取れる唯一の型であるということ。物理型ではメガメタグロスや威嚇込みのメガクチートにZアクブレで確定が取れず、眼鏡型ではリザYに晴れ下波乗りを耐えられる。ここに上げた4体はオニシズクモを2擊で持っていく手段を持つポケモンばかりであり、全てを1撃の下に捩じ伏せることができるというのは非常に大きい。もう1つは─これは眼鏡型にも言える強みだが─吹雪によりメガボーマンダに抵抗できるという点。一度でもオニシズクモを使ったことがある人なら分かると思うが、オニシズクモはメガボーマンダが天敵であり、非常に強く呼ぶ。そこに吹雪を刺すことで耐久無降りならば乱1、耐久に振った型でもただでは済まないダメージを与えることができる。現環境のマンダを倒すのは少々厳しいにしても、相手のペースを乱すことができると考えれば上等であろう。勿論、打つのは交代読みでだが。
環境に多いメガ枠(メガリザードンXメガリザードンYメガメタグロスメガバシャーモメガゲンガーメガルカリオメガクチート)に軒並強いのが生来のオニシズクモの強み。その中で一発で倒せないポケモンがいなくなりかつ天敵のメガシンカへの抵抗手段を持った特殊水Z型は、言うなれば†メガシンカキラー†と言うべき存在である。
差別化
物理型ならば火力だけで殆どのポケモンと差別化できたオニシズクモだが、今回は1体だけ避けては通れない差別化対象がいる。同じ鈍足特殊水高火力アタッカーである専用Z型アシレーヌである。当たり前のように水技の素の火力はこちらが上回っているものの激流発動後は逆転され、水・妖の広い等倍範囲と泡沫のアリアという一致音技によって幅広い相手に高火力を押し付けられる。アンコールや滅びの歌等の搦め手、アクジェもアシレーヌにしかない。
ここはやはり、水泡込みの独特な耐性で差別化したいところである。例としてメガルカリオを挙げよう。メガルカリオのぶっぱラスターカノンはHぶっぱアシレーヌに対しては45.3%の乱2であり、アシレーヌではメガルカリオへの後出しが安定しないことが分かる。だが本論のオニシズクモの場合は超余裕の乱数4発。交代読みで悪巧みを積まれようが余裕で返り討ちである。他にも、役割対象である地面タイプが上から地面Zをぶっぱなしてきてもクモなら1発耐えるというものも少なくない。岩技くるだろと思うだろうが、ランドロスのエッジ程度なら耐えるクモにとって不一致岩技など些細な問題である。
性格・努力値・持ち物
控え目H236B4C220D4S44を確定欄としている。CはZ波乗りで無振りリザY確1までに留めてSに無振りカバルドン抜き調整を施し、残りをHに符っている。HC特化に比べ耐久が多少落ちている関係上コケコの10万などを確定で耐えることは出来ないが、それでもかなりの高乱数で耐えるため充分であろう。無論、脳死でのHC特化でも何ら支障はない。
持ち物はコンセプト上ミズZで固定である。
技構成
火力調整の都合上、波乗りは確定。技マシンでの習得である。
以下、残り3枠の候補技を列挙する。確定欄は波乗り/吹雪/めざ炎/ねばねばネットとしている。
- 吹雪
竜・飛複合や草タイプへの打点。むしろそいつら以外には打たない。それどころか草タイプにすら水半減程度ならZ波乗りで足りることも。先に挙げた通りマンダへの逆襲に非常に有効な技だが、そのマンダには基本交代読みで打つ。トリル下でもない限り対面で打つことのないように。恩返しで四散する。技マシン。
因みに冷凍ビームは眼鏡でも持たない限り火力が足りないため候補外である。C種族値50は伊達じゃない
- 目覚めるパワー炎
ナットレイカミツルギユキノオーメガユキノオーパラセクトミノマダム(くさき)ハハコモリの約6体にのみ打つ技。こいつら以外の炎4倍勢には波乗りの方が入る。最も4倍めざ炎より半減Z波乗りの方が入るのだが。因みにH4カミツルギはZ波乗りでも確1である。技マシン。
- 熱湯
下手に弱点を突くよりダメージが入ることに加え、火傷が狙えるのが大きい。ささやかながら金縛り状態対策にも。技マシン。
- ねばねばネット
ま た か よ
技スペが余っているので折角なら見方のサポートになる技を、ということでの採用。余裕のある対面で撒いておけばサイクル全体で有利を取りやすい。ツボツボ・バチュル系統等から遺伝可能。
- 寝言
技スペが余っているからという理由もあるが、カバルドンへの後出しが非常に安定するようになるという点でクモにとってはかなり有用な技だったりする。拘りアイテムを持っていないため一々引く必要がないというのも良点。技マシン。
- 毒々/ミラーコート
オニシズクモの余った枠に入る定番技2種。わざわざ説明する必要はないだろう。技マシン/レベル技。
- 身代わり(提案:ななみ)
クモは割と有利不利がはっきりしているので、交代読みで置くチャンスは多いかもしれない。物理型の場合美味しい場面があまり多くないが、この型に関しては対面でマンダに吹雪を打てる例外的な場面を作れたりする。技マシン。
運用/相性の良いポケモン
