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ポケモン+(プラス)ノブナガの野望×(クロス)over
01━選択と入力
著 : 河尻ダイゴ(若榴)
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『選択と入力』
そこは、宵闇のような暗い空間だった。遠くに眼を凝らしても見えるのは黒、黒。闇が続くばかりだった。
「………」
その空間で、少年はただ無言で立ち尽くす。
「やぁ!!僕は、この世界の仕組み(システム)」
少年の前方に、淡い木漏れ日のような光が点灯し、小さな動物が現れる。
少年は、動物を見た。
黄色い体毛、つぶらな瞳、鋭い三角形の耳、ギザギザの尻尾。
それは、“ピカチュウ”と呼ばれる携帯獣だった。
しかし、ピカチュウは人語を喋らない。ピカチュウは本来愛らしい声で鳴くのだ。
「そろそろ名前を、決定してくれるかい?」
ピカチュウもどきは、少年を急かした。
「トウマ!!一条トウマ……」
少年は自分の名前を呟く。
「トウマ?イッシュ地方や幻想殺しの主人公と名前が似てるじゃゃないか……、まぁ、君がいいならいいけど」
ピカチュウもどきが文句を言う。しかし、たいして興味がないようだ。
「性別は男と」
「あぁ、それでいい」
「じゃ、最初の質問だよ。君は何のために戦う?」
「それは、必要な質問なのか?」
少年は、質問に質問で返す。
「キャラ作りには必要なんだ。某大手アニメ専門学校のノベライズ科の講師の受け売りだけど、主人公やメインキャラに『この質問』をぶっけると、キャラの最初の輪郭が浮かびあがるらしいよ……」
「受け売りで質問するのか!?でも、答えないと先に進めないんだろう。答えてやる」
少年は嫌がる素振りをみせ、抵抗の意思を示しながらも服従する。
「えぇと、ノブナガからランセ地方の滅亡を救うだったよなぁ。可愛い女を助けるのが男の義務だろう!!理由なんているかよ!!━━で、どうだ?」
「そんな理由で我が野望を邪魔するのか、ふざけるなぁ!!━━って言われるよ。そんな使い古されたオーソドックスな主人公はいらないよ」
ピカチュウもどきは、じと眼で駄目出しする。
「じゃぁ━━俺は本当は戦いたくないんだ。でも、戦争だからしかたがないじゃないか━━でどうだ!?」
「どこの、リアルロボットのパイロットだよ〜〜」
「強い奴と戦えるのは、ワクワクしてくるぜ」
「どこの戦闘民族の戦闘狂(バトルマニア)?次……!!」
「世界の滅亡を救えてベタな展開なんだ!!普通の主人公なら戦わないといいけないだろう?奇抜なことやって物語がコケるのが一番最悪じゃないか……」
「いい線でけど…。ぶちゃけすぎ!!」
「金のためだよ。金以外に大事なモノなんてあるのか?」
「ピカレスクのつもりか?それじゃ改心するフラッグが立って、ありきたり」
「殺すのが楽しいだよ。殺人しか愉悦を感じないんだ、自分の欲望を満たすために、俺は殺す!!」
「それは、敵のセリフ!!これは、子供向けの全ての年齢対応なんだ。苦情が来たらどうするんだ!!」
「苦情なんて、俺が知るか!!」
「主人公が、そんなこと言っちゃだめだろう!!」
……などの、くだらない言葉の応酬が続く。
そして、さらにキメゼリフや性格などを決めるのに、多くの時間を費やす。
まだ、物語が始まらない。キャラ設定が決まらない。
はたして、この物語は始まるのか?
それは、神のみぞ知る…………(冗談)
2012.3.19 21:49:49 公開
2012.6.12 11:59:56 修正
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