- 全編において常体を用い、また敬称を略す。
最初に
- 多少調べれば分かる程度の略称、用語を用いる。また、性格補正あり252振りを「特化」、性格補正なし252振りを「ぶっぱ」と呼称する。
- ダメ計についてはトレーナー天国のツールを使用した。
鉄壁修得
Z技による火力インフレが起きている第7世代において、受け要員にはよりハイレベルな性能が要求されている。そんな中、7世代初登場のドヒドイデ(以下ドヒド)は受け界の新星となった。弱点3耐性8という優秀なタイプ、毒耐性、物理特殊共に高水準な耐久、自己再生を修得可能、特性再生力によるサイクル適正を持ち、主に受けループやカプ・ブルルとのコンビ(通称/ドヒドブルル)で活躍している。その実力は折り紙つきで、なんと12/13時点のシングルPGLランキングで同期のアシレーヌに次ぐ36位にランクインしている。因みにブルルは38位である。
そしてUSUMにおいて、教え技で新たに鉄壁を修得するに至った。これにより、今まで黒い霧での積みリセットを使って受けてきたポケモンを真っ向から受けることが可能となった上、先に積んでしまえば今まで受けられなかったポケモン(主に地面)をグラスフィールド等の力を借りずとも受けられるようになった。本論では鉄壁を採用した型について紹介すると同時に、他にUSUMで新規修得した技についても考察していく。
黒い霧型と比較
鉄壁ドヒドイデとの最大の差別化対象は黒い霧ドヒドイデである。ここでは、両者が有利なポケモンについて見ていく。尚、両者HB特化と仮定している。
- 共通
ミミッキュ(アタッカー)、(メガ)バシャーモ(例外あり)、物理メガルカリオ、メガリザードンY、メガクチート(例外あり)、ゲッコウガ(神通力除く)、アシレーヌ(サイキネ除く)、ギルガルド、マリルリ、ギャラドス(挑発除く)、パルシェン、毒の通る耐久ポケモンetc.ミミッキュ
バシャーモ
メガルカリオ
メガリザードンY
メガクチート
ゲッコウガ
アシレーヌ
ギルガルド(シールド)
マリルリ
ギャラドス
パルシェン
ポリゴン2
クレセリア
- 黒い霧型
弱点を突いて来ない特殊積みアタッカー、瞑想クレセリア、バトン構築(イーブイ→エーフィorワルビアル除く)etc.スイクン
カプ・レヒレ
ニンフィア
ウルガモス
クレセリア
イーブイ
テッカニン
ナマコブシ
- 鉄壁型(積みなし対面)
(メガ)バシャーモ(例外なし)、メガクチート(例外なし)、メガリザードンX、メガボーマンダ、バンギラス、メガガルーラetc.メガバシャーモ
メガクチート
メガリザードンX
メガボーマンダ
バンギラス
メガガルーラ
- 鉄壁型(積みあり対面)
物理型カプ・コケコ、霊獣ランドロス、ガブリアス、ドリュウズetc.カプ・コケコ
ランドロス(霊獣)
ガブリアス
ドリュウズ
鉄壁型だと受かる範囲が大幅に広がっていることが分かる。ランク上昇は引くとリセットされる関係上、鉄壁型は黒い霧型に比べてバトン対策はできなくなった代わり、サイクル性能はそのままに居座り性能が強化されたと言える。
性格・努力値
H252は確定、図太いB252D4と穏やかB4D252の選択。
ドヒドのH種族値は僅か50。なんと水タイプ最終進化系ワースト3位タイである。そのためぶっぱしておかないと耐久値が足りなくなりかねない。これで受けルスタンに入る程のポテンシャルがあるあたり他の要素の優秀さが伺える
C・Sはかなり低く振ってもどうしようもないレベルなので、他は耐久に振ることになる。基本的に物理受けのためB特化でいい。が、今回は鉄壁を搭載する関係上Bをカバーしやすいことを利用し、D特化してしまうのも手である。HD特化の場合、アーゴヨンのぶっぱ流星群が確3になる(悪巧み持ちは結局無理だが)等の違いが出る。
尚、確定欄はベーシックなHB特化にしてある。
特性
再生力で確定。ひとでなしも面白い特性なのだが、受けの観点ではやはり半自動で回復できる再生力の方が有用である。
但し鉄壁型はどちらかというと居座りに向いた型であり、再生力はあくまでも保険のような形になることが多い、ということは覚えておくとよい。
持ち物
黒いヘドロとゴツゴツメットの選択。
黒いヘドロは持久力を高める目的で採用される。H実数値が16n+1でないのは歯痒いが、それでも毎ターン回復できるのは優秀である。毒以外は毎ターンダメージを受けるということから、ささやかながらトリック対策にもなる。