…という項を設けたはいいが、運用については例の如く有利対面で水技をぶっぱなす簡単なお仕事である。物理型以上に水技に頼ることになるため、吹雪やめざ炎を採用した場合でもマンダやナットレイ等の水技の通らない相手には基本的に突っ張らない方針でいくべきである。
但し、物理型では有利なポケモンでも特殊耐久が高いせいで対面が微妙になる、という場合もあるためそこは注意。逆もまた然り、だが。タイプ中ではトップクラスの火力であるものの、アシレーヌの約1.2倍程度なので1発耐えられるケースもそれなりにある。ステロや他ポケモンでの削りも交えて一貫を作っていくのが理想である。
相性の良いポケモンについては筆者やその他多くの人の書いた他のオニシズクモ論に多数記載されている。特殊型になったところで相性の良いポケモンにそう大した違いはないため、参照してもらえると有難い。この論だけ見るよりもオニシズクモについて色々と知ることができるだろう。
ダメ計
- 与ダメ
・波乗り
→H4霊獣ランドロスランドロス(霊獣)
132.1%〜156.3% 確定1発
→慎重H244D236霊獣ランドロス(育成論サンムーン/1356)
77.9%〜93.3% 確定2発
→H252D4カバルドンカバルドン
109.7%〜129.3% 確定1発
→D4メガルカリオメガルカリオ
82.7%〜97.9% 確定2発
→H4カミツルギカミツルギ
78.5%〜93.3% 確定2発
→無振りメガゲンガーメガゲンガー
69.6%〜82.9% 確定2発
→無振りメガリザードンXメガリザードンX
67.3%〜80.3% 確定2発
→H4ミミッキュミミッキュ
66.4%〜78.6% 確定2発
→H252砂嵐下メガバンギラスメガバンギラス
50.2%〜60.8% 確定2発
→H252D4ギルガルド盾ギルガルド(シールド)
38.3%〜45.5% 確定3発
・Z波乗り
→H252メガクチートメガクチート
117.1%〜138.2% 確定1発
→D4メガメタグロスメガメタグロス
103.2%〜122.5% 確定1発
→無振りメガリザードンYメガリザードンY
101.9%〜121.5% 確定1発
→H244メガガルーラメガガルーラ
83.8%〜98.5% 確定2発
→H244D12奇石ポリゴン2ポリゴン2
63.3%〜75.3% 確定2発
※波乗り+Z波乗りで95.8%〜113%の乱1(75%)
・吹雪
→H4メガボーマンダメガボーマンダ
95.9%〜114.6% 乱数1発(81.3%)
・めざ炎
→H4カミツルギカミツルギ
142.2%〜168.8% 確定1発
※→H68D252カミツルギ
83.9%〜100.6% 乱数1発(6.3%)
→H252ユキノオーユキノオー
46.7%〜56.8% 乱数2発(75.4%)
→H252D4ナットレイナットレイ
39.7%〜48.6% 確定3発
※参考:各技・各状況での火力指数
2倍波乗り……57,780
等倍Z波乗り…56,175
4倍吹雪………47,080
等倍波乗り……28,890
半減Z波乗り…28,087
4倍めざ炎……25,680
2倍吹雪…………23,540
半減波乗り……14,445
- 被ダメ
メガクチートの特化じゃれつくメガクチート
89%〜105.7% 乱数1発 (31.3%)
ミミッキュの特化ぽかぼかフレンドタイムミミッキュ
85.5%〜101.1 乱数1発 (6.3%)
霊獣ランドロスの特化ストーンエッジランドロス(霊獣)
84.3%〜99.4% 確定2発
メガメタグロスの特化雷パンチ/メガリザードンXのぶっぱ逆鱗メガメタグロスメガリザードンX
82%〜97.1% 確定2発
メガバシャーモの特化雷パンチメガバシャーモ
68.2%〜80.9% 確定2発
カプ・コケコのぶっぱフィールド10万ボルトカプ・コケコ
86.7%〜101.7% 乱数1発(12.5%)
ギルガルドの特化Zシャドーボールギルガルド(ブレード)
76.3%〜90.1% 確定2発
カプ・テテフの特化フィールドサイコキネシスカプ・テテフ
57.8%〜68.2% 確定2発
ポリゴン2の特化放電ポリゴン2
39.3%〜47.3% 確定3発
編集後記
なんだかんだで自身3度目のオニシズクモ論になってしまったが、いかがだっただろうか。アイアント・テッカニン・マッシブーン・アブリボン・アーゴヨンと、そろそろ虫ポケの人とかいうレッテルを貼られそうである。まあ虫ポケは好きだからいいのだが。
個人的に、物理型と特殊型の両方が実用レベルにあるアタッカーというのは非常に強いと考えている。特に普段物理型をやっているポケモンが特殊型をやると、威嚇受け回しで止まらない・ゴツメ系やキンシに触らない・物理受けを誘って逆に狩れるといいことが多い。リザードンがその典型である。オニシズクモの場合はタイプ受けに非常に弱いという難点こそあれ、数値受けならば立ち回り次第でぶち壊すことができるパワーがある。オニシズクモを使う際は特殊型での採用も1つ考えてみてほしい。
そろそろ虫ポケ…というよりねばねばネットから離れたいと思う今日この頃である。読者諸君にはネット中毒(2つの意味で)に注意してほしい。