- 全編において常体を用い、また敬称を略す。
最初に
- 多少調べれば分かる程度の略称、用語を用いる。また、性格補正あり252振りを「特化」、性格補正なし252振りを「ぶっぱ」と呼称する。
- ダメ計についてはトレーナー天国のツールを使用した。
ジメンZテッカニンVSアーゴヨン
今作のレート環境において、アーゴヨンの対策に苦心している人も多いと聞く。抜きエースを止める手段の鉄板の1つである「上から殴り倒す」が、元々Sが高い上に更にブーストするという性質上成立しにくい。加えて等倍範囲の広い竜技を悪巧みを積みつつ放て、竜技を半減以下にしてくる鋼・妖は炎や毒技で倒せる。某600属ではないが、弱い訳がないのである。
しかし、ポケモンの世界というのは広いもので、アーゴヨンをSブーストしていようがほぼ100%上から殴れるポケモンというのは存在する。それがテッカニンである。1段階上昇ぐらいであれば、対面したターンに守ってしまえば逆転可能である。2段階上昇されていると2連守るをしなければいけないが、そもそも2段階上昇している時点でこちらのパーティーは崩壊しているため諦めるのが賢明であろう 加えて、Z穴を掘る(威力160)によって襷以外のアーゴヨンは余程耐久に振っていない限り灰塵と化す。そして何より、テッカニンはバトン役であるというイメージが非常に強いが故、Z技、ましてやジメンZなどほぼ読まれない。ジメンZテッカニンがアーゴヨン狩りにかなり向いていることが分かるだろう。
また、テッカニンのジメンZはカプ・コケコやゲンガー、バシャーモ、ヒードラン等、本来テッカニンが不利なポケモンに対してよく刺さる。言うなれば、地雷枠としての性能が抜群なのである。
ジメンZテッカニンの育成論は既に投稿されている(育成論サンムーン/745)が、本論はこれを対アーゴヨンが安定するようにカスタマイズしたものとなっている。こちらの論も合わせて読むと、よりジメンZテッカニンの強さが分かるだろう。
差別化
フォーク元の育成論で充分になされているため、それらを箇条書きで引用する。
まずは長所。
- 守る込みでスカーフ130属の上を取れる
- バトン型が有名なため、相手に挑発・アンコール等を無駄打ちさせられる
- 同様の理由で、相手が守る等の悠長な行動をとり難くなる
- 見た目と実際の有利不利関係が逆のため、役割対象を逃さず狩れる
- 役割対象外も霊以外には命懸けで削ることができる
- バトンタッチの存在
逆に難点としては以下が挙げられる。
- Z枠を使用してしまう上、元技が穴を掘るのため外すとリカバリー困難
- 役割対象が非常に限定的
- 耐久が低い(本論では耐久に多く割いているためフォーク元よりは多少マシだが)
- ステロで体力を半分持っていかれる
性格・努力値
アーゴヨンの相手をするにあたり怖いのが、死に出しの際にS逆転のため打った守るターンにZ技を打たれ、守る貫通で倒されることである。流石にCが上がっていない状態では起きない事象だが、C2段階上昇からは起こりうる。流石に4段階上昇は耐えろと言う方が酷なため、守る状態でアーゴヨンのCぶっぱ2段階上昇Z流星群を耐えるのを目標に耐久を調整する。Sは少なくとも役割対象中最速であるカプ・コケコ及びメガゲンガーは抜いておかないと役割遂行に支障が出る。そしてその中でも火力は最大限確保しておきたい。欲張りである
これら全ての要求を満たす努力値配分として、陽気H180A244B4D20S60というものがある。Sについては、最速130属抜きに少し色を付けて、S1段階上昇で砂下最速すなかきドリュウズ抜きとなっている。勿論Z穴を掘るで確定1発を取れるため、砂展開のストッパーとしての仕事も生まれる。
もう少しHに割いて命懸けのダメージアップを図ったりするのも一考の価値はあるが、そこは個々の判断に任せよう。
特性・持ち物
特性は加速、持ち物はジメンZで確定。このどちらを変えても役割遂行に支障が出る。
技構成
コンセプトに関わる穴を掘る(ツチニン時限定レベル技)、アーゴヨンへ死に出しする際のS逆転用の守る(技マシン)は必須である。
以下、残り2枠の候補技を列挙する。確定欄は穴を掘る/守る/命懸け/蜻蛉返り としてある。
- 命懸け
自らを犠牲にした最強の定数ダメージ技。相手のHPを味方の攻撃圏内に無理矢理押し込んだり、重い相手に対して疑似道連れのような使い方をしたりできる。一応候補技だが、確定で良い勢いである。チョボマキ系統から遺伝可能。
- 蜻蛉返り
襷潰しや皮剥ぎをしつつ後続に交代できる。ラス1に残ってしまった時にまともな攻撃技がないと足掻くことすらできなくなるため、そういう意味でも有用である。技マシン。
- バトンタッチ
テッカニンの代名詞とも言える技。厄介なポケモンを処理して通りやすくなったエースをSが上がった状態で出す、という離れ業も可能。勿論そうでなくても不利な相手が来た時にただ引くのではなくS上昇を引き継げるのは優秀である。レベル技。
- 毒々
技スペ余ったら取り敢えず入れとけ系。何もできない耐久型に対してのせめてもの抵抗になる。因みにだが、攻撃を受けておらずかつ相手が回復しないこと前提ではあるものの、毒々→毒ダメ→守る→毒ダメ→命懸け→毒ダメでポリゴン2を相討ちに持っていくことも一応可能である。技マシン。