一方ゴツゴツメットは処理能力を高めるための持ち物である。ドヒドが有利なポケモンのメインウェポンは接触技が多く(メガルカのインファ、バシャの膝など)、それに対してオートで反撃できるのは火力の低いドヒドには有難い。
確定欄には筆者が使用している黒いヘドロを据える。
新技考察
ここで少し話が変わるが、ドヒドがUSUMで新しく修得した技の中でも有用なものを幾つか紹介する。この型に限らず、今後のドヒドイデ考察の参考になれば幸いである。尚、全て教え技である。
- 鉄壁
上述の通り。
- 凍える風
相手の素早さを下げる効果を持つ。ドヒド自身は超鈍足のため1段階下降で抜けるのはせいぜい無補正無振りテッカグヤ程度だが、味方のサポートとしてはなかなか優秀である。しかしたまに外れる。
- 痛み分け
先程H種族値50と言ったが、その低さを存分に活かせるのがこの技。相手の削りと自分の回復を同時に行える。相手が削れてくるとこちらの回復量がしょっぱくなるため、採用する場合は他にも回復手段は確保しておきたいところ。
- マジックコート
ドヒド最大の弱点である挑発を跳ね返せるというだけでも採用価値はある。Z技化するとD2段階上昇効果がつくため、特殊受けとして採用する際はそれを候補に入れるのもいいだろう。
- 叩き落とす
言わずと知れた超優秀サブウェポンだが、ドヒドも修得。有利対面から交換読みで打つだけで相手にとっては脅威である。最も不一致の上A種族値63で無振りのため火力はかなり低いが。
- 胃液
特性に頼って火力を出しているポケモンを大幅に弱体化させることが可能。何の因果か、その手のポケモンの多くにドヒドが有利である(マリルリ、メガクチ、メガルカ、オニシズクモ等)。
- ダストシュート
毒物理最大火力。通常不利なコケコやテテフに交代読みで奇襲を仕掛けるこどができる。ただし、この型の場合だとA下降補正無振りのため確2な上外れる。確1を取りたい場合、そのようなコンセプトの育成論が既に存在しており非常に参考になる(育成論サンムーン/425)。興味があれば読んでみると良いだろう。列挙していて思ったがこのヒトデめっちゃ強化されている
本題に戻ろう。
技構成
コンセプトである鉄壁(教え技)、安定した回復手段となる自己再生(レベル技)は確定で良い。
残り2枠は「毒々か毒びしから1つ、その他から1つ」又は「攻撃技(痛み分け含む)から2つ」とすると良い。確定欄では前者を適用し、鉄壁/自己再生/毒々/熱湯としてある。
以下、候補技を列挙する。
- 毒々
火力の低いドヒドにとって貴重なダメージソースとなる。自身が毒タイプのため必中技となるのもおいしい。レベル技。
- 毒びし
毒々と異なり、1回ないし2回巻けば毒タイプが来ない限り相手を自動で毒・猛毒にできるのが優秀。飛行や浮遊持ちには効かない点に注意。レベル技。
- 熱湯
無効化されにくい安定した攻撃技となるが、それ以上に火傷の追加効果が優秀。火傷のA半減は急所時も適用されるため、引ければ受けがグンと楽になる。攻撃技の中では最有力候補であり、迷ったらこれを入れておけば安定する。技マシン。
- まとわりつく
役割対象を捕まえて確実に処理できるようになる他、安定した定数ダメージを入れることが可能になる。毒の通らない鋼に対しても仕事ができるようになるのも評価点。技マシン。
- 冷凍ビーム
メガマンダ・ランドロス・ガブ等への最高打点。自覚のある個体であれば、不利対面で打てば相手を凍らせることも可能。技マシン。
- トーチカ
接触攻撃を守れば相手を毒にできる。だが毒止まりなため、毒々や毒びしの代わりに採用するのはお勧めしない。あくまでも毒守の守るの代用として採用し、追加効果が発動したら御の字程度に考えておこう。レベル技。
- 凍える風、痛み分け、叩き落とす、ダストシュート
新規修得技から候補入り。概要は前項参照。全て教え技。
尚、他の新技は鉄壁型の場合技スペが足りないため候補外となる。
運用
基本的には他の型同様、メガルカリオやバシャーモ等有利なポケモンに繰り出して毒を入れるなり攻撃技で削るなりして受けるのが基本である。頃合いを見て自己再生をするのも忘れてはいけない。コケコやテテフ等不利なポケモン(主に弱点を突いてくる特殊)が来たら無理せず交代し、再生力で次に出す時の体力を確保しておこう。
他の型と異なる点として、有利対面を作れたら積極的に鉄壁で要塞化を図っていく点が挙げられる。この論を執筆している2017/12/22現在で鉄壁の採用率はそう高くはないため、案外すんなりと決まる。鉄壁を一度積んでしまえば物理ならば一致弱点でも2耐えするバケモノに変貌するため、そのまま本来不利なポケモンにも突っ張ってしまえる。というか正直、鉄壁を積んだ後に受けられない物理アタッカーはZ追い風確定急所型カミツルギぐらいである。勿論急所もあるため過信はいけないが、鉄壁を積んだ後はかなり強気に行動しても大丈夫である。
