白き闇・黒き光〜殺し屋物語〜
第三章 思い
著 : 窮爽
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「…それより、話の続き。」
「あ、そうだったね。」
「話そらしたな…プッ…!」
有氷はため息交じりに話を戻した。少女は思い出したかのような表情を見せる。トウロは有氷を見て吹き出した。そんなトウロを有ひょうは殺気の湧いた目で見た。トウロはさすがにまずいと感じ取ったのか、こほんと咳こみをする。
「えっと、続きだけどね?コピーは私を見て襲ってきた。つまり、コピーと私は何か関係があるんじゃないかっていうことだと思うんだ。」
「…で?」
「それで、有ちゃんはコピーを倒した。有ちゃんの手さばき、なんだか手馴れてるみたいだったし、旅をしているんでしょ?その旅について行けば何か見えてくるんじゃないかな?って。ね?お願い!」
「……」
少女はそういい、手を前にパン!と合わせた。それに有氷は腰に手を当てて考え込む。トウロは有氷の答えにあまり期待していなかった。
(あ〜…なんだか、無理っていいそう―)
「別にいいけど。」
「え!?」
「ホント?ありがとう!」
有氷は平然と答えた。それに少女は跳ねて喜ぶ中、トウロはただ茫然と驚いていた。
(こいつ…まったくわかんねぇ…)
「でも、あまり無理はしないように。」
「うん!」
「…俺も行こう―」
「トウロ!」
トウロが一緒に行こうと言おうとしたその時、ジュンサーの声が聞こえた。その声はどこか怒っているようにも聞こえた。トウロはギクッとなる。
「ゲッ!」
「待ちなさい!」
トウロは逃げだそうとしたが、ジュンサーに襟元をつかまれ、捕まってしまった。
「なんであんたがあの人といるのよ!」
「なんでって…」
「あとで聞くわ!ちょっとあなた―」
ジュンサーはトウロに怒鳴りつけ、有氷のいた場所を見た。しかし、そこはただ風がさみしく吹くだけだった。
「…逃げたな。」
「もーう!今日こそ話を聞こうと思ったのにぃ!!とにかく、あんたにはちゃーんと話してもらいますからね!」
「なんで俺がぁ!いてて!」
ジュンサーはそういうと、トウロの耳をつかみ、歩いて行った。トウロは痛そうにもがいていた。その一方で―
「よかったのかな?」
「まあ、あの2人は姉弟だし、大丈夫だろう。」
2人は町の中の出口付近にいた。少女は心配そうに言う中、有氷は平然と答える。すると、少女は有氷に言った。
「ねえ、あの後ろにいる人、何か用かな?」
「…ああいうのはあまり構わないほうがいい。…寒気がする。」
有氷は体をさするようにして言った。そして、2人は町を出ようとした。その時―
「お、おい。」
「…何だ。」
後ろから声をかけられた。有氷はめんどくさそうに振り返る。
「えっと…俺はこの町のジムリーダー、電気使いのショウだ。…お前は?」
「…は?」
「この人はね有ちゃんって言うの。」
「…正式には有光氷殺だけどな。」
ショウが尋ね、有氷は訳のわからないといわんばかりの顔になる。が、少女が有ちゃんと言うと、有氷は誤解されると思い、自分の名前を名乗った。
「で、何か用か?」
「えっと…その……あの…」
「……?」
(もしかして?…絶対そうだよね!)
有氷が尋ねると、ショウは顔が赤くなり、たじたじになった。その様子を見て、少女は眼を光らせる。
「…何もないなら、行く。」
「あ、あぁ…」
(えぇ〜!?有ちゃん、鈍い!この人も、もっと行かないと!)
2人の様子を見て少女は心の中で叫んでいた。少女は渋々有氷に連れられて、道路を歩いて行った。2人が去った後、ショウは―
「…美しい人だ……」
ショウは顔を真っ赤にしてつぶやいた。その時―プルルル!携帯が鳴った。ショウはハッとし、電話に出る。
「俺だ。」
「ショウさん、挑戦者です。…ケーキ持ってますけど…」
「いらない。俺は甘いものが大嫌いなんだ。いつも言っているだろう。しかも、店も出してないただの素人が作ったものだろう。なおさらだな。」
「…分かりましたよ。いつものように、断っておきます。…まったくショウさんは女性に対して冷たいですね。」
「言っただろ。俺は甘いものと女が大嫌いなんだ。何度も言わせるなよ。…挑戦は受けるけどな。」
そういい、ショウは携帯をしまった。そして、肩を落としながら歩く。
「はぁ・・・こういう時は言えるんだけどな…なんせ、女にどう声をかければいいのか分かりやしない。…また会えるだろうか。」
そういいながら空を見上げた―一方で―
「そういえば、私名前覚えてないから、呼べないよね、いざって時。」
「まあな。」
2人はそう話しながら道路を歩いていた。
「じゃあ、有ちゃん、何か名前つけてよ。仮の。」
「いきなりだな…そうだな…」
少女の頼みに有氷は手をあごに当てて考えた。少女はわくわくしている。そして、有氷は微笑んだ。
「…よし。」
「何何?」
「それはな…」
『朝日』だ。
2011.4.6 19:38:42 公開
■ コメント (5)
※ 色の付いたコメントは、作者自身によるものです。
11.4.6 21:22 - 窮爽 (monoraru) |
こんばんは〜 私も挿絵見ました!凄いと思います>< そして朝日・・・きっと よく見ているあの朝日を名前にしたんですかね〜 そしてショウ登場!っていうか まさか電気タイプのジムリーダーだったとは (。_。) 私だったらケーキ貰って、もっとくれと請求し((ぉぃ それでは頑張ってください!!! 11.4.6 21:03 - papiko (papiko) |
そよかぜさんへ ショウはまたもやあれと。 あ〜、キャラの性格って移りますよね!やっているうちにww ケーキ、大丈夫です!(おい! 女性に頼めば! 挿絵、ありがとうございます! もう、何ですか…あのが力は…分けてほしい…! もう百人力ですよ! それでは! 11.4.6 20:11 - 窮爽 (monoraru) |
風鈴さんこんばんはw 朝日・・いい名前ですね!!ショウですか・・ふふこれはこれは赤くなるってことは・・面白くなってきましたね! (最近望雅の性格移った気がする・・・・) ケーキとかもてもてですないらないなら私が変わりに!! ってだめですよね^^;挿絵のほうあれでよろしかったですか?なんかごめんなさい! それではノシ 11.4.6 19:52 - harumi (34sykm) |
はい、あの人気投票で仮、1位を取ったあいつが出ましたよ〜。 知っている方々は「またか!」って思ったと思いますww えー、第二章の挿絵、そよかぜさんが書いてくださりました! 素晴らしい絵をありがとうございました!それでは! 11.4.6 19:40 - 窮爽 (monoraru) |
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挿絵、ほんとすごいですよね!そよかぜさんを見習いたい!
朝日は有氷の好みww
ショウ久々です(笑
電気タイプだったんですよ^^まさかの。
ケーキ、私はモンブランが好きですw
コメ、ありがとうございました!それでは!