友へ・・・
月夜
著 : siki64
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さてさて、時は戻って現在の松本。昼間激しい空爆と戦闘が行われていたがそんなこと無かったかのように静かな夜を迎えていた。
あたりは静まりかえっていた、聞こえるのはヨルノズクやホーホー、ヤミカラスの鳴き声くらいであった。空には満月が出ていて明かりを灯さなくても充分だった。
一が率いる第60分隊は駐屯地から3・4キロ離れた民家にいた。パクと太刀川それに海自の菱山と本田それに千葉は警備に出ていてここにいるのは一と永田、宮下、秋本と吉田それに小野寺だけだった。奥のほうでは秋本と永田が料理をしてあとの皆は武器の手入れをしていた。
一は一人、月を見つめていた。何もせずただボーっと頬杖をついてガラスも付いていない窓の外を眺めていた。
「・・・・野村准尉」
不意に声をかけられハッと振り向くとミズゴロウを抱えた宮下がいた。
「パク曹長たちがまだ帰ってこないんですが・・・・どうします?」
腕時計を見るとパクたちが出てから2時間が過ぎていた。
「少し遅いな・・・・連絡は?」
「無いです。トランシーバーでやっているんですがまったく。」
「そうか・・・・もう少し様子を見よう30分しても帰ってこなかったら探しに行こう・・・・で宮下」
「なんすっか?」
「そいつどこから拾って来たんだ?」
そう言いながら一は宮下が抱きかかえているミズゴロウを指差した。
「ああ、こいつっすか。いやーなんか駐屯地から付いてきちゃってすっかりなつかれちゃったんすよ、あははははは・・・・・。」
「どうせ連れて来たんだろ、お前のことだから。」
「うっ・・・・・・・」
一は深いため息をついた。
一方こちらはパク達ご一行。
「・・・太刀川、またお前に助けられそうだな。」
パクがいった。
「いえいえ、ピカチュウの分を含めて2回はお礼をしないと。」
太刀川が言う。
「しっかしなんだねー俺たちって。」
千葉が言う
「運が無いというか、なんというか。」
菱山が言う。
「まあ、それが俺たち第60分隊ですから。」
本田が言う。
「お前が言うな。」
またパクに戻る。
「・・・で、どうしてこうなった?」
木の枝に吊る下がっている千葉が問う
「だれのせいだかね〜」
左足に地雷を踏んだパクが言う。
「誰のせいだか」
木をよじ登っている本田が言う。
「誰のせいだか」
這い蹲り銃剣で地面を刺しながら地雷を取り除いている太刀川が言う。
「眼鏡〜眼鏡どこ行った〜。」
眼鏡を探している菱山が言う
「ちょっと菱山さん!あんまり動かないで下さい!」
「本ちゃ〜んたすけて〜」
「やめろよそのあだ名!助けねーぞ。」
「菱山さん、そこ地雷!」
「地雷どこ、どこにあるの?」
「皆!落ち着け、おーちーつーけー!」
パクの一言で皆一斉に止まった。
「とりあえず・・・・助けを呼ぶか。」
全員頷いた。
全員、大きく息を吐き胸いっぱいに吸った、そして叫んだ。
「「「「「誰でも良いから助けてくれー!!」」」」」
とある月夜の話である。
2012.2.25 13:35:05 公開
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