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白き闇・黒き光〜殺し屋物語〜
第四章 朝日
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「朝日?」
少女は首をかしげた。有氷は微笑みながら言った。
「朝日…朝日はいつも毎朝希望をくれる。だから、自分に希望を持って旅をしてほしい。だから朝日。」
少女は興味シンシンで聞いていた。この時の有氷の表情はどこか懐かしげだった。
「そうなんだ…うん。気に入った!じゃあ、今から朝日!」
「そうか。」
朝日は満面の笑顔で言った。有氷はそのテンションに苦笑しながら言うのだった。そして夜―シダケタウンはもう目の前にあるのだが、有氷が行けば大騒ぎになるかもしれないので、野宿。
「ポケモンセンターに行っててもいいんだぞ?」
「ううん。有ちゃんと一緒がいいし、自然はなんだか落ち着くもん。」
朝日は元気よく言った。有氷は夕飯を作る。朝日は何故か昨日からおなかがすかないらしい。というより、食べたら気分が悪くなったそうだ。なので、一人前。
「本当にいいのか?」
「うん。食べたら気分悪くなっちゃうから。」
朝日はそういう。有氷は夕飯を食べる。すると朝日が話しかけてきた。
「有ちゃんって、案外心配性なんだね。」
「そうか?…あのな、知り合いですごい心配性な人がいるんだ。」
「え?どんな人?」
少し嫌らしい顔をしながら話す有氷に朝日は体を乗り出して聞いた。
「その人な、約束関係に五月蝿いんだ。”明日時間守ってくださいね?絶対ですよ?”とか、”2時間前ですから!”とか、とにかく心配性を通り越して五月蝿い人なんだ。もう、うんざりさせられる。それがほぼ毎日電話とかでかかってくるんだ。迷惑な話だろ?」
「あはは!確かにそれは五月蝿いね。有ちゃんも大変だね〜。」
「そうだろ?ある意味かわいそうだろ?」
朝日は大笑いして聞いていた。有氷も思い出し笑いしながら話していた。
「でも、そんなこと言っちゃって平気?」
「大丈夫だ。あの人は足や力こそ強いが、私にはかなわない。…まあ、口には負けるけどな。」
「あはは!仲いいんだね。」
「まあな。」
2人はそう話しながら夕食を終えた。その一方で―
「ハクション!」
「だ、大丈夫ですか?風邪でも引いたんじゃ…」
「うーん…でも、大丈夫ですよ。俺、リンキョウシティで風邪にはなれてますし。第一、熱もありませんしね。」
「だめですよ!最近、夜中に調べたり、見回りもしてるんですから、疲れがたまってるかもしれません!それがくしゃみに出たんですよ!無茶はせずに今日はゆっくり休んでください。一番頑張ってる人が休まなくてどうするんです!」
「そ、そうですか…?じゃ、じゃあ、お言葉に甘えて…今日はもう寝ることにします。おやすみなさい。」
「はい!」
その夜明け前―
「…昨夜は久しぶりに他人と楽しく話せたな…」
有氷は木の枝に座っていた。空を見上げながら有氷はつぶやく。
「…記憶をなくしたら…不安だよな。…ちゃんと守ってやらないと。」
有氷は朝日を見つめてふと呟き、あることを思い出す。それは、自分が過去に行った時だった。記憶をなくしたその頃の自分の気持ちだった。
「…今思うと、朝日はもしかしたら本当に希望をくれるのかもしれない。…話していると、なんだか気持が明るくなる。」
有氷は朝日を見てつぶやく。すると、ハッと思いだした。
「…そういえば、スタイラー持ってるけど、どうしよ…?」
有氷は持ち物の中でスタイラーを思い出す。もちろん、自分はポケモンレンジャーになっていないことになっているので、他の人からしては”何故持っているんだ”となり、ややこしくなる。それでしばらくスタイラーは使っていない。まさに、宝の持ち腐れだ。そんなことを考えていると―
「む…」
朝日が起きた。朝日は眠たそうに眼をこすり、周りを見渡す。
「…有ちゃん…」
「ここにいる。」
朝日が有氷の名前を呟いた。有氷は枝から飛び降りた。朝日はそれで目が覚めたようだ。
「何してたの?」
「朝日を見ようと思ってな。一緒に見るか?」
「うん。」
有氷の誘いに朝日は頷いた。有氷は朝日をおぶり、木の枝まで登った。2人は並んで座る。すると、丁度朝日の光が差し込んできた。
「わぁ・・・きれい・・・」
「…あぁ。」
朝日はその美しさに目を輝かせる。有氷は微笑みながら朝日を眺める。
「有ちゃんって毎朝見てるの?」
「…あぁ。朝日が好きなんだ。…見ているとその日もがんばれるんだ。」
「ふぅ〜ん…そうなんだ…分かる気がする…」
有氷は微笑みながら答えた。朝日は少し納得できた。そして、有氷を見る。
(・・・今の有ちゃん、なんだか嬉しそうで何か懐かしそうな顔してるなぁ・・・)
朝日はそんな感想を持つ。そして、また朝日のほうに目をやる。すると、一瞬顔がポッとなる。
(・・・朝日と朝日…なんだか自分のこと言われてるみたいだなぁ・・・…でも、嬉しいな。朝日って名前…)
朝日はひそかにそう思った。すると、有氷はふっと言った。
「…朝日を見てる時…ややこしいか?」
「え?…ううん。むしろ、自分のこと言われてるみたいで嬉しいし、この名前気に入ってるから。」
「…そうか。」
有氷は少し安心したような表情になり、また朝日のほうを見る。そして、2人は朝日を見届けたのだった―
温かい一日を告げる光を浴びながら―
![第四章 朝日](http://img.yakkun.com/bbs/novel/u/n4042_5.png)
2011.4.6 20:45:27 公開
2011.4.6 22:01:27 修正
■ コメント (6)
※ 色の付いたコメントは、作者自身によるものです。
11.4.7 13:26 - 窮爽 (monoraru) |
こんばんは〜 挿絵、明るい感じでいいと思います^^ 朝日・・・いいですねぇ、 朝日を朝日といっしょに眺めるとは((ほんのり 私も朝日見てみたいですね〜 だって基本、起きる時間は真昼間((蹴り そしてある人が風邪をひいたみたいな 文章がありますが・・・まさかその人ってっ ((想像中 それでは風鈴さん、頑張ってください!!! 11.4.7 02:56 - papiko (papiko) |
頼ってばかりじゃいけない!ということで挿絵、久しぶりに書きました(汗 いや〜、ほんと久しぶりですね。 文章だけでは伝わりにくいと思うので、何とか書いてみました。 こいつです(おい それでは! 11.4.6 22:02 - 窮爽 (monoraru) |
そよかぜさんへ 五月蝿い人です(笑 有氷「ホントのことだろ?」 お前、こればれたら追いかけまわされるぞ(汗 希望。実は、私の好きな言葉です^^ コメありがとうございました!それでは! 11.4.6 21:24 - 窮爽 (monoraru) |
こんばんはそよです 五月蝿い人って・・・なんかうわさされてますよw 朝日ですか・・見ていてきれいだと思います!希望ですかなんか深いですねぇ・・!! それではノシ 11.4.6 20:58 - harumi (34sykm) |
はい、朝日と朝日。打っていて”ややこし!”って思いました^^ もうどっちがどっちだか(汗 それでは! 11.4.6 20:46 - 窮爽 (monoraru) |
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私も休みの日はお昼ですよ^^
有氷「それはまずくないか?」
まあ、休みだしね。問題ないさ。
コメありがとうございました!それでは!