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白き闇・黒き光〜殺し屋物語〜

著編者 : 窮爽

第二十章  船出

著 : 窮爽

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「……」

有氷は違う場所で意識が少しずつ戻っていった。柔らかい感触に、白いイメージを思わせる天井。有氷は目を覚まし、周りを見る。そこは部屋だった。近くの机には荷物とモンスターボールがある。有氷は白いベットの中にいた。見ると、包帯が頭、腰、腕、肩、足、にまかれており、頬にはばんそうこうが貼られていた。来ていたのは病人がよく着る服だった。有氷は周りを見ていた。すると、部屋のドアが開く。

「目が覚めたのね。ここはトクサネシティの病院です。」
「トクサネシティ…病院…」

部屋に看護婦が入ってきた。看護婦の言葉に有氷はなんとなく、ここがどこなのか把握することができた。看護婦は話を続ける。

「あなた、海でサメハダーの群れに襲われていたのよ?それを、調査に来ていたここのジムリーダーの風さんと総さんが助けてくれたの。もう病院に来た時はひどいけがで本当に危なかったのよ?」
「サメハダーに…」

看護婦の話に有氷は呟く。全くそんな感じはしなかった。そんなことを考えていると、看護婦は尋ねた。

「あなた、トクサネシティ行きの船に乗ってた人?」
「……」

看護婦の質問に有氷は頷いた。

「乗客で助かったのはあなただけなの。後の人は運び込まれてもすぐに…行方不明の人もいるし…でも、本当によかった…」
「……」
「とりあえず、けがが治るまでは安静にしていて。お金もいらないし。」

看護婦はそういい、部屋を出た。有氷は窓の外にある海を見つめた。

「…急がないといけないんだ…でも、どうやってあいつの根城を知れば…」

有氷はどこか悔しげにつぶやいた。
その夜―
有氷は棚にある自分の服に着替え、荷物を持ち、モンスターボールを腰に付けた。包帯はそのままで。有氷は静まり返った病院を歩いた。そして、病院を出る。傷が痛んだが、有氷はそのまま歩いた。すると、道で女性がコピーに襲われそうになっていた。女性は腰を抜かしている様子だった。有氷は銃を取り出し、コピーに撃った。コピーはその場で壊れた。女性は有氷に気付く。

「あ、ありがとうございました…」
「……」

女性はそういうと、そのまま走っていった。有氷はコピーのほうに近づいた。そして、そっとコピーに手を触れる。
時空の叫びが起こった。それは、どこかの場所だった。広く、深い森が広がっており、その森の一番奥には城のような建物が建っていた。

有氷は静かに目を開ける。そして、公園のベンチに腰をかけ、先ほど見た場所をスケッチブックに絵にして描いた。そして、パソコンを出す。

「この絵のような場所を分析してくれ。」
「分析開始 分析開始 」

有氷はスケッチブックをパソコンに向けながら言った。コンピューターは分析を始めた。そして、しばらくして―

「分析完了 分析完了 場所 ハ ホウエン地方 ニハ無イハズ ノ 小サナ島デス 」
「無いはずの島?人工的に作られたものか?」
「ワカリマセン 」

有氷は疑問に感じたが、すぐに別に質問に移る。

「…どこにあるんだ。その島は。」
「ココカラ 西ヘ シバラク 行ッタ 海 ニ アリマス 」

コンピューターはその場所を表示した。かなり遠いが、エンペルトだったら、少しかかるが、一日でつくだろう。有氷はパソコンを閉じ、直した。有氷は西にある浜辺へと向かった。そして、海を見つめる。

「…急がないといけない…ゆっくりしている暇はないんだ……黙って出たんだ。その分…終わらせないといけない…」

有氷はそうつぶやいた。その時の瞳はどこか覚悟を決めているような瞳だった。
一方で―


「お邪魔しますよ。皆さん、お久しぶりですね。」
「…お前か。」

アリエス地方…そのリーグ本部。ありか、玲、安藤、そして四天王達が集まっていた。ジムリーダー3人は自分の街と、近くの街を見回っていた。そこにルイが現れた。それにがいは呟いた。

「今日はですね、分かった事がありまして。」
「!!」

ルイの発言に一同の表情は一変する。全員ルイのほうを見ていた。

「…説明しろ。」
「はい。」

玲はそうルイに言った。ルイは返事をし、説明をする。

「実はですね、リザードンで空を飛んでいたんですよ。すると、トクサネシティからずーーーっと西へ行ったある海の場所に小さな島があったんですよ。それにゾロアークが非常に敏感に反応しましてね。で、島へ行こうと思いましたが、コピーのポケモンたちがもう嫌になるほどいましてね…それで確信できますよ。もうお分かりになりますね?」
「……奴の根城…か…」
「…なら、やることは一つですよ。準備は前々からしてありますし…」