相性のいいポケモン
受けループでの採用が多いポケモンはここでは割愛する。
- カプ・ブルル
カプ・ブルル
言わずと知れたドヒドブルル。グラスフィールドでドヒドの地面弱点をほぼ相殺し回復手段も確保、ブルル自身も地面と電気半減、チョッキを着ればテテフにも対抗可能等、正にドヒドイデの相方になるために生まれてきたようなポケモン。今回の型は居座り性能重視の関係でフィールドが途中で切れる可能性が高いことだけ難点。
- ナットレイ
ナットレイ
ナットの弱点はどちらもドヒドが半減、ドヒドの弱点は地面以外ナットが半減と、相性補完に優れる。宿り木での回復と削りの補助ができたり、ステロでサイクルを有利にできる点も優秀。
- サザンドラ&ギルガルド
サザンドラ
ギルガルド(シールド)
ドヒドの弱点3タイプ全てに耐性を持ちこちらが殆どの弱点を半減できるサザンドラと、地面以外を半減できテテフへの強烈なメタとなるギルガルドという究極の相性補完コンビ。この2体と組ませる場合、毒びしや凍える風を採用して2体のサポートに回るのも一興である。
ダメ計
今回は指標程度にしか載せない。不足は各自で計算して欲しい。尚、確定欄の調整で計算している。
- 与ダメ
ドヒドイデ熱湯
→無振りメガバシャーモ
42.5%〜51.6% 乱数2発(6.3%)
→無振りドリュウズ
43.2%〜51.8% 乱数2発(5.1%)
→H4ミミッキュ
20.6%〜25.1% 乱数4発
→無振りメガルカリオ
25.5%〜31% 確定4発
ドヒドイデ冷凍ビーム
→H4霊獣ランドロス
60.6%〜72.7% 確定2発
→H4メガボーマンダ
53.8%〜65.4% 確定2発
→無振りガブリアス
52.4%〜63.3% 確定2発
ドヒドイデダストシュート
→無振りカプ・テテフ
74.4%〜88.2% 確定2発
→無振りカプ・コケコ
67.5%〜80% 確定2発
→H252カプ・ブルル
83.6%〜101.6% 乱数1発(6.3%)
- 被ダメ
物理技については、B±0/B2↑で掲載している。ドヒドイデ物理
バシャーモの特化2段階上昇Z雷パンチ
113.3%〜133.7% 確定1発/57.3%〜67.5% 確定2発
メガルカリオのぶっぱ6段階上昇インファイト
100.6%〜119.1% 確定1発/50.3%〜59.8% 確定2発
メガリザードンXの特化1段階上昇逆鱗
75.1%〜88.5% 確定2発/36.9%〜44.5% 確定3発
メガメタグロスの特化思念の頭突き
73.8%〜87.8% 確定2発/38.2%〜45.8% 確定3発
ミミッキュの特化6段階上昇シャドークロー
69.4%〜82.8% 確定2発/35%〜42% 確定3発
ドリュウズのぶっぱ地震
61.1%〜72.6% 確定2発/31.8%〜38.2% 乱数3発(78.6%)
ドヒドイデ特殊
カプ・テテフのサイコフィールド下特化サイコキネシス
118.4%〜141.4% 確定1発
カプ・コケコのエレキフィールド下ぶっぱ10万ボルト
87.8%〜104.4% 乱数1発 (25%)
アーゴヨンのぶっぱ流星群
51.5%〜61.1% 確定2発
ポリゴン2の特化10万ボルト
45.8%〜54.7% 乱数2発 (49.6%)
ギルガルドの特化シャドーボール
38.8%〜46.4% 確定3発
編集後記
今回は地味に初となる受け要員の考察となったが、如何だっただろうか。
筆者は今季、水統一でレートに潜っている。そこで受け要員としてこの鉄壁ドヒドイデを採用しているのだが、メガラグラージと並ぶ第2のエースと呼べるぐらいの大活躍をしている。他2体が瀕死・お荷物と化した絶対絶命の状況から、たった1体でHP満タンのミミッキュとメガルカ、猛毒状態のミトムの3体を纏めて相手し、あと1ターンあれば毒でミミッキュを削り切って勝利していた所まで追い込むという脅威の粘りを見せた時はその実力に感服したものである。筆者はこの論を含めて計7本(ゴチルアントを纏めて1本とするなら6本)の育成論を投稿しているが、誇張抜きで1番お勧めするポケモンである。ぜひとも使ってみて欲しい。
ところで筆者は最近育成論投稿のペースが上がっているが、これは面白いポケモンに出会う機会が増えてきているからである。