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「いやー、凄い砂ですねー。」
「……」
「どうしたんですかねぇ？想ちゃん？」
「……」
「……想ルン。」
「誰が想ルン…！がほっ！」

安藤にも居るかにも話しかけられても黙っていたのにすみれの一言で俺は口を開いてしまった。
…口の中に砂が入るんだよ……というか、なんでこいつ等は平気なんだ…？

「何でって言われてもねぇ？」
「まぁ…慣れですよね。慣れ。」
「そうそう。」
「……」

駄目だ…しゃべりたいけど口の中に砂が入る…
こいつ等の気の抜けるような会話に突っ込みを入れられず、イライラする。

「昨日の喫茶店、間違えましてね？」
「え？間違えたって？」

イルカの出だしに安藤が食いつく。
どうせ、紅茶の注文を間違えたー…とかだろ。

「その店、酒屋だったんですねぇ。ははは。」
「…あ、そう。」
「は！？」

酒屋だぁ！？
すみれのリアクションの薄さに俺は突っ込みを入れたくなる。…というか、口を開けた時点で砂が…

「飲んだんですか？」
「飲みましたねぇ。赤ワインに白ワイン、焼酎に梅酒。サワーに…」
「ま…げほっ！」

安藤の質問にイルカは答えようとする。
こいつ…どんだけ酒飲んでんだ！？俺は「待て。どんだけ飲んだんだ。」と、聞こうとしたが砂が…

「酔っ払わない体質ですからねぇ。問題ないですよ？いやー、お茶以外にもお酒にもはまってしまいましたねぇ…洋風の。」
「…病気になりそう…」

すみれ、そこはなりそうじゃない。なるぞ。絶対。てか、一回なれ。俺は知らないからな。

「これでも病気にはなった事がないんですがねぇ？」
「へぇ〜。」

マジか………安藤…そこは驚くべきところだと俺は思うぞ…？

「そんなこんなでライモンシティに着きそうですねぇ。」

イルカは顔を前に向けて言う。見れば、ライモンシティが見える。観覧車が特に目立っていた。
…そういえば、観覧車なんて乗った事無いな。興味なかったし。

「俺はカミツレさんにあいさつをしますね。」
「じゃあ、私はポケモンセンターでお茶でも飲んでます。」
「僕はそこらをぶらぶらしておきましょうかねぇ。」
「お前等…本当に自由だな。」

３人がそういう中、俺は悩んだ。
…人込みの多いところは嫌いなんだがな……

「あ、そうだ。想ルンさん、カミツレさんとひとつ、バトルをしてみては？」
「バトル？…というか、その前に何であだ名変わってんだ。」

安藤はそう提案してきた。
…ジムリーダーとか……まぁ、暇潰しには丁度いいか……トカゲよりはうまく戦えるだろうしな。

「…分かった。」

俺はそう一言答えた。そうして、ライモンシティのポケモンセンターで部屋を取り、別別行動をした。
と、その前に…

「ガホッ！？ガホ…」
「面倒な人ですねぇ？」
「仕方ねぇダろうが。」
「まぁ…慣れの問題ですから。」
「そうですよ♪」
「…だから何でお前は楽しそうなんだ。」

俺は口の中の砂を水で洗い流す。…少し砂と水を飲んでしまってせき込んだが。
俺は安藤とライモンジムに向かう。


…さて、今日は久しぶりに勝ちに行くか……