-全編において常体を用い、また敬称を略す。
最初に
- 多少調べれば分かる程度の略称、用語を用いる。また、性格補正あり252振りを「特化」、性格補正なし252振りを「ぶっぱ」と呼称する。
- ダメ計についてはトレーナー天国のツールを使用した。
ツンデツンデ×突撃チョッキ
あまり強くないタイプ複合と言われることの多い岩・鋼複合。だがメジャー4倍弱点2つという点に目を瞑れば、9つの耐性を持ち、かつ無効も1つあると結構悪くない耐性をしている(と筆者は思う)。今回考察するツンデツンデツンデツンデ(以下ツンデ)の場合は種族値上も耐久に優れていることもあり、弱点を突かれなければそう簡単には落とされることはない。
……と、言いたいところなのだが。以下のダメ計を見て貰いたい。
ウルガモスウルガモスの特化Z大文字→H244D12ツンデ
104.1%〜122.7% 確定1発
アーゴヨンアーゴヨンのぶっぱC2↑Z流星群→上同
104.1%〜123.3% 確定1発
とまあ早い話が、タイプ上相手したいポケモンに対して、持ち物無しでは返り討ちを食らいかねないのである。ここには載せないが、リザYメガリザードンYの特化大文字で確1を取られていたり、テテフ
カプ・テテフの特化サイキネ+Zサイキネでぶっ飛ばされたり(両方フィールド有)する。悲しいかな、現環境の火力インフレが凄すぎるのである。挙げたポケモンたちはこちらからは全員1発で消し飛ばせるため余計歯痒い。
この問題を解決するため、今回はチョッキを採用する。上記した4技が全て特殊技であることからも分かると思うが、実はツンデが相手したいポケモンには案外特殊も多い。採用される補助技もトリルぐらいなもののため、補助技使用不可のデメリットもそこまで大きくない。特殊アタッカーへの確実な対面性能及び繰り出しに必要な耐久の両方を確保する際、ツンデにとって突撃チョッキは最適なアイテムである。
差別化
他のポケモンとは、ジャイロボールの火力と最大威力範囲、鋼半減の相手に対して打てる一致岩技やその他サブウェポン、霊Z以外のアタッカーミミッキュに対する安定感で差別化とする。
一番差別化すべきは、襷型ツンデである。「確実な対面性能の確保」という点では最適な持ち物である。優秀な補助技であるトリルの採用もでき、トリル始動要員兼トリルエースという動きも可能となる。この論を執筆中の2018/3/29時点では約3割のツンデが襷を持っている。
チョッキ型最大の優位点はやはり繰り出し性能である。ツンデはSが恐ろしく低いため、先にトリルを貼ってあるか的確に補助技に繰り出しでもしない限り、後出しで相手を倒すには相手の攻撃を2回耐える必要がある。そのため、襷型の場合は受け出し時のジャブ→上記のような高火力技という動きで倒される可能性がある。チョッキの場合はその可能性を大幅に軽減し、確実に反撃することができるようになる。
また、ステロで潰されないというのもチョッキの強みの1つである。
S個体値の余談
ツンデを使う上での大前提条件だが、S個体値は0又は1とするのが必須である。
ツンデのメインウェポン・ジャイロボールは自分と相手のSに依存して威力が決定される。計算式は以下の通り。
(25×相手のすばやさ÷自分のすばやさ)+1
(上限150、小数点以下切り捨て)
性格勇敢の際、S個体値がV(実数値29)の場合実数値173(=準速アーゴヨン)までしか威力150を出せないが、S個体値0(実数値16)の場合は実数値96(=4振りカプ・ブルル)まで威力150を出せる。
余談だが、この差が分かりやすいポケモンとしてカプ・ブルルカプ・ブルルがいる。試しに、HA特化S4振りのブルルに勇敢SVツンデと勇敢S0ツンデの特化ジャイロを打ってみよう。
SV(威力83)……79%〜94.9% 確定2発
S0(威力150)……143.5%〜169.4% 確定1発
このように、確定数が丸ごと1つずれることもあるため、最遅は必ず粘るべきである。ちょっと大変だが頑張ろう。実際はブルル対面では馬鹿力で割といい乱数で倒されるのであまり突っ張るべきではないというのは内緒である
以上、余談である。本題に戻ろう。
性格・努力値
今回は、性格は勇敢で確定とする。寂しがりでAブーストをかける型もあるが、それはまた別の型となるため今回は考察しない。
努力値は、H244A252D12でほぼ確定。自慢のジャイロの火力を確保するためA特化、総合耐久意識かつH奇数調整のH244、余りをDに振っている。ツンデの努力値は型に関わらず大体これでいいだろう。