- 砂かけ
へ?と思うかも知れないが、Z穴を掘るを打つ必要がない(またはなくなった)際にZ砂かけとして使用可能。Z砂かけは自分の回避率1段階上昇&相手の命中率1段階下降。バトンタッチと併用して味方の行動の安定感を向上させられる。レベル技。
- きりばらい
相手のステロ・壁展開を阻止することが可能。地味に相手の回避率を下げる効果もあるため、命中不安技を採用する味方のサポートとしても役立つ……かもしれない。USM新規教え技。
運用
このポケモンの運用で最も重要なのは、投げるタイミングである。耐久に大きく割いたとはいえ結局はテッカニン。耐久はその辺の進化前に毛が生えた程度である。そのため、攻撃を受けないタイミングで投げたいところ。だが、例えばコケコ交代読みでの繰り出しをすると、「何かあるのではないか」と警戒されて霊獣ランドロス等に引かれかねない。Z技を外したら終わりという関係上、それだけは避けたいところ。つまり、攻撃を受けることなく、かつなるべく役割破壊を警戒されないタイミングでの繰り出しが要求される。その条件を満たすタイミングは大きく3つ。先発、死に出し、地面技(拘り)読みである。
役割対象と対面できてしまえばこっちのもの。実はジメンZ、S6PGLデータでこそ採用率トップである。だが、そもそもテッカニン自体マイナーな上、いわゆる「鉄火バトン」のイメージが強すぎるため、変な投げ方をしていない限りそうそう警戒されるものではない。Sが勝っていることが確認でき次第遠慮なくぶっぱなして良い。
仕事が終わったら後は命懸けでとっとと退場するなりバトン等で後続のサポートをするなり、自由に立ち回ればよい。
役割対象
Z穴を掘るで確1、ないしは高乱1を取れるポケモンは大体役割対象足り得る。
S6最終PGLランキング100位圏内における該当ポケモン(+2)を列挙する。尚、基本的に耐久無振りであると仮定している。
アーゴヨン/ズガドーン/(メガ)バシャーモ/カプ・コケコ/ギルガルド(剣時のみ確1)/(メガ)ゲンガー/ヒードラン/(メガ)ルカリオ/ドリュウズ/ウツロイド/ジバコイル(頑丈非考慮)/ベトベトンア種/シャンデラ/(メガ)ライボルト(メガ時威嚇非考慮)/デンジュモク/ガラガラア種/ニドキング/ボスゴドラ(頑丈非考慮)/ニドクイン/ウインディ(威嚇非考慮)
実際は耐久振り等の要因で落とせない場合も出てくるが、この辺りが落とせる可能性が高めだと覚えておけばいいだろう。
相性のいいポケモン
- メガボーマンダ
今作からアーゴヨンに上から縛られるようになってしまったが、そのアーゴヨンをテッカニンが倒せる。邪魔者がいなくなれば暴走もしやすいというものである。
- ウルトラビースト
命懸けで削った相手を倒してビーストブーストを発動させ、そこから無双を狙う動きが可能。アタッカー向きのUB(フェローチェ、デンジュモク、カミツルギ、アーゴヨン)がよりよいだろう。特にカミツルギは鉄火バトン偽装もある程度可能。
- ワルビアル
岩半減電気無効のため、相性補完がそこそこ良いのに加え、つけあがるを覚えることから鉄火バトン偽装性能が高い。というか特性自信過剰にすれば本当に鉄火バトンにスイッチすることも可能かつ命懸けからの自信過剰発動も可能。勿論無理につけあがるを覚えさせる必要はない。
ダメ計
今回はかなり少なめである。不足は各自で計算してもらいたい。
- 与ダメ
Z穴を掘る
→H20アーゴヨン
120.5%〜143% 確定1発
→Hぶっぱバシャーモ
101.6%〜119.7% 確定1発
→Hぶっぱカプ・コケコ
91.5%〜108.4% 乱数1発(50%)
→無振りメガリザードンX
84.9%〜100.6% 乱数1発(6.3%)
→無振りバンギラス
75.4%〜89.1% 確定2発
→無振りウインディ(威嚇込み)
69%〜82.4% 確定2発
→無振りメガメタグロス
65.8%〜77.4% 確定2発
→H4ミミッキュ
64.8%〜77% 確定2発
蜻蛉返り
→無振りゲッコウガ(弱点)
87%〜103.4% 乱数1発(12.5%)
→無振りサザンドラ
61%〜73% 確定2発
- 被ダメ
マンムーのぶっぱ氷の礫
79.2%〜94.3% 確定2発
ミミッキュの特化2段階上昇ぽかぼかフレンドタイム守る状態
79.2%〜93.7% 確定2発
カプ・コケコのエレキフィールド下ぶっぱZ10万ボルト守る状態
93%〜110% 乱数1発 (62.5%)
アーゴヨンの特化2段階上昇Z流星群守る状態
84.2%〜99.3% 確定2発
いい感じのダメ計がなかった
編集後記
今回は初のフォーク論だったが、いかがだっただろうか。
SM最終シーズン初期にこの論のフォーク元の型をそのまま使用させてもらったのだが、初手で飛んでくるコケコを返り討ちにした時の爽快感は大きかった。それもあってか、「アーゴヨンが速くて止められない」という話を聞いた時にテッカニンが頭に浮かび、そこから我流でアレンジしたのが今回の調整である。使用者が増えすぎると警戒されるようになってしまうため、警戒されすぎない程度に増えるといいと考えている。
因みにだが、シカーダというのは蝉の英語での呼び方である。