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「シッポウに着いたら僕は博物館にでも行きましょうかねぇ。」
「私はジムにある資料を調べる。」
「俺も同行しますよ。」
「じゃ、俺も資料探し。」

俺たちはシッポウについてからの事を話しながら歩いていた。
資料はたくさんあるしな…
突然…

「ちょぉーーっと待てぇぇいい！！」
「断る！！」

そんな２人の声が後ろから聞こえてくる。俺たちは振り返った。
それは、逃げてる幻影の１人とそれを追いかける女。
…すごいスピードだな、おい。
そのまま、２人は俺たちを横切って地下水脈のほうに入っていってしまった。

「あれは、誠さんですねぇ。懐かしの。」
「そうですね。あのたこ焼き口に詰め込んだ人。」
「すみれさんすごい熱がってましたよね。…というか、行ったほうがいいんでしょうかね？」
「…お、俺が決めんのか。」

３人は俺のほうを見る。
…別に追いかけたところで何も…

「そういえば、誠さんは今何をしているんですかねぇ？」
「情報屋らしいですよ。変わらず。」
「情報集めに旅をしているそう。」

イルカはワザとらしく尋ねる。それに安藤が答えた。
…情報屋か……何かしらと情報は入るか…？…というか、こいつは行けって言ってんだろうが。

「あー！分かった！行きゃあいいんだろう。」
「何の事でしょうかねぇ？はは。」

イルカは知らんふりをする。
…こいつ、絶対絞める。
俺たちが地下水脈のほうへと向かい、中に入っていく。

「あんたらその資料返せって言ってんや！！ドアホ！！」
「うるっせぇな！！」
「ガキにそう偉そうに言われる筋合いないっての！」
「うちは女やさかい！！」

そんな間抜けな言い合いが向こうから聞こえてくる。
あー、だから面倒なんだよ…こういう人助けっての…？

「…あいつ等…先に行きやがった…」

気づけば３人はいつの間にかいない。
…俺も行かないといけないのか？この場合。
ため息をついて、行こうとしたその時だった。

「あら〜？想現真ちゃんじゃなぁ〜い？」
「！？お前は………………………幹部。」
「幹部じゃねぇっつてんだろうがぁ！？己はぁ！？アタシはトキビだってんだろう！？」

俺はこいつの名前が浮かんでこなかった。…だって、こいつに興味ないし。
こいつはいきなりキレ出して名乗った。…これぞ二重人格だな…

「どこに行ってたかと思えば、こんな所に居たのね〜？お父様がどこ行ったって言ってたわよ〜？」
「なら、なおさら帰らないな。俺は暇なんだ。帰ると。」

俺は即答する。
…暇だしな。帰っても。…それに、何かと五月蝿いしな。

「あらもったいな〜。いつかは幻影のボスになれるのに〜？」
「俺はな、そういうのに縛られなんだよ。」

そう。俺はそういうのには縛られない主義なんだ。

「…世の中ね、そういう我が侭が通じるような世界じゃないのよね〜。…力ずくで帰ってもらうわよ〜？アーボック、蛇にらみ〜！」
「ペンドラー、ハードローラー。」

俺は素早いペンドラーを繰り出す。…こいつに勝った事無いんだけどな。
特訓の成果が出ているのか、ペンドラーは素早くハードローラーをアーボックに喰らわせた。


…絶対帰らねぇよ。俺は。暇だ。…縛られない。