ただし、カプ・ブルルと組ませる場合に限り、グラスフィールドの回復効率最大のH16n+1調整を施したH196A252D60という調整もありである。
特性・持ち物
特性はビーストブーストのみ。本論で採用している性格・勇敢の場合は確定で防御にブーストがかかる。
また、本論のコンセプト上持ち物は突撃チョッキで確定とする。
技構成
ツンデツンデの代名詞であるジャイロボールは確定。技マシンでの習得である。
以下、他3枠の候補技を列挙する。確定欄はジャイロ/ロクブラ/地震/馬鹿力とする。
- ロックブラスト
命中が比較的安定したタイプ一致技。ジャイロの通らない炎・水・電への打点となる。ついでに身代わり対策もできる。威力が不安定な点、たまに外れるのが難点。レベル技。
- ストーンエッジ
ロクブラとは逆に、命中が不安定な代わりに威力が安定している。身代わり対策は出来ない。ロクブラとの両立もありである。技マシン。
因みに岩雪崩は期待値がロクブラとあまり変わらないにも関わらず身代わり対策としても怯みワンチャンにも使えないため今回は候補外である。
- 地震
Mr.サブウェポン。炎・鋼に打つ。ツンデツンデの覚える技の中でほぼ唯一のギルガルドに等倍以上で通る技である。技マシン。
ブルルと組む際にグラスフィールドでの威力下降がどうしても気になる場合は地団駄(教え技)も無しではない。
- 馬鹿力
鋼に打つウェポンその2。ブルルと組む際はグラスフィールドでの威力軽減を受けないためとりわけ有用である。BダウンはブーストでカバーできるがAダウンはリカバーできないため注意。ナットへの最高打点。教え技。
運用
使い方としては他の型と特に変わらず、有利なポケモンに超火力ジャイロをぶっぱなす簡単なお仕事である。他の型に比べて相手への後出しがしやすいため、積極的にサイクルを回して相手を疲弊させていこう。
使ってみると分かるのだが、トリル警戒なのか以外と挑発を受ける場面が多い。この型では挑発はただのアドバンテージのため、挑発したい顔をしたポケモンが来たら積極的に攻撃して負荷をかけにいこう。
注意すべき点として、いくらチョッキを着てるとはいえ気合玉は無理な点がある。気合玉を持っている可能性があるポケモンに対しては細心の注意を払いつつ、もし打たれた時には避けられるように日頃から徳をツンデおこう。
相性のいいポケモン
- カプ・ブルル
カプ・ブルル
ツンデの弱点を全て半減以下に抑えられるのも美味しいが、それ以上にグラスフィールドの恩恵が非常に大きい。地震のダメージ軽減と疑似食べ残しは高耐久の割にガンガン弱点を突かれるツンデにとって非常に有難い。また、ブルルの苦手なアーゴヨンやメガマンダ、ゲンガーに対してツンデが強い。問題はバシャとメガルカがものすごく一環すること。
- オニシズクモ
オニシズクモ
そのバシャとメガルカに対して比較的強い駒として働く。また、並び的に相手にトリルを警戒させることができるため、思わぬところで挑発アドを取れることも。
筆者は以前鉢巻オニシズクモの育成論を投稿している(育成論サンムーン/1088)。合わせて読んで頂けると有難い。
早い話が、ガチのトリパに突っ込むことでトリルを警戒させてアドを稼ごう作戦である。また、自身も鈍足高火力のためトリルエースにもなれる。
メガクチートは弱点こそ共通しているものの、それを補って余りあるほど単体のスペックがエグいためあまり気にすることはない。
トリル要員は上に挙げた2体、特にバシャルカを止めやすく乱舞もできるクレセリアがおすすめ。因みにポリ2はあまりにもバシャがキツくなるため非推奨。
- ラティアス
ラティアス
これまたバシャに強いポケモンとして。ツンデの弱点はラティアスが全て半減以下、ラティアスの弱点の多くはツンデが半減とタイプ補完もそれなりに良い。前述したクチートも採用してラティクチ構築にするのもいいだろう。
余談だが、S8においてラティクチブルルツンデオニシズクモヒトムという並びのヤーティでレート2000を突破した論者がいるという話を聞いた。興味がある場合は各々調べる以外ありえない。
ダメ計
全て確定欄の調整で計算している。
- 与ダメ
・ジャイロボール
※【】内に威力を記載
→H252S無振りカプ・テテフカプ・テテフ【150】
201.1%〜238.4% 確定2体
→H252最遅ミミッキュミミッキュ【141】
197.5%〜233.3% 乱数2体
→H4S特化アーゴヨンアーゴヨン【150】
122.8%〜144.9% 確定1発
→耐久無振りS特化カプ・コケコカプ・コケコ【150】
