- 全編において常体を用い、また敬称を略す。
最初に
- 多少調べれば分かる程度の略称、用語を用いる。また、性格補正あり252振りを「特化」、性格補正なし252振りを「ぶっぱ」と呼称する。
- ダメ計についてはトレーナー天国のツールを使用した。
オニシズクモ×拘り鉢巻
オニシズクモが物理水第2位の火力を誇る、というのは有名な話である。特性・水泡の持つ水技威力2倍の隠し効果により、生半可な耐久であれば半減だろうが受けだしを許さない火力で一貫性の比較的高い水技を打てるのがオニシズクモ最大のウリである。その見た目も相まって愛好家も多く、S6シングル最終ランキングにおいては同タイプのグソクムシャと共にトップ100に名を連ねている。
そんなオニシズクモだが、拘り鉢巻と非常に相性がいい。元々高い物理火力が更に強化されることは勿論、そもそもアクアブレイク(以下、アクブレ)以外あまり打たない関係上拘りのデメリットが薄いためである。特化鉢巻水泡アクブレの火力は圧巻の一言である。ここで少しダメ計を記載しよう。
→H4メガチルタリス
49%〜57.6% 乱数2発 (95.7%)
→耐久無振りメガリザX
96%〜113.7% 乱数1発 (81.3%)
→Hぶっぱツンデツンデ
100%〜119% 確定1発
半減でもH4メガチルタリス程度であれば受け出しを許さず、等倍ならばメガリザXに舞う暇を与えず、抜群に至っては全ポケモン中9位の物理耐久指数を持つツンデツンデすら一発で消し飛ばす。この暴力的な火力を一貫性の高い水技で放てる、それこそが鉢巻オニシズクモ最大の採用理由である。
差別化
ここまで火力が高いと、大体のポケモンに対しては「俺の火力を越えてから言え」の一言で差別化が効いてしまう。最も、それを差し置いても火傷無効・水泡込の独特な耐性・高い特殊耐久で差別化は容易なのだが。
だが、それでも差別化対象は3体ほどいる。以下で差別化をおこなう。
- マリルリ、シザリガー
物理水火力3位と1位。どちらも積み技と先制技を有している他、第2タイプも高火力かつ通りがいい。
こちらの差別化要素としては、火傷で機能停止しない点、特殊耐久の違い(コケコのぶっぱ10万を耐えられる等)、ミラーコートの存在が挙げられる。
- ミズZオニシズクモ
鉢巻同様、火力を追及した際に挙がる持ち物である。鉢巻と違い打ち分けが効き、ねばねばネット(USM新規タマゴ技)を始めとした補助技も採用しやすい。
こちらの優位点としては、全技が常に高火力であるという点が挙げられる。打つのは大体アクブレとはいえ他の技を全く打たない訳でもないため、他の技も高火力であるというのは重要である。
性格
意地っ張りと勇敢の選択。これはギルガルドをどう意識するかで変わってくる。
- 意地っ張り
こちらの場合は最遅ガルドより速くなるため、ミラーコートがないと冷静霊Zに対面で打ち負けてしまう(特化シャドボZ+A4影打ちは耐久に補正をかけないと確定で耐えられない)。だが盾に対してもアクブレで7〜8割入るため、他で削ってから対面する、ないしはあくまで削るだけという前提であれば一切問題はない。
- 勇敢
こちらは先程と逆で、最遅ガルドよりも遅いため、ガルドに対して打ち負けることは殆ど無い。しかしながら、諸刃の頭突き搭載型に限り先行諸刃でお陀仏となる。あまり多いという訳ではないが、普段安定する相手に何もできない可能性があるというのは考え物である。
また、トリルアタッカーとしての適性が意地っ張りより上がる、というのもメリットである。そこを強く意識する場合はS個体値を0にするのもいいだろう。
総じて、ギルガルドを複数で対処するなら意地っ張り、単機で対処するなら勇敢となる。パーティーや個々の考えによって選択するといいだろう。確定欄には採用率の高い意地っ張りを据える。
努力値
2つ程案を紹介する。
- HA252B4
確定欄の調整である。
単純に最大火力を出すためにA特化する。前述したHぶっぱツンデツンデ確定1発はA特化鉢巻以外では実現不可能だ。
Hぶっぱは一見脳死に見えるし実際1/4ぐらい脳死なのだが、これによって丁度16n-1調整が実現できる。火傷を受けることは無いが、ステロ・毒・天候ダメージを軽減できるのは充分なメリットである。