セイが呟き、勇騎は言った。それに全員頷く。

「…今からみんないけるか?」

玲は全員に尋ねた。全員、迷うことなくうなずいた。

「ふふ…今回は僕も参加させてもらいますよ。前の償いもありますし、たま〜には少しばかり暴れないと気がすみませんからねぇ…?」
「心強いですね。ね?ありかさん。」
「そうですね。」

ルイの言葉にコルマは嬉しそうに言い、ありかは微笑み言った。

「では、いくのは何人で…」
「は?何を言っているんですか?全員に決まってるではないですか。今、この場で話している人たちで。オペレーターもいますし?もちろん、あなたも行くんですよ?」

安藤はルイの言葉に驚いた。すると、ほかのメンバーは…

「そうだねぇ。女の子が行っているのに、僕がいかないのはおかしいからねぇ。」
「…お前は少し黙っている。馬鹿が。…コピーはどれだけ作られているのかは分からない。なら、戦力になる今話している奴らで行くべきだ。」
「それに、確実に終わらさないといけない。」
「はい。もうこれ以上、皆さんを困らせるわけにはいきません!」
「安藤さん、よろしいですか?私は行きます。」

そんな風に言う中、コルマは安藤に尋ねた。安藤は少し苦笑をしながら言った。

「もちろんですよ。俺だけ行かないわけにはいかないですし…」
「ですし?」

コルマは安藤に首をかしげて尋ねた。安藤は強気な笑顔を見せながら言った。

「それに、あの人に見せつけないといけないですしね!」
「ふふ…そうですね。」
「決まりだな。」

2人が会話している中、玲は納得したように言った。そして、仕切る。

「俺達でその島に向かう。オペレーター、看護のやつはここに残れ。オペレーターはこのことをジムリーダーに伝えろ。…ルイ、ゾロアークはエスパータイプのポケモンになれるか?」
「なるほど…なれますよ。…出てきてください。ゾロアーク。エスパーポケモンになるのです。」

玲の言葉にルイは理解したように言うと、ゾロアークを繰り出した。ゾロアークはエスパータイプのフーディンに変わる。

「よし、今からテレポートで向かう!いくぞ!」
『おぉーー!!』

玲の声に一同は声を上げた。ルイはそれを見て少し微笑む。

「…では、行きますよ?ゆっくりしているのは嫌いなんですよ。」
「せっかちですか?」
「…計画的だと言ってほしいものですね?では…フーディン、テレポート。」

そうして、ゾロアーク…またはフーディンのテレポートで島へと向かった。そして有氷の方もー

「エンペルト、全速力で行け。遠慮はいらない。」
「分かった。遠慮なく行かせてもらう。」

エンペルトは浜辺から少し離れた場所に浮いていた。有氷はエンペルトの背に乗る。そして、エンペルトは全速力で泳ぐ。それはジェットボード…いや、どんなに早い船よりも断然に速かった。

それぞれはそれぞれの思いを胸に秘めながら向かう。同じ目的。同じ決意で―

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2011.4.14  19:17:32    公開


■  コメント (3)

※ 色の付いたコメントは、作者自身によるものです。

ユランさんへ
はい、有ちゃんだけです(汗 てか、とうとうお前もちゃんづけされるようになったなぁ。
有氷「…もう勝手にしろ。」
あ〜ぁ…
悪いのはもちろんコピーです!で、もっと悪いのはサタナです!
合流ですか…果たして有氷達は合流できるのか!
コメありがとうございました!それでは!

11.4.14  23:10  -  窮爽  (monoraru)

こんばんは〜
じょ、乗客で助かったのは有ちゃんだけですとっ!?
何だか複雑な気持ちになりますが・・・悪いのはコピーですよっ
全く腹が立ちますね((ぷんぷん/ぇ
そして、同じ場所へ皆が行くわけですが
果たして合流できるのかどうか・・・
それでは、続き読みますね〜

11.4.14  23:07  -  papiko  (papiko)

とうとうアジトに出発です!
有氷「等々だな。」
そうだねぇ〜。
えー、それでは!(短っ!

11.4.14  19:18  -  窮爽  (monoraru)

 

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