111.7%〜132.4% 確定1発
→H252S無振りバンギラスバンギラス【127】
107.2%〜127.5% 確定1発
→HS特化メガゲンガーメガゲンガー【150】
101.1%〜120.3% 確定1発
→H4S特化霊獣ボルトロスボルトロス(霊獣)【150】
60.6%〜71.6% 確定2発
→耐久無振りSぶっぱメガバシャーモメガバシャーモ【150】
54.1%〜64.5% 確定2発
→H252S無振りマリルリマリルリ【77】
42.5%〜50.7% 乱数2発(2%)
→H196B4S124メガボーマンダ(育成論サンムーン/202)(威嚇込)メガボーマンダ【150】
57.4%〜68.2% 確定2発
→H252S無振りメガクチート(威嚇非考慮)メガクチート【77】
38.2%〜45.8% 確定3発
・ロックブラスト1発分
→H4ウルガモスウルガモス
84.4%〜104.3% 乱数1発
→無振りメガリザードンYメガリザードンY
78.4%〜94.1% 確定2発
→H252オニゴーリオニゴーリ
32%〜38.5% 乱数3発
→無振りメガリザードンXメガリザードンX
28.7%〜35.2% 乱数3発
→H4ギャラドス(威嚇込)ギャラドス
22.2%〜28% 乱数4発
→H196B4メガボーマンダ(威嚇非考慮)メガボーマンダ
19.4%〜24.6% 乱数5発
→H252テッカグヤテッカグヤ
11.7%〜13.7% 乱数8発
・ストーンエッジ
ロクブラ4発分のダメージのため割愛
・地震
→H252ギルガルド盾ギルガルド(シールド)
53.8%〜64.6% 確定2発
→H244ヒードランヒードラン
123.8%〜146.1% 確定1発
→H252メガクチート(威嚇非考慮)メガクチート
66.2%〜78.9% 確定2発
・馬鹿力
→H252ナットレイナットレイ
67.4%〜79.5% 確定2発
→H252テッカグヤテッカグヤ
36.2%〜43.1% 確定3発
- 被ダメ
メガバシャーモの特化跳び膝蹴りメガバシャーモ
179.6%〜210.7% 乱数2体
霊獣ランドロスの無補正無振り地震ランドロス(霊獣)
117.3%〜138.9% 確定1発
メガボーマンダのぶっぱ地震メガボーマンダ
79%〜93.4% 確定2発
メガギャラドスのぶっぱA1↑滝登りメガギャラドス
73%〜87.4% 確定2発
メガリザードンXのぶっぱA1↑フレアドライブメガリザードンX
62.8%〜74.2% 確定2発
メガクチートの特化アイアンヘッドメガクチート
40.1%〜48.5% 確定3発
ミミッキュの特化シャドークローミミッキュ
14.9%〜17.9% 乱数6発
カプ・テテフの特化気合玉カプ・テテフ
119.7%〜141.3% 確定1発
上同特化サイコフィールド下Zサイコキネシス
47.9%〜56.8% 乱数2発(89.1%)
ヒードランの特化大地の力ヒードラン
91%〜107.7% 乱数1発 (43.8%)
メガリザードンYの特化晴れ下大文字メガリザードンY
70.6%〜84.4% 確定2発
ウルガモスの特化Z大文字ウルガモス
70%〜82.6% 確定2発
アーゴヨンのぶっぱC2↑Z流星群アーゴヨン
63.4%〜75.4% 確定2発
上同ぶっぱ目覚めるパワー地面
52.6%〜64.6% 確定2発
ゲッコウガのぶっぱ波乗りゲッコウガ
51.4%〜62.2% 確定2発
霊獣ボルトロスのぶっぱ10万ボルトボルトロス(霊獣)
32.9%〜39.5% 乱数3発 (99.8%)
編集後記
如何だっただろうか。久しぶりに物理受け以外の育成論となった。でも物理耐久お化け
これは筆者の個人的な話なのだが、ツンデツンデやランドロスのような耐久値の高いポケモンにわざわざ襷を持たせるのは勿体無いような気がしてならない。勿論それぞれ明確な目的を持って採用してあるため、あり得ないと言うつもりは微塵も無いし、寧ろ優秀なのは分かっているのだが、襷は耐久不安のポケモンに持たせてあげたいな、という気分の問題である。分かってくれる読者はいるだろうか。
今回のチョッキツンデは、そんな考えもあって誕生した型である。UBらしくなかなか癖のあるポケモンだが、上手く使ってあげれば大活躍してくれるポケモンである。トリル軸やブルル軸で枠が余った時にでも採用を検討してくれればこれ幸いである。
そういえばツンデはヨワシのような群体ポケモンらしい。だとすると、ウルトラスペースの中をさがせばブロック1つだけのはぐれツンデツンデなんていたりするのだろうか。ちょっと見てみたい気もする。