余りについては、Dは元々高いため振る必要なし、Sも1上がったところで……といった感じのためBに振るといい。一部物理技の乱数がほんの少しズレる。
- H252A140B68D4S44
メガルカリオのぶっぱインファ確定2耐え+無振りカバルドン抜き調整。性格は意地っ張り固定となる。
これによって、カバルカを1体でほぼ何もさせずに粉砕することが可能になる。火力が落ちるが、それでも無振りルカリオやHぶっぱカバルドン程度ならば余裕の確定1発である。
また、ガラガラア種の上を取ってアクブレ1発で沈めたり、メガリザXの特化逆鱗を耐えて確実に反撃できる(耐久無振りでも最高乱数を引かないと落とせなくなってしまっているが)ようにもなる。
オニシズクモは意外と努力値のカスタマイズ性が高い。上2つをベースに、各自で必要に応じて微調整を加えるといいだろう。
特性・持ち物
特性は水泡、持ち物は拘り鉢巻で確定。
水泡はオニシズクモの強さの根源であり個性であり他との差別化要素である。はっきり言って水泡でないならオニシズクモである必要はない。また、本論は鉢巻型の育成論のため、持ち物は鉢巻で固定である。
技構成
アクアブレイクは鉢巻型において採用しない理由を探す方が難しいレベルであり、文句なしの確定。レベル技である。
以下、残り3枠の候補技を列挙する。確定欄にはアクブレ/吸血/毒突き/毒々を据える。
- 吸血
もう1つのタイプ一致技であり、貴重な回復技である。他の型だと一致とはいえしょっぱい火力だが、鉢巻補正により充分な火力となる。レベル技。
- とびかかる
相手のAを下げる追加効果により、交代読みで打つことで後続の負担を軽くするなんて芸当も可能。サブウェポンがあまりにもないため吸血との両立も充分あり。レベル技。
- 毒突き
正直、鉢巻オニシズクモで採用に足る不一致攻撃技はこれとミラコしかない。……とは言ってもブルルを確1にできたり水妖に対するまともな打点になったりと、案外有用である。技マシン。
- ミラーコート
通常拘りアイテム持ちで採用されることはあり得ないが、何せ技が無いため候補入り。最近流行りのアーゴヨンや先に挙げたギルガルド等、特殊アタッカーを返り討ちにするには優秀な技である。が、読み違えると他の型よりも面倒なことになるため注意。レベル技。
- 毒々
こちらも通常拘りアイテム持ちで採用されることはあり得ないが、何せわ(ry。耐久型の機能を麻痺させることが可能だが、打ったら引かないといけないのがまた面倒。技マシン。
- 寝言&滝登り(提案:ダダダりん)
催眠対策としての寝言。カバルドンが欠伸ループしようとしている時に見せて無理矢理ぶった切ることも可能。起きたら交代する必要が出てくるためそこは注意。
寝言採用の場合は打ちたい時に水技が出てくれない、ということを避けるため、滝登りもセットで採用すると良い。アクブレより少しだけ火力が落ちるが、それでも充分な火力が出る。
運用
最早言うまでもないレベルだとは思うが、有利な相手に繰り出してアクブレをする、というのが基本の動きである。ここで言う有利な相手というのは、中火力や半減可能な特殊アタッカー(ゲッコウガ、メガリザY、メガルカリオ、ヒードラン、ズガドーン等)が該当する。1発打てば大きな負荷をかけることが可能なため、交代してこなければそのまま吹き飛ばせるし、交代してきてもダメージが充分であればそのまま捩じ伏せることが可能。ドヒドイデやボーマンダ等、無理な相手が来たら潔く交代するのが吉である。
アクブレ以外の3技については交代読み(ミラコのみ特殊技読み)で打つのが主となるが、等倍アクブレ>抜群虫技>抜群毒突き>半減アクブレ>等倍虫技のため、無理に交代読みで弱点を突くよりアクブレを打った方がいい場合が多い。勿論虫技2種の追加効果も優秀だし、これらの技を打った方がいい場合も少なくない。臨機応変に対応しよう。
また、トリルと組み合わせて運用するのも面白い。その場合ますますアクブレしか打たなくなるが、水技がある程度一環している相手であればそれだけで半壊させることが可能である。その場合、最遅ガラガラア種の更に下を取れる勇敢最遅も一考の価値ありである。
相性のいいポケモン
- ツンデツンデ
火力補助のステロ、素早さ逆転のトリル、メガマンダにタイプ上強い、飛行・岩耐性、物理耐久が高いと、正に至れり尽くせりなポケモン。ツンデ側からしても格闘(特にメガルカリオ)対面での引き先としてクモが優秀。因みにこいつ、メガマンダの特化地震をH252振りのみで18.8%の低乱1に押さえられる。
- マンムー
弱点である電気技を無効化でき、ステロも使える。オニシズクモの天敵・メガマンダに対する対抗打としても非常に優秀である。襷型が無難でいいだろう。
- 霊獣ボルトロス
電気・地面無効かつ飛行半減のため相性補完がまあまあ良いのに加え、オニシズクモからの有効打が一切ない(というか習得しない)ドヒドイデに対して強力なメタとして働く。ボルト側からしても苦手なゲッコウガにクモが強い。岩技が一環するためそのケアはしたいところ。
列挙のしすぎで際限がなくなるのを避けるため、この程度に留めておく。
ダメ計
確定欄の調整で計算を行っている。
- 与ダメ
アクアブレイク
→Hぶっぱ霊獣ランドロス(威嚇込み)
119.3%〜140.8% 確定1発
→Hぶっぱミミッキュ
119.1%〜140.7% 確定1発
→耐久無振りサメハダー
110.3%〜130.3% 確定1発
→H124B52メガルカリオ(通称・バロリオ)
104.3%〜122.9% 確定1発
→H252B100メガリザードンY(晴れ下)(育成論サンムーン/854)
91.8%〜110.2% 乱数1発 (56.3%)
→H4ガブリアス
91.3%〜107.6% 乱数1発 (43.8%)
→Hぶっぱジバコイル
81.3%〜95.4% 確定2発
→耐久無振りゲッコウガ(半減)
74.8%〜88.4% 確定2発
→耐久無振りアーゴヨン
69.5%〜82.4% 確定2発
→Hぶっぱギルガルド盾
68.2%〜80.8% 確定2発
→HB特化奇石ポリゴン2
43.7%〜51.5% 乱数2発 (8.6%)
→HB特化ドヒドイデ
27.3%〜32.4% 確定4発
→耐久無振りズガドーン
409.3%〜484.3% 確定4体
吸血・とびかかる
→H4サザンドラ
100%〜117.8% 確定1発
→H4メガギャラドス
81.8%〜98.2% 確定2発
毒突き
→Hぶっぱカプ・ブルル
101.6%〜122% 確定1発
→Hぶっぱアシレーヌ
69.5%〜82.3% 確定2発
→Hぶっぱカプ・レヒレ
50.8%〜61% 確定2発
- 被ダメ
メガリザードンXの特化逆鱗
89.1%〜105.1% 乱数1発 (31.3%)
ミミッキュの特化ぽかぼかフレンドタイム
84.5%〜100% 乱数1発 (6.3%)
メガメタグロスの特化雷パンチ
81.1%〜96% 確定2発
ガブリアスの特化ストーンエッジ
76.5%〜90.2% 確定2発
メガルカリオのぶっぱインファイト
45.1%〜53.7% 乱数2発 (41%)
カバルドンの無補正無振り岩石封じ
30.8%〜36.5% 乱数3発 (50.6%)
カプ・コケコのエレキフィールド下ぶっぱ10万ボルト
85.7%〜100.5% 乱数1発 (6.3%)
ギルガルドの特化Zシャドーボール
75.4%〜89.1% 確定2発
アーゴヨンのぶっぱZ流星群
74.2%〜88% 確定2発
カプ・テテフのサイコフィールド下特化サイコキネシス
58.2%〜68.5% 確定2発
ズガドーンの特化眼鏡ビックリヘッド
53.1%〜63.4% 確定2発
メガリザードンYの特化ソーラービーム
39.4%〜46.8% 確定3発
編集後記
筆者は育成論投稿の間隔の広さになら定評があると思っている。これは執筆するモチベーションが出た時に書き出し、それが書き終えるまで持ったら投稿する、という形を取っているからである。
そんなどうでもいい話はさておき。実は筆者、SM・USUMの2作連続でメインROM旅パの主力にするぐらいにはオニシズクモが好きである。そのため、前からオニシズクモの論を投稿したいなと考えてはいたものの、オニシズクモの論は意外と群雄割拠であり、なかなか投稿する隙がなかった。だが先日、鉢巻型が投稿されていないことに気付き、急いで筆を取った次第である。本論がオニシズクモ布教の足掛けになればこれ幸いである。
ところで近頃PGLを見ていると、どうやら控えめ眼鏡オニシズクモという新型がオニシズクモ界に台頭してきているらしい。今度考察してみたいものである。